安倍政権の背後にいる右派団体「日本会議」のルーツ魚住昭の誌上デモ「わき道をゆく」連載第134回

2015年07月19日(日) 魚住 昭
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たとえば「守る会」は'77年秋から元号法制化を求める地方議会決議運動を始め、翌年10月までに全国1016市町村の議会決議を達成して政府に圧力を加えるのだが、この「地方から中央へ」という戦略を考え出したのも椛島氏だった。

こうした地方の動きに呼応する形で'78年7月、「守る会」を中心に「元号法制化実現国民会議」が作られる。議長に石田和外・元最高裁長官が就き、音楽家の黛敏郎が代表委員の一人になった。椛島氏は事務局長として戦略を考え、さらに世論を盛り上げるため全国47都道府県にキャラバン隊を派遣した。

自民党や民社党、新自由クラブによる超党派の国会議員連盟も作られ、同年10月、日本武道館に2万人を集めて総決起国民大会が開かれた。動員の中心になったのは生長の家や佛所護念会、世界真光文明教団、明治神宮や神社本庁といった「守る会」に結集した宗教団体だった。

翌'79年6月、全国的な気運の高まりのなかで元号法案は国会を通過する。右派三十余年の宿願が「守る会」(+日本青年協議会)によるわずか2年の運動で達成されたのである。椛島戦略の効果は絶大だった。

以来、椛島氏をはじめとする日本青年協議会の面々、つまり谷口雅春の思想を核に育った人々が”隠れた主役”となって右派の運動をリードしていく。彼らは政財界などへの影響力を急速に拡大させ、ついには憲法改正に王手をかける一歩手前にまで至るのだが、その過程については次号でご説明したい。

→次回はこちら

*参考:ハーバー・ビジネス・オンライン連載『草の根保守の蠢動』(菅野完著)、『増補 戦後の右翼勢力』(堀幸雄著・勁草書房刊)、『朝日人物事典』(朝日新聞社刊)

『週刊現代』2015年7月18日号より


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