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【国際情勢分析】
中国、ギリシャを“爆買い”か 港湾、空港、揚陸艦にも食指 狙いはユーロ圏の橋頭堡
ただ、緊縮財政に現実対処していかねばならなくなったチプラス政権は、「凍結措置を解除し、ピレウス港の株式67%をCOSCOに売却をせざるをえない状況」(中国関係筋)だ。
港湾・空港に揚陸艦も?
中国を起点に内陸と沿岸の2つのルートでインフラ建設を通じて欧州まで経済圏を構築する習指導部による「新シルクロード(一帯一路)構想」実現で、ピレウス港は物流拠点として重要な位置にある。COSCOからの出資に加え、中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の投融資も振り向けて港湾整備を手がける戦略なども検討するだろう。
港湾だけではない。「首都アテネ空港やギリシャ軍が保有する軍艦も中国が手に入れるチャンス」と主張する中国メディアまで現れた。アテネ空港にはドイツ企業が40%出資する形で支援しているが、中国も30%程度を出資する方向でギリシャ政府との交渉に入ったという。資本投入を通じて空港運営権の一部を獲得したい狙いがあるようだ。
さらに注目すべきは、ギリシャ軍が保有する「揚陸艦」と呼ばれる艦艇4隻を中国が買収するとの案があることだ。ロシア製の「ポルモニク型」とよばれるホーバークラフトのような全長57メートルほどの艦艇で、戦車3両と将兵31人を載せて離島などの上陸作戦が可能という。中国が日本を含む周辺国と軋轢(あつれき)を生んでいる東シナ海や南シナ海、中国が統一工作をもくろむ台湾への展開も考えられそうだ。