訃報:出口裕弘さん86歳=作家、元一橋大教授
毎日新聞 2015年08月03日 20時18分(最終更新 08月03日 22時26分)
ジョルジュ・バタイユなどの仏文学翻訳で知られた元一橋大教授で作家の出口裕弘(でぐち・ゆうこう<本名・やすひろ>)さんが2日、心不全のため東京都内の病院で死去した。86歳。葬儀は近親者のみで営む。お別れの会を後日開く。自宅は東京都調布市若葉町1の1の41。喪主は妻紀子(のりこ)さん。
東京・日暮里生まれ。旧制浦和高時代の友人、渋沢龍彦の影響で仏文学に傾倒。1952年、東大仏文科卒業。67年に翻訳したバタイユの「有罪者無神学大全」が、三島由紀夫に激賞された。
70年に一橋大教授就任後、商業文芸誌に小説を発表。83年、エッセー「ロートレアモンのパリ」が好評を博し、97年に渋沢との交流を描いた「渋沢龍彦の手紙」が話題を集めた。三島や太宰治、坂口安吾の研究でも知られ、2007年に評伝「坂口安吾 百歳の異端児」で伊藤整文学賞などを受賞した。主な著書に「ボードレール」「三島由紀夫昭和の迷宮」など多数。