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【国際情勢分析】中国、ギリシャを“爆買い”か 港湾、空港、揚陸艦にも食指 狙いはユーロ圏の橋頭堡

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【国際情勢分析】
中国、ギリシャを“爆買い”か 港湾、空港、揚陸艦にも食指 狙いはユーロ圏の橋頭堡

昨年7月13日、ギリシャを訪問した中国の習近平国家主席。この3週間前には李克強首相もギリシャを訪れ、貿易・投資協定を締結して両国関係を強化した=ギリシャ・ロードス島(新華社=共同)

露海軍と地中海で演習

 EUは1989年の天安門事件を受け対中武器禁輸措置を取っている。艦艇買収は容易ではないが、中国はEUへの禁輸解除の働きかけから始める可能性がある。経済情勢の不透明なギリシャにとっては“明日の安全保障よりも今日の生活保障”との切実な問題もあり、チャイナマネーにつけいられる隙すら見える。

 一方で、中国海軍は5月、ロシア海軍と地中海では初となる合同軍事演習を実施し、中露による米欧牽制(けんせい)との臆測を呼んだ。北大西洋条約機構(NATO)の基地もあるギリシャは、黒海沿岸を拠点とするロシア艦隊の地中海への出口という位置にある。チプラス政権はNATOの集団安保体制の弱体化懸念まで“人質”に取る一方、中国カードも使う瀬戸際外交をなおも繰り広げる懸念がある。中国にとってもNATOと渡り合う舞台回しが作られつつある。

 李克強首相(60)はブリュッセルを訪れた6月29日、欧州議会のマルティン・シュルツ議長(59)と会談し、「中国と欧州は運命共同体で、今後も欧州の債券の責任ある長期保有者であり続ける」と述べ、ギリシャ国債を売却しない方針も示した。“爆買い”への伏線は敷かれ始めているようだ。(上海 河崎真澄)

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