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投手・市川氏「野球は体の一部、考え方の土台に」
「都立の星」の甲子園 国立高・元ナインに聞く(上)

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2015/8/3 6:30
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 2015年は高校野球の夏の全国大会が始まって100年という節目の年だ。いまや高校野球は米メジャーリーグで活躍する多くの日本人選手を輩出していることから、海外でも話題になっている。

 高校野球の魅力の一つは「大番狂わせ」だ。強豪校のまさかの敗戦や弱小校による思わぬ勝利に観客は心を揺さぶられる。いまから35年前の1980年の夏。東東京代表の1年生エース、荒木大輔さんを擁する早稲田実業高校が準優勝した。

 その同じ年に、私立高校が圧倒的な強さを誇る東京で、西東京の参加107校の頂点に立ったのは、都立として初めて甲子園出場を決めた都立国立高校だった。

 国立は進学校であったことも話題だった。ナインのうちバッテリーを含めた3人が東京大学に進学した。文武両道といえば簡単だが、なぜ国立が「都立の星」になりえたのか――。当時の選手に振り返ってもらった。

エースだった市川武史さんは現在、キヤノンの半導体デバイス要素開発センター所長。秘書(左)によると市川さんは「決断が早い」
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エースだった市川武史さんは現在、キヤノンの半導体デバイス要素開発センター所長。秘書(左)によると市川さんは「決断が早い」

 第1回は、都大会から甲子園まで全試合を1人で投げ抜いたエース、市川武史さん(53)に聞いた。

 当時、167センチ、58キロで「小さな大エース」と評された市川さんは予選8試合をすべて3失点以内に抑えた。1浪して進学した東大では1年生の秋から野球部に入り、投手として東京六大学リーグで通算7勝を挙げた。現在はキヤノンのデバイス開発本部半導体デバイス要素開発センター所長を務めている。

 市川さんの話を聞くと、国立の甲子園出場は決して突然起きた奇跡ではなかったことがわかる。

小さいころからの夢だった甲子園

 ――甲子園では、初日の第3試合で前年の優勝校、箕島(和歌山)に0対5で負けました。

 「よりによって箕島。組み合わせ抽選会でくじを引いたキャプテンの名取(現在、朝日新聞社教育総合本部長)は、かねてくじ運が悪いといわれていた。ただ、緊張はせずマイペースで淡々としていられた。四回まで互いに無得点だった。しかし箕島はそれまで対戦したどのチームとも明らかに違っていた」

 「予選では打たれなかった(打者の手元で小さく変化する)ムービング・ファスト・ボールを六回で打たれた。しかもホームラン。あれは納得のいく、申し分のない球だった。『すごいなあ』と驚いた。あと3回もピッチングが残っているから『これは大変だなあ』とも。終わった時は負けた悔しさとよりも、ほっとした」

 ――とはいえ、当時ムービング・ファスト・ボールを投げた高校球児は珍しかった。

 「実は夏の予選の約1カ月前に強豪、日大二高との練習試合でめった打ちに遭い3対14で負けた。何かやらないと勝てない、甲子園に行けないと切羽詰まった末、まだ日本のプロ野球でもあまり投げていなかったムービング・ファスト・ボールを覚えてみようと思うに至った。予選に自信をもって臨めたわけではなかった」

 ――そもそも都立勢が甲子園に出場したことのない時代に、甲子園に行こうと思って国立を選び、野球部に入ったそうですね。

 「私が中学生の頃、国立は夏の予選でベスト8やベスト16入りし進学校ながら野球が強かった。高校を選ぶ基準は甲子園に行けるかどうか。野球は中学で軟式をやっていたが甲子園は小さいころからの夢だった。国立と前年の夏に東京勢として戦後初めて全国優勝した桜美林に合格し、どちらに進学するか迷った。両親のすすめもあって国立での文武両道を選んだ」

 「桜美林なら中学でのポジションの遊撃手を続け、野手で甲子園に行こうと思っていたが、国立なら投手になって『俺が甲子園にみんなを連れて行く』という意気込みだった」

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