(ナレーション)中村勘三郎さんが描いた大きな夢。
歌舞伎座のきれいなシートの上もいいけど江戸時代の小屋ってこんなじゃないから。
江戸時代の演出にいちばん沿う小屋。
それは勘三郎さんが誰よりも愛した場所。
(勘九郎)あの…改めて思いましたね。
こ〜んな苦しい場所でうちの父は戦ってたんだなっていうのが。
(七之助)やっぱりどうしてもね父がいるっていう感覚の小屋ですねあの小屋はうん。
勘三郎さんがいなくなって時を止めてしまった夢の続きが今年再び幕を開けました。
(拍手)今年4月に行われた記者会見。
今中村屋を背負って立つ2人がその熱い思いを語りました。
この平成中村座というのは父の夢でした。
父が亡くなって七之助とも同じ考えでしたけれども僕たちの夢が平成中村座をもう1回建てたい。
5年前大阪城西の丸庭園に建てられた平成中村座。
その舞台には魂を込めて駆け抜ける勘三郎さんの姿がありました。
そして千穐楽を迎えたあの日。
勘三郎さんはこんな約束をしていたのです。
「俺が還暦になる時に大阪城もう1回やるよ」って言ったそうです。
そして今年が父還暦なんです生きていたら。
だから死してなお約束を守る父をすごいなと思ってます。
今は亡き父・勘三郎さんの夢。
ほら遅いよ上手下手。
そして今その約束を果たすのは勘三郎さんの魂を受け継いだ息子たち。
誰に断って殺しやがった!兄・中村勘九郎。
矢でも鉄砲でも持っちきやがれ。
弟・中村七之助。
2人は父からもらった大きな愛と固い絆を持ってこの舞台に挑みます。
それは勘三郎さんのライフワークだった大切なもの。
始まりは15年前の浅草。
僅か1回の公演のためだけに歌舞伎専用劇場まで建設してしまうという常識を超えた発想。
当時は大きな賭けとも言われました。
しかし勘三郎さんには生涯を懸けて成し遂げたいある思いがあったのです。
歌舞伎座のきれいなシートの上もいいけど江戸時代の小屋ってこんなじゃないから。
江戸時代の演出にいちばん沿う小屋。
これはいいと。
これは歌舞伎の原点だなと。
勘三郎さんが長年抱いていたその熱い思いは今父から子へと受け継がれました。
5年ぶりとなる大阪城での公演。
愛と絆で受け継がれた中村屋の魂。
数々の試練を乗り越え今兄弟でかなえたい父の夢。
いよいよ幕開けです。
(拍手)平成中村座おなじみの顔ぶれが5年ぶりに大阪に帰ってきます。
古典あり舞踊ありと華やかで迫力のある演目をお楽しみいただきます。
お電話おかけ間違いのないように。
勘三郎さんはかつて誰も成しえなかった偉業を次々と成功させてきました。
いや〜うわ〜。
やったね。
その最たるものが…1度目は平成中村座をマンハッタンのど真ん中に建築。
世界のどぎもを抜きました。
しかも演劇の本場に暮らす目の肥えた観客たちもこの熱狂的なスタンディングオベーション。
更にアメリカの有力紙ニューヨークタイムズはこんな劇評を掲載。
すごいね。
「中村座はスパイダーマン2にないスリルを与えてくれる」。
ははは。
そして2度目はなんと…。
(勘三郎)Heissuchaposeur.Nono!Heisametrosexual.
(笑い)通訳を介さずストレートに伝えたいと英語で挑戦。
勘三郎さんは歌舞伎の常識をも塗り替えていきました。
2008年平成中村座はヨーロッパに進出。
ドンドドンドドンドンドドンドドン!
(太鼓の音)演劇にうるさいと言われるドイツの観客たちをも魅了。
そしてルーマニアでは世界有数の国際演劇祭に参加。
オリンピックに来てるみたいな気持ちになるよね。
負けちゃいられないもんね。
その言葉のとおり世界中から集まった350もの舞台の中で観客動員数トップを記録。
平成中村座は言葉の壁を越え世界中から喝采を浴び続けてきたのです。
実現してきたから夢ではなくなってるのかもしれないですけれどもパルテノン神殿の前でもやりたいとかエジプトのピラミッドの前でやりたいとかどんどんどんどん出てくる人だったので。
でも多分ねこれ何年かしたらね実現できてるんですよ恐ろしいかな。
そういうパワーを持った人だったんで。
そんな勘三郎さんにはもう1つ忘れてはいけない大きな仕事がありました。
ふんっぱっすぅ〜っていう。
それは2人の息子を一人前の歌舞伎役者に育てるという事。
親子でありながら師匠と弟子。
父が発するのは容赦のない厳しい言葉。
肩動かせって言うんだよ。
肩を動かせよ肩を。
もっともっとやんなきゃダメ。
全然わかんないそれじゃ。
そうそう。
君ね真面目すぎるんだよ。
瞬間芸だからねこれ。
ぷっ!これはこれは…。
何にも考えてないのにできなきゃダメなんだから。
勘三郎さんは一切の妥協をも許さない人でした。
それが歌舞伎の1つの方法だと思う。
そして忘れられない公演になったのが2010年大阪平成中村座。
ドンドンドドン!
(太鼓の音)驚きの仕掛けがありました。
セットが開くと…。
劇場の外にそびえる本物の大阪城。
かつてないスケールの借景です。
(勘三郎)すごいよ。
大阪城がそこにある。
だからこそできる特別な演出。
勘三郎さんはこの舞台でも新しい歌舞伎に挑戦しました。
(勘三郎)はあ〜っ!しかし勘三郎さんが体調を崩し始めたのも実はこの時。
ホルモンが足りないって事ですか?
(勘三郎)ホルモンが足りない。
勘三郎さんを襲ったいつもと違うひどい疲労感。
そしてこれが大阪城で観る勘三郎さんの最後の姿となってしまったのです。
平成中村座おなじみの顔ぶれが5年ぶりに大阪に帰ってきます。
古典あり舞踊ありと華やかで迫力のある演目をお楽しみいただきます。
お電話おかけ間違いのないように。
(観客)中村屋!2012年12月5日。
父が今朝みまかりまして本当に温かいお言葉ありがとうございます。
父にも言われました。
お前は全力でサポート支えろよと。
本当に前へ進むしかないと思っております。
進まなければ怒られると思います。
そういう父でした。
でございますので頼もしい弟・七之助ならびに中村屋スピリッツを受け継ぎし門弟皆と一所懸命努力精進し切磋琢磨し父がいつも言っておりました。
お客様に少しでも笑顔になっていただく。
お客様を少しでも楽しんでいただくようないい芝居を作り上げる事を約束いたしますれば何とぞいずれも様の温かきご声援また厳しいご叱咤…。
それと父の事を忘れないでください。
(観客)十八代目!お願いを申し上げまするしだいでございます。
(拍手)やっぱり父の夢というのがあの〜中村座でしたので父が逝ってしまって僕ら兄弟の夢っていうのが中村座をもう一度建てたいという事で。
やらなくちゃいけないんだっていうのをうちの兄と別に話さなかったんですけど2人とも共通してました。
ちょっとしてから平成中村座必ず建てたいっていうのは。
いつもそばでたくさんの事を教えてくれた父。
しかしその教えてくれる父はもういません。
思いっ切り投げてバ〜ッ。
でも父の踊る姿も教えてくれた1つ1つの言葉も全て覚えています。
今年4月。
勘三郎さんが愛した芝居小屋が浅草に建てられました。
勘九郎さんは中村屋が代々受け継いできたこの演目に魂を込めました。
勘三郎さんが亡くなったあと多くの人が待ち望んでいた平成中村座。
ココンコココンコココンカン!受け継いでみて気付く事がたくさんありました。
あの…改めて思いましたね。
こ〜んな苦しい場所でうちの父親戦ってたんだなっていうのが。
だから俺も弟がいなかったらできなかったんじゃないかなとは思いますね。
もしお留守かいえ〜。
七之助さんは闘病中の勘三郎さんが「もう一度俺がやりたい」そう言い残したこの演目で持てる限りの力を尽くしてその役に臨みました。
ものじゃなぁ。
やっぱり父がいないっていうのもありますしお客様入るのかなっていう不安もありますし。
大丈夫かなっていうのはありましたね。
お前さん行っちゃいけないよ。
行っちゃいけない!行っちゃいけないよ!
(拍手)ああ〜!2人は父のいない不安を抱えながらも1か月に及ぶこの公演を立派に務め上げ観客は連日満員の大成功を収めました。
(拍手)何よりもやっぱりね感謝しかなかったですねほんとに。
だって僕らの力じゃないんです。
あれは完全に父の力ですし。
あの…。
プレッシャーを感じるのは今後ですね。
あれをやっぱり続けていかなければいけないという。
うん。
ですね。
そしていよいよ今年10月25日から5年ぶりに平成中村座が大阪城西の丸庭園に帰ってきます。
出演は…。
平成中村座おなじみの顔ぶれが集結。
昼の部は七之助さんが初役に挑む「女暫」やユーモアたっぷりな「狐狸狐狸ばなし」など。
夜の部は中村橋之助さん演じる「俊寛」や豊臣秀吉にちなんだ「盲目物語」と今回の大阪平成中村座は選び抜かれた5演目を上演します。
なかでも「狐狸狐狸ばなし」は勘三郎さんが得意とした演目の1つ。
お酒が大好きで浮気相手と一緒になりたい妻・おきわと妻を自分だけのものにしたい夫・伊之助との壮絶なだまし合いをコミカルに描いた楽しいお芝居です。
わあ〜!わしはな…。
ああ〜!いやいやいや!あっあっああ〜…。
またうちの父とは違う扇雀さんの感じが僕は好きで。
うちの父親の爆発的なみんなを笑かすっていうよりもねっとりとしたほんとに女形上がりのねっていうのは扇雀さんの見どころだと思いますんで。
私はそれにねついていって。
そして「盲目物語」は中村屋が代々受け継いできたゆかりある演目。
盲目の主人公・弥市と豊臣秀吉の二役をこれまで勘三郎さんが演じてきました。
それを今回勘九郎さんが初めて挑みます。
殊の外美しいのう。
これは父が本当に大事にしていた祖父も大事にしていた役でう〜ん…。
これは大阪の中村座が出来るって聞いた時に絶対やりたいなと思っていたものです。
最後の場面なんてすごく幻想的なところなんですけれども。
お城をバックにうん。
何かものすごいものが生まれるんじゃないかなっていう期待とわくわく感でいっぱいです。
そして最後にお二人から…いよいよ秋に大阪平成中村座が建ちます。
必ず損はさせません。
観に来てください。
父が魂を込めて演じたあの大阪城の地でまた私たち兄弟ならびにいろいろな役者さんたちが一所懸命舞台を務めますれば何とぞお足をお運びください。
よろしくお願いします。
平成中村座おなじみの顔ぶれが5年ぶりに大阪に帰ってきます。
古典あり舞踊ありと華やかで迫力のある演目をお楽しみいただきます。
お電話おかけ間違いのないように。
2015/08/01(土) 09:55〜10:20
関西テレビ1
大阪平成中村座〜勘三郎との約束〜[字]
2015年秋、『大阪平成中村座』が5年ぶりに大阪城西の丸庭園に帰ってきます。大阪が大好きだった十八世中村勘三郎。彼との約束がついに結実します。
詳細情報
番組内容
江戸時代の芝居小屋さながらの空間で歌舞伎が楽しめる『平成中村座』。
その発案者でもあった十八世中村勘三郎の遺志を受け継ぎ『平成中村座』なじみの役者たちは2014年のニューヨーク公演に続き2015年春には浅草での公演を成功させました。
そのなかには勘三郎さんの息子たち、中村勘九郎と中村七之助の姿もありました。
過去の映像から、親でありながら芸を継承していく役者として、父は子たちに何を伝えたかったのか、
番組内容2
勘三郎さんの溢れんばかりの愛情と歌舞伎への想いが浮き彫りにされていきます。
そんな父の姿を追い続ける勘九郎、七之助。
二人へのインタビューは父から子へリレーされる歌舞伎への情熱、そして2010年・大阪城西の丸庭園での『大阪平成中村座』の時に「また大阪城でやるよ」といった父の約束を引き継ぐ二人の想いをあぶりだしていきます。
出演者
中村勘九郎
中村七之助
ご案内
【大阪平成中村座公式HP】
http://ktv.jp/nakamuraza/
ジャンル :
劇場/公演 – 歌舞伎・古典
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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