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 孫悟空が大活躍する西遊記は、経典を求めて仏教の聖地、インドへ旅した玄奘(げんじょう)(602~664)の物語から生まれた。玄奘はスーパー僧侶だったのか。1350年忌を記念する企画展「三蔵法師 玄奘 迷いつづけた人生の旅路」は、玄奘とゆかりが深い奈良・薬師寺などに伝わる彫刻や絵画、経典など127件、209点の資料を通じて、その生涯と後世の伝説に横たわるなぞに迫る試みだ。

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◇8月11日[火]~9月27日[日]、龍谷大学龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)。午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)。月曜休館(9月21日は開館)

◇大人900円(団体700円)、高校・大学生500円(同300円)、小・中学生200円(同100円)

◇問い合わせ 龍谷大学龍谷ミュージアム(075・351・2500)

主催 龍谷大学龍谷ミュージアム、法相宗大本山薬師寺、朝日新聞社、日本経済新聞社

特別協力 浄土真宗本願寺派、本山本願寺

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 玄奘は日本では、平安・鎌倉時代ごろから盛んに崇拝されるようになった。敬うために描かれた肖像画は、袈裟(けさ)をまとってお経の箱を腕に抱える姿か、やはりお経を入れた大きな箱を背中に背負う旅姿かに大別される。

 「どちらも、仏教発祥の地、インドにあこがれた日本のお坊さんたちの、あこがれの姿だったのだと思う」と龍谷ミュージアムの松岡久美子学芸員。

 当時の日本の僧侶らにとって、インドは遠すぎる場所だった。仏教の祖、シャカもはるか昔に亡くなり、直接教えを受けることは不可能だ。身の回りを見渡せば、浄土宗や日蓮宗など新しい宗派が生まれ、「仏教とはなにか」が混沌(こんとん)としている。

 それだけに、聖地からたくさんの経典を中国へ持ち帰った玄奘は、「夢をかなえた人」として光り輝いて見えたのかもしれない。

■許可得られず密出国

 玄奘が中国・唐から天竺(てんじく、今のインド)へ旅だったのは627年(諸説あり)。唐の渡航許可が得られず、密出国した。帰国は19年後とされ、国内情勢が好転して罪に問われなかったという。