記事

『NOヘイト!』刊行に向けて都内集会――「出版の製造者責任」とは

(右から)加藤、岩下、神原、明戸、朴、木瀬貴吉(ころから代表)の各氏。(撮影/島崎ろでぃー)

(右から)加藤、岩下、神原、明戸、朴、木瀬貴吉(ころから代表)の各氏。(撮影/島崎ろでぃー)

相次ぐ嫌韓嫌中本の出版への対抗方策を考えるイベント「『NOヘイト!』刊行前夜 出版の製造者責任を考える」が10月22日、東京都内で行なわれた。同名の新刊(出版社「ころから」)が今月末に発売されるため企画されたもの。

第一部では加藤直樹氏(『九月、東京の路上で』著者)、岩下結氏(「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」事務局)が登壇。第二部では、この間ヘイトスピーチ関連本の出版に関わった明戸隆浩氏(『ヘイトスピーチ』訳者)、神原元弁護士(『NOヘイト!』共著者)、朴順梨氏(『奥さまは愛国』著者)も加わり、各立場から報告を行なった。

神原氏は憲法学者・芦部信喜氏の著作を引用し、「〈表現の自由〉とは本来、正しい情報を国民が受け取る権利のこと。ジェノサイドや差別を防ぎ民主主義の防波堤になるが、ヘイト本はそれをぶち壊している」と問題提起した。

明戸氏は法規制をめぐる議論について、「どうしても〈規制〉か〈表現の自由〉という二択になりがち」だが、そもそも「他国だと差別行為にあたることも日本だとほぼ野放し」「まず人種差別禁止法の制定を考える必要がある」と指摘。

朴氏はこれまでの取材経験を踏まえ、「ヘイトスピーチの記事を書くと必ず抗議がくる。与えられた場所でしか書けないなか、心が折れてしまうライターもたくさんいるのでは」と、書き手側を取り巻く環境を率直に語った。

当日の参加者には日頃から路上での抗議活動に携わる人々も多く、会場は満席。内容が「真面目」で売れないとされる「反ヘイト」本の売り方や、あるいは本や記事に対する嫌がらせへの対抗策など、積極的な意見や質問が交わされた。

今後は書名(『NOヘイト!』)の文字広告を神保町(東京)に掲示するためのクラウド・ファンディング(インターネットを利用した資金提供)も募る予定という。

(松岡瑛理・ライター兼社会学研究者、10月31日号)

あわせて読みたい

「ヘイトスピーチ」の記事一覧へ

トピックス

新着ニュース

  1. スペイン財務省、2015・2016年の公的債務予想を小幅引き下げ
  2. 新国立「建設せず」の選択肢も、白紙撤回で自民が新提案
  3. 文科省、いじめ情報共有求める 中2自殺受け通知
  4. 来年夏に物価目標達成へ、追加緩和必要ない=本田内閣官房参与
  5. 省エネスパコン、日本上位 理研や高エネ研、東工大
  6. 東京マーケット・サマリー(4日)
  7. TPP、NZが着地点見いだそうとするなら交渉継続=日本交渉官
  8. 電子部品7社とも増収増益 スマホ、自動車向け好調
  9. 物価と賃金のジレンマ、見方分かれる日銀追加緩和
  10. 政府、ビットコイン法規制へ 不正利用防止狙い 

ランキング

  1. 1

    SEALDsデモ 早大教授"俺たちが人民"は傲慢

    岩田温

  2. 2

    徴兵制に反対なら安保法制に賛成すべき

    木走正水(きばしりまさみず)

  3. 3

    写真集発売へ だから上西小百合は嫌われる

    白岩賢太

  4. 4

    五輪エンブレム問題 佐野氏対応に学ぶ教訓

    大関暁夫

  5. 5

    武藤議員のSEALDsに対する発言の恐ろしさ

    猪野 亨

  6. 6

    "つぶす"発言以前にあるメディア産業の問題

    小林恭子

  7. 7

    自民議員 SEALDsの主張は"利己的考え"

    共同通信

  8. 8

    出演拒否が9割 「しくじり先生」制作裏話

    ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

  9. 9

    JSCは総工事費1300億円の根拠を公開すべき

    河野太郎

  10. 10

    田原総一朗氏「首相は例え話でごまかすな」

    田原総一朗

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID、mixiID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。