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 パソコンやスマホに侵入し、遠隔操作する監視ソフトを世界各国の政府機関に販売するイタリア企業「ハッキングチーム」(HT)がサイバー攻撃を受け、大量の社内情報が7月にネット上に流出した。朝日新聞が流出した資料を入手し解析したところ、顧客とみられる37カ国の政府機関のリストや契約書が見つかった。日本の公安調査庁が接触していた記録もあった。

 HTの広報担当者は朝日新聞の取材に、流出情報が自社のものであると認めたうえで、「従業員やクライアントの個人データが流出したことを申し訳なく思う」と回答した。

 ソフトは「ガリレオ」と名付けられ、資料には、スマホなどをウイルス感染させ、位置情報や通信記録などを取得する機能の詳細が記されていた。顧客リストと見られるファイルには、米連邦捜査局(FBI)など、37カ国に及ぶ政府機関の名前があった。

 流出が明らかになるにつれ、各国で波紋が広がっている。韓国では情報機関が北朝鮮のサイバー攻撃への対策を研究する目的で購入したと認め、政府関係者が自殺する事態に発展した。キプロスでは情報機関トップが辞任を表明した。カナダ・トロント大学の研究機関は昨年2月、エチオピア政府が米国在住のジャーナリストを監視していたとする調査結果を発表している。

 顧客リストに日本の政府機関は含まれていないが、公安調査庁の職員がHT側とメールで連絡をとり、今年4月に日本でソフトが実演された経緯がわかる記録もみつかった。(須藤龍也、永田工)