こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
私は映画が好きでおよそ週1ペースで映画館に通っているのですが、やはり気になるのはネットに溢れるレビューの数々です。公開される全ての映画を観るなんて到底不可能なので、個人的なアンテナに引っかかったもの、人に薦められたもの、そしてレビューを観て鑑賞意欲をそそられたものを中心に観ています。私もそうですが、Twitterやブログ、各種投稿サイトでレビューを書かれている方は沢山いらっしゃるので、毎度大変助かっています。なるべく地雷を踏みたくないのが正直なところなので…。(分かっている地雷をあえて踏みに行くのはまた別の楽しみ方ですが)
そんなレビューの1つとして、映画情報サイト「シネマトゥデイ」が頻繁に掲載している「映画短評」というコーナーがあります。ここでは多数のプロ映画評論ライターが各々観た映画を5点満点で採点し、その感想を端的にまとめています。公開直前のタイミングで掲載される事が多く、封切前に感触を掴みたい時などによく重宝していますが、例えば同じ作品を絶賛している人もいれば、思いっきりコケにしている人もいたり…。誰を参考にすれば良いのか迷う時もあります。
じゃあいっそ、その映画短評ライター達の“信頼度”を実際に調べてみよう!と思い立ち、真面目に検証してみました。
▲「シネマトゥデイ」映画短評コーナー紹介ページより
■検証にあたって
まず、色々な条件を決めなければいけません。“信頼度”といっても、それを数値にするのは難しい。という事で、映画レビュー投稿サイト「filmarks」のスコア(5点満点)を使用する事にしました。なぜfilmarksかというと、他のレビューサイトに比べ業者の介入実績が無く、また、いわゆる“映画好き”が利用している割合が高いという認識からです。(例えばジャニーズ主演の映画に「〇〇くんかっこいい♪ 5点!!」というレビューを載せるユーザーが少ない)
そして、抜粋する作品は以下の条件を満たすものにしました。
・調査日2015年3月17日現在で公開から1か月以上が経過している(すでに多くの人が鑑賞している)
・filmarksで100以上のユーザーが点数を付けている
この2つの条件に合う作品を、各ライターが書いた短評で直近のものからさかのぼって10作品ずつ選定。その10作品の短評に付けられた5点満点のスコアとfilmarksの5点満点のスコアを比較し、差点を計算。そして、10作品の差点の合計値を算出。つまり、その合計値が低いほど、ライターの付けた点数が100以上の一般人による平均値と近い、という事になります。この検証において、その差点合計値が低ければ低いほど“信頼度が高い”と解釈する事にしました。
<注意点>
この検証はあくまで“お遊び”です。映画の好き嫌いは人それぞれですので、あまり本気にしないでください。
■9人のライターをエントリー
「映画短評」のコーナーが総勢何人のライターで成立しているのか分からないのですが、最新のものから数百件さかのぼってみて、頻繁に短評を投稿している以下の9人を選抜しました。(敬称略)
映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ〜廃墟のなかの子供たち〜』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「朝日新聞」「キネマ旬報」「テレビブロス」「週刊文春」「週刊プレイボーイ」「メンズノンノ」「クイック・ジャパン」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。
アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。
編集者・映画評論家|1962年東京・新宿生まれ|獅子座・O型|日大藝術学部映画学科、CM制作会社等を経て、企画・制作・編集・執筆・批評・出演等に従事。「PREMIERE」「STARLOG」等を経て「シネマトゥデイ」「映画.com」「FLIX」「文化通信.com」ほか雑誌・ウェブ等で執筆。「BSフジ 映画大王」「J-WAVE 八木亜希子 東京コンシェルジュ」等を経て、「TBS 世界ふしぎ発見!」「NHK Eテレ 知恵泉」「BSフジ 原宿ブックカフェ」等に出演。海外TVドラマ「GALACTICA/ギャラクティカ」の日本上陸を働きかけクリエイティブ・ディレクターを担当。
映画評論家。1963年京都生まれ。デザイン集団「groovisions」の、唯一デザインしないメンバー。現在、大阪・天六のブックカフェ「ワイルドバンチ」で月イチ・トークライヴ「ミルクマン斉藤の日曜日には鼠を殺せ」を主宰。雑誌「テレビブロス」「ミーツ・リージョナル」「SAVVY」等で映画コラムを連載中。
1971年、東京都出身。大学在学中、クイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作、「映画秘宝(洋泉社)」編集部員を経て、フリーとなる。現在は映画評論家として、映画誌・情報誌・ウェブ、劇場プログラムなどに寄稿。また、香港の地元紙「香港ポスト」では10年以上に渡り、カルチャー・コラムを連載するほか、映画やCDでAKB48のオフィシャルを担当するなど、ライターとしても多岐に渡って活動中。
茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。週刊女性、GISELe、共同通信47ニュース、日本映画navi、歴史人などで執筆中。デイリースポーツWeb版「映画と旅して365日」、連載はじめました。
映画および海外ドラマのライターとして、TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で10年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)などの著作も多い。また、数多くの来日スターにインタビューしており、ハリウッドのスタジオや撮影現場へも毎年コンスタントに足を運んで取材をしている。特に海外ドラマの現地取材は本人も数え切れないほど(笑)。旧ソ連のモスクワ育ち。
映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「映画.com」、「フランケンウィーニー」ノベライズなど。「『スター・ウォーズ』まとめ」でエピソード7情報を追いかけ、「ハリウッド・ニュース補完計画」で映画ニュースをウォッチング中
※各人の写真、略歴はシネマトゥデイより
■結果発表
実際にエクセルに入力するというそこそこ手間のかかる作業を経て、順位が決定しました。なんと10作の合計差点数が等しくなるライターが数人いて同率でのランクインが多くなりましたが、下位から順に発表していきたいと思います。
【第8位(2人)】 清水節、平沢薫 8.2点
いきなりの同率順位となりましたが、まずは合計差点が8.2点の清水節。「バンクーバーの朝日」の1.7点が大ダメージ。この方はかなりお気に入りの作品だったようですが、一般人受けはあまりしなかった、と。「ホビット 決戦のゆくえ」がピッタリ賞ですが、差点1点越えが5作品もあるからか、最下位となりました。
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続いて、同じく8.2点の平沢薫。1点越えは4作品。この方は「エクソダス:神と神」「シン・シテイ 復讐の女神」が痛恨。3点を付けた作品も大きく点を伸ばしてしまいました。
【第7位】 中山治美 8.0点
1点越えは4作品。その全てを1.5点以内に収めているのが8位の2人との命運を分けました。「ジョーカー・ゲーム」への辛口評価と「メビウス」への絶賛評価が下位ランクの決定打。
【第4位(3人)】 なかざわひでゆき、相馬学、くれい響 6.2点
まさかの同率4位に3人も!この一致は何を意味するのでしょうか…。なかざわひでゆきは1点越えが2作品。この辺りの順位から的中率が上がっています。「ワイルドカード」への高評価が4位の要因となりました。
相馬学は「ジャッジ 裁かれる判事」「ベイマックス」のピッタリ賞が見事。差点0を2作品も出しておきながら4位なのは「ジミー、野を駆ける伝説」への高評価が要因。
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くれい響は1点越えが2作品。「チャーリー・モルデカイ」を低く付けすぎた事と、「はじまりのうた」「KANO 〜1931海の向こうの甲子園〜」への満点がズレを出しています。
【第3位】 山縣みどり 6.1点
1点越えが2作品あるも、7作品をも0.5点以内に抑えての堂々の第3位。「エクソダス:神と神」「ビッグ・アイズ」への低評価がもう少しだけマイルドであれば、もっと上位を狙えたでしょう。
【第2位】 森直人 5.7点
1点越えが3作品もありますが、ピッタリ賞が1作品、そして0.1点の「はじまりのうた」「ワイルドカード」と0.2点の「ドラフト・デイ」がすごい!「おんなのこきらい」がご本人の評価よりパッとしなかったため、涙の第2位となりました。
【第1位】 ミルクマン斉藤 4.9点
まさかの合計差点4.9点!たった1人だけ断トツに飛び抜けての堂々の第1位です。1点越えが1作品のみという素晴らしい成績ながら、「ワイルド・カード」「深夜食堂」といったピッタリ賞目前のものもいくつか。差点の平均値がとにかく低く、つまるところfilmarksユーザーの好みに最も近いのがミルクマン斉藤という結果になりました。
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■検証を終えて
終わってみればミルクマン斉藤の独走っぷりが凄まじい結果になりましたが、これは前提条件によるところが大きいです。filmarksはそのシステム上(当たり前ですが)5点満点はまず出ません。なので、映画短評で満点を多く付けるライターはこの条件だとそれだけで不利になってしまいます。最下位の清水節は5点が6作品もありました。また反対に、2点台もかなり出にくいため、辛口評価が多いライターも下位に集まりました。1位のミルクマン斉藤は2点以下が0作品で5点がわずか1作品。言い換えれば、あまり白黒ハッキリ付けないライターが有利だったとも言えます。
また、今回は「条件を満たした作品のうち直近10件の短評」というセレクトでしたが、作品にバラつきが出ました。主に2014年12月〜2015年1月公開のものになりましたが、短評の投稿頻度がまちまちであり、なおかつ全員が同じ作品を評価する訳でもありません。公開規模が大きい大作に関してはfilmarksでレビューしている人も多く、中々公平にはなりませんでした。
数あるレビューサイトからfilmarksを選んで点については、あまり問題なかったかな、と思っています。というのも、以前『2014年6月下旬“今一番面白い映画”はコレだ!12作品×4サイトの平均得点ランキング!』という記事を書いた時に集計したのですが、あまりレビューサイトによる極端な差は見られなかったからです。
▲昨年6月に行った4サイト比較結果
本当は全く同じ10作品で9人を比べた方が良いでしょうし、もっと言えば整数のみの映画短評と小数点もアリのfilmarksという違いも前提として好ましくないかもしれません。まあ、前述の通りあくまで“お遊び”という事で大目に見ていただいて、いつか気が向いたらもっと突っ込んで時間をかけて検証してみたいと思います。
とは言いつつも、断トツの1位だったミルクマン斉藤の映画短評は、今後かなり意識して読む事になるでしょう…!
【シネマトゥデイの映画短評はこちら】
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本文の通り、短評の中身そのものは検証に含めていませんので…。