中谷防衛相:後方支援「核兵器輸送、排除せず」

毎日新聞 2015年08月05日 21時42分(最終更新 08月06日 00時59分)

 中谷元(げん)防衛相は5日の参院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案で拡大する他国軍への後方支援に関し、自衛隊が核ミサイルなど核兵器を輸送する可能性について「法文上は排除していない」と述べた。中谷氏は非核三原則や核拡散防止条約(NPT)を締結していることを挙げ、「全く想定していないし、あり得ない」とも述べたが、野党は法律上の明確な歯止めが必要として条文の修正を求めた。

 民主党の白真勲、藤末健三両氏への答弁。白氏は6日に70回目の「広島原爆の日」を迎えることを踏まえ、広島選出の岸田文雄外相に「法案の白紙撤回」を要求。岸田氏は「非核三原則をはじめ、今日までの政策、姿勢を考えた場合に核などを運搬することはあり得ない」と否定したが、白氏は「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則は「国内の話で、外国(での輸送支援)では関係ない」と懸念を示した。

 中谷氏はさらに、毒ガスなど生物化学兵器の輸送についても「法文上は除外していないが、あり得ないし、(依頼があっても)拒否する」と答弁。法律上は可能との見方を示した。

 藤末氏は、関連法案で他国軍に対する弾薬の「提供」が可能となることを挙げ、核兵器の提供も可能かと追及。中谷氏は「核兵器は弾薬に分類される」と述べたものの、「保有していないので提供はできない」と理解を求めた。

 また、核兵器を搭載している空母や潜水艦の防護が可能になるのかどうかについては、「米国は太平洋地域に核兵器を前方展開しないとの核政策を発表している。防護の依頼も想定されない」と説明した。

 一方、中谷氏は日本が集団的自衛権を行使した場合に、相手国に後方支援をしている他国への武力行使について「日本に武力攻撃をしていないので攻撃できない」と述べ、後方支援している国への武力行使は否定した。【飼手勇介】

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