2015年8月5日に行われた東アジアカップの日韓戦は、20世紀の日韓戦のようだった。正確にはハンス・オフトが代表監督に就任する以前の、1991年までのゲームを見ているようだった。
韓国が攻め、日本がしのぐ。
韓国が攻め、日本がしのぐ。
なおも韓国は攻め、日本は耐える。
1991年以前の日韓戦と違ったのは、土壇場で失点を喫しなかったことだろう。1-1の引き分けで、日本は終了のホイッスルを聞いた。
試合後のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「韓国は我々よりも連携が取れていて、ある程度準備が進んでいたチームだ」と話した。
ハリルホジッチ監督と同じ'82年のスペインW杯に出場したウリ・シュティーリケが、昨年10月から韓国を率いている。「日本より準備が進んでいる」のは確かだが、この日のスタメンはテストの色彩が濃い。
大会開幕時点で国際Aマッチ出場が2ケタに満たない選手が、実に7人も起用されている。そのうち5人はAマッチ出場が5試合にも届かない。「連携が取れている」というのは、少しばかり説得力に欠ける。
北朝鮮戦で欠けていたメリハリを意識した試合運び。
196センチのキム・シンウクを最前線に置く韓国の攻撃への対処法は、北朝鮮戦の復習だった。長身のターゲットマンに起点を作らせず、最終ラインがズルズルと後退しない。ロングボールやクロスを跳ね返すだけでなく、セカンドボールを支配する。ディフェンスのテーマは、逆転負けを喫した3日前の後半と同じである。
相手の攻撃を受け止める時間が長かったのは、北朝鮮戦の反省を生かしたものだ。ロングボールの出どころへプレッシャーをかけられなかった終盤の展開は、前半のオーバーペースに原因があった。攻撃の局面でタテへの推進力と人数を失っていったのも、肉体的な消耗に理由を求められる。
北朝鮮戦に欠けていたメリハリを、この日の日本は意識していた。割り切って跳ね返す場面と奪ったボールを動かす場面とを使い分け、スタミナのロスを避けたのである。
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