3NHK高校講座 地理「どうする?ニッポン」 2015.07.31


う〜ん…どうしたらいいんだろうなぁ。
(山田)中田さんどうしたんですか?ちょっと3人にも考えてほしい事があるんだよ。
(山田)がしかしその前に…。
山ちゃんです!ドミです!日奈です!3人そろって…。
(3人)トリプルG!決まったね。
いやそれどころじゃないんだよ。
我々の身の回りのもの多くが輸入に頼ってるんだよね。
(山田)輸入!まずは衣料品。
輸入の割合何%ぐらいだと思う?7割?8割。
7〜8割。
日奈ちゃんずるいね。
「7〜8割」。
ずるいずるい。
ブ〜。
違います。
えっ?正解はおよそ93%。
93%!?そんなに?服のタグよく見てごらん。
どこの国から来たものかというのが示してあると思うよ。
(山田)おっ「MADEINCHINA」。
チャイナ。
そうだね。
(ドミニク)あっ中国産。
書いてある。
日本人の着る洋服の8割が中国産ともいわれているんだね。
さあ次は食料品の話をしたいんですけども代表として大豆。
納豆ですとか豆腐ですとかあとしょうゆとかみそ。
日本食には欠かせないのが大豆ですけれども。
およそ92%。
92%?え〜!?輸入先書いてあるかもしれませんから見て下さい。
(田中)「カナダまたはアメリカ」って書いてある。
アメリカブラジルそしてカナダ。
(山田)カナダ…ふ〜ん。
最後は電気製品からHDDレコーダー。
輸入?日本で…。
(山田)日本で作られてんじゃないの?日本のメーカーでも海外の工場で生産していて輸入してるんです。
そうなんだ。
中国。
そしてマレーシア。
(山田)強い中国。
じゃあ日本で全然何も作ってないって事ですか?確かにそんな印象になってくるよね。
でも昔からこんな状況だった訳ではないらしいんです。
こちらを見て下さい。
日本の近代化の出発点といえる…明治新政府は「富国強兵」「殖産興業」を合言葉に西洋の近代技術を導入しいろいろな産業分野で官営工場を造りました。
群馬県の富岡製糸場もその一つ。
明治5年1872年に建てられた日本で最初の器械製糸場です。
その後日清日露の2つの戦争を経て急速な経済成長を遂げた日本はアジアで初めて工業化に成功しました。
とはいえ昭和に入っても…食糧自給率も80%を上回るなど日本はれっきとした農業国だったのです。
ところが1945年に終わった第二次世界大戦からの復興1950〜1970年代にかけての高度経済成長によって日本の産業構造は大きく変化していきました。
産業別の就業者の割合の推移がそれを物語っています。
1950年の段階では第一次産業が半分近くを占めていました。
しかしその後第一次産業に従事する人が減り第二次産業や第三次産業が増加していきます。
つまり第一次産業から第二次第三次産業へ労働人口が移動したのです。
1968年には国内総生産で当時の西ドイツを抜き先進工業国として世界のトップクラスになります。
生産額の半分近くは第二次産業が生み出していました。
自動車をはじめとした輸出も増え日本は「世界の工場」と呼ばれるまでになったのです。
日本も昔から輸入に頼りきりだった訳ではないんですね。
日本が農業国から工業国に変わっていった時期に労働人口が農業から工業へ移動したと。
今日はその辺りが鍵になるんじゃないでしょうか。
詳しい話聞いていきましょう。
永田淳嗣先生です。
よろしくお願いします。
(永田)よろしくお願いします。
労働人口の移動っていうのはなぜ起きたんですか?第二次世界大戦のあと日本が戦争から復興して高度経済成長っていうものが実現して。
ところがこの間にですね農業と工業とか商業とかいった第三次産業との間に所得の格差というものが広がってきます。
そうするとやはり所得の高い方に特に若い人とか働き場所を求めて人口がだんだん移動していく。
ちょっとこちらを見て頂きたいんですけれども。
どの産業にどれくらい人口がいるかこれが変わっていくのが…つまり農業よりも工業とかサービス業の方が収入がいいから労働力が移動して農業が低迷していったという事ですね。
この隠されている1970年以降はどうなるんでしょうか?じゃあそのあとの時代を見ていきたいと思いますけれども。
工業もだんだん減っていって第三次産業が増加している。
緑がないよもう。
ええ一つには海外との厳しい競争という事が非常に大きな影響を与えていると思います。
例えば中国とか東南アジアみたいに土地や労働力の安い地域に工場を移転させていくという事で日本の中の工場とかがどんどん減っていくというのが一つ大きな理由です。
でも海外で作って日本に運ぶコストを考えたら日本で作った方がよくないですか?確かに。
そういう輸送のコストを考えたとしてもやっぱり海外で作った方がメリットがあるんです。
そんなに違うんですね。
それと農業の分野でも…日本の農業や工業はこのまま低迷していくばかりなのかとその辺りをですねドミちゃんと日奈ちゃんに調べてきてもらいたいと思います。
(2人)はい分かりました。
トリプルGが…う〜ん…。
あ〜気持ちいい!私は今長野県に来ています。
私の後ろにあるのはジャ〜ン諏訪湖です。
すごい絶景です。
今回受けた指令は…。
…との事です。
目的地はあそこの岡谷市です。
(田中)
長野県の南部に位置する岡谷市は…
200を超える工場があり生糸の生産量は国内の3/3にも上ったそうです
第二次世界大戦後は時計やカメラなど精密機械工業が盛んになりました。
「東洋のスイス」と呼ばれているのだとか
という訳でとある精密機械機器メーカーにお邪魔しました
あっすごい。
一人一人単体でやってらっしゃるんですね。
(小口)そうですね。
大量生産じゃないんで。
こちらの方は今何をしてらっしゃるんですか?今は0.4mmの穴を開けてると思います。
0.4mmですか?
ドリルの太さはシャーペンの芯くらい。
ちょっとでも無理な力が加わるとすぐに折れちゃいます。
削りかすの出方を確認しながら絶妙な力加減でドリルを出し入れしているんです
数mmの穴を開けるのに何時間もかかる事もあるとか。
まさに…
こうした技術でF1のエンジンやロケットの部品など大量生産に向かないものや医療機器など精密な部品を一つ一つ手作りで生み出しています。
多い時にはひとつきに数千種類も作るそうです
そうなんですね。
熟練の技と最先端の日本の技術を融合したこんな機械も開発しています。
職人さんの絶妙な力加減をコンピューター制御で再現しました
ドリルの直径はなんと0.05mm。
髪の毛よりも細いんです。
この会社ならではの更に細かく精度の高いものづくりを可能にしていきます
最初は量産を志向してた訳ですけども……でやりたいという事で切り替えてきました。
へぇ〜少量多品種生産ですね。
そうです。
分かりました。
ありがとうございます。
日本の技術すごくないですか?驚きました。
想像しないような職人さんの技があるんだね。
じゃあちょっとこちらを見て下さい。
わっすごい!ちっちゃいね。
(田中)直径0.05mmっていうすごい細いドリルを使って髪の毛に穴を開ける事も可能ですっていう。
えっ髪の毛に穴を開ける?
(田中)そうなんですよ。
ストロー状にする事ができるの。
(田中)金属と違ってドリルに絡まりやすいそうなんですよ。
すごいですよね。
日本の技術ってすごいね改めて。
すごかったです見てきて。
先生感動しましたけども。
そうですよね。
日本がこれまで製造業で蓄えてきた技術には世界有数のものがいくつもあると思うんですよね。
この会社のようにたくさん作るんじゃなくて高精度で高品質のものに特化するっていうのも一つの行き方だと思うんですよね。
例えばカメラとかオーディオとか買う時でも価格を重視する人と多少高くても高品質で高機能のものを求める人がいる訳なのでどういうところにニーズがあるかという事を考えればそういう少量のものでも十分にやっていけるんじゃないかと思いますね。
なるほど。
製造業の方は低迷を脱するヒントが見えてきたような気がしますがただ農業の方ですよね。
そうですね。
魅力ある所得が得られないといけませんから。
そっちの方ドミちゃんが調べてくれてると思いますがドミちゃんどうなってますか?Umm,sodelicious!あっ…。
えっと私が今来てるのは静岡県静岡市のイチゴ農家さんの農園カフェです。
で私が受けた指令はこれ。
農業と掛け算ってどんな関係があるんだろう?
(ドミニク)
カフェのオーナー中嶌正子さんに案内して頂いてまずはイチゴを栽培しているビニールハウスに向かいます
(ドミニク)うわ〜すごい!
(正子)ここがイチゴのハウスです。
(ドミニク)イチゴがいっぱいある。
あっこんにちは。
(章嘉)こんにちはいらっしゃい。
よろしくお願いします。
イチゴを育てているのは章嘉さん。
25棟のハウスで年間59tものイチゴを生産しています
イチゴの農業の楽しさって何なんですか?本当においしかったですイチゴ。
ありがとうね。
甘くてジューシーで本当においしかったです。
続いて中嶌さんが案内してくれたのはハウスからちょっと離れた場所のとある建物。
中に入っていくと…
(ドミニク)匂いがする。
いい匂い!
(正子)はいこれです。
イチゴだ。
色や形があまりよくなくてそのままでは売り物にならないイチゴでジャムを作っています。
レシピを完成するまでに何度も試行錯誤を重ねたそうです
(正子)いろんな人にも意見を聞いて2年くらい…。
(ドミニク)えっそんなかかるんだ。
(正子)差し上げるのだったらいくらでもいいんだけれどもお金をもらうためにはきちんと決めてから。
そしてこのジャム作りにはもう一つの理由があります
生のイチゴの時期っていうものは12月から6月までなんで……という事があってそれでジャム作りを覚えて頂いてジャムでそのほかの期間は来て頂けるっていう。
そういう事だったんだ。
あれっ最初のカフェに戻ってきちゃいましたけど…。
(正子)はい。
ここは…
お客さんは静岡県内はもちろん関東地方や名古屋方面からもたくさん来るそうです
(正子)カフェでイチゴたっぷりのメニューを食べて帰りにイチゴを買って帰ってくれたり宅配便を頼んでくれたりっていうそういった相乗効果があって宅配もすごく伸びました。
なのでこれはすごい事だなと思います。
そうですよね。
なるほど。
あれっドミちゃん肝心の「1×2×3=6」についてはどうなったの?えっとそれは…。
先生Helpme!ハハハ…。
さっきの報告の中にちゃんとあったと思うんですけれども…さっきのイチゴ農家の例だと第1次産業というのはイチゴの生産の事。
それから第2次産業というのはジャムのような加工製造の事です。
それから第3次産業というのは生イチゴの販売とかジャムの販売とか農園カフェであるとか…。
そういうような1次産業2次産業3次産業というのを全部組み合わせて経営戦略を立てる事を「1×2×3」で「農業の6次産業化」というんです。
そういう意味だったんだね。
6次産業。
初めて聞いた。
そうする事によって農家さんの経営全体として見た場合には今までよりも効率とか所得を高める事ができると。
そういうふうに考えられてるんですね。
だそうです中田さん。
いや「だそうです」じゃないよ!イチゴ食べに行っただけじゃない。
おいしかったです。
いいなぁ〜。
羨ましいなぁ。
日本の農業が元気を取り戻す方法はほかにもあるんですか?海外から入ってくるものがある訳ですからそういうものとバッティングしないように住み分けを図るっていうのもあると思うんですね。
例えばかぼちゃっていうのはもともと夏の作物という事で冬の間作れる地域っていうのは非常に限られているのでこの間をニュージーランドとかメキシコとかそういう所が埋め合わせていく。
特にニュージーランドっていうのは南半球にありますから…。
逆の気候なんですね。
季節が逆になるという事で。
農業も工業もやり方を変えればまだまだ可能性はあるという事ですか?そうですね。
これからも元気な工業や農業というものが日本に一定の数残っていくという事になると消費者の立場からするといろんな観点からものを選べるようになる。
安いのがいいのか高いのがいいのか選択肢が増えるっていう事になると思います。
それからもちろん日本で暮らしていく人たちにとってのいろんな働く場所が増えるっていう事もあります。
雇用も生まれる。
そうですね。
先生今日はありがとうございました。
さあ今日は日本の工業や農業がどうしたら元気になっていくかというテーマでしたけれども。
1次産業2次3次ってしっかり分けてあるのかなと思ったら今の時代もう分ける必要がないっていうかまとめてそれぞれの良さを出していければいい…。
それが分かりましたね。
ありがとうございます。
という事でこれからも…。
世界中の…。
あんな事…。
こんな事…。
(4人)いっぱい知っちゃおう!日本はかつて国民の多くが農業に携わる農業国でしたが産業構造が変化して世界有数の工業国になりました。
しかし現在農業も工業もかつての勢いはありません。
工業では高品質高精度といった日本が培ってきた技術力を生かしてニーズに対応していく道が模索されています。
農業では生産だけでなく加工や販売をトータルで見て経営戦略を立てる「6次産業化」といった取り組みが進められています。
2015/07/31(金) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 地理「どうする?ニッポン」[字]

人・モノ・情報が地球規模で行き交う現代。国や地域を越え、多様な社会や文化を理解し合うことが不可欠。“世界の今”を読み解く「地理」は、未来を切り開く力となる。

詳細情報
番組内容
海外との競争が激しくなる中、日本の産業はどのような状況に置かれているのか。今回は日本の農業や工業について考えよう! 「どうする?ニッポン〜農林水産&工業〜」 (1)高度経済成長と産業構造の変化 (2)どうする?日本の製造業 (3)どうする?日本の農業
出演者
【講師】東京大学准教授…永田淳嗣,【出演】中田敦彦,山田彩,ドミニク,田中日奈子,【語り】安元洋貴

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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