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15年6月29日付・夕刊
(1)「廃部」「休部状態」次々 1000人割れ、目前
高知県内小学生の野球離れが、ここ5年間で急速に進んでいる。27日に開幕した高知県小学生野球選手権の参加総数は毎年、100人前後も減り続け、今大会は68チーム、1080人。5年前に比べて23チーム、570人と人数で35%も減った=グラフ参照。原因は何なのか。県内野球の土台で起きている異変の裏側を追った。
少年野球は夏で世代交代。高知県小学生野球選手権は県内全チームが出場して実力ナンバーワンを決める総仕上げの大会だ。そして8月、6年生は卒団し、新チームがスタートするのだが、昨年の代替わりで1チームが「廃部」。人数不足の「休部状態」も20チームに増えた。
それでも70近い出場だが、「この中で試合が組み立てられるのは20チーム程度」と高知県小学生野球連盟の高橋昭憲(あきのり)理事長(67)は悩ましげ。5、6年生の高学年でチームを編成できず、下級生でカバーするチームが多い。中には2、3年生も交じる。そうなると力の差は歴然なのだ。
しかし、世の中では野球の人気は絶大。甲子園を目指す高校球児数は昨年、初の17万人台に乗った。その中での県内少年野球の深刻な事態は何を意味しているのか。
◇ ◇
高知市内のA小学校のチームを訪ねた。誕生から30年余。今季、初めて部員不足に陥った。その監督(59)も戸惑っていた。
「なぜなんでしょうか。つい最近まで結構いたんですよ」
4年前は6年生だけで16人も擁し強かった。徐々に減って昨年は13人。それでも、6年生が7人いたことから、小さな大会では優勝もした。
しかし、昨夏の6年生卒団で、残った部員は2〜5年の6人に。このうち1人が辞め、1人は他チームへ移籍。2月時点で4人となった。4月以降の入部は1人しかいない。部員募集のチラシを近所のコンビニに張るなどしたが反応はなかった。
「子どもが野球をしなくなったし、テレビ中継も減りましたからね。サッカーは極端な話、蹴ればできる。1年生でも、1人でも2人でも遊べる。狭くてもできる。どうしてもサッカーへ流れるんですよ」と監督。
野球は投げて、打てるまでに時間がかかる。ルールも難しく、バットを振るので危険も伴う。最近まで、入団受け入れは3年生以上、というチームも多かった。ところで、A小のサッカーチームは約80人もいた。すごい差だ。野球がのんびり構えているうちにサッカーに奪われてしまったのだろうか。
◇ ◇
3月、少年野球シーズンが幕を開けた。A小学校は近隣のB小学校と連合チームで大会に出た。聞けばB小学校も6人という。ちなみに、A小学校の児童数は約600人、B小学校は約250人。B小学校のサッカー少年は34人だった。サッカーは「少子化」と無縁なのか。
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