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 東京・上野動物園のジャイアントパンダの赤ちゃん誕生が今年も遠のいた。一方、和歌山・アドベンチャーワールド(AWS)では次々と赤ちゃんが生まれている。何か秘密でもあるのだろうか。

 7月下旬の上野動物園。広々とした飼育場で、雄リーリー(9歳)と雌シンシン(10歳)は歩き回ったり、遊具によじ登ったり。家族連れやカップルから「かわいい」と歓声が上がり、カメラが向けられた。

 2頭は2011年2月に中国から来日した。12年に赤ちゃんが生まれたが、肺炎で6日後に死亡。13年は「偽妊娠」だった。昨年3月も発情行動がみられたが、交尾せず。今年は1月ごろからリーリーが発情の兆候を示していたが、シンシンの兆候が散発的で2~5月の繁殖時期を過ぎても、同居に至っていない。

 渡部浩文・飼育展示課長は「飼育方法は変えていない。動物相手とはいえ、本当に原因が分からない」と話す。11年8月から毎日、パンダの写真を撮っているさいたま市のウェブデザイナー高氏(たかうじ)貴博さん(37)。「発情期にみられる食欲減退もなく、元気いっぱい。撮影にはいいんですが……」と漏らした。

 パンダは懐妊のチャンスが少ないため、繁殖が難しい。雌の排卵は1年に1度で、受精できるのは数日だけ。交配のタイミングや相性が悪ければ、けんかになることもある。

 パンダの生態に詳しい筒井敏彦・日本獣医生命科学大名誉教授は「2頭には自然交配の実績があり、相性はいいはず」と指摘。「ただ2頭が発情しないと、どうしようもない」という。「日光浴の時間やえさの種類など飼育環境をもう一度、見直していくしかないのでは」

 現在、国内のパンダは計10頭。上野で2頭、神戸・王子動物園で1頭を飼育しているが、和歌山のAWSだけで7頭を占める。繁殖実績をみても、上野が4頭、王子が1頭にとどまるが、AWSは15頭。中国以外の施設では最多となる。AWSの高浜光弘・企画営業課長(49)は「温暖な気候もあるかもしれないが、大きく貢献しているのは父親の永明(エイメイ)です」と話す。

 永明は1992年、北京動物園生まれで、94年に来日した。優しく穏やかな性格で、雌の体調や気分の変化に気づく「気配り」ができる。雌に追い払われても、攻撃的にならず、相手の発情期を見極め、アプローチするという。