もはや情報の不正取得どころの話ではない。国家ぐるみの明白な人権侵害、犯罪行為である。
米国家安全保障局(NSA)が日本の経産相や日銀総裁、商社などの電話を盗聴していたことが、内部告発サイト「ウィキリークス」の米政府機密資料公開で判明した。
米政府の盗聴そのものにはもはや驚かない。日本政府の腰の引けた対応も、幾久しい対米従属ぶりから予想の範囲だ。驚いたのは、日本社会がこの恐るべき主権侵害にさしたる反発の声を上げていないことである。
われわれがこの犯罪行為を許容したかのような誤ったメッセージを発してはいけない。日本政府は直ちに駐日米大使を呼び付けて弁明を求め、再発防止策の明示を毅然(きぜん)として要求すべきだ。
2013年、米国の盗聴が次々に発覚、大きな国際問題になったのは記憶に新しい。外国の指導者35人の電話を盗聴し、38カ国の大使館も盗聴していた。
ワシントンの欧州連合(EU)代表部では職員90人のパソコン内のデータ全てをのぞき見られていた。フランスでは国内7千万件の通話やメールが傍受されていた。
米中央情報局(CIA)元職員スノーデン氏の勇気ある告発で発覚したが、それがなければ今も続いていたのは間違いない。
注目すべきはその際の各国の対応だ。仏外相は直ちに駐仏米大使を外務省に呼び付けて抗議。米情報機関のスパイ疑惑が発覚したドイツでは米大使館情報機関代表に国外退去を求めた。
ブラジルは大統領の米国訪問を急きょ中止。盗聴監視機関を各国内に設けるよう求める決議案を国連総会第3委員会(人権)に提出した。米国を経由しない海底ケーブルの敷設も欧州に提案し、ロシアやインドなど新興国とも相互に結ぶ計画を立てた。これが独立した主権国家の在り方であろう。
これに対し日本は今回、菅義偉官房長官が「事実なら極めて遺憾だ」と述べ、事実関係の確認を求めただけだ。
各国で問題化した際、米国は同盟国首脳への盗聴中止を指示したとされるが、首脳でなく閣僚ならいいのか。同盟国以外ならいいのか。まるで説明がつかない。
大国の傲岸(ごうがん)は許されない。毅然とした断固たる対応を取らない限り、世界の物笑いとなる。屈従が透けて見える日本政府の対応は、各国なら国民が許さないはずだ。
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