松沢憲司、中山由美 上沢博之 川口敦子
2015年8月6日09時09分
地方議員の「第2の報酬」とも呼ばれる政務活動費(政活費)。47都道府県で最高額が支給されている東京都議会で、ルール違反と取られかねない支出が相次いでいた。一方で、「有権者の目」を意識して支出を抑えようとする動きもあった。
飲食を伴う会合への出費に批判がある「会費」。金額ベースでみると、新年会シーズンの1~2月に年度の約4分の3が集中。この間、70人(自民49人、公明19人、無所属2人)が2680件の会合に出席し、1960万円を政活費から支払っていた。1日7件を「はしご」した自民都議を筆頭に、6件も11人に上った。
最多の97件に出席した別の自民都議は「実際に出席した会合の数は、請求した分の3倍か4倍。あいさつだけで済ました場合を含めるともっと増える」。1~2月は車ではなく原付きバイクで会場を移動する。「駐車する時間がもったいない。何か話したいという人は多く、その気持ちに応えたい」と言う。
一方で、参加者側からは「意見交換」になっていないとの声も上がる。多摩地域の新年会に参加した男性(63)は、商店街の振興策についての話を聞きたかったが、出席した都議数人はいずれも20分ほどで退席した。「せっかくなら意見交換くらいはしてほしい」
会費名目の支出は自公の2会派で年度全体の95%を占めたが、新年会、賀詞交歓会については自民6人、公明4人が政活費の請求を見送った。会合への政活費の支出そのものについて、会合が政務活動なのか、選挙活動なのか区別がつきにくいとの指摘もある。全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「名刺交換や顔見せは選挙目的に当たり、公費を充てることに有権者は納得しない」と指摘する。(松沢憲司、中山由美)
■「利益還流の抜け道」
自民都議10人は自身や家族らが所有する物件を都議会自民党に賃借してもらい、家賃・使用料に政活費を充てていた。月2万5千~20万円。総額は約927万円に上った。
都議会の自主ルールでは、政活費で資産形成しているとの誤解を招かないように、自己所有の物件に政活費を充てることを認めていない。
ただ、政活費の使途をチェックする都議会事務局は「自己所有の物件であっても、会派が借り上げて家賃を支払うことを禁じた規定はない」として、支出を容認している。しかも、情報公開では領収書にある都議の名前を「個人情報」として黒塗りにした。
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