丸山ひかり
2015年8月4日07時20分
何が問題だったのか。子ども向けに企画された東京都現代美術館(東京都江東区)の展覧会で、現代美術家・会田誠さん一家の作品に館が改変を要請した。ネット上を中心に疑問が噴出し、約1週間後に当初のままでの展示続行が決まった。だが館は、いまだに詳細な理由や経緯を語らない。
7月18日に始まった「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展には、会田さん一家と、デザイナーの故ヨーガン・レールさん、造形作家の岡崎乾二郎さんら4組が参加している。
一家の展示室には、妻の現代美術家岡田裕子さんと、中学2年生の長男寅次郎さんによる、映像や立体の作品もある。だが、3人が学校への不満を書いた「檄(げき)文」と、首相に扮した会田さんが日本鎖国論をたどたどしい英語で演説する映像作品の二つに、館が改変を要請した。
24日夜、会田さんの所属ギャラリー関係者によるツイッターの書き込みから、館が会田さんに作品の改変を求め、撤去も選択肢に挙がっていることが発覚した。情報はツイッターやSNSで広まり、美術関係者だけでなく、評論家やジャーナリストなどが次々と批判を書き込んだ。「檄文」は「文部科学省に物申す」と大書され、映像作品は4月の安倍晋三首相の米議会での英語の演説を想起させるだけに、館が政治的な配慮をしたのではとの推測も飛び交った。
朝日新聞デジタルが翌朝配信した記事は、フェイスブックでこれまでに1万件以上シェアされた。
会田さんは25日夜から、学芸担当課長であるチーフキュレーターらの要請内容や、観客から館にクレーム1件があったことなど、経緯をネット上で情報発信。子ども向けであることを熟慮して作品を制作したなどと丁寧に説明した。
一方、館は事業推進課が取材に応じ「子どもに親しみやすくなるように相談している」と説明。「内覧会の頃、『子ども向けには難しいのでは』という意見も出た」などとするが、詳しい理由や経緯は、明確に説明していない。
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