8月15日は終戦記念日ですね。 私は、毎年この時期に、天王寺動物園に行きます。 「えっ、何で動物園?」って思われる方も多いかも知れませんネ。 実は、あんまり、大きく報道されたりすることが無いんですが、天王寺動物園では、毎年、 8月15日の終戦記念日をむかえるにあたって、「戦時中の動物園展」という企画展が行われて いるんです。 今年は、8月6日(火)から18 日(日)の13日間の開催です。 戦争の犠牲になったのは人間だけではありません。 この企画展では、第二次世界大戦時に天王寺動物園でやむを得なく処分した動物たちの剥製、 当時の動物園や大阪空襲の写真パネル、戦時・生活用品等が展示されています。 会場は、動物園の事務所がある建物にあるレクチャールーム。 この企画展のポスターになっているチンパンジーは「リタ」さんです。 大阪のみならず、日本一の動物名優と言われたのがこのリタさんで、自転車乗りや、テーブル マナーなど、ステージで行われる演技は、当時、大変な人気を呼んだそうです。 しかし、戦時下では、人気者は戦意高揚のために利用されました。 リタさんは防毒マスクを付けての防空演習にかり出されたり、軍服を着せられたこともあります。 軍部は、人気者のリタさんを群衆の気持ちを士気高揚する道具として使ったんですネ。 その後リタさんは、日本で初めて赤ちゃんを身ごもりました。 でも、戦時下の食料不足による栄養失調で、死産でした。 …そして、リタさん自身もそれが原因で命を落としてしまったんです。 …こちらは、現在も保存されているリタさんの剥製です。 死産した赤ちゃんを抱いている姿に、なんか…胸が締め付けられる思いですネ。 戦時中は食糧難で、 当然…動物もそれは同じ… 天王寺動物園ではゾウやキリンも栄養失調で命を落としたそうです。 …この「戦時中の動物園展」では、悲しい展示がまだまだあります。 敗戦の色濃くなる昭和18年、空襲をうけて猛獣のオリがこわされ、飢えた猛獣がつぎつぎと 空襲で逃げまどう人びとの中へ飛び込んで来たらどんなに恐ろしい事になるだろうか、 ということで、「戦時猛獣処分」として、都道府県、市町村の行政機関の命令により全国の 動物園で猛獣を殺すことになりました。 天王寺動物園でも、応召で少なくなった飼育係が世話したその手で、今日は1頭あすは1頭、 また4、5日おいて1頭というように、10種26頭もの猛獣たちが毒入りの餌を与えられて薬殺 されていったんです。 それぞれの飼育担当者が「エサ」である牛肉などを手に近づくと、なんの疑いもないお腹を 空かした動物達は全身で喜びを現わして「早くくれ」というように「毒の入ったエサ」を ねだったそうです。 担当者は「家族同然」に動物たちと接してきただけに、「こんなひどい裏切りがあるだろうか」 と「たまらない気持ち」になったそうです。 …企画展では、こうして「処分」された動物達の剥製も展示されています。 トラ(薬殺)です。 ブチハイエナ(薬殺)です。 ブチハイエナの剥製の詰め物の中から、戦果を報じる新聞が発見されたそうです。 ホッキョクグマ(薬殺)です。 雄ライオン(薬殺)です。 雌ライオン(薬殺)です。 「毒エサ」を食べた後、前足から崩れ落ちるように倒れ息を引き取ったそうです。 ピューマ(薬殺)です。 …そして、ヒョウ。 このヒョウだけは薬殺ではなかったそうです。 昭和51年8月の「少年少女新聞」にヒョウの飼育係だった原さんがその事を振り返っている 記事が掲載され、生々しい様子が再現されていました。 その内容は「毒入りの肉を食べさせたのですが、吐き出してしまいました。 仕方なく絞め殺すことにしたのです。ロープを持ってオリに入りました。 いつものように体をなでてやると喜んでいました。私は心を鬼にしてロープを首にかけたの です。 …オリの外でロープを持っている人に合図すると私はオリから出ました。むごいことをしました。 私は見たくなかったのです。4、5分後にオリに戻ると苦しかったのでしょう。爪を全部、 立てていました。」…とのことです。 この写真は、絞殺前日に撮られた原さんとヒョウの写真です。 …どの剥製の表情も、「悲しみ」に満ちた表情の様に見えますよネ。 この「毒殺された動物たちのはく製は戦後68年経過した現在でも、戦争の愚かさと命の尊さを 私たちに訴え続けています。 天王寺動物園内には、チンパンジーのリタさんと、その夫ロイドさんの像や、動物慰霊碑もあります。 天王寺動物園に行く機会があれば、是非、探してみて下さい。 …戦争を起こした人間が自分たちの都合で動物を殺してしまう。 それだけではありません。戦争は人間に対しても同様のことが行われたということを記憶に 刻んでおきたいと思います。 ※ 以前から、ブログをご覧頂いている方は、以前、この内容の記事を見たことがある。 と思われる方もいらっしゃると思います。 そう、この記事と、京橋駅の空襲の記事は、毎年、この時期交互に書かせて頂いています。 毎年、同じ内容ですが、私がブログを続ける限り、毎年伝えていこうと思っています。
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私の父親は大正生まれ。
勿論戦争行きました。
現地で人を殺す事無く終戦!!
父親が殺人者じゃ無くて良かった!((T_T))
そんな父親は、戦争特集などの番組が一日中垂れ流し状態のこの時期が一番嫌いです。
いつも思い出したくも無い!!って言います。
戦争体験者は、死ぬまで嫌な体験が消えないんです。
2013/8/15(木) 午後 6:44
<<コメントに返信する
胸が締め付けられるような思いで、たまらないですね。
戦争の被害は、ここまであるのですね。
ポチ☆
2013/8/15(木) 午後 9:27
<<コメントに返信する
こんばんは
切ないお話ですね。
罪のない人が犠牲になる戦争はやっぱりよくないですね。
ナイスです。
2013/8/15(木) 午後 10:53 [ 燦々亭社長 ] <<コメントに返信する
何の罪もない動物たちが、人間の始めたおろかで身勝手な戦争の犠牲に・・・
涙が出て止まりません。
愛情を注いで育てていた飼育員さんの気持ちと何も知らずに毒入りの餌を前に喜ぶ純粋で無垢な動物たち。
なんて言っていいかわかりません。
むかし読んだ「かわいそうなぞう」の話でお腹をすかせたぞうが餌をねだるためにやせ細った体で教えられた芸をするというシーンがあって、衝撃的なその話を何度も何度も読み返したことを思い出しました。
今でも世界では争いが絶えません。
こんな愚かで悲しいことを繰り返してはいけませんね。
2013/8/16(金) 午前 0:52
<<コメントに返信する
しーちゃん
おはようございます。
私の祖母は、花火大会が大嫌いでした。
花火の音が空襲の爆音を思い出させ、
夜、明るくなる様子が、焼夷弾を
思い出させるからだと
言ってました。
戦争は、人の心の
深い傷になるんですよネ
2013/8/16(金) 午前 8:28 [ クニさん ] <<コメントに返信する
まいめろにゃんさん
おはようございます。
ナイス!有り難うございます<m(__)m>
戦争は何も兵隊だけがするものではなく
大人から子ども、動物、物・・・
あらゆるものに深い傷跡を
残すものなんですネ
2013/8/16(金) 午前 8:31 [ クニさん ] <<コメントに返信する
燦々亭社長さん
おはようございます。
そうですね、そういった
理不尽が戦争なんですよネ
日本は何故戦争を始めたのか
その結果、そのような数え切れない
悲劇があったのか
そして、そのような悲劇を
繰り返さないために
どうすべきか・・・
という意識を持たなければ
いけませんネ
2013/8/16(金) 午前 8:45 [ クニさん ] <<コメントに返信する
ろこたんさん
おはようございます。
家族で楽しむための
動物園でもこのような
悲劇があったんですよネ
世界を見ると、今も戦争の渦中にある国が少なからず
あります。
国と国が争うことも悲しいけれど、同じ国民同士が
対立してしまうのも本当に悲しいですよネ。
それなのに軍国主義に陥った政府とそれに巻き込まれる
市民との対立は、これまで何度も繰り返されていいます。
2013/8/16(金) 午前 8:49 [ クニさん ] <<コメントに返信する
8月15日が何の日か知らない若者が、増えてるそうです
学校で、取り上げなくなったのでしょうか
教師も、若くなってるからでしょうかね
2013/8/17(土) 午前 6:26 [ 翠紅 ] <<コメントに返信する
翠紅さん
おはようございます。
8月15日は戦争の犠牲者を悼み、
二度と戦争はしないとの誓いを新たに
する日ですよネ。
戦後70年近く経過し、
「戦争を知らない子供たち」と、さらにその子や
孫が社会の大半を占めています。
残念ながら、世代交代とともに、戦争体験の風化は
進んでいます。
だからこそ、こういう悲しい事実は
伝えていくべきだと思っています。
2013/8/17(土) 午前 6:47 [ クニさん ] <<コメントに返信する
人づてに動物達が処分されたのを子供のころ聞いたことがあります。でも実際に写真でも見たり聞いたりするとキツイですね。当時の痩せた厳しい姿で薬殺され剥製にされ、まだ魂がそこにある様で怨み骨髄の姿は本当に哀れです。動物にも心があると思う。無念だったと思う。この事だけでも戦争は絶対にしてはいけませんね。
この時期になるとドラマや当時のニュース映画などで悲惨な場面や話をいっぱい見聞きしました。戦後生まれの私ですが、日本の国のことを思って戦死された方々や空襲などで亡くなられた方々などの成仏を祈らずにはいられないと思いました。又、恥ずかしくない人生を送らなければいけないと思っています。
人類がこんな悲惨な戦争を体験していても戦争が絶えないのは悲しいことです。平和を願わない人は、ほとんどいないと思います。でも集団になれば逆のことが起きますよね。小さな争いごとや殺人事件は日常茶飯だし、その大きいのが戦争だとすれば、人間には所詮、平和など無理なことなのですかね?
2013/8/17(土) 午前 8:41 [ ノリカズ ] <<コメントに返信する
クニさん
こんにちは。
改めて、戦争の勉強をさせて
頂きました。
ありがとうございました。
ナイス
81818181
2013/8/17(土) 午前 11:40 [ 81818181 ] <<コメントに返信する
ノリカズさん
こんにちは
戦争の犠牲となった動物たちの
姿をみると、胸が締め付けられるような
思いがしました。
確かに、これまで、悲惨な経験をしているにも
関わらず、今でも戦争や、内戦、テロ…が
絶えません。
相手を敵に、搾取・排斥の対象にすれば、
衝突はその内やって来るものです。
自分だけ得しようとか、相手を手段として
使ってしまおうとかすれば
それが相手に知られた時点で反発は
明らかです。
逆に相互理解がきちんとできていれば、
平和は維持できるものと私は信じたいです。
2013/8/17(土) 午後 4:37 [ クニさん ] <<コメントに返信する
81818181さん
これは、身近な場所で
起きた戦争の悲劇の
一例にすぎません。
これを読んでいただいたことを機に
少しでも、戦争や平和について
考えてみる機会にして頂ければ
幸いです。
2013/8/17(土) 午後 4:40 [ クニさん ] <<コメントに返信する
言われてるように、この天王寺動物園のお話も京橋のお話も見せてもらいましたねえ。
ただ、1年交替だとは気付いていませんでしたが。
そうなると、あっという間にクニさんとも何年ものお付き合いになってるんですね(^o^)
私たちは「戦争を知らない子供たち」ではありますが、少なくとも実際に体験をした人たちから聞きかじった話を、後の世代に語り伝えていかないといけませんよね。
ガンバッテください!(^^)!
2013/8/17(土) 午後 4:57 [ なにわだ〜い ] <<コメントに返信する
なにわだ〜いさん
こんばんは
いつも拙文を読んでいただき
有り難うございます。
私は、反戦運動家ではないので、
こういう事実があるから
戦争をしてはいけない
って強く主張するということではなく、
こういった事実を書かせて頂くことで
読んで下さる方が戦争や平和について
考えるきっかけになればいいなって
思っています。
戦争を体験した私たちの親の世代と
私たちの平和や戦争についての思いは
違うでしょうし
また、戦争を知らない私たちの
子供の世代とも思いは大分違うと思います。
もちろん、人それぞれの考え方も違います。
ただ、戦争体験なんかを語り伝え、
それぞれの価値観で考えて頂ければいいなって
思います。
色んな意見があっても良いと思います。
戦争って、人々の考えや価値観が
一定の方向に誘導されるところから
始まって行くものだからです
2013/8/18(日) 午前 0:21 [ クニさん ] <<コメントに返信する
クニさん




こんにちは〜
度々お名前拝見して居りますが、以前ハナヤさんのところで少しやりとりしましたヒグマです(笑)見識の高い方だと常々思って居ります〜
私小さな時に、動物園の動物さん達が皆殺されたんだよって母より聞いて、何故なんだと絶句した事が有りました〜その後、あ、この事なんだなと資料見て思いましたが、本当に悲しかったです〜
自分で手塩に掛けた、慣れている動物さん達を殺す・・・どちらにしてもその心境は図り知れませんね〜
今は戦争の話とか写真を見ると目を背ける人も多々居られますが、その様な姿勢こそが、この様な悲しい結末を生むと思うのです〜誰にしても、何毎も無くて楽しい日々が一番だと思います〜しかし、悲しいかな人間の性は、その様な環境であると、それを打ち破る輩が生まれます〜その結果、紛争が起きますね〜そして大きな戦争になって、終いには弱い立場の人やこの様な動物さん達が無残な死に方をします〜
2013/8/18(日) 午後 0:28
<<コメントに返信する
ですので、戦争という物は、絶対に起こしてはならないのです〜訳が分かっても分からなくても、起きれば必ずや罪無き人々まで悲しみに暮れ亡くなっていきますね〜
私のブログにはだしのゲン騒動と記事投稿しました〜それはご存知の通り、こんな残酷な物を小中学校の子供達に見せる訳には行かないとの事、何言っているのかと思いました・・・戦争ってそんな綺麗な事なのか?綺麗事だけ教えているよりかも、戦争によりこの様な悲惨な事が生じる、ですので相手のことを思うべきだろうと書きました〜
なんかずれている教育関係者の方も居られて本当に問題だと思います〜皆が政治の世界は訳分からないと遠ざかっている内に、政治家さん達の横暴な政治もありましたが、辛いから、悲しいから、訳が分からないからと遠ざかっていれば、知らない間に大変な事態に成ると言うことを考えるべきだと思います〜
2013/8/18(日) 午後 0:30
<<コメントに返信する
長くなりましたが、この様な催しが有ったのは存じてませんでしたが、思わず、投稿してしまいした(爆)色々な立場の違いは有りますが、起こしては行けないのは争い事、戦争だと思いました〜

同じ過ちを二度と繰り返しては行けないですね〜
長々と長いコメント失礼致しました〜
ナイスポチリンです〜☆
2013/8/18(日) 午後 0:31
<<コメントに返信する
ヒグマさん
こんにちは
訪問&コメント
ありがとうございます。
また、ナイスも有り難うございます。
拙文を読んでいただき
有り難うございます。
戦争をどう伝えていくか
これは戦後にこの国に生まれた、つまり戦争経験のない
私たちにはとても重要な問題ですよネ。
今でも第二次世界大戦を描いた映画やドラマは
新たに作られます。
私たちにとってその存在がやはり今でも大きいことを
物語っています。
勿論、内容によっては個人個人の考え方も
多様で、論争になることもあります。
問題が重要かつ繊細であるだけに逆に、
個人個人が真摯に自分自身の「意味」を考え、
その正しさを常に疑い続けること、
戦争に対して思考停止に陥らないようにし
続けることが大事なのではないかなと思います。
2013/8/18(日) 午後 1:42 [ クニさん ] <<コメントに返信する