【社説】持ち株0.05%、ロッテが見せた「皇帝経営」の危険性

 ロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)会長=日本名・重光昭夫=は3日、グループの後継者をめぐる「兄弟の乱」について、「事態が速やかに解決され、辛格浩(シン・ギョクホ)総括会長=同・重光武雄=の創業精神に従い、系列会社を早期に正常化させることが自分の役割だ」と述べた上で、「国家の経済発展に貢献できるように渾身(こんしん)の努力をしたい」と強調した。辛東彬会長は同日、韓国に帰国後、辛格浩総括会長に会ったが、詳細は伝えられていない。

 正常な会社であれば、グループの経営責任を誰が担うかは理事会(取締役会)と株主総会で決めなければならない。しかし、ロッテグループでは今、創業者の「鶴の一声」で後継者争いの行方が変わり、グループ全体の運命が揺らぐ状況だ。公正取引委員会によると、辛格浩総括会長の持ち株は韓国国内81社を全て合わせても全体の0.05%でしかない。しかし、系列会社間の循環出資方式でグループを掌握し、「皇帝経営」を行ってきた。ロッテグループ系列企業による循環出資は416件に達する。サムスン、現代自動車を含む11大財閥の循環出資459件の91%がロッテの作品だ。それだけ系列企業間の出資構造が複雑に入り組んでいる。

 

 問題は経営を牛耳ってきた辛格浩総括会長の言動や行動がころころ変わっている点だ。創業者・辛格浩氏は当初、日本のロッテの経営は長男の辛東主(シン・ドンジュ)元ロッテホールディングス副会長=同・重光宏之=に、韓国のロッテは次男の辛東彬氏に任せると言っていた。しかし、辛東主元副会長は2日、辛格浩総括会長が「自分は辛東彬を韓国ロッテ会長、韓国ロッテホールディングスの代表として任命したことはない」と述べる肉声を公開した。創業者の意向が変わった理由が高齢による病気にせいなのか、判断力不足なのか、気まぐれな性格のせいなのかは分からない。ただ、財閥の総帥が後継者をみだりに変えれば、経営権争いが起きないはずがない。グループ経営が揺らぎ、従業員23万人の運命まで揺らぎかねないことは、今のロッテがまざまざと見せつけている。

 ただでさえ、ロッテグループの不透明な支配構造は世論の批判にさらされている。韓国ロッテは年商83兆ウォン(約8兆8,000億円)で財界5位だが、売り上げが5000億円しかない日本のロッテによる支配を受けている。それでも韓国ロッテを支配している日本のロッテやその大株主の光潤社の経営実態は知るすべがない。売り上げの95%を韓国で上げているにもかかわらず、韓国の国民も政府もロッテで何が起きているのか知ることができないというのでは誰も納得しない。

 外資系企業でも売り上げや収益の大半を韓国で上げる会社に関しては、支配構造や経営実態を国民に対し明らかにさせるための方策が求められる。財閥の総帥が判断力を失った場合に備え、理事会や株主総会が強大な権力をけん制できる仕組みも強化すべきだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース