
15年7月3日付・夕刊
(4)高知県東部 わずか4チーム 速い流れに打つ手なし
高知県内少年野球衰退には、それなりの事情があった。だが、高知県中央部の衰退はチーム数で言えばまだいい方だった。高知県東部、安芸郡芸西村以東は5年前に12あった夏の選手権参加チーム数が昨年から4となった=図参照。選手総数も193から56へと7割減。高知県小学生野球連盟の高橋昭憲理事長(67)は「東は子どもがいない。手の打ちようがない」と嘆く。
少子化の波をまともに受けた格好は馬路村のスポーツ少年団だ。17年前、過疎のハンディをはねのけて県内大会で優勝、全国大会に出た。馬路、魚梁瀬の2校の小学生が対象だが、昨年の児童数は両校合計で34人(男子15)で、野球部は5人。このうち3人が南国市のチームへ出掛けて合同練習し、試合に出たが、今季は部員が1人で「休部状態」となった。
人口約900の馬路村では選手不足も無理はないが、他はどうか。高知県東部で最大人口の安芸市(約1万8千人)には安芸ヤングタイガースという強豪がある。監督の山本諭(さとる)さん(63)は連盟の副会長でもある。ここは安泰と思って訪ねると今季の部員は13人。しかも地元の安芸第一小学校(生徒数約320)が4人で、あとは近隣5校から。今季から休部状態の隣村、芸西小学校の2人も入っていた。
5、6年前までは上級生で紅白戦ができたというから、ここも急減だ。山本監督は「まずいですね。想像以上に流れが速い。私らも、どうしたらいいか聞きたいぐらいで…」
激減の要因はやはりサッカー。「安芸からはW杯ブラジル大会の副審、名木(利幸)君も出て、サッカーの知名度が余計に上がったですからねえ」。ちなみに安芸市の少年サッカーはやはり1チームしかないが60人を超える。
では、2番目の人口の室戸市(約1万4千人)はどうか。ここはかつて、市内に5チームあったが、3年前から「うきつ」と「吉良川御田」の二つとなり、今季の部員数は13人と15人だ。
「うきつ」で監督を12年務め、今季からコーチに回った西村啓志(けいし)さん(46)はこう嘆く。「底辺を広げないかんと思いつつ何もできてないんです。保護者に聞くと『野球部に入ったら忙しくなるので、よう預けん』なんですわ」
高知市の大会の開会式に出るとなると午前5時半出発。勝ち上がれば週末ごとに子どもの送迎と応援で1日がかりとなる。親にとっては、わが子の成長は楽しくもあるが負担も大きい。
そこへ昨秋、室戸市に初の少年サッカーチームが誕生した。安芸市と室戸市の間の中芸地区では2009年、やはりサッカー兼フットサルチームが誕生し、その影響からか2012年に田野小学校、2013年には奈半利小学校の野球部が休部状態に陥っているだけに、室戸の野球関係者は危機感を募らせる。
「しかし」、と話を聞きながら疑問が湧いた。大会出場における郡部チームの大変さはサッカーも同じではないか。そう思ったが、違っていた。少年サッカーは野球の「常識」を覆していた。
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