6月22日に韓日国交正常化50周年を迎えた当日、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と日本の安倍首相はソウルと東京で開催された記念式典にそれぞれ姿を現した。この時点ではそれまで3年にわたり悪化していた韓日関係がついに改善するかと誰もが思った。二人による初の首脳会談に対する期待も高まっていた。
ところがその後、韓日関係は再び急速に悪化した。そのきっかけとなったのは、日本が明治の産業革命で大きな役割を果たした施設を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録しようとした際、両国の外交当局で韓国人徴用者に関する表現をめぐり再び対立したからだ。7月5日にドイツで行われた世界遺産委員会(WHC)で、両国は徴用者についての説明を英語で「forced to work」とすることで事前に一致していたが、韓国側が会議の当日になって突然「forced labor」とするよう主張し始めたのだ。「forced labor」はまさに「強制労働」を意味するもので、単に働かされたことを意味する「forced to work」とは完全にその意味合いが違っていた。
驚いた日本政府は韓国側の動きに激しく反発したが、これに対して韓国政府も「誰もが知っていることを認めるのは当然で、顔を背けるべきでない」と反論した。韓国の国民は一連のやりとりの一部しか知らされておらず、日本が歴史問題で韓国の要求に応じないことに不満を持っていた。またその一方でユネスコに登録された日本の文化遺産に、日本がかつての植民地時代に行った過ちが記録されるという事実に安堵(あんど)した。
しかし日本のある新聞は7月11日付で「外相会談での合意を無視する韓国、韓国の悪意に満ちた行為」などと報じ、日本国内の非常に怒りに満ちた雰囲気を伝えた。また別の新聞は7月14日付で、この問題を韓国による「政治工作」とし、これまで両国が慰安婦問題で公式の外交ルートのほか、韓国の大統領秘書室と日本の国家安全保障会議(NSC)の間で非公式の協議が行われていた事実を報じた。韓日関係における最大の障害となっている慰安婦問題について、実は両国首脳の側近同士ですでに話し合いが行われていたわけだが、この新聞がこれを暴露したのは、日本が朴槿恵(パク・クンヘ)政権とのこの問題をめぐる話し合いをストップする意向を示したものであり、その表現には大きな不快感も込められていた。