韓国の特許裁判所に、早ければ来年2月、英語で裁判を行う国際裁判部が設置される見通しとなった。翻訳を通じてではなく、英文で書かれた証拠や書類も効力を有し、英語による弁論も可能になる。
大法院(日本の最高裁判所に相当)が立ち上げた「知的財産中心裁判所プロジェクト」によると、大法院の知的財産中心裁判所推進委員会(以下、推進委)は来年2月、国際裁判部を設立するという内容などについて最近合意し、今月17日に議決文を採択することとした。推進委はすでに、通訳・翻訳者の人件費などの名目で、来年度に4億ウォン(約4250万円)の予算計上を申請している。
これまで裁判所は、法廷内で韓国語のみを使用するよう定めており、外国語で書かれた証拠や書類は必ず韓国語の翻訳文を添付することとしていた。だが今後、国際裁判部では、英語で書かれた証拠や書類も効力を有することになる。また、別個に通訳者を申請しなくても、英語での弁論が可能になり、判決の言い渡し後には英語に翻訳した判決文を提供する方針だ。
この場合、企業が海外ではなく韓国国内で特許訴訟を行うケースが増加すると大法院はみている。大法院の関係者は2日「最近の特許訴訟は大部分が欧州や米国で行われているが、国際裁判部が新設されれば、一部の事件の裁判を韓国で行えるようになる」と話した。
韓国は世界124カ国が締結した特許協力条約(PCT)の締約国であるため、大部分の特許は国内でも効力を有する。特定の特許が問題になった場合、国内に支社を設けていない外国の企業も韓国で訴訟を起こせるようになる。
韓国企業の立場から見ると、海外ではなく国内での訴訟が増えることは歓迎すべきことだが、英語で訴訟を行わなければならない場合、外国企業に有利になるのではないかと指摘する声も出ている。このような指摘を考慮し、大法院は被告と原告双方が望んだ場合だけに英語での裁判を許容する方針を打ち出しているという。