[NHKニュース 他]国立大学協会 総会で国の方針に懸念相次ぐ / 文系学部/大学院の廃止や見直しを打ち出した文科省は体制に批判的な学生や学者の拠点を破壊へ

竹下雅敏氏からの情報です。
 文部科学省が新たに打ち出した大学の組織再編などの方針について、関係者からは懸念の声が上がっているようです。文部科学省の立場からは、優秀な大学だと認定されて予算が取って来れる人物が必要となるので、官僚の利権と天下り先が増えるということになるのでしょう。
 それだけではなく、国民に対する思想統制としての意味があるということを、櫻井ジャーナルは解説しています。
(竹下雅敏)
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国立大学協会 総会で国の方針に懸念相次ぐ
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すべての国立大学が参加する「国立大学協会」の総会が開かれ、入試改革や、人文社会科学系の学部の廃止を含めた組織再編など文部科学省の方針に懸念の声が相次ぎました。
15日、東京・千代田区で開かれた総会には全国86の国立大学のうち、
83校の学長が出席しました。
学長からは最近の文部科学省の方針に懸念の声が相次ぎ、大学入試センター試験を廃止して新たなテストを導入する入試改革について、「方法論が先行して文部科学省自体に将来像がなく改革の目標が見えない」という意見が出ていました。

また、「地域や産業界のニーズに合わせた人材育成が求められている」として、教員養成系や人文社会科学系の廃止や転換を含めた組織再編を求める方針に対しては、「大学教育は職業に直結させるものではなく知のレベルを高めることが目的だ」という批判の声が上がりました。
国立大学協会の会長に再任された東北大学の里見進学長は、「人文社会科学系を廃止する流れは少し問題があると思っている。『社会の役に立つ』人材育成の議論が近視眼的で短期の成果を挙げることに性急になりすぎていると危惧する。今すぐ役に立たなくても将来的に大きく展開できる人材育成も必要だ」と述べました。

また、下村文部科学大臣が国立大学の入学式などでの国旗と国歌の取り扱いについて適切な対応を取るよう求める考えを示していることに関しては「大学では表現や思想の自由は最も大切にすべきもので、それぞれの信条にのっとって各大学が対応すると思う。萎縮しないよう頑張っていきたい」と話しました。

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文系学部/大学院の廃止や見直しを打ち出した文科省は体制に批判的な学生や学者の拠点を破壊へ
転載元より抜粋)
 文部科学省が6月8日に国立大学へ出した通知は、教員養成系と人文社会科学系の学部や大学院のほか、司法試験合格率が低い法科大学院の廃止や見直しに取り組むように求めている。高等教育の破壊をさらに進めるということだろう。

 支配層は文系を嫌い、理工系を好む。生産に直結しているからというだけでなく、政治から引き離し、社会を批判的に見ないように育って欲しいからだ。高校や中高一貫校で理科や数学を重点的に教える「スーパーサイエンスハイスクール」なる制度を作ったのも同じ理由から。

 大学だけでなく、高校でも1970年代に官僚たちは学生/生徒の統制を強めている。

 生徒の監視役、教師の立場を不安定化させるのも洗脳の手段。本、音楽、絵画の好みなどから性格をコンピュータで分析、子どもの頃から「潜在的危険人物」をリストアップする研究も進んでいる。

 支配層に刃向かう教師もいるが、そうした人びとへの攻撃として「君が代」の起立斉唱や「日の丸」掲揚の強制が使われている。思想信条に反することを行わせてプライドを砕き、服従させる、つまり奴隷化、あるいは家畜化のための重要な儀式と言えるだろう。それでも抵抗する教師は排除する。

 アメリカでも教育の現場は1980年代、ロナルド・レーガン政権の時代から急速に崩壊していった。強欲を善とする考え方を子どもにインプットし、無教養の人間を育てはじめたのだ。


 学問全般に言えることだが、特に理工系は物事を単純化して理論を構築する。思考が単純になっても不思議ではない。素粒子の世界、電気、宇宙といった分野は単純化しても問題はないが、生態系に応用することは困難。

 ところが、こうしたことに悩む人は少なく、自分たちが行っていることが自然にどのような影響を与えるかにも無頓着だ。そうした結果として水俣病やイタイイタイ病といった公害病、人類の存続を危うくする核兵器の開発や原子力発電所の建設につながった。

 しかし、単純化された理論であっても、事実を尊重するなら救いはある。ところが、理工系の「権威」はカネと地位を優先、事実を軽視、あるいは無視する。そうした実態は公害病のケースでも明らかになったが、東電福島第一原発でも再確認された。理工系の「権威」も単なる強欲なだけの人たちだということだ。

 アメリカの大学には任期制で働いている教員と終身在職権を得た教員がいる。
 
 それだけ終身在職権を得た大学の教員は支配層にとっても面倒な存在。カネと地位で懐柔したり脅して屈服させられないと厄介なことになる。そうした環境を支配層は壊そうとしている。日本にも「御用学者」は多いが、安倍政権を批判する大学の教員も少なくない。こうした人びとを排除したいと安倍首相の周辺にいる人びとは考えているのだろう。

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