シリーズ「日本人教授にきく、オックスブリッジの魅力」、第2回目は、東京大学で学士・修士、ノースウェスタン大学(米国)で博士号を取得し、2008年にオックスフォード大学ニッサン日本問題研究所および社会学部教授に就任した、苅谷剛彦教授にお話を伺いました。
東大を離れてオックスフォードへ来た理由
― どのようなことを研究されていますか?
オックスフォードに来る前までは、社会の階層や経済的背景が、学力や学習意欲にどう関係し、それらがキャリア形成にどう関わっていくかをテーマに研究をしていました。オックスフォードに移ってからは、教育だけにこだわらず、もう少し広い視野から日本の現代社会を捉えようとしています。
1970年代後半に、「日本では欧米へのキャッチアップが終わった」という文書を日本政府が出しました。そのキャッチアップに至るまでの過程と、それが終わったという認識を持ってから、日本社会がどう変化しているのかを研究しています。
― そういったご専門分野のオックスフォードでの位置づけは、どのようなものですか?
まず、日本のことを日本の社会学者が日本人向けに研究をするということは、日本にいれば当然のことでしょう。しかし、オックスフォードで研究する場合、最初から英語でアウトプットを出すことが前提です。また日本を研究することが広く社会科学全体にとってどういう意味を持つのかを強く意識するようになります。
― オックスフォード大学に来たきっかけや経緯は?
僕は若い時にアメリカに留学して、博士号を取ってすぐ日本に帰って来ました。当時はアメリカで仕事がしたい、という意識がありましたが、結果的にはそうはなりませんでしたね。2008年にオックスフォードの教授になるまでは、東大で18年ほど教育社会学を教えていました。東大は恵まれた大学なので、まったくネガティブな気持ちはなかったのですが、向こう10年を考えたときに、ある程度先が見えたんです。それで、環境を変えることによって新しいことが出来る、と思ったんですね。
もうひとつ重要なのは、日本の社会学を日本国内ではなく海外でやることの意義をすごく意識していたことです。日本社会を研究することが、社会学という学問にどう貢献できるかを国際的に試してみたい、と思いました。
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