(伊丹憲一)東赤坂の割烹旅館で議員秘書の遺体が見つかったらしいな。
(芹沢慶二)それもただの議員じゃないっすよ。
野党真和党の人気議員岸倉治美っすよ。
まだ現れませんね。
(米沢守)ここだけの話捜査本部は当初自殺の見立てでしたが他殺の線に切り替えたと聞いてます。
確か死んだ秘書の元彼が絡んでるんだよな。
別れたあともしつこく付きまといなおかつ事件以降自宅にも戻っていないとの事です。
(角田六郎)って事は…かなり怪しいなその男。
つうかなんで課長いるんすか?なんでって…俺が頼んだから実現したんでしょ?正確には私の方が早く頼みました。
まあそうだよ。
だ…だから…。
(甲斐享)待ち合わせなんですけど。
(店員)はい奥のテーブルへどうぞ。
すいません遅くなりました。
(笛吹悦子)その節はお世話になりました。
(悦子)ご紹介しますね。
こちらの2人が私と同じCAの里香と絵美。
でその隣が学生時代の悪友の智子。
それから…。
あの私は悦子さんの友達の友達で山根みちるといいます。
CA…。
よろしくお願いします!ああ…男性陣の自己紹介は後回しにしてねまあまあまあまず座りますか。
っていうかいかにも合コンって感じなんで男女適当に座りますか。
(悦子)うんうん…。
ハア…何が楽しくて合コンなんか…。
あ…ハムだ。
すいませんそのハム…。
(智子)すっご〜い!特命係巡査部長?とは言っても下から2番目なんですけどね。
こんな人初めて…。
(絵美)すご〜い!享享…。
うん。
ごめん。
ごめんね。
ちょっとごめんね。
やばいこの合コン失敗かも。
誰もかみ合ってない…。
でもさ先輩たちさ盛り上げなきゃじゃないの?うん…。
ねっ!課長寝ちゃダメでしょ。
あれ?ん?うん。
う〜ん。
今はどんな事件を担当されてるんですか?いやそれは…。
あ…ごめんなさい。
私なんかに話せませんよね。
いやそんな事は。
実は議員秘書が不審死した事件を少々…。
そうなんですか。
あのもしよかったらこのあと2人でお酒でも飲みにいきませんか?ええ1杯だけなら…。
(伊丹)おい。
なんだ?なんだ?
(芹沢)大変ですよ!
(三浦信輔)これ見てみろデイリー東和。
(芹沢)これ8係が昨日つかんだばかりのネタですよ。
なのにもう記事になってるって…やばくないっすか?実名は伏せてあるけどこれは捜査情報まんまだろ。
(中園照生)おい!おいおい!これどういう事なんだ!
(内村完爾)重要な捜査情報が夕刊紙風情にすっぱ抜かれた。
俺たちの担当じゃなくてよかったっすね〜。
とんだとばっちりだよな。
刑事の中に情報を漏らす奴がいるわけねえのになぁ。
(伊丹)行けっ!
(大木長十郎)何!?
(杉下右京)おやこれはお珍しい。
あ…。
うわっ!なんすか?あの山根みちるって女何者だ!?え〜聞いてないんですか?お持ち帰りしたのに。
してねえよ。
名前しか聞いてねえ!どこの誰だ?え?だから悦子の大学時代の友達の友達で昨日だってピンチヒッターで来たっていう事ぐらいしか知らないですけど。
何かあったのでしょうか?この事件の情報ひょっとしたら俺から漏れたのかも…。
はい?おやおや。
先日の密入国事件への対応が評価され次の総理にと期待の声が高まってますが大臣はどのように?
(葉村比呂臣)いやいや。
今は粛々と与えられた責務を果たすだけです。
もうよろしいですね?では。
照本さん。
(照本)あ〜杉下さん!ご無沙汰しております。
本社でこちらだと伺いまして。
亀山くんの奥さんがいた帝都新聞の照本さんです。
どうも。
どうも。
今日は何かご用ですか?業界の事情通の照本さんに少々お伺いしたい事が。
カイトくん。
はい。
彼女なんですが…。
見覚えありませんかねぇ?化粧も服も感じは違いますが間違いありません。
東和日報の山根みちるっていう記者です。
やはり新聞記者でしたか。
確か社会部で…まあ遊軍というかなんというか…。
なんです?新聞社の中にはわざと若い美人を記者にして政治家や警察関係者に近づけ昵懇にさせて情報を引き出してるところがあるんですよ。
ああそうですかそうですか。
なるほど…。
確かめる事は出来ましたね。
安心するのは無理ですけど…。
クソッ!あの女新聞記者だなんてひと言も言わなかった…。
それって山根みちるですか?ああ何度かけても出やしねえよ。
ちゃっかり電話番号聞いてたんだ。
うるせえな!こちらが彼女の正体をつかんだ事は真相が明らかになるまで隠しておいた方が賢明だと思いますよ。
真相?東和日報の山根みちるという記者がつかんだ情報を系列子会社のデイリー東和に流した可能性も考えられますからねぇ。
もしそうだとしたらなぜそんな事をしたのでしょう。
お二方気になりませんか?気になりますね。
まあ気になるっちゃなりますけど。
(女将)こちらのお部屋でございます。
(伊丹)失礼します。
わたくし厨房におりますので。
ありがとうございます。
(伊丹)現場なら一課がとっくに調べたあとですよ。
我々じゃなく8係ですが…。
捜査資料勝手に持ち出したんですか!?米沢さんからコピーをお借りしてきました。
もちろん事が済んだらお返ししておきますよ。
頼みますよ本当に…。
カイトくんお願いします。
再現ですね。
伊丹さんお願いします。
はいはい…。
3日前の1月4日野党真和党岸倉治美議員の秘書田所千枝子さんがこの部屋で遺体で発見されました。
死因は青酸系の毒物による中毒死。
死亡推定時刻は午後2時から4時の間。
部屋は議員事務所の名義で借りられており夜には岸倉治美議員と政財界の支援者たちとの会合に利用される予定でした。
遺体を発見したのはさっきの女将。
ええ。
会合での料理の確認にこの部屋を訪れ遺体を発見したそうです。
でも最初に呼ばれたのは岸倉議員の秘書で駆けつけた秘書が慌てて110番したみたいです。
遺書はなかったんですよね?だったら自殺とは…。
鑑定の結果湯飲みからは致死量の毒物が検出され指紋は亡くなった田所千枝子さんのものだけでした。
なおかつ同僚の秘書が証言しています。
彼女はここ2週間ほど仕事の事で悩み情緒が不安定だったと。
うん…。
だとすると問題は毒物の入手経路か。
ええ。
限りなく自殺に近いにもかかわらず遺書はなく毒物の入手ルートも不明ですねぇ。
だから自殺と他殺の両面で捜査ってわけですか。
ん?
(享・伊丹)ん?防犯カメラはここ正面の入り口に1つだけです。
死亡推定時刻の午後2時から4時の間防犯カメラには誰も映っていませんでした。
ええ。
この辺りには監視カメラはありません。
ないっすね。
ここは裏口です。
あっごめんなさい。
さすが政治家や官僚が密談に使う旅館ですね。
ふ〜んこれが裏口ねぇ…。
いいにおいがしますねぇ。
こっちですね。
こっちですね。
自由だな…。
失礼致します。
すいませーん。
すぐに済みますので。
さすが政治家の方が利用するだけあって素晴らしい食材が使われてますねぇ。
ほら!わあっ!こんな事やってていいんすか?あっ。
これですこれ。
部屋別のお料理のメニューです。
えっと4日でしたね。
4日…。
3日…。
4日。
葵の間。
葵の間。
変ですね…。
ありませんね。
ふ〜ん…表門を通らずに部屋まで来れるのかよ。
ちょっとよろしいですか?はい。
もういいわよ。
はい。
会合での料理の確認に部屋を訪ねた時田所千枝子さんの遺体を発見した。
そう証言されてますね?ええそうです。
どんな料理だったんでしょう?厨房には記録が残ってませんでした。
特別な料理をお出しする予定でしたので通常のリストには記入致しませんでした。
なるほどそういう事でしたか。
ご用がお済みでしたらお呼びくださいませ。
ありがとうございます。
はい伊丹。
うん…うんわかった。
田所千枝子の元恋人高野俊哉の身柄を押さえたそうです。
(高野俊哉)私は千枝子を殺してなんかいません。
じゃあなぜ逃げるようなまねをしたんですか。
なんだか面倒くさそうな男だな…。
ああ先輩…。
なんで特命係も一緒なんですか?どうだ?いやあ…。
デイリー東和に抜かれたから慌てて任意で引っ張ったけど物証もないし苦労するぞこりゃ…。
(伊丹)ふ〜ん…。
いっつもこうやって特命係に証拠を見せてるわけか。
なにゆえ伊丹刑事が特命係と?合コンのちょっとした後始末です。
私も少々合コンの後遺症が…。
つべこべ言ってねえでさっさとやれ。
これはなんでしょう?星?ああそれは被害者の化粧ポーチの上に付着していました。
こちら。
(米沢)それからですね…。
ちょっと失礼。
こちらのパソコンなんですけども「田所千枝子」とここに名前が貼ってあります。
仕事用のパソコンだと思われますがファイルの類いが全て消去されてました。
それは妙ですねぇ。
田所千枝子は夜の会合に使う資料を仕上げてたんですよね?待てよ…。
遺体を発見した女将は警察より先に議員事務所から他の秘書を呼んだんだよな?ええ。
遺体発見から通報まで30分以上はありました。
そうかその間に仲間の秘書がファイルを消したんだ。
警察に調べられる前に消した…という事でしょうかねぇ。
フッ!マジで不正でもやってたか?
(アラーム)こちらへどうぞ。
調べますよ。
(伊丹)はいはい…。
顔で引っかかったんですかね?君面白い事言いますねぇ。
警視庁。
(警備員)受付へどうぞ。
すみませんねぇお時間取らせて。
いえいえ。
いきなり議員本人に当たりますか?おや当たってはいけない理由が何かあるでしょうか?はあ!?俺はかなり慣れてきました。
特命係にかよ?はい。
(秘書)どうぞ。
(岸倉治美)アポも取らないで失礼じゃありません?手短にお願いします。
実は今日伺ったのは…。
亡くなった田所千枝子さんと高野俊哉さんを別れさせたというのは本当でしょうか?政治家もマスコミの目を気にしなくてはならない。
議員はもちろん秘書も当然身辺をきれいにしておく必要がある。
という事は高野さんに何か問題でも?警察の方ならとっくにご存じかもしれませんが彼には逮捕歴がある事がわかりました。
だから田所千枝子さんに別れるように言った。
マスコミの格好の餌食ですわ。
それを防ぐためにも当然の処置でした。
田所千枝子さんはそれに素直に従われたのでしょうか?むしろ彼女の方からすすんで。
(伊丹)…と言いますと?彼女は上昇志向の強い女性でした。
議員秘書はステップの1つでゆくゆくは議員を狙っていましたから。
なのに…残念な事です。
もう…何度調べるんだって大家さんに怒られちゃいましたよ。
まあ俺も同感ですけど。
すみませんねぇ。
どうぞ。
亡くなった田所さんのこの部屋はもう鑑識が検証済みなのに今さらなんだっていうんですか。
(ため息)おい…。
おい!それでもな〜んか見つけたりするんですよねあの人。
でもちょっと意外でした。
伊丹さんが特命係を頼ってくるなんて。
頼る?冗談じゃねえ。
いいか?俺は特命係だろうがなんだろうが利用出来るものは全て利用する。
ただそれだけだ!なんか文句あるか?そりゃそうですよね。
内緒話は終わりましたか?ちょっとこれを見てもらえますか。
このパソコンはこのバッグの中に入っていました。
出した?出しました。
それから…ああこちらのパソコンが現場の旅館に残されていたものです。
これどう違うのでしょうねぇ?うーん…色。
ええ。
それから?まあ強いて言うならこっちは最新型ですけど。
そのとおり。
旅館にあったのは仕事用でこっちはプライベートで使ってたんじゃないですか?ちょっとこれを見てください。
ここに名前が貼ってありますねぇ。
それからこちらのパソコンにもここに名前が貼ってあります。
つまりこれらは仕事で使っていたと考えるべきでしょうねぇ。
買い替えたばかりだった。
その場合古い方のパソコンはどうします?そりゃ下取りに出すにしても廃棄するにしても中身は全部削除しますよね。
あれ?はい?だとするとこっちのパソコンの中身を消したのは田所千枝子本人だった…。
そういう事になりますねぇ。
お言葉ですが使わなくなって中身を消したパソコンなら現場に持ち込む理由がないでしょう。
そういう事になりますねぇ。
ですからこのパソコンを旅館に持ち込んだのは彼女じゃないんですよ。
え?最初僕たちはファイルを消したのは警察よりも先に駆けつけた秘書たちの仕業だと思い込んでいました。
しかし警察にファイルを調べられたくないだけならばパソコンごと持ち去ってしまえばいい話じゃありませんか。
警察や救急隊が駆けつけるまでに相応の時間があったわけですからねぇ。
それをパソコンは旅館にこれ見よがしに残されていました。
ひょっとして議員事務所のデスクかどっかに置いてあった古いパソコンをファイルが削除されてるのも知らずに仲間の秘書が遺体を発見したあとにあの旅館に持ち込んだ。
ん?ん?ん?なんのために?もしそうだとすれば…。
彼女があの部屋で仕事をしていたように見せかけるためでしょうねぇ。
おはようございます。
(2人)おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
杉下さんこれ読みました?ええ。
東和日報だけのスクープのようですねぇ。
元恋人のアリバイが確認されたと書いてありました。
警察の捜査を非難しています。
「犯罪ありきの捜査方針が誤りだったのではないか」「今後は自殺の可能性も含めた慎重な捜査が求められる」これじゃ警察のメンツ丸潰れですね。
でもこれなんか…変じゃないっすか?おや君も気づきましたか。
やっぱおかしいですよね。
デイリー東和と東和日報は同じ系列です。
なのに最初にデイリー東和が殺人だみたいな飛ばし記事を書いてそのあとすぐ東和日報がやっぱり自殺だったって否定してますよ。
一連の報道に意図的なものを感じますねぇ。
ええ。
(電話)
(電話)はい特命係。
え?監察官?
(大河内春樹)君か新しい相棒というのは。
特命係甲斐享巡査部長です。
(大河内)どうぞ。
捜査情報が漏れている。
そういう噂を聞きあれこれ調べたところ伊丹巡査部長が特命係と行動をともにしてこの件を調べているという情報が上がってきました。
たった今彼の口から東和日報の山根という女性記者に情報を漏らした可能性があると聞いたところです。
全部話しちゃったんですか?万が一情報が漏れたのが俺のせいならその責任は取らなきゃならない。
刑事として当然だ。
(大河内)どうぞこちらへお座りください。
(大河内)事実ならなんらかの処罰を与えなければなりません。
減俸あるいは謹慎。
捜査一課から外れてもらう可能性も。
確かに今のところデイリー東和の記事に伊丹さんが関わっている可能性は半々といったところでしょう。
しかしそれ以上にこの事件の背景には捜査情報の漏えいよりもはるかに根深い問題が隠されているように僕には思えてなりません。
根深い問題?警察の正式発表を待たずに元恋人の殺人であるかのような記事を書き翌日には警察の初動捜査ミスという形で犯行を否定。
さらに世間には議員秘書の不審死がまるで自殺であるかのような印象を強く与える。
つまりどういう事ですか?あの旅館で一体何があったのか僕にはその事実を隠ぺいしようとしているように思えてなりません。
つまり隠ぺい工作のための情報操作ですよ。
私の職務とはなんの関係もありません。
ええ。
ですが見ようによっては警察への挑戦とも受け取れなくもありませんねぇ。
(伊丹)失礼します。
(携帯電話)ああっ!なんすか?このタイミングで…。
きたーっ!山根みちる。
そろそろかかってくる頃だろうと思ってました。
出た方がいいんですか?出ない方がいいんですか?岸倉議員の事務所を訪ねた事が功を奏したようですねぇ。
だからどっちなんですかって!あっひとついい考えがあります。
なんすか?出ちゃいますよ?いや切っちゃおうか?
(みちる)今日は誘って頂けて嬉しかったです。
お忙しかったんじゃないんですか?ええ。
でもじきカタがつくでしょう。
例の議員秘書の事件ですよね?やっぱり自殺なんだ。
ええ。
上はそう判断するみたいですけど。
え?いや色々調べてみるとちょっと気になる事が…。
例えば…。
あっアタタッ…。
あー…。
すいません。
ちょっとおなか…。
いや朝から朝から。
大丈夫ですか?
(伊丹)すいません。
ちょっとトイレ…。
イタタタ…。
(寝息)女将寒いですよ。
(月本幸子)はい。
ごめんなさいね。
常連さんなんですけどお酒が弱くていっつも寝ちゃうんです。
あっこれかけときますね。
はい。
(徳利を倒す音)ああっ!?ちょっとお願いします。
大変大変!
(幸子)まあ大変大変!すみませんね。
(幸子)大丈夫ですか?はいはいはいはい。
(幸子)もう本当にもう…。
あーあ…。
(寝息)すみませんね。
いいえ。
こんなとこまで。
もう…。
(幸子)あらお洋服大丈夫かしら。
すいません。
このあと本部に戻らないといけなくて。
そうなんですか。
はい。
今日は本当にありがとうございました。
失礼します。
もう少し静かにイライラ出来ませんかねぇ。
うぅーっ!ビンゴ。
どうでした?ばっちりです。
岸倉治美でした。
そうですか。
どうもありがとう。
山根みちるが岸倉治美と会っていたそうです。
なんだってあの女が岸倉治美と…?田所千枝子さんの情報はプライベートも含めほとんどが岸倉議員サイドからのものです。
何者かが情報を操作しているのだとすれば真っ先に疑うべきは岸倉治美議員でしょう。
ちょっと待ってください。
だとすると東和日報に記事を書かせたのも岸倉治美って事ですか?その可能性は十分にあると思いますよ。
フフッ…そんなバカな事書いてあったの?ありえないでしょ。
警察の事はもう気にしなくて大丈夫です。
そうみたいね。
次の手はちゃんと打ってありますから。
(中園)大変です!また東和日報にやられました!何!?貸せ!ああ…はい。
(中園)「亡くなった田所千枝子さんは私書箱サービスを使い自殺に用いた毒物をインターネットの違法薬物サイトで購入した可能性が高い」。
何をボーッとしてるんだ!は?早く裏を取りに行かせろ!あ…はい!毒物の方はいかがでしょう?配送伝票のコピーから海外サイトで違法薬物を販売するサイトだと判明しました。
死因となった青酸カリも商品リストの中にありました。
どう見ても100パーセント自殺ですね。
なんだって今頃になって秘書の奴がこんな肝心な事を…。
当然タイミングを見計らっていたのでしょう。
タイミング?何しろ自殺を決定づける切り札ですからね。
つまり岸倉議員や秘書の連中は田所千枝子が正真正銘の自殺だとわかっていた…。
ええ。
その上で山根みちるが異なるスクープを書き情報を操作しようとしたのでしょう。
山根みちる…確か合コンの時そんな名前が…。
あ〜!どうしてそんなややこしいまねを?ここで疑問がひとつ。
田所千枝子さんはなぜそのような場所で自殺を図ったのでしょう?それに支援者との会合の直前っていうのも変じゃありませんか?ええ。
そもそも会合の予定などなかったんじゃありませんかねぇ。
旅館の厨房で見たリストには事件の夜会合のために料理が準備された記録がありませんでした。
女将が嘘をついたってわけか…。
ええ。
第一発見者である女将から連絡を受けた秘書たちは田所千枝子さんがそこにいた本当の理由を隠すためにとっさに支援者たちとの会合の下準備をしていたというアリバイをでっち上げる事にした。
彼女があたかも仕事のためにその場にいたように体裁を整えたつもりがそのパソコンはすでに中身のファイルが削除された代物だった。
待ってください。
じゃあ彼女が部屋にいた本当の理由って?あの割烹旅館は隠れた会合に使うにはもってこいの場所ですからねぇ。
そして人知れず会う事を要求されるのは何も政治家の密談とは限りません。
例えば男女の密会。
ハハッ飛躍しすぎだと思いますけど?1脚湯のみ茶碗が足りませんでした。
本来ならばあの部屋には5脚の湯のみ茶碗が用意されていたはずです。
なのにテーブルの上には彼女が毒を飲むために使ったと思われる湯のみだけ。
もう1脚はおそらく秘書たちが処分してしまったのでしょう。
田所千枝子は男と会っていた?ええ秘書たちが支援者との会合や仕事を強調した裏にはそれとは真逆の個人的な秘め事が行われていた。
そう考えるべきじゃありませんかねぇ。
ですが司法解剖の結果情交の痕跡は見られませんでした。
それどころではなかったと思いますよ。
何しろ彼女はあの時致死量の毒物を用意していたのですから。
自殺をほのめかして脅そうとしたか無理心中を図ろうとしたかあるいは相手への当てつけでその部屋で死ぬ事を選んだのか。
いずれにせよ彼女は毒を飲んで自らの命を絶った。
そう考えれば全てが繋がります。
しかしそれが事実だとすると相手の男が一体誰なのか無性に気になりますな。
ええ伊丹さんは捜査一課でしたね。
ええ。
危うく忘れるところでしたけど。
1人所在を確認してほしい人物がいます。
え?はあ?お忙しいところすいませんね。
(高野)まだ何か用ですか?ここじゃなんですからあちらで。
岸倉議員の秘書たちがあなたと田所千枝子さんを別れさせたとおっしゃってましたが彼女にどなたか他に好きな人が出来たとかそういうような事はありませんでしたか?ありません!好きな人が出来たと連中に言わされてただけです。
言わされてた…。
だから…最初は打算で付き合い始めたんだけどその人の事本気で好きになったとかなんとか…。
そのお相手の名前などは口にしていませんでしたか?さあね。
あっそういえば先生とか呼んでたけど。
先生…?さすがに議員秘書ですな。
携帯電話の通話記録には議員が20名近く支援者の中には医者や弁護士もいました。
ちょっとプリントアウトしてきます。
はーい。
どいつもこいつも先生かよ。
あの部屋が事務所名義で借りられていたという事は密会は当然事務所も公認だったのでしょうねぇ。
相手もそれなりの立場がある奴ってわけですか。
なんか入ってねえのかなこいつはよ。
(キーボードを打つ音)そっちはファイルが削除されて空っぽっすよ。
わかってるよんな事は!クソーッ!伊丹さんお手柄です。
(伊丹)はあ?空っぽではないようですよ。
ファイルの類いは削除してあるのに単語登録を消し忘れているようです。
通話記録。
通話記録!
(米沢)あ…はいはい。
早くしろ!ほら!お願いします。
あっはい。
(米沢)私が席を外してる間に状況が一変してますな。
静かに。
(米沢)あ…はい。
これ。
(伊丹)比呂臣…。
名字は葉村…葉村比呂臣。
現職の外務大臣ですよ。
事件の日の葉村大臣の映像です。
(伊丹)マジで葉村大臣が田所千枝子の密会相手だって言うんですか?この日はエルドビアの反政府組織の指導者が入国してその対応で朝から外務省に詰めてたはずです。
そもそも次期総理候補の外務大臣と野党議員の秘書がどうやって結びつくんです?どう結びついたかはともかく携帯に履歴があり比呂臣という珍しい名前が単語登録されていた。
繋がりがあった事は間違いありません。
さらに元恋人の高野さんがおっしゃっていました。
最初は打算で付き合い始めたが本気で好きになったと。
だとすれば彼女の自殺の動機も想像に難くありません。
議員にしてやるとでも言われて関係を持ったのかもな。
でも彼女の方が本気になってしまい議員の座よりもっと他のものが欲しくなってしまった。
だが葉村大臣に拒絶されて自殺した。
大臣にとっては致命的なスキャンダルですからねぇ。
だからこそ彼女の死を仕事で悩んだ末の「突発的な自殺」で片づける必要があった。
(ため息)
(伊丹)でこれからどうする?どうするって事件自体自殺なわけですし。
動機があやふやなまま自殺で事件が解決されればそれこそ岸倉議員や山根みちるの思うツボだぞ。
まあ確かに一課ならさっさと本部をたたんで他のヤマに向かうとこだ。
でも特命係ならもっと何か悪あがきをするとこじゃないんですか?悪あがきかどうかはわかりませんが打つ手がないわけじゃありませんよ。
え?合コンのケリをつけようじゃありませんか。
どうして俺がここにいるのかって顔してますね。
知ってましたよ。
あなたが記者だって事は。
覚えてくれてます?一度会ってますよ。
なんのつもりですか?あなたを糾弾するつもりはありません。
ただあなたの口から伺いたい事があるだけなんです。
わざわざお越し頂いて恐縮ですけどお話しするような事はありません。
とぼけちゃって。
岸倉議員から聞いてますよね?あの日何があったか全部。
田所千枝子さんは葉村大臣に振られたショックで自殺した。
違いますか?田所千枝子さんの死が自殺である限り刑事さんが蒸し返すような問題ではないと思います。
彼女の亡くなった日葉村大臣があの部屋を訪れた事はご存じですよね?まさか…。
では行かれなかったと?そのような場所に大臣が行くはずありません。
これ知ってます?国際難民支援デイの記念リボン。
限られた外務省関係者に配られたものでした。
もちろん葉村大臣もその中に含まれてます。
ここに金色の星が3つ付いていますねぇ。
実は田所千枝子さんが自殺した部屋からもこの金色の星が1つ見つかってるんですよ。
間違い探し得意ですか?こっちはあの日の朝外務省に入る葉村大臣。
こっちは夕方の記者会見の時。
わかります?朝には3つ付いていた星が夕方には1つ取れて2つになってるんです。
調べたところあの部屋で見つかった金色の星が記念リボンに付いていた金色の星だと判明しています。
葉村大臣があの部屋を訪れたという動かし難い証拠じゃありませんか。
何かの間違いです。
だってあの日は…。
ええそうなんですよ。
あの日あなた方が情報操作までして田所千枝子さんと葉村大臣の関係を隠ぺいしようとしたのはその不適切な関係以上に彼女の亡くなった日時が問題だったんですよ。
あの日は例のエルドビアの反政府組織指導者の入国問題が勃発して大臣以下外務省の職員省内に詰めて対応に追われていた日ですよね。
国際問題が起きかねないそんな日に外務省を抜け出して外務大臣が女に会いに行ってたとは誰も思いませんよね。
これが本当ならこれこそ記事にすべきじゃないんですか?新聞記者として。
国の有事に職務を放り出した事は政治家としての資質が問われる問題でこそあれ我々が蒸し返すべき問題ではないかもしれません。
ですが金色の星が見つかったのは彼女のポーチの上です。
ポーチからは微量の毒物が検出されています。
口が開いていた事から見て彼女が毒の瓶を中から取り出した事は明らかです。
いい加減にしろ!
(葉村)今がどういう時かわかってないのか!
(田所千枝子)お願い行かないで!
(葉村)やめろ!目の前で自殺をほのめかす人間がいる。
そしてそれを止める事が出来たはずなのに無視して立ち去った。
もしそれが事実だとすれば政治家としての資質以前にもはや葉村比呂臣の人間としての資質の問題としか言いようがありませんね。
新聞記者としてこれだけは言わせてもらいます。
葉村比呂臣という政治家はこの国に必要でありいずれこの国の舵を取るべき重要な人物です。
つまらない醜聞や流言でいたずらにその価値を貶めるような事は絶対にあってはならない。
私はそう信じています。
それがあなたの新聞記者としての信念でしょうか?ええ。
もちろん。
真実を捻じ曲げてまで守るべき信念など持つに値しない。
そうは思われませんか?おっしゃりたい事はそれだけでしょうか?でしたら…もう失礼します。
心配しなくていいです。
伊丹さんから聞いてデイリー東和に記事を書かせたわけじゃありませんから。
なるほど。
それにしても情報操作とは我々警察もなめられたものです。
ああその報告書ですがどうぞ監察官のご自由に。
杉下さんあなたって人は…。
(大木)ほら!東和日報以外全紙トップですよ。
あ〜…絵に描いたような特オチってやつだね。
(小松真琴)帝都は社説でも書いてますね。
え?どれどれ…。
「一連の報道に際し葉村大臣の動向をつかみながらもあえて隠ぺいし情報操作を行おうとしたメディアがあった事は極めて遺憾である」これ誰がどう読んでも東和日報だってもろわかりですよね。
帝都新聞の照本さんからオフレコで聞いたのですが葉村大臣と岸倉治美議員はそれぞれの党を離れ新党を立ち上げる予定だったそうですよ。
なるほど。
だから与野党の壁を越えてつるんでたんだ。
ですがどうなる事やら。
一寸先は闇ですからねぇ。
っていうかこれって大河内監察官のリークですよね?やっぱ監察官ってえぐい事するんだなぁ…。
っていうか杉下さんこうなる事最初からわかってましたよね?時々深読みしすぎるのが君の悪いクセですねぇ。
(記者)大臣突然の入院は一連の報道が原因でしょうか?
(葉村)いいや。
そのような事は全く。
(記者)入院する前に説明責任を果たすべきではないんですか?
(甲斐峯秋)面白いねぇ。
実に面白い。
(大河内)は?
(甲斐)特命係だよ。
もっとも君の方がよく承知しているんだろうが。
(大河内)私見を申し上げれば特命係は諸刃の剣です。
諸刃の剣…。
なるほどうまい事言うじゃないか。
君はどっちだね?は?僕の役に立つか…。
僕の害となるか。
それはもちろん…。
まあ時間はたっぷりある。
ゆっくり話を聞く事にしよう。
そうだなまずは…僕の知らない特命係の話辺りから始めてもらおうかな。
伊丹さん。
ああ。
おい。
貸しだなんて思うなよ。
え?今回の事でよーくわかった。
何がです?俺たちはいつだって縦割りの組織や決まりごとの中で汲々として働いている。
なのに特命係ときたらそんな事は一切お構いなしに好き勝手にやりたい放題だ。
うらやましいっすか?違う。
腹が立ってしょうがねえんだ。
だから特命係なんて一切認めねえ。
そんなに嫌われてるんだ。
カイト。
はい。
お前も心しておけ。
特命係にいる限り捜査一課に呼ばれる事は絶対にねえ。
そんな事言われたの!?ああ。
もう〜せっかく苦労してさ合コンセッティングしたのに。
そんなんじゃ全然意味ないじゃん!う〜ん…。
けどさなんでかな…。
自分でも不思議なんだけど…。
うん。
あんなふうに言われたけど全然悔しくないんだよね。
そう。
はいはい。
はい。
この前はお店をお借りして申し訳ありませんでしたねぇ。
おかげで大変助かりました。
よかった。
実は嬉しかったんです。
杉下さんのお役に立てたみたいで。
そろそろお茶漬けになさいます?ええ。
わさび多めで。
はい。
2015/08/04(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒Eleven[再][解][字]
「オフレコ」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)の相棒(?)として甲斐享(成宮寛貴)が特命係に飛ばされてきた!父親は警察庁次長(石坂浩二)、恋人は客室乗務員(真飛聖)。
右京と享の新特命係のコンビが新たな謎に挑む…。
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語
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