学習指導要領:「歴史総合」高校必修科目に 「公共」も
毎日新聞 2015年08月05日 20時40分(最終更新 08月05日 23時55分)
文部科学省は5日、次期学習指導要領の骨格案を中央教育審議会の部会で示した。高校で新たに、日本史と世界史を融合した新科目「歴史総合」(仮称)を必修にする。1994年度以降続いてきた世界史必修はなくなる。主権者教育の核として自民党が提言していた「公共」(同)も新必修科目として導入する。小学5、6年生では英語を教科に格上げし授業を現行の週1コマから倍増する。
骨格案を基に今後、各教科の専門部会などで具体的な学習内容を議論し、2016年度中の答申を目指す。新学習指導要領に基づく授業開始は高校が22年度、中学が21年度、小学校が20年度の見通し。
骨格案は高校の歴史教育の課題として、近現代史分野で定着度が低い▽現代世界での日本の歴史認識が培われていない▽暗記中心になっている−−などを指摘した。新科目「歴史総合」は近現代史を中心に日本と世界の動きを関連づけて学び、討論や資料分析を重視する。「地理歴史」では、新科目「地理総合」(同)も必修とし、地図上で災害情報などを確認できるGIS(地理情報システム)の活用や地図作製など「実践型」授業に重点を置く。
「公民」の新科目「公共」は、選挙権の18歳以上への引き下げに伴い、主体的に社会参加する力を育成するのが狙い。学習内容は、社会保障(年金、健康保険など)▽財政と納税▽消費者教育▽選挙▽家族▽自由・権利−−などと幅広く、家庭科など他教科との連携も求める。
これらの新科目と現科目で重複する内容もあるため現科目は再編する。選択科目として、数学と理科を融合し先端科学など専門性の高い分野を学ぶ「数理探究」(仮称)を新設する。
小学校では11年度から5、6年生で必修になった教科外活動の「外国語活動」を教科化し、授業時数を現行の週1コマから2コマに増やす。増やした1コマ分は1限目が始まる前や放課後に10〜15分間の短時間学習(モジュール学習)を数日繰り返して確保することを検討する。【三木陽介】
【ことば】学習指導要領
小中学校・高校の学習内容の基準が学年・教科別に書かれたもので、ほぼ10年ごとに改定される。文部科学相が中央教育審議会に諮問し、議論して内容を決める。前回の改定は2008〜09年(実施は小学校11年度、中学校12年度、高校13年度)。次期学習指導要領は、討論を中心とする「課題解決型学習」など授業法の充実、評価方法の改善にも重点を置いている。