小さな旅「サンゴの海に育まれ〜徳島県 海陽町〜」 2015.08.01


(テーマ音楽)透き通った海に広がる緑のじゅうたん。
エダミドリイシというサンゴです。
独特の模様のシコロサンゴ。
およそ40種類ものサンゴが息づく豊かな海があります。
入り組んだ海岸線に青い海。
徳島県の南の端にある海陽町です。
一年を通して盛んなのはサーフィン。
波を求めて多くの人が訪れます。
宍地区です。
およそ2,800人が暮らしています。
こんにちは。
遅いね帰るの。
港の市場には近海でとれた魚が並びます。
アオリイカにアジやイワシ。
暮らし支える豊かな恵みです。
競りを見守るのは地元の漁師戎谷清宏さん。
(競りの声)高校を卒業するとすぐ海に出るようになりました。
この日は岸から100mほどの所で素潜り漁です。
狙うのはアワビの仲間トコブシ。
春から夏にかけてが旬。
高値で取り引きされます。
隠れているのは平たい石の下。
戎谷さんトコブシがいそうな場所を見極めます。
多いねやっぱ。
一番いい場所ちゃうかな。
自分はそう思うけどね。
一番トコブシに適しとるし。
僅か5分で40余りとる事ができました。
戎谷さんは妻と娘2人の4人家族。
近くに住む両親と夕食を共にする事もあります。
入れて〜。
はいよ。
(笑い声)パパがとった。
父親の智好さんもベテランの漁師。
しかし1月に脳卒中で倒れて以来海に出ていません。
戎谷さんは高校1年の時父の手ほどきを受け素潜りを始めました。
最初の頃アワビいうのはこんなとこにおるいうの教えるために空のアワビ引っつけおったんや。
「あおった!」って言うてな。
言うさかいな「とってこいよ」って言うたら一生懸命アワビおこしでピョッてやって力いっぱいやったらな殻が飛んでいった。
ハハハ!智好さんのアワビとりの腕は誰もが一目置くほど。
戎谷さんはそんな父に憧れ漁師の道を選んだのです。
たまたま見つけた5枚をとって。
「ようけとった」って帰ってきたらその何十倍もアワビとっとったというんもあって。
最初アワビと会話できるんちゃうんかこの人って正直思たりしたんですよ。
よく遊びますけどやっぱその分働くんで。
まあまあこの辺は自慢ですね。
朝5時。
戎谷さんは定置網漁のため沖に出ていました。
これまで父と二人で漁に出ていた戎谷さん。
今は一人網を上げます。
この日はカツオの仲間であるメジカなどがとれました。
港で待っていたのは智好さん。
魚の仕分けを手伝うのが日課です。
毎朝リハビリ程度にな歩いて見に来たりな。
早う治したいよね。
早う漁に行きたいけんね。
やっぱり漁師やもん。
やっぱり漁師やもん。
(笑い声)漁師になって16年の戎谷さん。
今でも父親が目標です。
漁した時いつも二人で喜び合いよったけんそれが一人になったらやっぱ何か物足りんのでまた一緒に漁がしたいっていう正直言うとそうですね。
こんなん口が裂けても絶対言えませんけど。
一番目標が完全に越すっていう事やね。
越す事はできんかもしれんけど生きとる間に文句一つ言わさんような漁師になるいう事が最終目標です。
宍の海の魅力を伝え続ける人がいます。
ダイビングショップで働く亀井いずみさん。
地元出身で20年以上この海に潜り続けています。
おはようございます。
週末には関西を中心にダイビング客が訪れます。
亀井さんは海底の様子を記した地図で見どころを紹介。
エダミドリイシサンゴっていうサンゴが今たくさんあるのでそれを見て頂いて。
もうそろそろチョウチョウウオの幼魚とかが来てる思うので。
波が穏やかな浅瀬に案内しました。
辺り一面サンゴが広がっていました。
色とりどりの魚たち。
鮮やかな青はソラスズメダイ。
黒に白い帯のクマノミ。
ヒラヒラとチョウのように舞うチョウチョウウオ。
亜熱帯の海の魚も数多く見る事ができます。
(亀井)どうでしたか?サンゴも見ましたちゃんと。
(亀井)チョウチョウウオの赤ちゃんもいましたよね。
いましたね。
いましたねちっちゃいのがね。
かなり感動しましたね。
こんな日本の海でというかこんな近くできれいな所があるというのは。
何回もずっと潜ってたいです。
サンゴの好きな人はサンゴきれいかったねと言ってくれるんで。
楽しかったって言って頂くのがやっぱ一番うれしいですね。
子供の頃海にはあまり興味がなかった亀井さん。
高校卒業後大阪にある大手電機メーカーで働いていました。
そのころ友人に誘われて出かけたのが地元の海でのダイビングでした。
サンゴとかたくさんあってきれいなんですけどもまたそのサンゴの間にいろんなチョウチョウウオの幼魚とかがやって来るんでそういうのがとても魅力的だと思います。
知らない世界をちょっとのぞかせてもらってるみたいな。
ふるさとの海に強く引かれるようになった亀井さん。
25歳で地元に戻りダイビングショップで働くようになったのです。
宍の海を見つめ続ける亀井さん。
10年ほど前から貴重な生き物の生態を記録しています。
体長1mほどのサメシロボシテンジク。
ふだん深い海に住んでいますが春から夏にかけて産卵のためこの海に現れます。
間近に産卵を観察できるのは日本ではここだけと言われています。
亀井さんは珍しいサメの生態を写真に収めホームページで発信。
ふるさとの海をより多くの人に知ってほしいと考えているからです。
潜るのも好きですし魚見るのも好きですしあと写真撮るのも好きですし。
あとやっぱお客様と一緒に潜って話してっていうのもすごい好きなので。
もう毎日楽しいです。
微力ではあるんですけども宍の海っていうのを県外の人に見て頂ける機会を作っていこうとは思っています。
宍には手軽に海の中を見られる観光船があります。
窓越しにサンゴを楽しめると人気です。
船を操るのは地元出身の奥村正俊さん。
サンゴそこに。
この辺全部もうサンゴ礁です。
港を出て7分サンゴを間近に見られる場所に到着しました。
船を止めた奥村さん。
操縦を別の船員に任せ海のガイドに早変わりです。
これ下がシコロサンゴというサンゴですね。
下のハチの巣みたいなキャベツみたいなサンゴこれシコロサンゴ。
これサンゴ。
岩じゃないサンゴ。
軽石がある軽石。
(奥村)軽石じゃないサンゴ。
赤いのがねキンギョハナダイ。
金魚みたいなやつねキンギョハナダイ。
子供にも分かりやすく魚たちを紹介します。
(奥村)青い魚何やった?覚えた?ソラスズメダイ。
(奥村)はい正解。
(奥村)何回も来てくれるお客さんがやっぱ中にはいるんで。
そういう方にやっぱ会えたらうれしいですね。
また来てくれたという感じで。
かなり大事な仕事というかもう誇り持ってやらせてもらってますんでね。
奥村さんは地元の子供たちにも身近な海の大切さを伝えています。
サンゴについて学ぶ小学6年生の特別授業。
ペアの事バディっていうんですけどバディ同士肩持って…。
奥村さんは講師を務めます。
バディ同士がやってよ。
スポーンって抜けたら意味がない。
奥村さんたちが取り組んでいるのは台風などで折れたサンゴを石につけて海に入れ再び根づかせる活動。
10年前から続いています。
この日は8か月前に海に入れたサンゴが成長しているか見に行く事にしました。
近づいていくと…。
(奥村)これみんなが植えたサンゴ。
ほんまや!名札ある。
サンゴあるで。
一つ一つ子供たちの名札がつけられたサンゴ。
2センチほど成長したものもありました。
こんなきれいな所は知りませんでした。
魚もたくさんいてきれいな海ほんま泳ぎがいがあって。
奥村さんは子供たちがふるさとの海に接する機会をできるだけ作っていきたいと言います。
とりあえず見てもらいたいというのがありますね。
自分らの海を自分らで見てもらって自分らがどう感じるかはまだ多分個人の差があると思います。
大人になってもう一回自分らが入った海はどんなやったかなって思い出してくれるような体験というのをしてほしいですね。
いつまでもサンゴの海と共に。

(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2015/08/01(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「サンゴの海に育まれ〜徳島県 海陽町〜」[字]

透き通った海と美しいサンゴが彩る徳島県海陽町。サンゴに魅せられ移り住む人。豊かな恵みをもたらす海で伝統の素潜り漁を受け継ぐ若い世代など、サンゴと暮らす町の物語。

詳細情報
番組内容
色とりどりのサンゴが輝く町があります。徳島県の海陽町。海は透明度が高く、サンゴの種類も豊富で、その美しいサンゴを一目見ようと、多くの人が訪れます。サンゴに魅せられ移り住む人、地元のサンゴの魅力に気づかされ故郷に戻って来た人。サンゴを生む海は、豊かな海の恵みももたらし、若い世代は、伝統の素潜り漁を受け継いでいます。さらに、サンゴの海を守り伝えようとする子どもたちも。サンゴとともにある人々を訪ねます。
出演者
【語り】真下貴

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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