今年3月平成の大修理を終えて国宝姫路城が美しい姿を現しました
大修理でふき直した瓦はおよそ7万5千枚
その一端を担ったのが従業員10人の地元の瓦メーカーでした
この会社がこだわったのは手間がかかる伝統の技
50年間色が落ちない…
瓦ばなれが進む日本で次々と瓦メーカーが倒れる中この会社を支えたのは先代から引き継いだ姫路城にかける夢でした
職人は夢を追い続ける社長をどう思っているのでしょうか?
いぶし瓦にこだわる瓦メーカーを取材するのは大阪の絵本作家です
ここ…この何十分で
「いぶし瓦の良さを伝えたい」社長の思いが新製品を生み瓦の可能性が広がろうとしています
すごーい!畏れ多い!
企業でさまざまな夢を抱き働く人々
それぞれの夢を重ね折り合わせて作られる企業の物語に気鋭のクリエーターが迫ります
兵庫県姫路市の山あいに姫路城の大修理に参加した瓦メーカーがあります
山もあって結構静かでいい感じですねなんかねーうんこんなとこで作業できたらええやろうな〜っとまだまあ決めてないですけどきょう見させてもらってちょっと考えようかなと思ってます
谷口さんはヨーロッパで高く評価されている絵本作家
彼のギャラリーカフェには絵本から飛び出たキャラクターがあふれています
瓦メーカーの物語をどう表現してくれるのでしょう?
谷口さんが取材する光洋製瓦はこだわりのいぶし瓦を作る小さな窯元です
まず鬼瓦など特殊な瓦を作る「鬼師」
構井俊一郎さんの作業場をのぞかせてもらいます
あ〜すごい
(構井さん)磨いたらああいう感じに一応なってねお〜!いいですね!下から見てこうあれですかね目線が合うようにとか下向いている感じですかねそういう感じにしてるんですけどあ魔除けですかあシャチも
(谷口さん)あ〜火事除けみたいな
姫路城を望む公園にシャチ瓦のレプリカがあります
作ったのは構井さんのお父さんです
昭和の大修理ではまだ若くて工事に参加できず悔しい思いをしたそうです
そして父の夢を平成の大修理で息子がかなえました
あーそうですかホントこれで何百年…
絵本作家の谷口さんスケッチを始めましたよ
(スタッフ)谷口さんはいはい
(スタッフ)社長来られましたよこんにちはどうもこんにちはすみませんお邪魔してますちょっと今スケッチさせてもらいました…こんな感じで
(社長)あ〜すごいやないですか!雰囲気出てます
(谷口さん)雰囲気とここの手…長年やられてるんでこの手の感じがね結構やっぱり印象的でしたね手の感じ…うんはいはい
光洋製瓦は数多くのお城やお寺の瓦を手がけています
瓦を作るだけではなく工事もすることから感謝状が届くそうです
ギャラリーを見せてもらいます
作っているのは全て渋い光沢の…
まさしく「いぶし銀」です
素焼きですか?
(谷口さん)条件が整ったら自然にっていうか…
窯で焼く最終工程で瓦を燻すことにより表面に炭素膜ができ味わいのある色とつやが生まれるのです
(谷口さん)わかりやすいわ〜ここ…この何十分で
(社長)ありがとう
(笑い声)
いぶし瓦の製造現場を見せてもらいます
この日はお寺の「軒瓦」を作っていました
職人さんが粘土をプレス機で成型しています
(谷口さん)こんにちはこんにちは
(谷口さん)お若いですねいやいや…案外いってるんで
(谷口さん)案外いってます!?
まずは粘土を金型にはめ込みます
(谷口さん)そこで折り曲がるんだ結構軟らかい土になるんでちゃんとここに入れ込まないとそうですね
紋の形が粘土にしっかり写るように押し付けます
中に…もう付け替えるだけで付け替えて
紋の金型は付け替えることができるんですね
年季の入った手動式のプレス機
レバー操作を加減して全体の形を作ります
そして取り出せば軒瓦になっています
お寺の名前もしっかり入りました
仕上げに「磨き」をかけます
省かれることが多くなった工程ですが光洋製瓦では全ての瓦を磨きます
この仕事のやりがいとかってどう感じますか?
粘土を乾燥させてから窯入れです
焼き上げた直後窯の中の酸素を無くすことで「いぶし銀」がのるんです
ほとんどの会社が1日か2日で窯から出しますが光洋製瓦はゆっくり温度を上げ自然に冷ますため4日かかります
右が光洋の4日窯きめの細かさが分かりますよね
こちらのお宅は光洋製瓦に屋根工事を頼みました
光洋のいぶし瓦の値段は一般的な1日窯のモノに比べるとおよそ3倍です
どんな思いで注文したのでしょうか?
北田さんの思いを聞いた建築家は瓦の品質に加え工事まで責任を持ってくれる光洋製瓦を選びました
色は変わりますし次の世代の人が見たときにあ〜丁寧な瓦使ってあるなっていうのは見てほしいわけですよ
4日窯で焼き上げた光洋のいぶし瓦は孫の代まで受け継ぐことができます
その特性を知る職人が瓦をのせる
これが光洋製瓦が100年かけて築いてきた信用なのです
高度成長期には光洋製瓦のある船津地区だけでおよそ40軒の業者が集まり栄えていました
職人さんがそのころでやっぱり何十人もここにいらっしゃったしその人たちの技っていうかそれを私が子どもの時にそばでじーっと見ながら大きくなったんですけど焼けてきた時のいぶし銀のキレイさこれはもう世の中に無いものやなというのはもう体の中にずっと残ってました
洋風の住宅が増え瓦ばなれが進みます
大量生産によるコスト競争で「いぶし瓦」は苦戦します
全国で廃業する瓦屋が後を絶たず光洋製瓦も廃業を考えていました
こんなん絶対せんでええとはいそうだったんですけどね
3人の子どもを育てて専業主婦をしていた笹田社長のもとに父親から「会社をたたむ」と連絡が入ります
笹田社長は夫と2人で跡を継ぎますが結局離婚
1人で頑張ることに
資金もなく経営の経験もなく姫路城への思いだけが心の支えでした
…上げたいという思いがあったんですよ
姫路市にアピールしますところが!
存在を知ってもらうため取り組んだのがモノづくりを体験できる工場への変ぼうでした
産業観光の先駆けとなり姫路市のバックアップも取り付けたのです
(子どもたち)お〜
多くの小学生や観光客が訪れ知名度が上がりました
さらに社員のモチベーションも高まったのです
ふつうの瓦屋やったらすることないのでまあいい刺激になりますけどねエネルギーがありますからね大人ばかりより楽しいです
姫路市へのアピールとなった第一歩が子どもたちの喚声だったのです
…怒られるというか何をやってんねんって…そうじゃなくて…
(笹田社長)そうですね
(笹田社長)ああそうですか
次なる一手は「いぶし瓦」の新しい展開です
インテリアデザイナーから転職してきた奥平さんは「いぶし瓦」を内装材として使うことを考えました
小さく切ったいぶし瓦を組み合わせた…
組み合わせ方によって内装材や雑貨に化けてしまう画期的な製品です
ARAREをいち早く取り入れたのが高さ日本一のビル…
高級レストランが並ぶ14階のエレベーターホールの壁はすべて「ARARE」です
当時は瓦を内装材というか壁材に使うという事自体が斬新なアイデアだったので……っていう2つの面で…
産業観光とインテリア事業の実績が姫路市に存在を示し姫路城の大修理に採用されることになったのです
こうして念願だった姫路城の大修理に参加します
すっかり世代交代していた光洋製瓦の若い職人たちも自信をつけました
忙しくなった光洋製瓦に3年前「ゆうこ食堂」がオープンしました
シェフを務めるのは手が回らない母親の状況を見かねて会社を手伝うようになった長女の裕子さんです
みんなが集まる時はこうやってみんなで食べるカレーとかめっちゃおいしいおぉ〜よかった!
開発室長を務める裕子さん
新たな展開を見据えていました
世界の玄関口関西国際空港のホテルに「ARARE」を使ったアートパネルを採用してもらおうと考えたのです
何とか置いてもらえませんかって
重さ40kgのアートパネルを引っさげてホテルへ営業です
いぶし瓦のよさを世界に知ってもらおうとホテルに持ち込んだパネルの正体は…
ARAREでライオンを描いたモザイクアートでした
日本の玄関口ですので海外の方も来られますし…われわれが目指しているところもまさにそういったことで関西の文化とか…ちょっと偉そうなんですけどわれわれも思ってるんですねせ〜の
どんな具合か試しにロビーへ置いてみます
展示場みたいに使っていただいたらそんなうれしいことが…そんなうれしいことないですね
両者の思いは一致しました
近い将来いぶし瓦のアートが町で見られるかもしれません
取材を終えた谷口さん
何を感じたのでしょうか?
作る工程って結構手作業で1個ずつ作られてんねんな〜っていうのがやっぱいちばんでしたね
取材の合間に描いたスケッチを頼りに谷口さんは光洋製瓦の絵本作りを始めました
瓦を組み合わせた形を絵本に見立てているんですね
色も塗ってどんな絵本が完成するのでしょうか?
おぉ〜!何か乗ってるわ〜!すご〜い!シャチだ!
(谷口さん)こっちは蓮池ですねこっちはご自宅とちょっと煙突をいれて…いいですもうすっと奥にす〜っといく感じでやっぱりアートのくちになっていって…
昔むかし空から唐獅子が言いました
「姫路のお城が光ってへんか?」
シャチが言いました
「これがいぶし銀ちゅうもんや」
瓦の美しさに心を奪われた2匹は播磨の国に住みついたとさ
ここには守護神がいるぞ〜って思ってたんですけどこれでハッキリしました!あの守護神獅子とシャチああいうのが空を飛びながらここのみんなを守ってくれているんやなと思いましただから勇気もらってまた頑張っていこうと思います
光洋製瓦のギャラリーに鎮座する唐獅子とシャチは伝統のいぶし瓦を「阿吽」の呼吸で見守り続けるんだとさ
めでたしめでたし
旬の野菜が大好きな豆助
2015/08/01(土) 12:30〜13:00
テレビ大阪1
日経スペシャル 夢織人 〜小さなトップ企業〜[字]
「いぶし銀を守れ!姫路城天守閣の鬼瓦をつくった瓦屋の執念」▽伝統を守る女社長、親子2代の夢▽半世紀持つ4日瓦とは
詳細情報
番組内容
姫路の伝統的いぶし瓦の会社・光洋製瓦
世代を超えた夢を実現!姫路城天守閣の鬼瓦に賭けた執念▽いぶし銀の4日瓦を守れ▽壁財から美術品まで、瓦屋の新しい挑戦▽瓦で絵本!クリエーターの挑戦
出演者
ナレーション キムラ緑子
絵本作家 谷口智則
音楽
「Cheer Up!」(作詞・作曲)田中雄也
制作
【製作】テレビ大阪 BSジャパン 日経映像
ホームページ
www.tv−osaka.co.jp
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 経済・市況
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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