法医学教室の事件ファイル 2015.08.01


(佐伯智美)キャッ!
(内藤勝の声)最初に殺した女はオッパイの大きな女の子だった。
そうそうそうそうこの子この子。
フフフ…
(内藤)小柄なんだけど胸の形がよくてさ。
ヒヒヒ…。
(内藤)2人目…フフフ…。
2人目は人妻だったなぁ。

(二宮早紀)この人妊娠してる。
2か月に満たないけど間違いない。
(未奈)知ってたんでしょうか…自分が妊娠してるって。
でこの子が3人目だろ。
そして4人目を狙ってる時に…。
(山田恵美)キャッ!こんばんは。

(内藤の声)捕まっちゃったんだよなぁ。
用心してたんだけどな。
マークされてるとは思わなかったよ。
1週ずらして次の水曜日にすればよかったよ。
(二宮一馬)言う事はそれだけか?もう1つ。
今俺の話した話には1つ嘘がありまーす。
さあどんな嘘でしょう!
(大石貴一)貴様!なめてんのか!
(内藤)フフフ…。
(アナウンサー)「横浜の絞殺魔」「水曜日の悪魔」と呼ばれ罪もない3人もの女性を次々と惨殺した内藤勝容疑者が今検察庁へ送検されようとしています。
もう間もなくこちら横浜東警察署の玄関前に姿を現すもようです。
若い女性を絞殺し土に埋めるという残忍な犯行を繰り返した内藤容疑者はどのような表情で姿を現すのでしょうか?
(小池勇樹)かけるか?
(内藤)冗談だろ。
裏口から出るのも嫌で正々堂々と表から出たいって言ったんだよ。
たくさん待ってるんだろ?晴れ舞台なんだよ!
(アナウンサー)あっ!内藤容疑者今出てきました!なんという事でしょうか?反省の色が感じられません。
口元には笑みを浮かべています。
人殺し!
(アナウンサー)なんでしょうか?今なんか赤いもの…。
今投げたの誰だ!コラ!押さえろ!オラッ!いい加減にしろ!
(内藤)お前らにいい事教えてやる!俺はなもう1人殺してるんだ。
3人じゃねえぞ!3人じゃねえぞ!さあ来い!静かにしろ!4人だよ。
4人なんだよコラ!終わってねえからな!人殺し!佐伯さんやめてください。
これ以上近づくとあなたの身柄を拘束しなければならない。
(佐伯和久)警察は悪魔の味方か。
なんであんな男を生かしておくんだ。
奴は10年前にも人を殺している。
その時死刑にしていればうちの娘は殺されずに…!お気持ちはわかります。
しかしあの男の裁きは法に委ねるべきです!1人殺して10年以下2人殺しても無期の時だってある。
そんな法律にうちの娘が…!やめてください。
お願いします。
ナイフでも入ってると思ってるのか?自分は自衛隊の特殊部隊にいた。
無駄な動きはしない。
やる時は必ず仕留める。

(有田光志)主任。
今の確か最初の被害者の父親…。
バカな事を考えなければいいが…。
(村中葉子)もう1人殺してると言ったそうね。
イエース!
(葉子)ふざけないで。
まじめに答えなさい。
言ったんだよ警察でも。
1つ嘘をついてると。
でもさガーガー言うから話してやりたくなくてさ。
実況見分する?死体埋めた場所教えようか?ここだったかな?いや違う。
あっ!ここここ!ここ!アハハハ!見ろ!ここだここだ!なぜあんなふうに笑えるの?人間じゃないわ。
まったくね…。
ここ掘れワンワン!ワンワン!ここに埋めたのは3日水曜日深夜。
間違いないな?だから俺は掃除のバイトが休みの水曜日しか人は殺さないの。
意外と俺って几帳面でしょ?そう思わない?
(内藤)あっ怒った!フフフ…いいねえその怒った顔…ハハハ…!俺さあ熟女も好きなんだよねぇ。
ハハハ…!やめんか。
あともうひと言だけ。
あともうひと言だけ。
俺さほんとはあと50人殺してるんだよね。
(葉子)なんですって?
(内藤)それさゆっくり時間かけて自供するからさその度にあんたも来なよ。
(内藤)ねっ!ねっ!いい加減にしろ!痛い痛い痛い痛い…!離してよ!暴力反対だよ。
あんたとも長い付き合いになるんだからさ仲良くいこうよ。
半年に1人ずつ自供して50人だから25年…。
あっ!俺拘置所で還暦迎えちゃうかもしれないよ。
アハハ…!主任!翔子ちゃん…?翔子ちゃん!知ってるのか?うちの大学病院で働いてた看護師さん…。
あなたなんて事したの?最低よ!人間の皮をかぶった悪魔!よせ!ありがとう。

(平松翔子)二宮先生のお仕事ってすごいと思います。
亡くなった方の最後の声を聞いてあげるんだから。
尊敬してます。
ほんと?はい!
(2人)アハハ…。
(鼻をすする音)
(桑田)先生。
ごめん。
大丈夫。
頭頂部に裂傷。
何かで叩かれて出来た傷ね。
かなり脳挫傷がありそうね。
それが致命傷かも…。
(未奈)でも変ですよね。
発見された時の状態はこれまでの3体と同じブルーシートにくるまれ土の中。
なんでこの遺体だけ頭部に裂傷が…。
それだけ抵抗したのね。
何かしら?この打撲痕。
おかしな形ね。
ちょっと薄いけど扼殺痕?爪の跡もある。
んっ?ちょっと待って。
舌骨が折れてない…?
(桑田)でも内藤が殺した3人は首を絞められての窒息死。
だから3人とも舌骨が折れて…。
調べて。
この扼殺痕に生活反応があるかどうか。
わかりました。
じゃあ…。
黙祷。
始めます。
1280。
死因はこれね。
頭頂部左の裂傷を伴う打撲による脳挫傷。
生活反応がない?ええ。
首のこの扼殺痕には生活反応がなかった。
つまり殺害したあとで首を絞めた跡をつけた事になる。
変だと思わない?死因も脳挫傷だったし。
うん。
だがそれ以外は全て同じだろ。
拉致し乱暴する。
そして扼殺しブルーシートに包んで山の中に埋める。
何よりあそこに死体が埋まってると内藤自身が自白したんだ。
問題ないだろ。
うん…。
でもどうしてわざわざ扼殺痕なんて…。
早紀。
うん?いいか?そうやって死因を変えたりわざわざ扼殺痕をつけたり奴の手かもしれんぞ。
あとで犯行を否認し裁判を長引かせるためのな。
確かに。
あの殺人鬼ならそれぐらいの事をするかもしれない。
もちろん他に50人殺したなんてハッタリだと俺たちは思っている。
しかし生き延びるためだったら何をするかわからん奴だ。
感じたわ私も。
あの目を見た時…。
ありがとう。
で翔子さんのご家族には?夫から捜索願が出ていた。
今頃大石たちが知らせに行ってるだろう。
(平松郁夫)翔子が?そんな…。
ご愁傷さまです。
こんな事お義兄さんが聞いたらなんて…。
(山崎淳一)懸垂降下始め!降下地点確認!
(車の走行音)続けといてくれ。
はい。
二宮警部お久しぶりです。
また何かレスキューの依頼ですか?いやそうじゃないんだ。
平松郁夫さんから聞いたが翔子さんは君の妹か?そうですが…。
えっ妹が何か?
(泣き声)義兄さん…。
(翔子)お兄ちゃーん!お兄ちゃーん!なぜ言わなかった?翔子が行方不明で捜索願が出てるってなんで俺に言わなかった?心配かけたくないと思って。
それに戻ってきたらどこ行ってたんだってまたお義兄さん翔子を怒るんじゃないかと思って…。
俺のたった1人の妹だぞ!やめろ!お前がちゃんとしてないからいけないんだ!翔子をキャバクラで働かせやがって!あれは翔子が勝手に…。
うるさい!やめてください!お二人がここでケンカをすれば悲しむのは翔子さんでしょ?悪いのは翔子さんをこんな目に遭わせた…犯人でしょ?
(泣き声)翔子!
(山崎)翔子…。
(山崎)翔子…。
これ翔子さんの送別会の時に写した写真です。
私は監察医ですから看護師の翔子さんと仕事で一緒になる事はないんですけどお昼休みに中庭でお弁当を食べる時によく一緒になって…。
いろんな話をしました。
思いやりがあって大好きでした。
どうぞこの写真お持ちください。
ありがとうございます。
でも翔子さん介護の仕事をするためにこの病院を辞めたんですよね?
(ため息)その仕事どうして?介護の仕事にあんなに情熱持ってたのに…。
わからないんです。
私にも…。
だから…。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
翔子。
お兄ちゃん。
話がある。
お前なんでホーム辞めたんだ?ごめん。
私の事はほっといて。
(山崎の声)妹にはきっと何か金を作らなければならない事情があったんだと思います。
(内藤)うーん…。
言ってしまうか…。
それともやめるか?
(内藤)うっ…!警察からかってるのか?そんな事してなんの得になるんだよ?あれは俺の殺した女じゃない!警部さんあとはあんたがそれを信じるかどうかだ!お邪魔しましたー!愛介よく考えてね。
じゃあね愛介。
バイバーイ。
あっ!愛介君のお母様ですよね。
初めまして。
私たち愛介君の高校の同級生です。
わあ〜愛介のお母さん美人!若いしそれに素敵!はいはい。
お世辞でも嬉しいわ。
愛介に何か?お母様からも愛介君にプッシュしてください。
選ばれた事は名誉な事なんです。
選ばれたって何に?愛介!愛介聞いたわよ!ねえあなた学校で男子学生ナンバーワンに選ばれたんですって?おめでとう!
(七海)そうなのよ!だけどさこの子全然喜ばなくて。
(二宮愛介)喜べるわけないだろ。
うちの学校は女子の人気ナンバーワンに選ばれた生徒は演劇部と協力して『ロミオとジュリエット』のロミオをやらなきゃいけないっていう伝統なんだよ。
いいじゃないの!『ロミオとジュリエット』のロミオだなんてもう素敵じゃないの!あっ!あの時…セリフ言えなくなって…。
(七海)オシッコ漏らし?だから嫌なんだよお芝居なんて。
この歳でそんな事になったら格好悪いだろ。
この歳でそんな事になったらねぇそりゃまあ…。
フフフ…!アハハハ…!オホホホホ…!ちょっとおばさま。
オーッホッホッホ!愛介あなたついてるわね。
一体私を誰だと思ってるの?誰って七海おばさんじゃん。
まあ一見するとそう見えるわよね。
しかしてその実態は女子校時代はオードリー・ヘップバーンの再来と言われ静岡清林学園の演劇部を県大会優勝にまで導いた世紀のマドンナ望月七海。
「すみれの花咲くころ」おばさま!うん?それタカラジェンヌでしょ?オードリー・ヘップバーンとごっちゃになってます。
いいのよそんな細かい事は。
ただ今決定いたしました。
二宮愛介君は私の指導によりロミオに挑戦します〜!ちょっとおばさん何勝手に。
やがてあなたも結婚して子供が生まれる。
その子が幼稚園の学芸会に出る時そんなの出なくていい!やだなんで〜?二宮家の家訓だ!やだやだそんなのやだ!僕出る!うるさいバシーッ!と頑ななまでに反対するあなたで。
うん?それで子供の心が歪まないと思う?そんな先の事まで考えてはないよ。
確かにトラウマだったら早いうちに解消しといた方がいいわ。
母さんまでそんな無責任な…。
ただいま。
帰ってきた。
あなたー!愛介がロミオを…。
そういう気分じゃない。
あなた…。
何かあったの?内藤が翔子さんを殺したのは自分じゃないと言い出した。
ええっ?埋めた場所に間違いないが死体が入れ替わってると。
なんですって?思ったとおりだ。
奴は捜査を混乱させ少しでも長く生き延びるつもりだ。
でももし言ってる事が本当だったとしたら?何言ってるんだ!いいか?内藤の部屋からは翔子さんの財布も発見されご主人の平松さんも妻のものに間違いないと認めてるんだ。
(平松)間違いありません。
妻のです。
翔子さんの首に残っていた扼殺痕には生活反応がなかった。
あれは殺されたあとでわざわざつけられたものだった。
もし内藤が犯人だったとしたらどうしてそんな事したの?おかしいと思わない?だからそれは捜査を混乱させるためだ。
法医学者として私も気になるのよ!ねえやるんでしょ実況見分。
私も同行させて。
お願い。
ダメだ!3日の夜俺はここに車を停めてたんだ。
カップルがあの回転寿司から出てきていさかいを始め別れて別に帰ってくのが見えた。

(内藤の声)そして俺はその女を襲い車に連れ込んだ。
(内藤)水曜日は注意してね。
(内藤の声)歳の頃は27〜28かな。
ヘヘヘ…。
髪の長いいい女でさ赤い革のスカートがすっごく似合ってた。
フフフ…!連れて行け。
主任。
もう一度平松翔子さんの生前の写真を見せたんですが従業員が誰一人見た事がないと。
ご主人の平松さんもこの店には来た事がないと言ってるんですよ。
それに翔子さんの胃の内容物にお寿司はなかった。
パーッ!
(内藤)それでよこの林に来て…。
あああの木の根っこのところに埋めたんだよなぁ。
監察医の先生死体の顔って変化するのか?聞いてんだから答えてくれよ!美人先生!するわよもちろん。
腐敗が進むから。
でもここの土は比較的砂が多くて乾燥してたから腐敗は進まなかった。
やっぱり俺が丁寧にブルーシートにくるんでたのもよかったんだろうなぁ。
でもあそこの木にほんとに埋めたんだけどなぁ。
(内藤)イタタタタ…痛い痛い痛い…。
あっ!先生!これ見てよ!何だろうこれ?先生!先生ほら見て見て!見てよ早く!うわっ!あっ…!動くな!動くなと言ったのが聞こえなかったのか!この美人先生の頚動脈にこいつを突き刺すぞ!内藤!そんな事をしても逃げられんぞ!やってみなきゃわかんねえだろ!どのみち死刑になるんだ。
でもその前に女の色香をもう一度味わいたくてさ…。
キャーッ!貴様…!やめて!キャーッ!ああっ…!危ない!伏せろ!
(銃声)
(内藤)ううっ…!早紀!大丈夫か?ええ私は大丈夫。
頼む!はい!すぐに救急車!
(大石)はい!もっと布を!ハンカチでもなんでもいいから!撃ってきたのはここの2階だ。
周りを調べろ!小池!佐伯さん…。
言ったはずだ。
狙った以上は必ず仕留めると。
やめてください。
ライフルを置いてください。
もういい。
終わった。
自分は娘のところへ行く。
やめろ!
(銃声)
(救急車のサイレン)ダメ!話さないで!俺は…50人なんて殺してない。
いいから黙って!
(内藤)嘘だ。
本当にあの平松翔子という女を殺してはいない…。
うっ…!しっかり!しっかりして!
(葉子)一体なんなのこれは?まるで私たちが佐伯なにがしの復讐を黙認してたかのように書かれてるじゃないの!申し訳ありません。
こういう事態を引き起こしてしまった全ての責任は私にあります。
(安東篤)謝って済むもんじゃないですよ。
ひっきりなしに地検には抗議の電話がかかってくるし。
お前たちが殺させたんじゃないかって。
…かと思うとよくやったあんな奴は死なせて正解だって。
とにかくこの責任をどう取るかよ!進退伺を署長に出しました。
どのような処分も受けるつもりです。
検事主任はずっと佐伯和久の家へ足を運び復讐などというバカな事はしないようにとずっと説得していたんです!聞いた。
彼の遺書にもあったそうね。
警察や検察特に二宮さんには責任はないと。
これは日本の裁判制度に対する私自身の怒りだと。
佐伯和久は1人殺しただけでは死刑にはならないというそういう裁判のあり方にひどく腹を立てていました。
でもこの法治国家で復讐という事をやらせてしまった。
この責任は重いですよ。
わかってるんでしょうね。
二宮警部。
もちろんです。
わかってます。
(刑事たち)主任!
(佐伯)言ってましたか?うちの智美は。
犯人が逮捕されてよかったって。
これであなたたちの仕事は終わったかもしれない。
でもね娘を失った親の悲しみはずーっと続くんです。
今日はね智美の誕生日だった。
女房に死なれて14年。
ずっと男手ひとつで育ててきて…。
でもあの子は25歳を迎えられなかった。
あなた。
どうした?進退伺の事聞いた。
事件が全て終わってからだろ。
結論が出るのは。
とは言っても被疑者死亡で片が付くのもじきだ。
その事なんだけどやっぱり私翔子さんを殺したのは内藤じゃないような気がするのよ。
何?回転寿司から出てきたところを襲ったとかほら赤い革のスカートを履いてたとか供述の内容がすごく詳しかったでしょ?それに何より翔子さんの胃の中にはお寿司は含まれてなかった。
それに生活反応のない扼殺痕も変よ。
3人もの人間を殺し反省しなかった奴がそれでも4人目を殺していない…そう言うのか?違うわ。
どこかで誰かを殺したかもしれない。
でも翔子さんを殺したのは…。
もういい。
聞いて!内藤勝が翔子さんを殺してないとしたら翔子さんを殺した犯人は別にいる事になる。
その犯人は内藤が殺した4人目の遺体をどこかへ隠し翔子さんの遺体をその場所に埋めた…。
許せる?こんな事。
人を人とも思わない命を命とも思わない…。
そんな人間を野放しにしとくわけにはいかないでしょ!俺は内藤を許さない。
もちろん私も内藤は許さない。
でも今大切なのは私たちの感情じゃない。
真実でしょ?真実は奴が殺人鬼という事だ!奴の話す事は全部でたらめだ。
信じるお前がどうかしてる。
私は内藤を信じてるんじゃない…。
法医学を信じてるの。
頭頂部に致命傷を負わせておいて偽装のために扼殺痕をつける…。
そんな卑劣な犯罪者に騙されたくないのよ。
見解の相違だ…。
だがお前の考えは参考にしておく。
いい?証拠を見つけるのよ。
翔子さんを殺したのが内藤じゃないという証拠をなんとしても。
(永岡)なんか変ですよね。
殺人鬼が犯人じゃないっていうのを証明するっていうのは…。
そういう先入観が真実を見る目を曇らせるの。
まずこの裂傷。
この裂傷を負わせた凶器はなんなのか。
そしてこの奇妙な形の打撲痕はなんで出来たものなのか割り出すのよ。
始めて。
(一同)はい。
(永岡)これは…?ダメだな。
こっちはどうだ…?
(未奈)この打撲痕…。
こう何かでたたかれこう倒れたんだから…違うか…。
あっあったあった!先生!ここどうですか?ここ。
これ…?合うわね。
よし!それで出来た!先生!不肖永岡別名実験君が今回は自ら実験を指導し内藤の犯行ではない事を証明してみせます。
やるぞ!まず平松翔子さんの頭頂部にあったこの裂傷。
これにほぼ一致する鈍器がこの剣皿です。
そして内藤勝の身長は175センチ平松翔子さんは166センチなのでその身長差は大体ここにいる桑田と未奈ちゃんと同じです。
じゃあこれ持って。
桑田君これで未奈ちゃんの頭頂部にこれと同じ傷が出来るような角度で殴る真似をしてみて。
はい。
じゃあ…。
いきます。
えーいっ!
(永岡)これだと傷の位置が違います。
頭頂部ではありません。
ほら傷の…傷の位置がここなんですよ。
でも写真だとここなんですよ。
位置が全然違います。
じゃあ桑田君今度は写真と同じようにここを狙って出来るかやってみて。
はい。
ここですよね?そうすると…えいっ!ってなるとここは当たるんですけど前の部分が当たらない…。
ちょっとアゴアゴ…。
そうするとここ上げてると…。
いやこれ当てようとしたら僕背伸びしなきゃいけないしこんな無理な体勢じゃ無理ですよ。
無理だよね?無理だよね?ほら!こういう事ですよ。
内藤勝が平松翔子さんの頭を傷つけるには相当無理な体勢をとらないとダメなんですよ。
チッチッチッ…。
えっ?それが内藤が翔子さんを殺したんじゃないっていう証拠なの?いやちょっ…。
もちろん他にもねほら…これまで3件の犯行はクロロホルムを使ってじゃあなぜ今回だけ鈍器で頭を…。
そのクロロホルムは内藤が病院で掃除のアルバイトをしていた時に盗んだものだそうよ。
そして内藤のアパートからクロロホルムの空き瓶が発見された。
つまり手持ちのクロロホルムがなくなったから鈍器でたたいて気絶させようとした。
そしてその結果気絶ではなく死なせてしまった…。
…って言われたら反論のしようがないでしょ?待ってくださいよ。
でも身長差はどうなんですか?内藤勝の犯行だとしたら不自然な体勢だし…。
それだってこうすればいいわけでしょ?まず翔子さんを突き飛ばして逃げようとするところをこう…。
(桑田)ほぼ一致します。
(永岡)ああそうだそうか…。
低くなればいいのか。
(ため息)こうなったら何か別の方法で内藤が犯人じゃないと証明するしかないわね。
(未奈・永岡)よいしょ。
忘れ物ないわね?全部積んだ?
(永岡)はい。
はいじゃあ行くわよ。
(山崎)先生!山崎さん!?刑事さんたちが話してるの聞きました。
翔子を殺したのは内藤勝じゃない。
先生がそう言ってるって…。
(山崎)ほんとですか?それ…。
いっ…いやあの…そういう考え方もあるかもしれないなっていうだけで別に深い根拠があったわけでは…。
えっ?でも自信たっぷりだったじゃないですか先生…だから探すんだって…。
余計な事ばっかり言って!探すって何を…?いいえなんでもないんです。
ちょっと法医学的な資料を。
行くわよ。
すいません時間がないんで。
まったくもう!翔子さんの遺族なのよ山崎さんは。
うかつな事言って変な考え持たれたらどうするの?すいません…。
変な考えって復讐…?山崎さんにはライフルで死んだ佐伯さんのような真似してほしくないの。
翔子さんを殺したのが内藤じゃないとするとその犯人は内藤が殺害して埋めた遺体を掘り起こして翔子さんの遺体と入れ替えた可能性があるの。
(永岡)なんのためにですか?
(桑田)まだ言ってる…。
だからそうしておけばもし遺体が発見されたとしても平松翔子さん殺しは内藤の犯行だって事になるでしょ?つまり殺人鬼の上前をはねた人間がいたっていう事。
おそらくその犯人は新聞やニュースで水曜日の悪魔の犯行や特徴を知ってたんでしょうね。
(桑田)だからブルーシートに包んで遺体を埋めている内藤を見た時にこの男が水曜日の悪魔だと気づいた。
そしてその遺体を物のように扱った人間は内藤が殺害して埋めた遺体と翔子さんの遺体を入れ替えた。
おそらくもう1つの遺体はそう遠くには運んでないと思うのよ。
遺体を遠くに運べばそれだけ目撃されるリスクが高くなるから。
で先生の予想ではこの雑木林周辺に埋めたと…。
そういう事。
だからその遺体を探すの。
始めるわよ。
土の掘り返した跡のあるとこあるとこ…。
あれっ?違うか…。
ハァ…ダメですね先生。
やっぱ無理ですよこんな広いところたった4人で探すなんて…。
確かに広いわよね。
やっぱり無理なのかな…。
無理ですよ。
なあ?そんな事ないですよ!もう少し頑張ったらきっと…。
おうおうやる気だね未奈ちゃん。
だって私とそんなに歳の変わらない女性がこんなところに埋められてるんですよ。
それ想像したらやっぱり…。
(未奈の悲鳴)未奈ちゃん!
(未奈の悲鳴)
(うめき声)
(永岡)未奈ちゃん大丈夫か?
(桑田)未奈ちゃん!未奈ちゃん!
(永岡・桑田)あああ…!危ない!ダメですよ先生。
先生まで落ちちゃう。
誰か人を呼んでこないと。
未奈ちゃん!どうしました?山崎さん!どうして?動かないでください!今助けますから!ロープ持ってきます。
未奈ちゃん!大丈夫?未奈ちゃん!
(桑田)未奈ちゃん!
(永岡)しっかり!
(永岡)未奈ちゃーん!
(桑田)大丈夫か?未奈ちゃん!お願いします。
はい。
あの木を利用して救助します。
はい…。
未奈ちゃん!
(桑田)未奈ちゃんしっかりね!しっかりするんだよ!大丈夫?未奈ちゃん!足が…足が痛い…。
今助けにいってもらうから!じゃああなた一番体力ありそうだからしっかりと腰を入れてそのロープ確保して。
(山崎)もう1人のあなたはそれを補助して。
じゃあいきます。
お願いします。
大丈夫ですか?立てますか?
(未奈)足が…。
わかりました私につかまって。
(山崎)よいしょ。
(山崎)もう大丈夫。
要救助者確保!ゆっくりとロープを引き上げてください!はい引きます!せーの!
(2人)よいしょ…!よいしょ…!
(未奈)ああっ…。
(山崎)ゆっくりと!無理しないで落ち着いて。
ゆっくりねゆっくり!気をつけて…。
未奈ちゃん大丈夫!?未奈ちゃん大丈夫?大丈夫です。
すいませんなんてお礼を言ったらいいか。
昨日の夜半に雨が降ったみたいですし地盤が緩んでたんでしょう。
でも大したケガがなくて何よりです。
はい。
ちょっとあんたたちここ手伝ってあげてね。
未奈ちゃん大丈夫?歩ける?すいません…。
もうこのツタ…!これ…。
どうしてここだけ色が違うの?人間の体は酸性…。
まさか!桑田君永岡君ここ掘って!色の変わった葉っぱの下を掘って!はい…。

(桑田)あれ?
(桑田)先生!
(内藤)歳の頃は27〜28かな。
(内藤)赤い革のスカートがすっごく似合ってた。

(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)当たってほしくない予想だったわ…。
人を殺しておいて自分の身を守るためにその遺体を利用するなんて…。
私絶対に許せない。
始めてくれ。
舌骨が折れてる。
扼殺死に間違いないわ。
念のためこの扼殺痕の生活反応調べて。
(桑田)はい。
胃の内容物は…タコね。
これは…イカ。
(未奈)やっぱりお寿司を食べて…。
消化が始まる前に殺害されたのね。
カップルがあの回転寿司から出てきていさかいを始め別れて別に帰ってくのが見えた。
(有田)ダメですよ村田さん!
(有田)村田さんダメです!被害者の婚約者の村田さんです。
おつらいでしょうが今は会わないであげてください。
彼女はこんな姿愛する人に見せたくないはずですから。
お願いします。
続けましょう。
(桑田)はい。
(村田克行)彼女と結婚するつもりでした。
式場も申し込み日取りも決まっていました。
でもお色直しの回数でこの日口ゲンカになり…。
待て落ち着けよ!
(渡辺悠子)…4回がいい。
なんで4回もやる必要あるの?
(村田の声)あの時僕がすぐ折れればよかった…。
そうすれば悠子はこんな事に…。
(アナウンス)「お呼び出しを致します…」山崎さん…。
かわいそうですねあの人は。
敵を討ちたくても彼女を殺した内藤勝は既にこの世にはいない。
でも俺は違う。
違う?犯人の目星がついたんです。
一緒に来てください先生。
お願いします。
犯人の目星?はい。
ここ…確か翔子さんがうちの大学病院を辞めて勤めた…。
介護施設です。
妹はここの職員の平松と結婚して奴の勧めでここに移って…。
でもここも3か月前に辞めてキャバクラで働き始めたんです。
(東田喜久江)ハツさん今日で四十九日ばい。
(喜久江)みんなこうしてまた集まってあんたの話ばすっけんね。
(柳田徳郎)あっあなたは確か…。
ここの看護師だった平松翔子の兄です。
平松いますか?ああ平松君なら確か隅田さんの部屋に。
106号室です。
ありがとうございます。
急用なんで失礼します。
(柳田冬美)なんなの?あれ。
いやわからん…。
(平松)「みせてくれると」ねえおじいちゃんこれなんていう字?
(隅田一郎)嬉しいけど。
ああ嬉しいけどね。
「嬉しいけど」すまないねえ下手な字だから…。
(ノック)
(隅田)はい。
(平松)お義兄さん…。
ちょっと待っててください。
これもう少しで打ち終わりますから。
「じゃあ待ってるよ」じゃあおじいちゃんあとでプリントして渡すから。
ああありがとう。
助かったよ。
でもどうしたんです?監察医の先生まで一緒で。
あっ何するんですか?お義兄さん。
先生!こいつの手を調べてください。
こいつの手が翔子の首を絞めた手の跡と同じかどうか。
なんなら写真撮ってもいい。
メジャーも持ってきてます。
(平松)やめてください!無理よ山崎さん…。
翔子さんの首に残っていた指の跡はそれほど特徴的なものじゃなかった。
そこから犯人を割り出すのはとても無理です。
そんな…。
お義兄さんわかるように説明してください。
何があったっていうんです?翔子はあの内藤勝に殺されたんじゃ…。
違う!翔子を殺した犯人は別にいる。
えっ?嘘でしょ?警察からはまだ何も…。
警察はきちんと結論が出てから話すつもりなんでしょう。
私の口からはそれ以上は…。
(平松)じゃあ誰なんです?翔子を殺したのは。
お前だ。
何言ってるんです?いくら義兄さんでもね言っていい事と悪い事がある。
怒りますよ俺。
翔子はお前と別れたがってた。
それを知ったお前が…。
お前はギャンブルが好きでかなりの借金を作っていたよな。
そりゃやりますよギャンブルぐらい。
でもねそれは月々自分でちゃんと返してたんです。
翔子の金なんかあてにしてませんよ。
あいつとの別れ話なんてなかった。
そんな事で人殺し呼ばわり…。
じゃあ言いますけどね怪しいのならお義兄さんの方が怪しいんじゃないですか?お義兄さんどうしてもキャバクラを辞めない翔子にカッとなって…。
なんだと!?貴様!山崎さん落ち着いて。
(冬美)やめなさい!あなたたちここをどこだと思ってるんですか?お年寄りが静かに時を過ごす介護ホームですよ。
それを殺しだのなんだの気味の悪い事ばかり。
不謹慎です。
ここから出ていってください。
すいません申し訳ありません。
さあ山崎さんねっ。
すいません…。
気持ちはわかります。
でも犯人捜しは警察に任せた方が…。
たった2人の兄妹なんです。
早くに両親を亡くしてしまい長崎にいる祖母に育てられでもその祖母が亡くなってしまうと今度は親戚中をたらい回しにされて…。
あの頃よく言ってました。
お前の事は何があっても俺が絶対守ってやるって…。
(翔子の泣き声)
(山崎)泣くな翔子。
お兄ちゃんがおるやろ。
俺がお前を絶対守ってやる。
いつもそばにおるけん。
大丈夫やけん。
それなのに守ってやれなかった。
俺の責任なんです。
俺がずっとそばにいてやればあんな事には…。
山崎さん…。
そりゃ復讐なんかしちゃいけないって事はよくわかってます。
ですが先生もし先生のお子さんが同じように理不尽な形で殺されたとしたら先生どうされますか?今一瞬考えましたよね?それが答えなんじゃないんですか?誰だって同じ事が自分の身にふりかかったら復讐したいって思ってる。
でも犯罪者になるのが怖くてそれが出来ないだけなんです。
それを警察に委ねた方がいいとか法で裁いた方がいいとかそういった言葉でごまかしてる。
でも俺は違う。
俺は…この手で必ず敵を討つ。
でも翔子さんはあなたがそんな事して喜ぶかしら?ありがとうって言うかしら…。
言わない…。
死んでるんです翔子は。
殺されたんです。
殺されて埋められて…。
先生翔子を殺した犯人死刑になりますか?初犯だったら7年で出てくるかもしれませんよね?その人間は翔子を殺した事を一生悔いてくれますか?そんな事はない。
10年も経てばそいつはまた笑って社会に復帰してくるんですよ。
俺は平松の罪を暴きます。
なんとしても暴きます。
それが俺の最後の務めなんです。
翔子にしてやれる事なんです。
それしかないんです。
山崎さん…。
あなた…。
連絡を受けてな。
レスキュー隊に休暇願出したそうだな。
山崎復讐なんか考えないでくれ。
頼む。
失礼します。
山崎!なんとしても山崎さんより早く犯人を見つけないと。
翔子さんを殺した犯人を…。
わかってる。
おお〜きたきた!きたきた!ほらっ!
(山崎)お前でかしたなあ!お兄ちゃんやった!もう!のんびりお茶してる場合じゃないわよ。
翔子さんのこの打撲痕なんで出来たか調べて早く!大至急!平松翔子の周辺を徹底的に洗え。
交友関係怨恨どんなささいな事も見逃すな。
了解。
翔子?あああの子…。
付き合いも悪くってさお金にもシビアだったし。
男にでも貢いでたんじゃないの?男?男に貢いでた?
(木村好美)男!?あの翔子ちゃんに?いないわよそんなの。
ねえ?姉さん。
(木村康子)うんまじめな子だったからねえ。
平松さんの夫婦の仲はどうだったんですか?ケンカとかそういう事は?なんでそんな事訊くの?だって翔子ちゃんあの内藤とかいう殺人鬼に殺されたんじゃないの?これよこれ!翔子ちゃん…殺人鬼じゃない別の人間に殺されたみたい。
(好美)「雑木林に別の遺体」
(好美)「新たな犯人の可能性」「水曜日の悪魔の犯行に見せかけ殺害か」…ってこれ本当なの?刑事さん。
ダメですね一致するものはありませんよ…。
これだけやったのに…。
ですよね。
もう音を上げたの?未奈ちゃんあなた言ってたわよね?自分と同じ年頃の人たちが殺されてひとごととは思えないって。
あれ嘘だったの?いえ嘘では…。
この犯人は内藤勝という悪魔の犯行を利用して自分が殺した翔子さんの遺体を内藤が殺した遺体と入れ替えて埋めた。
そんなひどい事したのよ。
自分の家族が…愛する人が同じ目に遭ったらどう思う?自分は娘のところへ行く。
俺は…敵を討つ。
私たちは遺族の気持ちになって戦うべきだと思う。
こんな卑劣な犯人は許せない。
絶対許しちゃいけない。
死者の最後の声を聞く…それが私たちの仕事でしょ?すいません。
もうちょっと何かないか日用品や家具からも探してみます。

(桑田)違うか…。
(未奈)あっ…!先生これ…。
コンセントにつけるタップね。
合うわ!実験君お願い。
はい!タップをここに置きます。
で犯人がこう殴る。
(永岡)うわっ!で翔子さんはこう倒れああーっ!
(未奈)ちょっと…。
(未奈)先生ほぼ一致します!コンセントにつけるコーナータップか…。
つまりここから想像出来るのは翔子さんは室内それもコンセントにコーナータップをつけるようなごく普通の部屋で殺害された。
主任!平松がにおいます。
平松翔子は夫を受取人にした3000万の保険に入っています。
(小池)奴にはギャンブルで作った借金も残ってるようですし。
それ目当てに。
いや保険金が目当てなら内藤勝の犯行に見せかけるのはおかしいんじゃないのか?内藤の犯行がいつ発覚するかわからないんだから保険金だっていつ入るか。
あそっか…。
でも石さんこういうふうには考えられませんか。
内藤勝が第1第2第3の犯行を行いこの3人をブルーシートにくるんで続けざまに発見され水曜日の悪魔だと新聞をにぎわした。
だから二宮先生が言うように平松翔子さんを殺害した犯人もあの雑木林で遺体を埋めてる内藤を目撃したら「あっ水曜日の悪魔だ。
横浜の絞殺魔だ」と思いますよね。
そこで犯人は考えた。
確かに保険金を手に入れるのが目的だけどこの遺体を入れ替えれば確実に内藤の犯行という事になる。
誰も内藤の言う事は信じないに決まってる。
というわけで平松郁夫の犯人という説が成り立つんじゃないですか。
ありえない話じゃないな。
あなた平松郁夫の家のコーナータップを調べて。
これだけの衝撃が加わったあとだから壊れている可能性もあるわ。
わかった。
(大石)翔子さんが亡くなった3日の夜あなたはどちらに?介護ホームの仕事を終えて7時にはここに帰りました。
ちょうど翔子が店に出かけるところでその事で少しケンカを…。
(大石)ケンカの原因は?キャバクラを辞めてうちの施設に戻ってきてほしかったんです。
でも翔子はもう戻らないと…。
こういう事を訊くのはなんですが奥さんの翔子さんが特に親しくしていた男性に心当たりは?いたんですか?そんな男が翔子に。
あそういえばお隣の木村さんが前に言ってたな。
翔子が男の人と歩いていたのを見たって。
(大石)男と?ええ。
もしあれだったらお隣に訊いてください。
あの2人だったら何か知ってるかもしれない。
ところで…。
あのコーナータップずいぶん新しい。
ほこりも汚れもついてませんが。
いや別に…。
新しいのかな?わかりません。
そういうの買うのは全て翔子に任せていましたから。
(携帯電話)
(平松)あすいません。
(携帯電話)はいもしもし。
あ理事長。
えっ?隅田さんの具合が悪い?わかりました。
すぐ行きます。
あ…。
いやもう結構です。
勤め先の「もえぎの里」ですか。
お送りしましょう。
(平松)ありがとうございました。
(平松)すいませんでした。
また警察?大変なのはよくわかるけどプライベートな事はホームに持ち込んでほしくないの。
隅田さんの容体持ち直したけど介護ホームはいつも戦場なのよ。
すいません。
柳田冬美…?
(大石)ご存じなんですか?あの理事長の事。
7〜8年前自分の両親の介護体験をエッセーにして大ヒットを飛ばしたエッセイストだ。
その実践でここを建てたのか…。
ですが同じようなホームが増えたのであまり経営の方はうまくいってないようで…。
それで自分の夫である経理士の柳田徳郎をてこ入れのために経営に引き入れたらしいんですがどうもあの様子では普通の一般職員と変わりませんね。
それに人手不足も深刻で保土ヶ谷にあるホームの方は閉鎖に追い込まれたみたいです。
人手不足なのに平松翔子はなぜこのホームを辞めたんだ…。
平松翔子が突然ホームを辞めた理由…。
さっき平松郁夫の話で気になったんですが最初隣の木村姉妹から話を聞いた時は…。
(好美)男!?あの翔子ちゃんに?いないわよそんなの。
ねえ?姉さん。
真面目な子だったからねぇ。
なぜ突然男と一緒のところを見ただなんて言い出したんですかね。
気になるな。
忘れてたんですよ。
ほら…死んだ人の事なんか悪く言うのもさ気が引けるっていうんですか。
あなたは保険の外交の仕事をなさってますよね。
隣の平松翔子さんに掛けられていた保険もあなたが契約をとった。
半年前くらいだったかなぁ。
どうにも契約がとれなくてお隣に話を持ちかけたら夫婦で入ってもいいよって。
その時の様子はどうでした?ご主人が積極的に勧めたとか。
いいえ。
勧めたのは翔子ちゃんの方でしたよ。
(車の走行音)帰ってきた。
おかえり!ねぇねぇねぇ姉さんも一緒に見たよね?翔子ちゃんが男の人と一緒にいるところ。
えっ!?いや…。
何言ってんの!言ってたじゃなーい。
姉さんほらホストみたいだねって。
あ…ああなんかそんな感じしたから。
歳はいくつぐらい?背格好は?あいや…そんな事まで覚えてなくて。
あのただホストみたいな感じだけが…。
あのすいません。
ごめんなさいね。
姉さん仕事帰りでちょっと疲れててボーッとしちゃってて。
においますねあの姉妹。
(ため息)こっち見てた。
チッ…バカね。
姉さんがもっとうまくやってくんないから。
だって急にあんた私に振るから。
(好美)なんとかシラを切り通さないとね。
ここまで来たんだから…。

(翔子)「おどみゃ島原の」「おどみゃ島原のナシの木育ちよ」「何のナシやら何のナシやら」「色気なしばよしょうかいな」「早よ寝ろ泣かんでオロロンバイ」「早よ寝ろ泣かんでオロロンバイ」『島原の子守唄』ね長崎の。
ええ。
私小さい頃長崎のおばあちゃんに育てられたからこの歌好きなんです。
おばあちゃん優しくてあったかかったなぁって。
(山崎)そりゃ復讐なんかしちゃいけないって事はよくわかってます。
ですが先生もし先生のお子さんが同じように理不尽な形で殺されたとしたら先生どうされますか?
(芝山刑事)先生…!?ああ…。
待って!あれからずっと考えてました。
あなたの言うように私の息子が理不尽な形で殺されたとしたらどうしただろうって。
わからなかった。
答えは出ませんでした。
でもこれだけは言おうと思って。
あなたは未奈ちゃんを助けてくれました。
翔子さんから聞きました。
あなたはレスキューでたくさんの人の命を助けてきたって。
その手を汚さないで。
これからもたくさんの人を助けてあげて。
命を守ってあげて。
お願い!その手を汚さないで…!ただいま…。
(七海)ちょっと何やってんの!
(七海)全然違うでしょ!感情が入ってない!なんにもわかってない!いい?いくわよ。
「お〜ロミオ〜!」「私たちはどうしてこんなに愛し合ってしまったの」「こんなに近くに立っているというのに私たち2人の間にはどんなに高い山よりも険しくて高〜い壁がある」はい次。
「ど…どんな壁だろうと乗り…乗り越えてみせる」あーっもうダメ!もう何その棒読み。
えぇ?あなた全然感情が入ってないじゃないの。
ちょっとおかしいんじゃないの?愛介。
あなたには感情っていうものがないんですか?あのねおばさまそんなに厳しくしなくても…。
もうやめた!もういい!
(七海)あら。
ちょっと愛介。
ちょっと!あなた逃げるの?えぇ?弱虫!大根役者!お前の母さん出ベソ〜!私出ベソじゃありませんけど。
あら…そりゃ失礼しました。
おばさま。
愛介はねおばさまと違って演技の経験がまったくない素人なんですから。
だからそうやって甘やかすからあんな根気がなくてイジイジしちゃった子に育っちゃったのよ〜。
もう一馬の若い時にそっくり。
言っていい事と悪い事がありますよ。
確かにうちの人はイジイジしたとこあります!だけど愛介は私に似て明るくていい子なんです!何騒いでる?何がイジイジだ?いやあのねおばさまったらね…。
聞きたくない!着替えに戻っただけだ。
(舌打ち)
(携帯電話)
(携帯電話)俺だ。
何!?まかれた?すみません。
人込みの中でいきなり走り出して。
わかった。
山崎が姿をくらました。
えっ…!?お義兄さん…。
翔子が殺されてまだ犯人も捕まってないのに麻雀か!いい身分だな。
関係ないでしょお義兄さんには。
もうあなたとは話したくない。
お前が話したくなくてもこっちには話があるんだ。
来い!
(平松)離してください!
(山崎)いいから来い!
(パトカーのサイレン)復讐なんか考えないでくれ。
頼む。
失礼します。

(刑事)主任!あ…遅くなって。
遺体は平松郁夫だ。
なんですって!?これが…このテーブルの上にあった。
(平松)「翔子が好きだった」「勿論そんな事云う資格はない」「でも自分以外の男と付き合っている彼女が許せなくて殺すしかなかった」「ホームのみんなに迷惑をかけた事を謝ります」「申し訳ない」
(スイッチを切る音)間違いなく平松郁夫の声だ。
このあとは内藤勝が遺体を埋めるのを目撃し罪を着せられると思い翔子さんの遺体とすり替えた事。
そして彼女の財布を内藤勝の部屋の前に落とし拾うように仕向けた事。
そんな事が語られている。
お前の推測と同じだ。
遺体を発見したのはここの経営者の理事長夫妻だ。
話によるとこちらの「もえぎの里」は経営不振に陥って居抜きで売りに出していた。
今日は掃除も兼ねて様子を見に来たところそれで発見したそうだ。
で…山崎さんの行方は?そう…。
(小池)主任!鑑識さん終わりました。
(刑事たち)お願いします。
かすかにアーモンド臭がするわね。
という事は青酸カリではなくシアン化水素ガスつまり青酸ガスって事ですか?発見者を呼んできて。
(小池)はい。
死斑が赤いわね。
眼瞼結膜溢血点。
充血があるわ。
先生。
訊きたい事ってなんでしょう?発見された時この浴室の様子はどんなでしたか?窓は…?閉まってました。
入り口の扉は?扉も閉まってました。
変なにおいがしたんで換気扇のスイッチを入れたんです。
だから換気扇がついてたのね。
でしばらくして入ったらシャワーが出しっぱなしで平松君が死んでいたんです。
そうですか。
ありがとうございました。
遺体を運ぶ準備をして。
はい。
(桑田)うん?あれ?なんだ蟻か…。
ん…?何かしら?ピンセット。
(未奈)はい。
(桑田)蟻…ですか?うん。
(桑田)さっきもいたな。
あっもう1匹いた。
(未奈)どういう事なんですか?蟻が口の中にいるって。
(桑田)浴室の中に蟻がいて青酸ガスが発生したから慌てて口の中に逃げ込んだ。
いやいや口の中に逃げ込めばそこは青酸ガスを吸っているわけだから余計死んじゃうか。
蟻は青酸ガスでは死なない!蟻や昆虫の血液には人間の血液にあるようなヘモグロビンがないの。
青酸は血液中のヘモグロビンに反応して人間を死に至らしめるの。
永岡君に渡して死因の分析をお願い。
(桑田)死因をですか?蟻の?
(平松)「殺すしかなかった」「ホームのみんなに迷惑をかけた事を謝ります」「申し訳ない」
(研究員)何度も聞き返したんですがやはりこのテープを編集したという個所は見つかりませんね。
本当ですか。
顔になんかついてるか?いやすいません。
こういう可能性はありませんか。
誰かにナイフか何かを突きつけられおびえてこのテープを録音させられた。
(研究員)おびえているとか脅されているとかいうそういう音声の波形はここには出ていませんね。
そうですか…。
(大石)浴室のドアの内側に付着していた指紋は全て平松郁夫本人のものでした。
外のこのノブには遺体を発見した柳田夫婦のものが付着していましたがこれは発見時にドアを開ける時に付着したものと思われます。
次に死因となった青酸ガスですがこれは青酸ソーダと水が反応して発生するものでおそらく平松は青酸ソーダを浴室の床に置きシャワーで水をかけながら青酸ガスを発生させたものと思われます。
その青酸ソーダの入手経路ですがまだいまだにわかってません。
デンプンのようなものが浴室の排水溝から見つかったんですが別に事件とは関係ないだろうというのが鑑識さんの見解です。
デンプン…?ええ。
でもこれでまあ一応自殺と断定していいんじゃないですか。
よかったじゃないですか主任。
何がよかったんだ?有さんバカダメ…。
お前たち平松郁夫が平松翔子を殺した事を認め自殺したのがそんなに嬉しいか?いやそうじゃないんです。
みんな山崎さんが自殺に見せかけ平松郁夫に復讐したという線を心配していたんです。
佐伯和久の事もありますし復讐を止められなかったという事になると主任の立場が…。
俺の立場なんかどうだっていい。
俺は引っかかるんだ。
例えばこのテープに残っていた部分…。
「翔子が好きだった」「勿論そんな事云う資格はない」これはどういう意味だ。
夫が妻に対して「勿論そんな事云う資格はない」…不自然だと思わないか?つまり殺しておいて今さら好きだと言うのはおかしいって意味じゃ…。
それにギャンブルで借金もあったようですしその事で苦しめていたから夫として失格だと…。
そうとれなくもない。
だが俺は納得していない。
平松郁夫は本当に自殺だったのか。
そして行方をくらましてる山崎淳一の所在一刻も早く突き止めろ。
結論はそれからだ。
わかったらすぐかかれ!
(一同)はい。
(ため息)死因は青酸ガスによる中毒死に間違いないわ。
縛られたりしたような痕跡もなかった。
(ため息)ん…?自殺じゃ納得出来ないってため息ね。
鑑識が排水溝からデンプンを検出した。
なんによるものか今詳しい鑑定を依頼してる。
性分ね。
まあ気持ちはわからないでもないわ。
私も平松郁夫の口の中から発見された蟻の鑑定を頼んでるの。
蟻?うん。
(永岡)黙祷。
(永岡)始めます。
ちょっと待って!何やってるの?いや…先生がおっしゃったようにあの…蟻の解剖を。
バッカー!
(永岡)えっ…!?素人のあなたに出来るわけないでしょう!昆虫学者に頼むの!まだ電話してないの?
(永岡)いや…こ…昆虫学者に?だから言ったじゃないですかその方がいいって。
それを自分に任せろって。
私たちに黙祷までさせて。
もう〜!
(携帯電話)もしもし俺だ。
山崎が見つかった?
(大石)一応事情聴取という形で。
どうした?そのケガは。
言いたくないか。
じゃあ平松郁夫の遺体が発見された事は…?さっきニュースで…。
あれは嘘です。
あいつは自殺なんかするような人間じゃ…。
俺もそう考えてる。
本当ですか?警部もそう考えて…。
じゃあいるんですよねやっぱり。
平松と一緒になって翔子を殺した人間が。
いや。
正直俺は君を疑ってる。
なんで自分が…。
昨日から今朝にかけての君のアリバイを聞かせてくれ。
平松郁夫を殺していないなら言えるだろう。
山崎!昨日の夜力づくで平松の口を割らせようとしたんです。
そうしたら…。
(山崎)言え!貴様が翔子を殺したんだろ!言うんだ!
(スタンガンの音)
(うめき声)
(顔をぶつける音)
(康子)逃げるのよ。
うっ…待てー!女のタクシー運転手…。
おそらく木村姉妹の姉です。
平松の家の隣の…。
隣の女…。
ちょっと待ってください。
どうして私がこんなとこ呼ばれなきゃいけないんです!どうぞ。
あなたは昨日の夜山崎淳一と揉めている平松郁夫を助けた。
そのあとどうした?どうしたって…。
別に何も。
(有田)そうかな。
実はなあんたたち姉妹と平松郁夫が昨日の夜何か言い争いをしてるのを隣の住人が聞いてるんだ。
(大石)何を話してたんだ?警察が来ていろいろ迷惑だって言っただけです。
それでもしかして平松さん気に病んで自殺したのかも…。
翔子ちゃんを殺した犯人だって平松さんだったんでしょ?君たち姉妹が保険金欲しさに協力したんじゃないのか。
冗談じゃない。
何を証拠に…。
やめてください!人を犯人扱いするのは。
弁護士を呼んでください。
(康子)弁護士を呼んでください!そう…他殺の決め手がない…。
やっぱり自殺なのかも。
お前も俺の進退伺を気にしてるのか。
自殺なら俺のクビはつながる。
山崎の復讐なら間違いなく俺のクビは飛ぶ。
そんな事気にしてないわ。
クビになったらなった時の事。
私は亡くなった人の最後の声をきちんと聞くだけ。
あなたは怒るかもしれないけど今回は自殺と考えるのが…。
自殺かもしれん。
だが俺の刑事としての勘が自殺じゃないと言ってる。
じゃ誰が一体平松郁夫を殺したんだ?山崎さんが殺したっていう線は完全に消えたの?恥ずかしながらそれも刑事の勘だ。
自分の立場を考えそう思いたいのかもしれん。
だとしたら情けない話だ。
大丈夫って!あなたがそんな人じゃないのはこの私が一番よく知ってるから。
ごめんね。
なんの力にもなれなくて。
こうして弁当を差し入れてくれるだけで十分だよ。
野菜たっぷりのロールキャベツと大好きなエビフライが3つ。
タコちゃんウインナーも入ってるよ。
ウインナーもか!うん!シイタケは?大丈夫!わかんないぐらい細か〜く切ってあるから。
うん。
シイタケ嫌いなんだよなぁ…。
何か出来ないかな…。
あの人の刑事の勘を裏付ける何か…。
ただいま〜。
(愛介)「おおあの薬屋の言ったとおりだ」あ〜んもう全然ムードないわねぇ!全然臨場感ないわよ。
見て私ジュリエットよ。
もうせっかくこういう格好してるのに…。
ちょっとあなたさここはねあなた…ロミオがパリスを剣を使って倒したあとなんだから…。
ん〜やっぱりここはさ血糊使った方がいいわね。
ウフフ…大丈夫!準備万端出来てるのよ〜。
ちょっ…血糊っておばさま…。
もうそんな何から何までそんな本格的に稽古しなくたってもうヒラ…。
(携帯電話)そうかしら?この衣装もヒラヒラヒラヒラもう…。
もしもし…。
あ永岡君?どうした?バッチリです先生!ええ。
昆虫学者にも協力してもらって蟻の死因を解明しました。
はい。
え〜蟻の死因はですねえ〜「唾液による溺死」です。
(永岡)「でね死ぬ前にたらふく甘い物を食べてたんですねぇ」奴ね体に砂糖とコーンスターチをべったりつけてました。
砂糖とコーンスターチ…。
あらよく知ってるわね。
そうよ血糊はね砂糖とコーンスターチで作るのよ。
愛介これつけるからね。
あ〜!ちょっと待って…!あちょっと待って切らないで!このままね!血糊…。
砂糖とコーンスターチ…!ん〜気持ち悪いわねぇ。
さ続き…愛介やるからね。
今度はジュリエットが死んだと勘違いしてロミオが死ぬとこ。
わかった?ねぇちゃんと感情入れてやってよ〜。
(七海)じゃあ行くわよ。
ロミオ下手から駆けつける!
(愛介)「ねえジュリエット…」血糊…。
(愛介)「ねえジュリエット…」『ロミオとジュリエット』…。
(愛介)「ジュリエット嘘だろう?」「ジュリエットまるで眠っているようだ!」ロミオはジュリエットが死んだと思って死ぬのよ…。
あ〜もう全然ダメ!
(咳込み)私の喉がガラガラになっちゃったじゃないの。
あ…いけない。
私薬飲むの忘れちゃった。
ねえ愛介お水持ってきて。
(愛介)うん。
(七海)え〜とオブラート…。
ああったあった…これね。
(愛介)あ〜あ薬飲むのにオブラート使うなんて子供だな。
ん〜だって苦いんですもの。
ウフフ。
あー!オブラート!鑑識が排水溝からデンプンを検出した。
あ永岡君?ごめんごめん。
明日の朝一で平松郁夫の遺体が発見されたのと同じような広さの浴場を手配してちょうだい。
…お風呂場!お願い!じゃあトリックを説明するわよ。
(永岡・桑田)はい。
実験君。
はい。
このデッキブラシで浴室を掃除してきて。
は?掃除…?でね念のためこの防毒マスク…のつもりだけどまこれ着けて。
防毒マスク…オモチャじゃないですかこれ〜。
こんなんじゃ毒が出たら1発でアウトですよちょっと〜。
ちょっとは効き目あるから!さちゃんと掃除してよ。
うわ!なんですかこれ!血糊よ。
血糊…。
そう。
蟻の体に付着していたのは砂糖とコーンスターチから作った血糊だったのよ。
さあ実験君始めて!はい了解。
シャワー出してね!シャワーね!
(永岡)はい!あっ!ああ…ああ…ああ!
(永岡)ああ先生!?何するんですかー!はいはいごめんね〜。
あっ…!ああ…ああ…死ぬ〜!これぐらいでいいでしょ。
先生!な…なんなんですかあの煙は!大丈夫よ。
ドライアイスだから。
でもこれがドライアイスじゃなくて青酸ソーダだったらあなたは死んでたわ。
青酸ソーダは水と反応して青酸ガスを発生する。
しかも煙も出ないし気づかれる心配はない。
でもすぐ水を使うわけですから水がかかった途端に一瞬にしてガスが発生して気づくんじゃ…?そうですよ。
僕ならもうパッと逃げちゃいますね。
だからこれが必要なの。
オブラート!このドライアイスを青酸ソーダだと思ってね。
で今は実験だからティッシュを巻いて…。
オブラートじかだとすぐ溶けちゃうから。
でこうオブラートに包んで…。
水をかける。
(桑田)あそうか!青酸ソーダならティッシュを巻く必要がないしオブラートを何枚も包んでおけば浴室の床に置いてたとしてもすぐには反応しない。
掃除に打ち込んでいる途中で一気に…!
(平松)うっ…!う…あ…ああっ…!オブラートはデンプンで出来てるのよ。
そのデンプンがあの浴室の排水溝から検出された。
チッチッチッ…。
ん?仕掛けはわかりましたよ先生。
でもねあのテープはどう説明するんです?あれは平松郁夫本人の声だったんですよ。
テープも編集されてないって。
平松郁夫パソコンを打つ時に原稿を声に出して読み上げてたわ。
でもそれだと途切れ途切れになるから…。
なんとか理由をつけて一気に読ませる…。
チッチッチッ…。
ん?まそういうふうにテープを録ったとしてもですよじゃあなぜそんな原稿を平松郁夫が読む必要があるんです?それがこれよ!シェークスピアの『ロミオとジュリエット』。
ロミオと…。
ジュリエット?未奈ちゃんロミオは最後どうなったの?え…?ロミオは確か薬で眠っているジュリエットを見て死んだと思い込み自分で剣を刺して死んだ…。
そう。
平松郁夫は浴室に行き血の海を見た。
それは血糊だったんだけどね。
そこからはこのロミジュリとちょっと違うんだけどお風呂場で殺してで別の部屋に運んだっていう筋立てで平松に話して…。
犯人がその死体を見せたのかも。
(桑田)つまり犯人は2人いる可能性がありますよね。
そう…。
この犯人は平松を納得させ偽装の遺書を音読させそれを録音した。
そして平松に血の海を掃除させた。
(平松)うっ…!う…あ…ああっ…!どう?私の推理は。
まだ「チッチッチッ」?完璧です。
成り立ちます。
で犯人は?いや…それは…。
それにそういうトリックが使われた事を明らかにする証拠は何か?いやそれも…。
あ〜でもさこれだけのトリックを考えつくような犯人よ。
目につく証拠はもう処分しちゃってるでしょう!ん〜だけど何かはあるはずよ…何かは…。
こう犯人の盲点をつく何かが…ね!盲点をつくようなものか…。
(永岡)そうは言ってもなぁ…。
あっ…!もう!そうよ…掃除道具!あの遺体が発見された場所に掃除道具はなかったわ。
あのお風呂場を掃除した掃除道具を見つければ…!血糊や蟻がついている可能性がある!行くわよ!
(未奈・桑田)はい!あちょっとここの掃除掃除掃除…!まああとでいっか。
掃除道具掃除道具…。
掃除道具っと…ない。
ない…あっ!違う…。

(未奈)先生ありましたー!あ…見せて!
(未奈)血糊はついてないけど蟻が…!確かに蟻の死骸がついてる。
血糊は洗い流したけど蟻には気づかなかったのね。
(桑田)じゃあこの蟻をまた分析すれば…!うちの人に連絡して!
(桑田)はい!
(携帯電話)もしもし。
二宮警部ですか?今平松郁夫の遺体が発見されたホームに来てるんですけどすごく重要…。
あ…ああ…。
あなたたち…!携帯を切りなさい。
どうした?桑田君。
もしもし?もしもし?ごめんなさい。
もう一度整理してまた電話します。
二宮警部。
おう。
こちらが。
あの…すみません。
平松翔子さんの事でお話のあっとですけど…。
やっぱりあなたたちだったのね。
平松郁夫を殺したのは。
あの男がいけないのよ。
翔子を殺したのが内藤勝じゃないってバレた時隣の姉妹に脅かされて保険金を渡すなんて約束するから。
私たち見たのよ。
あなたがブルーシートにくるんだ翔子ちゃんを車のトランクに入れてるところを。
違いますよ。
何言ってんですか。
あれゴミですよ。
その証拠にほら俺すぐ帰ってきたでしょう。
近所で捨てて…。
とぼけないで!私たちの目はごまかせないわよ。
いいから翔子ちゃんにかけた保険金をよこしなさい。
そしたらあなたの事警察に黙っててあげてもいいわよ。
(冬美)幸い私たちの事はあの姉妹にはバレていなかった。
平松郁夫はどうして翔子さんを殺したの?うちのホームでばあさんが死んでな。
調べたらそのばあさん一人暮らししていたかつての家に現金3億も隠し持っていた。
そのお金を横取り…?それを平松が翔子に気づかれて…。
あいつ必ず説得するって言ったのに…!頼むよ警察に言わないでくれよ!3億だぞ3億!ダメよ!それは亡くなったハツさんのお金よ。
(平松)おい…!警察に言う。
(平松)おいやめろよ…!
(平松)やめろー!ああっ…!
(冬美)でもそれからはツイてたわ。
平松の代わりに私たちはあの雑木林に翔子の遺体を捨てに行きそこで死体を埋めている内藤の姿を目撃した。
そしてあなたたちは内藤の犯行に見せかけるために翔子さんの遺体に扼殺痕をつけ内藤が埋めた遺体と入れ替えた!見つかっても全ては内藤の犯行になると思ってたからね。
ほんと途中まではうまくいったわよね。
遺体の入れ替えをさせている間にあなたは内藤を尾行しそのアパートを突き止め内藤が翔子さんの財布を拾うように仕向けたのね。
そういう事。
そのあと平松が隣の姉妹に脅かされてビビリ始めたから始末しなければと思ってトリックを。
(平松)どうします?あの姉妹。
さっきも翔子の保険金を全額よこせって言い出して…。
あげちゃえば?そんなお金。
3億円の話してないんでしょ?もちろんです。
だから理事長たちの事も話してません。
フフ…よかった。
3億円2人で分けられるわね。
(平松)2人…?理事長のご主人は?あの人も翔子と同じよ。
急に怖気づいて「警察に行く」って言うから始末した。
後始末が面倒だからお風呂場に連れ込んで殺したの。
死体はこっちよ。

(冬美)これをなんとか自殺に見せかけるからこの人が書きそうな遺書を作るの手伝ってちょうだい。
お風呂場の掃除も協力して。
そして2人で3億円持って…。
楽しみましょう。
そして平松をだまし平松自身が書いたようにも見える遺書を読み上げさせ…。
「勿論そんな事云う資格はない」「でも自分以外の男と付き合っている…」あのお風呂場で殺した。
うっ…ああ…!
(戸を叩く音)
(平松のうめき声)これを使ってね。
青酸ソーダ…!そしてあなたたちにもこれで死んでもらうわ。
平松が死んだお風呂場で同じように。
(柳田)何かを調べていて偶然青酸ソーダを見つけ誤って死んだ…。
そう思うだろうな。
(冬美)さあ行きましょう。
浴室まで歩くのよ。
死の行進。
さあ来い!う…うう…。
待ちなさい!待ちなさい!
(桑田)ダメですよ山崎さん!
(未奈)やめてください!これ以上やったらこの人死んじゃいます!こいつ頼む…。
待ちなさい!
(冬美)あっ…!
(冬美)離して…!あっ…!痛いじゃないの!もう…!やめろ!
(冬美)嫌っ!ダメ!その人を殺してはダメ!平松が全てこいつの指示で動いてたのは明らかなんだ!こいつさえあんな金に手を出さなかったら翔子は…!でもダメ!あなたの手を汚さないで!翔子はこいつの事を尊敬してた!介護のプロだって!こいつはその翔子の気持ちを裏切って…!山崎!あなた!山崎ナイフを置け。
翔子さんが…!翔子さんがなぜ看護師を辞めたかそのわけを教えてやる。
さっきな東田喜久江さんというあのホームにいるおばあちゃんが俺のとこに来て話してくれた。
翔子さんは私のためにあのホームの介護の仕事を辞めてキャバクラという所で働き始めたとです。
喜久江さんは息子の事業が失敗し自分の貯蓄も全部はたいてしまった。
そして息子も行方不明。
毎月のホームに振り込むお金も引き落とせなくなり行くあてもないのにホームを出される事になっていたんだ。
それをなお前の妹の翔子さんが救おうとしたんだよ。
大丈夫よ喜久江さん。
私が何とかする。
頑張ってお金稼ぐから。
絶対喜久江さんがここにいられるようにするから。
だからね心配しないで。
なんで…?なんで血もつながっとらん私なんぞのためにそこまで…。
喜久江さんの事が好きなのよ。
好きだからってそれだけじゃいけない?ねえ歌って。
『島原の子守唄』。
お願い。
うん。
「おどみゃ島原の」「おどみゃ島原の」「ナシの木育ちよ」喜久江さんはな君たち2人を育ててくれたおばあちゃんに似ていたらしい。
同じ長崎の出身で翔子さんは喜久江さんの歌う『島原の子守唄』を聞くと涙が出ると言ってたそうだ。

(喜久江)「早よ寝ろ泣かんでオロロンバイ」「早よ寝ろ泣かんでオロロンバイ」そして翔子さんは毎月誰にも気づかれないように喜久江さんの口座に振り込みをしていたらしい。
喜久江さん言ってたよ。
「あの子は天使だ。
天使の生まれ変わりだ」ってな。
お願い。
翔子さんの声に耳を傾けて。
翔子さんはいつもお兄さんが自慢だった。
兄はこれまでたくさんの命をレスキューで救ってきたんです。
私も負けたくなくて。
だから看護師になったんです。
お兄さんみたいに人の命を助けたい。
絶対助けたい…。
助けたくて必死で頑張ってた翔子さんの思いを無駄にしないで…!翔子さんきっと言ってる。
「私の分までもっともっと人の命を助けて」…。
きっと言ってる。
翔子…。
(翔子)お兄ちゃーん!
(嗚咽)翔子ー!!あなたの刑事の勘に法医学が少しは役に立ったかな?ああ。
(パトカーのサイレン)
(大石)木村康子好美。
犯人ぞう匿及び保険金詐欺未遂で逮捕する。
世間は薄情だと思った。
エッセーを書いて爆発的にヒットして理想的な介護を実践しようと施設を立ち上げた時は順風満帆だった。
でも同じような施設が建ってブームが去ると到底大企業が作った施設には太刀打ち出来なくなった。
それで経営不振に陥り浦田ハツさんの隠し持っていた3億円に目がくらんだ。
(冬美)どうせ黙ってたら身内もいないんだし国に入ってしまうお金でしょう。
それを少し借用して介護に生かそうって気持ちがどこがいけないの?そりゃあ平松を殺した事はいけない事をしたと思っているわ。
でもそれ以外は私たちそんなひどい事してないでしょ。
それに実際殺したのは1人なんだし私たち死刑にはならないわよね。
(佐伯)1人殺して10年以下。
2人殺しても無期の時だってある。
(冬美)私たちの今までしてきた介護や福祉活動を考えれば情状酌量の余地は十分あるわよね。
ふざけるな。
汚れた心のお前たちに介護を語る資格はない。
死なせたくなかった…。
天使のようなあの子を死なせたくは…。
手を伸ばせちゃんと前方を見ろ!そうそうそうそう…!
(山崎)次!
(隊員)はい!そうだ!そう…じゃああの施設別の資本が入ってちゃんと継続出来るようになったのね。
ああよかった。
それにな山崎が翔子さんにかけていた保険喜久江おばあちゃんの入居費に充てるって山崎が言ってた。
それが翔子さんの願いだろうって。
あ…それ聞いて天国の翔子さんきっとホッとしてるわ。
あなたの進退伺も減俸10パーセント3か月で済んで刑事も続けられるしね!しかしなぁ…食費10パーセント削るの難しいだろう。
食費は削らないわよ。
削るのはあなたのお小遣い50パーセント!ご…50…な…どうして!?だって原因作ったのはあなたでしょう。
げ…原因ったってなぁ…!
(七海)あらあらあなたたち2人なんだか楽しそうでいいわねぇ。
いやいやいやあの…!私なんか心配で夜も眠れませんでした。
あらまあどうしたんですか?おばさま。
あらやだ。
あなたそれでも愛介の母親?今日の午後いよいよ愛介のロミオのお披露目じゃないの〜!あ…あれね…。
(愛介)え〜本日は皆様よくお集まりいただきました。
これより演劇部による『ロミオとジュリエット』お楽しみください。
お〜いい!
(七海)何そんなの練習してんの?ロミオのセリフあんた頭入った?いやこれが僕のセリフさ。
オープニングの前説にみんなの前でこれを言うんだ。
えっ…!?ちょっと…!ねえロミオやらないの…?ロミオどうしちゃったのよ!やらないんですやらないんです。
うちの演劇部やっぱり大人だね。
リハーサルで僕を見た途端これはオープニングの前説に抜擢するしかないと見抜いてくれた。
抜擢ってそれ降ろされたんじゃないのか?そうよそうよ!あなた役を降ろされたんじゃないの!違います違います。
前説に抜擢です!抜擢!じゃお母さん行ってくるね。
は〜い頑張ってね!行ってらっしゃ〜い!ジュリエットめまいが〜…。
ロミオ〜。
ロ…ロミオ…?おばさまそれは私のロミオ。
あ〜もうちょっと早紀さん私の努力はどうしてくれるの!ちょっとくやしい〜!2015/08/01(土) 12:00〜14:25
ABCテレビ1
法医学教室の事件ファイル[再][字]

女医VS水曜日の絞殺魔!蟻の死体解剖が殺人トリックを暴く!砂糖+コーンスターチ殺意の合成…

詳細情報
◇番組内容
監察医の妻・早紀と刑事の夫・一馬、夫婦が難事件を解決する法医学シリーズの第30弾。(2.5H拡大版)三人の若い女性を殺害した『水曜日の絞殺魔』と云われる連続殺人鬼が「実はもう一人殺している」と突然言い出します…
◇出演者
名取裕子、宅麻伸、由紀さおり、津田寛治、国生さゆり、風間トオル、矢崎滋、松本若菜、中島ひろ子、中村綾、榊英雄

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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