「戦争に行きたくない=利己的考え」なのか? 武藤議員ツイート、弁護士21人の見方
自民党の武藤貴也衆議院議員が7月下旬、安保法案に反対している若者たちに対して、「自分中心」「極端な利己的考え」とツイッターで非難した問題が大きな注目を集めている。
武藤議員がやり玉にあげたのは、安保法案に反対する10代、20代の学生グループ「SEALDs」。彼らが毎週、国会前で「戦争法案、絶対反対」などと、安保法案を批判する抗議活動をおこなっていることについて、「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」と批判していた。
武藤議員は8月4日、ツイートを撤回しない考えを示したが、「戦争に行きたくない」というのは、武藤議員が指摘するように「極端な利己的考え」なのか。弁護士ドットコムに登録している弁護士に意見を聞いた。
このニュースに対する弁護士の回答
※2015年08月04日から2015年08月05日での間に集計された回答です。
アンケート結果
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投票1 「戦争に行きたくない」は「極端な利己的考え」である
1票
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投票2 「戦争に行きたくない」は「極端な利己的考え」ではない
19票
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投票3 どちらでもない
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投票2 「戦争に行きたくない」は「極端な利己的考え」ではない
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投票3 どちらでもない
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投票4
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回答一覧
学生グループが言っているのは、「戦争に行きたくない」ということより、「安倍政権の安全保障法案によって日本が戦争に巻き込まれるのは嫌だ」ということだと思います。
利己的考えなどでは全くなく、当然の主張です。
安全保障法案は、日本が攻撃を仕掛けられたわけでもないのに、集団的自衛権の名のもとに、米国の戦争に日本が巻き込まれる危険を増大させるものです。そして、憲法9条に明らかに違反しています。このような法案を無理矢理通そうとするのは、立憲主義の破壊以外の何ものでもありません。
2015年08月04日 17時18分
シールズの主張は、日本国憲法制定時の決意にように、「武力によらず国際問題を解決できる国を目指そう」という主張です。一人一人が大切にされる社会に生きたいという主張です。利己主義的な要素は、微塵もありません。戦争で利益を得ることが出来るのは、ほんの一部の軍需産業関係者だけです。破壊のための消耗品の製作、購入に、税金が投じられるのです。「国益を阻害する勢力を排除するために、武力行使やむなし」という姿勢の安全保障法制の推進派の方が、よっぽど利己的だと思います。
2015年08月04日 17時51分
日本国憲法前文では、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすること」を日本国民の決意として、「恒久の平和を念願」しています。
また、日本国憲法前文では、全世界の国民が「平和のうちに生存する権利」(平和的生存権)を有することを謳っています。
「戦争に行きたくない」=「平和的に生存したい」という声(平和の念願)は、立憲主義が蔑ろにされている今にあって、むしろ日本国憲法の根本的な理念を代弁するものと考えるべきではないでしょうか。
2015年08月04日 17時55分
我が国においては,先の大戦の反省から,二度と,国益の名のもとに国民が戦禍を被ることがないように,武力によって国際平和を実現する道を放棄するとともに,各国民に対し平和のうちに生存する権利を保障しています。
そのような権利の行使を「極端な利己的な考え」と捉えることは,非常に危険な発想であり,全体主義そのものでしょう。
2015年08月04日 17時56分
憲法に則していうと、まず思想良心の自由で、言うだけで他の人権の制約なると思えないので、全くの自由。また、実際に戦争が始まった時、戦争に行かなかったとしても、納税義務のように規定がなく、苦役を禁止する現憲法からは、戦争に行かないことが他の人権を積極的に侵害するとは考え難いので、やはり自由だと思います。
憲法を離れて、思想論的にみても、戦争は人の生死等、生の根幹に密接するものですから、行かない人生観は当然あってよく、行かないと利己主義という方が、自分の価値観の押し付け、利己主義でしょう。
2015年08月04日 17時56分
憲法に違反する法律が制定されることに対し若い世代が反対し抗議活動をするのは日本国民として当然の権利行使である。違憲の法律によって日本が戦争に関与することになり、若い世代として戦争に巻き込まれる恐れを感じるのも当然である。この議員は憲法のなんたるかを全く理解していないもので、このような議員(ローメイカー)が存在することは悲しいことである。
2015年08月04日 18時28分
人間として当然の感情だと思います。
むしろ、「極端に利己的な考え」などとネット上で公言する某議員こそ、先の戦争中の「お国のため、陛下のために身を捧げよ」「死は鴻毛より軽し」などという"集団狂気"にも相通ずるものがあると思われ、そういう発想の国会議員が多数を占める中でかの"戦争法案"が強行突破されようとしていることに空恐ろしさを覚えます。
2015年08月04日 18時29分
なにしろ戦争に行くことを強制される徴兵制は,「意に反する苦役」なのだから,「戦争に行きたくない」ことが,極端な利己的考えと捉えられるべきではない。徴兵制を採用していない国家においてはもちろん,徴兵制を採用する国家においても良心的兵役拒否は,保護されるべきである。戦争に協力を拒否することを国民個人に認めない国家は,言うまでもなく全体主義国家であり,そのような国家を自由主義の観点からは,認めるべきではない。
2015年08月04日 18時33分
兵役の義務がない、徴兵制が否定されている現行憲法下、戦争に行かないことが極端に利己的とまでいわれる理由はありません。
平和を願う努力を戦争に行くことに直結させているのも短絡的、というか、矛盾していないでしょうか?
なお、念のためいっておくと、滅私奉公が強調され、利己主義が簡単に否定される世の中は、不健全だと思います。
2015年08月04日 18時47分
武藤議員は「個人」と「国家」を同一視してしまっています。「戦争に行きたくない」という心情は「個人」の見解であっても決して「利己」的ではありません。また、日本国の戦略として戦争に参加しない国をつくることもこれまた「利己」的ではないはずです。
武藤議員がすべきであったのは「批判」ではなく、「現在審議している法案はあたながたを戦争に行かせなくてすむための法案である」と「安心」を与えることでした。
2015年08月04日 19時33分
武藤議員は、戦争に行きたくないは利己的である→これは戦後教育のせいである→
よって戦後教育はダメである、ということを言いたかったように読めます。
安倍政権が教育基本法を改定したのが2006年です。いまの若者は、昔の教基法に基づく教育はほぼ受けておらず、9年間、安倍政権の改定した教基法による教育を受けてきました。武藤議員は、この改定後の教基法による教育(戦後教育)がダメだ、ということを言いたかったのかもしれません。
武藤議員は、この本心を隠すために、一見して変な文章を付けたのかもしれません。
2015年08月04日 20時34分
ドイツのヘルマンゲーリング元帥は、「もちろん、国民は戦争を望みませんよ。・・・一般国民は戦争を望みません。ソ連でも、イギリスでも、アメリカでも、そしてその点ではドイツも同じことです。・・そして国民はつねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けている非難すればよいのです。このやりかたはどんな国でも有効ですよ」と発言している。まさに、今このような状況ではないのか。
2015年08月04日 21時51分
「戦争に行きたくない」には2つの意味があります。
①侵略戦争に行きたくない
②侵略戦争にも自衛戦争にも行きたくない
武藤議員は、②と解釈して利己的と述べています。
しかし、SEALDsの発言は、①と②のどちらの意味か不明です。
①の意味ならば利己的とはいえず、議員の批判は的外れです。
他方、②の意味ならば「侵略されても私は逃げるだけで戦わない。それは自衛隊かアメリカの役割だ」というものですから、「利己的」であるとの評価をすることは否定されません。
2015年08月04日 23時31分
設問の立て方がおかしい気がします。ただし、この学生グループに限定しての回答ということで。
安保法案は自衛隊に志願しない一般人が戦争に行く内容の法案では全くないです。
そんな内容だとミスリーディングして、「戦争に行きたくない」と思う一般人の不安を煽っているだけにしか見えません。
このグループは、特定政党との密接な関係がささやかれています。政敵である安部政権打倒、与党打倒のために、安保法案の内容を曲解して、誰もが持つ不安を煽っており、極めて自己中心的でしょう。
2015年08月05日 11時31分
編集後記
アンケートで回答した21人の弁護士のうち、19人が<利己的考えではない>を選択した。一方で、<利己的考えである>、<どちらでもない>を選んだのは、それぞれ1人にとどまった。
<利己的考えではない>の理由として、さまざまな意見が寄せられた。「行かないと利己主義という方が、自分の価値観の押し付け、利己主義」「むしろ日本国憲法の根本的な理念を代弁するもの」という意見が見られた一方で、<利己的な考えである>という回答には、「安保法案の内容を曲解して、誰もが持つ不安を煽っており、極めて自己中心的」という意見が見られた。
武藤議員はツイートを撤回しない考えを示し、事態はいまだ収束する気配をみせていない。ツイートの真意はどこにあったのか、武藤議員の動向を引き続き注視していく必要がありそうだ。
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