【寄稿】日本人はなぜ韓国と韓国人を信じられなくなったのか

謝罪される国・韓国と謝罪する国・日本
大きな恩恵もたらす韓日安保・経済協力、韓国人は「親日」のレッテルに恐怖
韓国不信と歴史に対する恐れ、相変わらずの日本人
実利を追い求める中国を参考に重量感ある対日政策を

 日本人の感情を簡単に表現すれば、いったん約束し合意した内容を簡単にほごにする韓国と韓国人が信じられなくなったということだ。まず強制徴用問題は間違いなく1965年の国交正常化の際に両国の政府同士が合意し、これを文書化して日本は謝罪し補償も行ったのに、韓国の裁判所が下した判決や韓国の世論は今も日本に対して責任を追及してくるため、日本は非常にとまどっている。今回の「強制徴用」に関する表記の問題でもそうだ。これも1965年の協定文を根拠とする日本人の防衛心理と、日本に対して歴史問題での謝罪や反省が不十分であることを追及しようと考える韓国の道徳観が衝突している。安倍内閣が抱く歴史問題への懸念はこの問題にとどまらない。たとえ慰安婦問題について謝罪をしても、韓国人はそれを最後の謝罪として受け入れるとは考えられず、また韓国政府がこれに同意しても、後から国内の世論を満足させることはできないと考えている。

 韓国の期待を完全に充足させるには至らずとも、これまでできる限りそれを充足させようと努力する思いが相手にあったのなら、われわれも歴史問題で自分たちの原則と立場をあらためて見直すことを考えねばならない。先週、筆者は上海で会議に出席した後、南京大虐殺記念館を訪問した。数多くの展示物を目の当たりにすると、本当にさまざまな思いが湧いて出てくるのは事実だ。また記念館の出口に続く角の天井からは、12秒ごとに水滴が落ちていた。これは1937年12月13日から6週間にわたり、30万人の市民が日本軍によって12秒に1人のペースで犠牲になったことを意味するものだった。このように日本の蛮行はしっかりと記憶しつつも、一方で日本から心理的協力を取り付けようと積極的に努力する中国の二つの顔をこの記念館で見たように感じた。韓国政府もさまざまな事案ごとに一喜一憂するのではなく、原則と実際の対応に調和を持たせ、重みのある対日政策を進めていかねばならない。

金泰孝(キム・テヒョ)成均館大学政治外交学科教授
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