・
(演奏)
(女)ただいまより虹ヶ浦こどもパーク落成式典を開催いたします。
(拍手・歓声)
(司会者)それではこのすばらしい公園を虹ヶ浦町に寄贈していただきました鴨井産業を代表して鴨井正樹社長よりごあいさつをいただきたいと思います。
(拍手)
(鴨井)おやじのことしゃべればいいんだよね?
(滝田)あっ社長。
これを。
サンキュー。
(拍手)ありがとうございます。
この公園の完成は5年前に他界いたしました父先代社長鴨井修治の夢でした。
(ニワトリの鳴き声)
(寺本)それでゆうべ騒ぎ声が聞こえたと。
(めぐみ)それっちゃ2羽よ!2羽も盗まれたこっちゃ!コッコとタロー。
うちのニワトリはボリスブラウンちゅうてから外国から来た赤玉の王様…!
(寺本)分かった分かった分かった!
(寺本)また血圧上がるから。
ええーっ!ちょっと。
(鴨井)生前父がよく申しておりましたが何より大切なのは夫婦が円満で子供が伸び伸びと育ち家庭が幸せであること。
そのためにこの公園がお役に立てることを願っております。
どうもありがとうございました。
(拍手)
(西山)すばらしい!
(滝田)ありがとうございます。
(めぐみ)ボリスブラウンのコッコとタローやけ…!
(寺本)分かった分かった。
うるさいな。
(女)こんにちは。
(寺本)ああーこんにちは。
ボリスブラウンのコッコとタロー。
コッコ!タロー!コッコ!
(西山)あーっ!うまい!滝田さん!滝田さん。
(滝田)ちょっとよろしいですか?すいません失礼いたします。
山口地検の西山検事です。
検事さん。
今日はわざわざ。
(西山)お招きいただきまして恐縮です。
町に公園を寄付されるとは鴨井産業は立派な会社ですなぁ。
ハハハ。
いや。
これはもう地元への恩返しですよ。
・
(伊藤)鴨井社長!虹ヶ浦小学校の伊藤校長です。
ごゆっくり。
(西山)あっ。
校長先生!ごぶさたしておりました。
子供たちは喜びますよ。
社長と滝田さんの人徳です。
いや。
わたしは何もしてませんから。
・
(母親)滝田さーん!あの。
一緒に写真撮ってもらえませんかねえ?ああ。
じゃあ社長を呼んできましょう。
(母親)滝田さんがええの。
いやいや。
じゃあわたしが撮りましょう。
(母親)そうですか。
いや。
でもわたしはあの…。
子供の頭なでてもらえませんかね。
(西山)いきますよ。
ああ…。
(西山)はいキムチ!
(寺本)コッコとタローはどこだ。
あっ?うーん。
もう。
誰かぁ?ゴミ捨てたんは!ホンマ…。
もう。
コッコとタロー捜さないけんのに。
虹ヶ浦の自然をどう思っちょる。
(寺本)うわああーっ!
(矢島)ガイシャはこの土地の人間じゃねえ!よそ者は片っ端から職質しろ!
(一同)おう!
(矢島)11年ぶりの殺しじゃけえのう!
(テレビ)「山口県警は殺人と断定し捜査を進めています。
殺されていたのは東京都中野区在住の三ノ宮隆史さん36歳。
所持品の航空券から3日前に山口に来ていたことが分かっています。
山口県警は…」
(りり子)殺人事件。
(村上)実感わかんのう。
ホントにこの町で殺されたのかねえ。
(小森)九州から流れてきた死体じゃないですかねえ。
(三人の笑い声)ヒグマ引っ越し便?今度札幌から転勤されてくる方の荷物です。
君についてもらう検事だよ。
(村上)これ私物じゃろ。
何でここに?聞くところによると変わり者らしいなぁ。
(りり子)でも東京地検にいたことある人なんでしょ。
そねえな人がこねえな田舎に?
(村上)大体ここの検事は二人で十分でしょう。
何ちゅう方ですか?えーっと変わった名前なんだよ。
確かくら…。
(小森)倉本?
(西山)変わった名前なんだよ。
くろ…。
黒田。
(西山)普通じゃないか!
(業者)久利生さんって方に通販届いてます。
そう久利生!久利生公平!
(三人)ほう。
通販?
(業者)ありがとうございました!
(村上)あっどうも。
ご苦労さま。
やじゃのう変わり者検事の担当は。
だって君空いてるんだし。
じゃあ村上さんはわたしにつけてください。
えっ!?
(西山)君の事務官は津軽さんじゃない。
やっぱり苦手なんですあの人。
(小森)一緒にいても会話続かんちゃね。
(りり子)だから津軽さんはこの久利生さんって人につけて。
僕はこの小娘の下に?しょうがないなぁ。
どうする?村上君。
うーん。
まあ変なんよりは泉谷検事。
ありがとうございます。
じゃあこいつの事務官は津軽さん。
あの人ならどんなのが来たって大丈夫。
変わり者には変わり者っちゅうやつ?
(四人の笑い声)
(警官)2班配置につきました。
(警官)3班完了。
(警官)1班配置につきました。
ヤツはこっちの動きに気づいちょらん。
合図が出たらみんな一斉にかかれ。
(警官)了解。
(警官)了解。
(警官)了解。
あの野郎。
(久利生)ああーっ。
気持ちいい。
(寺本)なあなあ?見つけたん俺。
犯人は絶対現場に戻ってくるっちゅうじゃろ。
(浮きが沈む音)おっ!?来い来い来い来い来い来い…。
食え食え食え食え。
食え。
よっしゃ!かかれー!来い来い来い来い来い。
カモンカモンカモン。
おー。
おーし。
来い来い来い。
来た来た来た来た来た!来い!よし。
来い来い来い…。
おっ見えた。
よっしゃーっ!確保ーっ!
(警官たち)こら!ちょっちょっちょっちょっ。
待って待って。
何?何?何?危ない!危ない危ない危ない!魚魚!抵抗すんな!
(寺本)おとなしゅうせえ!待って!ああっ。
ああーっ!あっ。
あー嘘嘘。
嘘。
ちょっと何すんだよ!?おい!痛ぇ痛ぇ痛てて!えっ?とったーっ!
(警官たち)おおーっ!えっ?
(西山)検事が殺人犯に間違われるなんて前代未聞だよ!どうかしてますよねあの人たち。
君に言ってるんだよ!殺人事件の現場で釣りなんて。
だって知らなかったんで…。
今日付でここに赴任する久利生検事だ。
久利生公平です。
(小森)留置場からご出勤ですか?事務官の小森君。
(村上)死体が浮かんじょった海で釣りとはねえ。
事務官の村上君。
検事バッジ見せれば疑われなかったのに。
検事の泉谷君だ。
いや見せましたよちゃんとこれ。
うん?で君についてくれる事務官はあの人。
津軽さんだ。
仕事は間違いないよ。
久利生です。
(津軽)よろしくお願いいたします。
お願いします。
(りり子)久利生さん。
東京で汚職事件とかガンガンやりました?いや。
俺がいたのはちっちゃい支部だったんで。
(小森)それをやるのは特捜部。
(りり子)政治家とか捕まえたんだ。
いや。
だから特捜部。
(村上)あのー。
ヒグマ。
ヒグマヒグマ。
ヒグマたち。
邪魔なんじゃけど?ああーすいません!まだこっちで住む部屋決まってなくて。
フフフ。
あっ。
通販来てるじゃないっすかこれ。
これねタスマニアの日本そば。
向こうはね今が新そばの時期なんですよ。
はいこれ。
はい。
引っ越しそばということで。
あっ。
つゆあるんで。
あーっ!そうだ。
北海道のお土産。
よいしょっと。
よいしょ。
よいしょ。
ジャーン。
俺が搾った牛乳。
皆さんでどうぞ。
ありがとうございます。
(西山)さあ被疑者が来る時間だ。
(西山)久利生早く着替えろ。
いや。
俺はこれで。
はあ!?いや。
俺いつもこんな感じでやってるんで。
あっ!クールビズ!東京はみんなそうなんだ。
ああっ!クールビズ。
東京はみんなそうなんだ。
んなわけないやろー!
(水野)新しい検事さん?フフッ。
あなたは常連さん。
(水野)まあ平和な田舎じゃけえねえ。
悪さするのは俺ぐらいじゃろ。
(水野・久利生の笑い声)はい。
「あなたは平成18年6月11日午前2時ごろ山口県虹ヶ浦町ミサキ3丁目7480号の嶋村めぐみさん方の鳥小屋に侵入」ねっ?「ボリスブラウンという種類の…」犯人は誰でしょう?あなたでしょ。
殺人事件のほうっちゃ。
えっ?ナイフから指紋採れんかったけど現場に犯人の足跡が残っちょったんじゃろ?何でそんなこと知ってんですか?もうみんな知っちょるっちゃ。
田舎じゃけえ。
すげえ!
(水野)ハッハッハ!あなたはニワトリ2羽を盗んで逮捕されたんですね。
待った。
盗んだのは1羽だけじゃ。
えっ?でも警察の調書にこれ2羽って書いて…。
あっ。
あねえにちょこちょこ動くもん2羽も捕まえられんちゃ。
「ロッキー2」見たことない?あのほら。
スタローンがさ…。
ああーっ!
(水野)ニワトリ追っかけ回して。
ああ。
あれは無理かも。
(水野)あれやろ。
あれですよね?2はアポロに。
せやそう!もう1回あれしたやつや。
ほーれ。
ああー!
(水野)ああ。
トレーニングな。
よーし。
よしよしよしよしよしよし…。
ほら!こらこらこら。
おーい!待てこら!ちきしょう!変わった検事さんじゃのう。
待て。
あ痛てて。
あ痛ぇ。
これマジでトレーニングになるわ。
あー。
一度にね2羽は無理。
(津軽)ほんじゃあの被疑者の供述どおりでええんですね?いや。
それは待ってください。
あーちきしょう。
おりゃーっ!痛ててて。
痛いここ痛い。
あれ?お巡りさん俺に飛びかかった人の中にいたでしょ?思い出していただけましたか?わたし寺本と申します。
やっぱりなぁ。
(寺本)すいません。
あのときちょっと舞い上がっちょりましてね。
勘弁してよ。
こんなだったんだからさ。
(寺本)残念でしたね。
ちょっとやってみて。
えっ?わたしがですか?
(寺本)とーっとっとっとっと。
(ニワトリの鳴き声)嘘。
ジモティーですから。
調子えかったら4羽はいけます。
マジで!?あっ。
だったらあの供述微妙になってきましたね。
あの常連さん使ったのかな?「とーっとっとっと」って。
ねえ?基本は「と」ですか?
(寺本)「と」?「と」です。
もっとケツ出して。
そうそう。
とーっとっとっとっと。
(久利生・寺本)とーっとっとっとっと。
(テレビ)「東京地検特捜部が帝東建設本社の強制捜査に入りました。
政界と建設業界を揺るがす贈収賄疑惑は重大な局面を迎えることになります。
帝東建設が政治団体…」・
(ドアが開く音)
(店主)あっいらっしゃいませ!はあー。
格好いいなぁ特捜。
1回でええけん強制捜査やりてえのう。
この贈収賄疑惑ホンマに花岡も絡んじょるんですかねえ。
間違いないね。
花岡?
(西山)この県選出の代議士だよ。
この町じゃ人気ないけど。
あの人は都会の下関の人じゃし。
梅サワーください。
ねえ。
どうして人気ないんすか?
(村上)ここの海埋め立てて開発しようとしたんですよ。
嘘!?海を?ひでえな。
(西山)あのときは鴨井さんも怒ったなぁ。
鴨井さんって誰ですか?
(村上)あんた何も知らねえの!?鴨井産業ちゅうてこの辺でいちばんでかい会社の創業者ですよ。
まっ5年前にお亡くなりになりましたけどね。
立派な人でなぁ。
地元の人間をどんどん雇ってくれて今じゃ町の人間の半分が鴨井産業に関係してる。
半分!?
(小森)紡績がメーンでほかにバスタクシーホテル病院レストランスーパーマーケット。
全部鴨井?言うなれば企業城下町だなここは。
お陰で失業者も少ないし大した犯罪もない。
だからわたしたちは暇。
若い人が出ていかんから子供も多い。
わたしは出ていきたい!地方都市でこんなに恵まれた町はめったにないぞ。
いいとこじゃないっすか。
のんびりしちょりますよ。
被疑者が来ん日だってあるし。
マジで!?じゃあ釣りできんじゃん!もう平和すぎて人間が腐る。
梅サワーお代わり!
(西山)久利生飲め。
地酒うまいぞ。
あごまも食べてください。
はい。
すいません。
あごま?
(小森)ビールちょうだい!
(店主)はいよ!何ぼでも飲んでくださいよ検事さんたち!あっ!だったらビール俺もお代わり!小森さん。
あごまって何すか?
(りり子)あっ久利生さん。
はい?表参道ヒルズって楽しいですか?知らない。
だって俺東京いたの5年前だから。
はあー。
いいな東京!あごまって何?あごま…。
(西山・小森)あっ!
(村上)あーあごまがあごまが!これちょっ。
すいません。
ふくものください。
(店主)あっ。
今おしぼり持ってきますから。
(西山・小森)すいません。
(村上)すいませんねホントに。
みんなぐちゃぐちゃですよ。
あっごめんなさい。
いいっすか?みんなと一緒に飲まないんですか?津軽さん。
こういうとこあんま好きじゃないんだ。
今日は久利生検事の歓迎会だと言われましたけえ。
あ…ありがとうございます。
すいません。
あっ。
その。
あごまって何ですか?ここの名物です。
お嫌いですか?えっ?いえ。
このままじゃちょっとこう。
においが。
何かかけたらいける…。
あっ。
ほんじゃ何かおかけになってどうぞ。
すいません。
カラシマヨネーズとかあります?
(テレビ)「最新鋭魚群探知機シースルー」あっ。
(テレビ)「君たちみたいに釣りが下手でお金がない人たちのために…」
(板前)あるよ。
(テレビ)「なんとたったの1万2,000円!」ありがとうございます。
あれ?
(滝田)ごちそうさま。
(店主)毎度ありがとうございます。
(西山)あっ!滝田さん!いらっしゃったんですか。
ああー検察の皆さん。
こんばんは。
(村上)こんばんは。
(西山)お一人ですか?時々ここで夕食をいただくんです。
独り者ですから。
津軽さん。
これ誰ですか?鴨井産業の滝田専務です!ああ鴨井産業。
(西山)久利生。
はい?
(西山)あいさつしろ。
今度来た検事です。
あああなたが。
どうも。
久利生です。
(滝田)滝田と申します。
初めまして。
(滝田)初めまして。
この町はもうご覧になりましたか?少しだけ。
あのー。
海が最高でした!はい。
海はこの虹ヶ浦の宝ですから。
はあ。
宝。
(西山)滝田さん。
一緒にどうです?ねっ?
(村上)ああああああ!あっいえあの。
実はちょっと風邪気味で酒を控えてるもんで。
今日は失礼させていただきます。
そりゃあ残念。
お気を付けて。
ありがとうございます。
じゃあ。
失礼します。
こちらお返しになります。
(滝田)ありがとう。
じゃああの。
お先です。
(検事たち)失礼します!
(滝田)ありがとう。
(店主)ありがとうございます。
お気を付けて。
いつも謙虚ですよね滝田さん。
あねえな人間になりたいのう。
(村上)俺も。
久利生。
はい?今の鴨井産業を支えているのはあの人なんだよ。
あっ。
へえー。
(テレビ)「これさえあればあしたから魚が釣れまくりで…」お久しぶりです。
(滝田)ああー。
(滝田)ただいま。
・はい鴨井です。
(滝田)滝田です。
今外車のディーラーから電話がありました。
社用車を替えたいんですか?・
(鴨井)うん。
今の車はもう10年だからさ。
でしたら国産になさってください。
えっ?いや。
あれぐらい普通に走ってるじゃない。
先代はぜいたくを戒めておられました。
・
(鴨井)いちいちおやじのこと持ち出すなよ。
社長。
あなたは特別な立場の方ですよ。
皆から尊敬される経営者になっていただかないと。
(鴨井)分かった。
今の車のままでいい。
(不通音)
(作動音)おはようございます!ゆうべはありがとうございました。
あっ。
荷物部屋決まるまでここに置かせてもらっていいっすか?どうぞ。
ああ。
いやでも今泊まってる旅館飯うまいし安いし全然出ていく気しないんすけどね。
あっごめんなさい。
ああっ!これね俺が釣った魚なんですよ。
前石垣支部にいるときに釣りにはまっちゃって。
見ていいっすよ。
あっ動いてる。
ニワトリ泥棒の件は今日結論出しますか?ああ。
あれは待ってください。
今寺本さんっていうお巡りさんにコッコとタロー捜してもらってるんで。
やっぱ逃げたかもしれないし。
久利生検事。
はい。
この事件に時間をかける…。
ごめんなさい。
すいません。
(矢島)キキーッ!三ノ宮隆史殺害事件の容疑者を逮捕した!ホントか!?えっ?どんなヤツだったんですか?
(りり子)わたしが取り調べます。
わたしやりたい。
(村上)おーい!2年生検事に殺人犯の相手ができるわけなかろうが!どんなヤツだったの?やっぱり支部長の出番でしょう。
殺人犯は8年前に福岡でやった以来だ!ずるい!誰だったんすか?滝田さんです。
鴨井産業の。
ああー。
うん?
(四人の笑い声)
(笑い声)
(一同の笑い声)面白いこと言うねぇ矢島さん!いやいやホントなんですいね。
警察は時々わけ分からんこと言うっちゃ!だってこの人ですからね俺に手錠かけたの。
(矢島)アハハハ!ホントっちゃ!もういいですから。
引っ張りすぎ引っ張りすぎ。
ホンマに滝田さんなんちゃ!冗談言いにわざわざ来るわけなかろうが!何を言ってるんだ!?あんた!滝田さんが人殺しなんて!あそこで三ノ宮さんと口論しちょった男を目撃したじいさんがおったんです。
年寄りやないか!?そんな信用できるか!?猛スピードで走り去る車の運転手を見たばあさんもおったんです!また年寄り!もう田舎は嫌!現場に残っちょった靴跡と滝田さんのものが一致したんですよ!それはやばいかも。
ねっ?滝田さんを取り調べるなんて。
天につば吐く行為だ。
(りり子)もし間違って起訴でもしちゃったら。
この町歩けませんね。
ううっ。
泉谷君一緒にやろう。
わたしまだ2年生ですから。
久利生君。
お願い!いいですよ。
(西山)ホント?あっ。
い…いらっしゃいませ!こちらでござる!ござる?もう少しそっちに。
すいません。
(西山)久利生。
はい。
えーあなたに疑いのかかっている殺人事件が警察から検察庁のほうに送られてきています。
今後検察庁としても捜査を行いあなたからも事情を聞いて起訴するだけの証拠があると判断すればあなたを起訴し裁判を受けてもらうことになります。
(西山)もちろん黙秘権と弁護人をつける権利は保障されております。
言いたくないことはおっしゃらなくて結構ですよ。
では氏名生年月日本籍をお願いします。
滝田明彦。
昭和37年4月の5日生まれ。
本籍は山口です。
(西山)4月ですか!桜のきれいな季節だ!「6月の10日夜9時ごろ古浜の堤防に立ち寄ったあなたはそこで酒を飲んでいた三ノ宮隆史さん36歳と顔を合わせた。
お互い初対面だったが三ノ宮さんはあなたに酒をつきあえと声をかけてきた。
あなたが車なのでと断ると三ノ宮さんが絡んできて口論になった」「三ノ宮さんがナイフを出してきたので二人はもみあいになりはずみで三ノ宮さんの腹部にナイフが刺さって海に転落。
あなたは怖くなってその場から逃げた」この調書に間違いありませんか?
(西山)よく思い出してください。
滝田さん。
(小森)6月10日の夜9時ごろですよ。
(西山)そんな時間はもうご自宅でお休みになっていたんじゃありませんか?あの居酒屋でお食事をされていたとか。
あの殺人現場にいるわけありませんよね?もしいたとしてもまさかあなたが。
あなたが…。
あなたが殺したんですか?わたしが殺しました。
うわー!うわあー!はあー。
ホントきれいな海だな。
(寺本)ここに三ノ宮さんが浮かんじょりました。
あっ。
寺本さんが見つけたんだ。
そうここで。
ふーん。
でその後俺に飛びかかったと。
(寺本)そうそこで。
いやちょっとそれ勘弁してくださいよ。
あーあ。
もう少しで釣れたのにないしがき鯛。
絶対30センチありましたよ。
(津軽)現場を見るかぎり滝田さんの供述どおりですが。
ですよね。
相手の方にはホントに申し訳のないことをしました。
あの堤防にはよく行かれるんですか?仕事帰りに時々。
妻があの海が好きだったもので。
奥さん?10年前にガンで。
ああ。
それからずっとお一人ですか?はい。
あっ。
これフィッシングナイフですよね。
危ねっ。
酒の相手断られたぐらいでどうしてこんなもん出してきたんですかね三ノ宮さん。
酔っていらっしゃったんだと思います。
うーん。
まあ確かに現場の近くにはウイスキーの小瓶が落ちてたみたいなんですけど検視結果によると血中アルコール濃度そんな高くないんですよね。
わたしの断り方が悪かったんでしょう。
わたしは責任を逃れるつもりはありません。
どうか早く起訴をしてください。
「無実を信じちょります」「滝田さん負けんでね」「みんなで待っちょります」
(村上)部長。
遅いっすよ。
(西山)苦情電話が鳴りやまなくて。
おい久利生。
もう早く終わらせろよ。
正当防衛認めて不起訴でいいだろう。
うーん。
でもなぁ。
(小森)刺したのは過剰防衛だとお考えなんですか?
(りり子)じゃあ傷害致死で起訴か。
(村上)多分裁判で執行猶予つきますよ。
ナイフがね。
(小森)ナイフ?三ノ宮さんがナイフ持ってたっていうのがどうしてもね。
(西山)持ってちゃいけないのか?いや。
あれね通販でしか買えないやつなんですよ。
通販?うん。
1本1本職人さんの手作りで。
あれすっげえ欲しかったんだよな。
じゃあ三ノ宮さんも通販で買ったんだろ。
でもそうしたら東京から持ってきたってことですよ。
持ってきたんでしょ。
東京から来たんですよ。
それがどうしたん?飛行機で。
だから?機内に持ち込めないでしょ?ナイフ。
そうだ。
この人荷物も預けてないし。
じゃあこっちで買ったんだろう。
まあそうですいねえ。
分かってねえな。
それありえないですよ。
じゃけえ何で?通販っていうのは届くのに最低でも1週間。
まあでもあれ人気あるから2週間かかるかな。
この三ノ宮さんこっちに来てまだ3日目。
申し訳ありません。
あれはわたしが持っていました。
えっ!?すいません。
質問が二つあるんですけど。
あんなに潔く罪を認めたあなたがどうしてそこだけ嘘をつくんですか?混乱をしていたんだと。
いや。
そんなふうには見えませんでした。
それともう一つ。
何でナイフなんて持ってたんですか?護身用です。
こんな平和な町で?検事さん。
はい。
わたしは罪を認めているんです。
まだ起訴はできません。
どうして?ご自宅と関係各所を捜索します。
強制捜査!うれしくねえよ。
やっぱこれ外そう。
うん?山口地検虹ヶ浦支部です。
三ノ宮隆史殺害事件の捜査のため令状に基づき滝田専務の部屋を捜索するために来ました。
形だけですけえ。
でどっちですか?あっ。
(村上)失礼します。
すいません。
失礼します。
(西山)質素な家だなぁ。
(女)検事じゃ。
(女)強制捜査っちよ。
(女)感じ悪いっちゃのう。
あのー。
形だけですから。
久利生の野郎。
社員の方は近づかないでください。
滝田専務は会社全体の統括を任されちょったんですねえ。
(社員)人望のある方でしたから。
入ってきちゃダメですよ。
あっ。
ほとんどのりん議書最終決裁印は滝田専務のじゃ。
(社員)人望のある方でしたから。
わたしたちをにらまないでください。
(鴨井)滝田が何をごまかしてるって言うんですか?あれがどういう人間か検察の方だってよくご存じでしょう?僕知らないんです。
教えてもらっていいですか?久利生検事は転勤してきたばかりでして。
すいません。
献血手帳。
(西山)押収。
(小森)はい。
(西山)久利生な石垣でスルメ泥棒に2週間かけたんだと。
(小森)話をややこしくする常習犯なんですよ。
(小森)あっ。
これ亡くなった奥さんですよね。
はあー。
奥さんに申し訳ないよ。
押収。
それにしても滝田さんてホントにこの町の人に愛されてるんですね。
俺らめちゃめちゃにらまれましたよ。
ねっ?
(せきばらい)あっそうだ。
ご自宅からの押収物の中にすっげえいい釣りざおがあったんですけど。
釣りやられるんですか?はい。
趣味で少々。
あっ。
実は僕も好きなんですよ。
あの。
滝田さんてここの海であれ釣ったことあります?いしがき鯛。
はい。
2、3回。
すげえ!僕こないだ初めてこれぐらいですかね。
ちょうど30センチ…。
あっ。
いた。
よし。
あー来ねえなぁ。
(りり子)久利生さん!びっくりした。
あんま大声出すなよ。
魚逃げんだろ。
久利生さん。
お昼は?ああ。
サンキュー。
よいしょ。
空振りでしたね強制捜査。
なっ?こんな田舎じゃ大した事件にならないんですよ結局。
そんなに田舎が嫌なの?うーん。
わたし子供のころから悪と戦うヒロインものが大好きだったんです。
検事になって東京地検で巨悪をやっつけるはずだったのに。
こないだなんか大根泥棒の供述確認で畑に入ったんですよ。
おおーいいじゃん。
えっ?何がいいんですか?買ったばっかのダナキャランが泥だらけですよ。
最悪。
ねえ?お前きれいに格好よく仕事したいの?ここじゃ検事になったかいがないって言ってるんです。
支部長なんか起訴するときは後々の人間関係考えてから慎重にやれとか言うし。
やだやだ田舎のしがらみ。
嫌なら思いどおりにやれよ。
でもしょせんローカルな事件ばっかだし。
関係ある?えっ?ないだろ。
はあー。
問題あんのお前なんじゃないの?もう。
またやられてるホントに。
何いるんだ?ここ。
問題って何ですか?わたし何か間違ってます!?ちょっ。
久利生さん!えっ?何!?お前まだここで飯食ってるでしょ?えっ?よっしゃ。
うわっ。
おおーっ!ええっ!?うわああーっ!おおーっ!おーっ!お先に失礼します。
たまには一緒に飯でもどうっすか?ご遠慮させていただきます。
津軽さん結婚してるんですか?痛ぇ。
いや。
別に深い意味はないんですけど。
わたしは母と二人暮らしです。
ふーん。
前から気になってたんですけど津軽さんっていつも同じスーツで同じネクタイでシャツも同じじゃないですか。
でもいつもきれいにしてんだよなぁ。
それが何か?毎日洗ってんのかなと思って。
ひょっとしたらタンスの中に同じ服5枚ぐらいガンガン…。
当たり?そんなのどうでもいいでしょ。
ああすいません。
失礼します。
あっ津軽さん。
これ今日の取り調べの記録全然ないんですけど。
あなたが今日滝田さんとされたのは釣りの話とうどんの話。
それから石垣島がどうたらこうたらって話だけです。
記録するような内容だったでしょうか?ひょっとして俺のこと怒ってます?あしたも今日のような取り調べをされるおつもりですか?だって滝田さんホントのことしゃべってくんないんですもん。
久利生検事は滝田さんの供述のどこを疑ってらっしゃるんですか?どこって。
全部?せん越ながらひと言言わせていただきます。
はい。
勘だけで被疑者を疑うのは結構ですがもう少し時間を有効に使っていただけないでしょうか?はい。
はい。
では次回の取り調べで結論を出すということで結構ですね。
だってまだこう留期限残ってるしほかの事件だってどうせないじゃないですか今。
暇だから何かといえば外に出かけたり雑談ばかりの取り調べをされるんですか?そういうわけじゃないですよ。
わたしは仕事であなたについてるだけです。
遊びにまでつきあわされる義務はありません。
この調子で滝田さんのこう留を続けて何も出てこんかったらはっきり言うて時間と…。
すいません。
はいもしもし。
あっお疲れさまです。
見つかった!?
(寺本)今朝小屋を見たら帰っちょったそうです。
(めぐみ)いやあ。
どこをほっつき歩いちょったんか。
やれやれ。
すまんことやったね。
お手数かけて。
えっ?これ?あれがコッコ?
(めぐみ)トサカの形で分かります。
へえー。
あの人やっぱり1羽しかとってないんですね。
(寺本)よかったよかった。
1羽と2羽じゃ裁判官の印象が全然違いますけえね。
あー!起訴状直さないと。
ねえ。
しかしよく帰ってきたな。
(めぐみ)ニワトリは飼い主の恩を忘れんっちゅうけえね。
マジっすか?
(めぐみ)ボリスブラウンやけえ。
さすが。
赤玉の王様。
(めぐみ)王様。
ぶちうまかろう。
(ため息)
(矢島)三ノ宮さんです。
フリーターだったんですよねこの人。
主に警備員の仕事をしてたそうです。
工事現場とかで。
うーん。
何でフリーターが山口に来るのかな?ねえ?津軽さん。
えっ!?あっ。
釣りでしょう。
泊まっていたのは釣り宿ですから。
この人も釣りやるんだ。
うん?東京?東京?フリーターがどうしてそんな名刺持ってんのかなと思って。
(西山)「実話パラダイス」緑川祐司。
その「実話パラダイス」っていうのに俺電話してみたんですけど誰も出ないんですよね。
もうこうなったらその緑川ってのを捕まえるしかないかなと思って。
行くんですか?東京。
どんどん大げさにしていっちょる。
滝田さんを殺人罪で起訴したいんですか?わたしに行かせてください。
(村上)てい!小娘。
貴様が…!・
(大藪)失礼いたします。
差し入れをお持ちいたしました。
(西山)ああ滝田さんにですね。
差し入れコーナーはあちらです。
(大藪)いえ。
検察の皆さんに。
(西山)はっ?
(大藪)私衆議院議員花岡練三郎の秘書を務めております大藪と申します。
花岡…。
(大藪)花岡は皆さんにこの事件をしっかりと追及していただきたいとそう申しております。
でこれは精が出るようにと。
こんな田舎までわざわざすいません。
でもそういうものは受け取れないんですよ。
我々は公務員ですから。
(大藪)いや。
花岡はただ皆さんにエールを…。
どうぞお引き取りを。
そうですか。
では失礼いたします。
なあ?花岡ってさ海埋め立てようとした…。
(小森)そう。
先代の鴨井社長に嫌われた。
んなことはどうだっていいんだよ。
とにかく久利生。
東京まで行って何も出なかったらどうするんだよ?
(村上)まあ時間と労力の無駄っちゅうことですよね。
無駄じゃないでしょう。
東京まで行って何も出なかったら滝田さんの供述は嘘じゃなかったって証明できるんすから。
(西山)そりゃ…。
俺は滝田さんがいい人かどうか調べてるんじゃないんですよ。
あの人が何をしたか調べてるんですよ。
便所行ってきます。
(滝田)表参道ヒルズ?
(久利生)はい。
滝田さん行ったことあります?
(滝田)いえ。
うん。
いや。
うちの泉谷っていう検事がこの事件の捜査で東京に行ったんですよ。
東京に…。
はい。
わあ!お台場だ。
初めて見た。
(シャッター音)
(りり子)えっ!?ない。
このビルでしょ。
えっ!?どうしよう。
(江里子)泉谷さん?
(江里子)弁護士の巽江里子です。
移転しちゃってるでしょ。
「実話パラダイス」はあ。
(江里子)いただきます。
あーっ!久利生さんが電話してきたんですか?そうよ。
あなたのサポートをしてやれって。
紅ショウガは?
(りり子)あっはい。
司法修習生時代の同期なの。
巽さんは東京で弁護士を?そうよ。
東京のどこに住んでらっしゃるんですか?六本木ヒルズ。
うわっ。
ヒルズ族初めて見た。
もしかして久利生さんは巽さんの…。
敵。
検事と弁護士だもん。
あなたが想像してるような色っぽい関係じゃないのもう。
(りり子)もう?あら。
あなたもしかして久利生君のこと好きなの?別に。
わたしはむしろ嫌われてます。
どうして?東京地検に行きたいって言ったら格好つけてんのかみたいなこと言われちゃって。
あいつはね昔から二つのことしか考えてないのよ。
検事は被害者の味方。
真実を知るためには手を抜かない。
相手は誰とかどこで仕事をしてるかなんてあいつにはどうでもいいのよ。
弁護士にとってはムカつく相手なんだけどね。
あっ。
うちの事務所から。
食べなさい。
はい。
分かった?待って。
はい。
大田区…。
うん。
ありがとう。
移転先分かったわよ。
食べたら行きましょ。
わたし一人で行きます。
(江里子)えっ?自分の手できっちり片づけたほうがすっきりした気分で表参道ヒルズにも行けますから。
そう。
頑張って。
ありがとうございます。
(久利生)ああ移転先分かったんだ。
(江里子)久しぶりに電話してきたかと思ったら女の子のお守りを頼んでくるなんてホント失礼よねあんたは。
今日中に三ノ宮さんのこと分かるんでしょ?
(江里子)分かるんじゃない。
あんたの言ったとおり根性と向上心はありそうだからあの子。
いい検事になるかもよ。
じゃあお礼に何か送るよ。
どうせ酒のさかなか何かでいいんでしょ?あっそうそう。
あんたが昔ほれてた彼女とはどうなったのよ。
確かあのう。
雨宮…。
(電話を切る音)あっ。
切りやがった。
関係ねえだろ。
何言ってんの?すいません。
東京からだったんで。
あのう滝田さん。
ここの名物って何ですかね?「あごま」でしょうか。
あごま。
あれ何なんですか?久利生さん。
わたしはもうすべて話しました。
早く起訴を。
いや。
もう少し待ってください。
泉谷からの連絡待ちなんで。
(辻)緑川はうちの人間じゃないよ。
でもその名刺に「実話パラダイス」って。
(辻)フリーのヤツらは勝手に作るんだよ。
取材に便利だから。
(りり子)とにかくその緑川って人に連絡取りたいんですけど。
(辻)しかし山口にこんなかわいい検事さんがいたんだ。
(りり子)電話番号教えてもらえます?
(辻)グラビアやらない?現役検事のヘアヌード。
これは殺人事件の捜査なの。
緑川さん見つけなきゃ殺されたこの三ノ宮って人の正体が分かんないの!
(辻)あっ。
(りり子)電話番号教えなさい。
(辻)こいつが緑川。
(りり子)えっ?三ノ宮さんが緑川?あれは三ノ宮さん自身の名刺でフリー記者っていう別の顔があったんです。
でも売り込んでくるのはうさんくさいネタばっかでどこも相手にしてなかったって。
ふーん。
あー。
じゃあさ三ノ宮さんっていうか緑川が週刊誌に売り込んだネタ全部集めてもらっていい?よろしこ。
はっ!?ネタ全部って。
緑川祐司って三ノ宮さんのペンネームですって。
よし。
さっさと終わらせて表参道ヒルズ!フリージャーナリスト!?それが三ノ宮さんの裏の顔。
で警備員っていうのが表の顔。
結構ねタチの悪い人だったらしいんですよ。
タチが悪いっちゅ言われたってなぁ。
でもさ被害者調べ上げてどうすんの?いやフリージャーナリストがじゃあどうして山口に来たんですか?
(西山)だから釣りだろ!釣り宿に泊まってたんだから。
(村上)ですよね?もうビールまだ!?
(店主)うるさいのう。
何度も何度も!俺も何か腹減っちゃったな。
あっすいません。
焼きおにぎりとか…。
ないよ!
(男)検察がビール飲みよる。
(女)滝田さん捕まえちょってから。
居づらくなったのうこの店。
あのう…。
三ノ宮さん。
ゆすりに来たってことないすかね?ゆすり?いや俺前に担当した被疑者にいたんですよ。
スキャンダルネタが売れなくなってその本人をゆすったっていう。
(西山)今度はゆすりかよ…。
滝田さんが三ノ宮さんにゆすられてたっちゅうんですか?で反撃で刺しちゃったとか。
あんた想像力豊かじゃのう。
ちゅうか妄想家じゃ。
滝田さんにそんな後ろめたい弱みがあったっていうの?いや例えばですよ。
例えば会社がらみの不正とか。
(小森)ありえませんよそれは!ないない!鴨井産業に限って。
分かんないじゃないですか!調べてみないと。
(小森)また強制捜査に行けっちゅうんですか!?勘弁してくれよもう!
(村上)津軽さん!あんたも何か言ってやれ!
(小森)あんたがいちばん被害受けとるんじゃろがね。
(村上)そうだデコピンしちゃれデコピン。
わたしは…。
(西山)よく聞け!久利生!うん。
久利生検事が間違っちょるとは思いません。
実際東京に捜査を広げて新事実が分かったんです。
誰にどう思われようがとことん調べて滝田さんの処分を決めるべきでは?うわっ!タバコ臭い。
(警官)ここが三ノ宮さんの仕事部屋です。
(家主)だから三ノ宮さんって誰?わたしがこの部屋貸してんの緑川さんよ。
(警官)だから…。
よし。
(警官)さっきも言ったように緑川っていうのは…。
(久利生)おおー!目の前モロ海ですね。
(ひろ子)ああ…。
うちは釣り宿ですから。
その三ノ宮さんが泊まってらっしゃったのはこの部屋ですよね?何かお話しされました?
(ひろ子)特にお話は。
誰かが訪ねてきたことは?いいえ。
あのうそろそろ夕食の準備が。
ああすいませんお忙しいところ。
お帰りは裏口からお願いします。
(久利生・津軽)はい。
(ひろ子)失礼します。
いただきまーす。
あの女将。
はい?あっいえ何でも…。
何すか?ちゃんと言ってくださいよ。
あの女将何か隠してるような…。
どうして?我々に愛想がよすぎます。
俺しばらく宿替えてここに住みます。
えっ?えっ!?はい?うん?うん。
よーし!
(警官)暑ー。
押収してください。
(警官)はいはい。
ああー。
表参道ヒルズが…。
(ひろ子)どうぞ。
えっ?これだけですか?申し訳ございません。
急なお泊まりでしたので。
ああ…。
俺?せめてお刺身ぐらい…。
(久利生)・「風呂風呂風呂風呂風呂風呂!」あっ?わたしもつきあいます。
事務官ですから。
はい。
はぁー。
広い風呂はいい。
女将とどのような話をされたんですか?いやまだ特に。
あんまり期待しないでくださいね。
俺結構行き当たりばったりでやってるんで。
知っちょります。
ハリルJAPAN…
日の丸の誇りを懸けた戦いが始まる
なでしこジャパン…
これは日の丸の誇りを懸けた戦い
(小森)あのうデリバリーお願いしたいんですけども。
あっこちらですか?あのこちら山口地検虹ヶ浦…。
(通話が切れる音)切れました。
えっ!?
(小森)検察に食わすピザはないそうです。
うちに出前してくれる店は1軒もないんか!?ここまで嫌われたのか俺たちは。
もう嫌じゃーっ!俺ら久利生に踊らされちょるだけじゃ!鴨井産業調べたって不正なんか出てくるわけないっちゃ!
(小森)大きな声出すなっちゃ!ああー。
(小森)でものう津軽さんあねえなこと言うし。
今やめると俺たち不まじめだって思われるなぁ。
(村上)そうじゃけど…。
仕事しよ。
どうせウチに帰ったって女房に冷たくされるんだ。
(ため息)やるか。
娘に口利いてもらえんし。
ああ…。
ああー。
何にもないよ。
「日本代表夜のワールドカップ」「芸能界SMマニアリスト」?何だ?これ。
(久利生)津軽さん。
そのさお津軽さん自分のですか?はい。
釣りやるんだったらさ言ってくださいよ。
久利生さん。
はい。
あなたはなぜ検事に?はっ?ああいやいや…。
いいんです。
すいません。
俺昔高校んときにケンカで逮捕されちゃって。
はい!?でそんときに俺についてくれた検事さんがすっげえいい人で。
それで。
おっいるかもここ。
冗談でしょう?えっ?いやホントですよ。
俺だって最終的に中卒ですからね。
だから大検取ってで司法試験受けて。
あっ!食われちゃってるわやっぱ。
(津軽)わたしが…。
(久利生)はい?
(津軽)わたしが検察事務官という仕事を選んだ理由は安定した公務員じゃったから。
それだけです。
わたしの仕事は事件を円滑に処理できるようにサポートする。
それ以上でも以下でもない。
事件や被疑者には全く興味ありませんでした。
新しく来た久利生という検事にも。
あなたしつこすぎる。
お陰でわたしまで。
事件の真相を…。
被疑者の気持ちを知りたいと思ったのは初めてです。
いいんじゃないすか?滝田さんは罪を逃れたくて嘘をついちょるんでしょうか?そんな人じゃないですよ。
きっと嘘をつき通そうって決めた理由があるんですよ。
何だよもうまた…。
帰りましょっか?
(津軽)はい。
(エンジン音)
(男)こいつら検察じゃ。
(男)テレビで見たのうこいつ。
行きましょう。
はい。
(男)待てっちゃ!お前ら滝田さんの何疑うちょるんじゃ?
(男)先に相手が因縁つけてきたんじゃろうが!あの人は被害者じゃ!申し訳ないんですけど。
すいません。
(津軽)捜査の内容をしゃべるわけにはいきません。
津軽さん。
(男)何じゃ!?偉そうに!
(男)滝田さん釈放せえ!
(津軽)離さんか!やめましょう。
やめましょう。
やめましょう。
ねっ?
(男)うるさいんじゃ!痛っ!
(津軽)久利生さん!あっ痛え!ああ…。
検事を殴ったらどうなるか分かっちょるんか!?久々痛え!ちくしょう!
(津軽)公務執行妨害で逮捕しちょるけんね!もういいですよ津軽さん!公務執行妨害ってこれ公務じゃねえし。
見せてください。
大丈夫。
大丈夫です大丈夫です。
あっ…。
わたしのせいで。
すいませんでした。
いや恨まれんのしょっちゅうじゃないすかうちら。
大丈夫です。
ああ。
歯いってねえから大丈夫。
大丈夫大丈夫。
(りり子のあくび)
(りり子)あー!汚い字。
何?これ。
六本木?あっ。
不正なんてどこにもない。
立派な会社じゃのう。
事務官辞めて鴨井産業に就職しようかのう。
(三人のため息)・・
(西山)はい。
山口地検虹ヶ浦支部。
ああ泉谷君。
どうした?三ノ宮さんの仕事部屋に鴨井正樹って名前のメモ書きがあったんです。
「29歳女と不倫」って。
鴨井社長のことが!?えっ?押収物の中にあった社長のスケジュールを見るとその日は確かに東京に出張している。
(村上)ああ!あった!あった!あったあったあった!宿泊先はホテルエクセラン。
(西山)ホテルも女と入ったってところと一緒だぞ!滝田さんが嘘をつき通す理由はこれですか?
(りり子)ありがとうございました!
(警官)表参道ヒルズまでお送りしましょう!いえ。
そんなとこに行ってる暇はありませんので。
(警官)はあ?
(ひろ子)行ってらっしゃいませ。
(客)じゃあ行ってきまーす。
(久利生)津軽さん…。
三ノ宮さんの遺体が見つかって警察がここに所持品を取りに来ましたよね?何か残っていませんか?例えばメモとか写真とか。
本当のことを教えてください。
(ひろ子)滝田さんは同級生なんです。
小学校のころからの。
あのころからみんなに優しくて絶対悪いことをするような人じゃないんです。
分かってます。
あの夜…。
三ノ宮さんが帰ってこられなかった夜…。
滝田君がここへ来ました。
(久利生)鴨井正樹さんと女性の不倫関係を三ノ宮さんは追いかけてたみたいです。
でもそのネタが売れなかったので彼は鴨井産業から金を取ろうとした。
でもあなたはそのゆすりには応じず彼を山口に呼んであの堤防で殺意を持って刺した。
動機は鴨井社長を守るため。
違いますか?事実ではありません。
ここに書かれてあることもありえません。
「ふるこし」っていう釣り宿ご存じですよね?女将の古越ひろ子さんが証言してくださいました。
津軽さんお願いします。
「6月10日夜9時半ごろ滝田さんが宿を訪ねてきました。
いつもと違い興奮している様子でスーツに血が付いていたので驚きどうしたのかと尋ねましたが滝田さんは答えず三ノ宮さんの部屋はどこかと尋ねてきました」「三ノ宮さんの部屋に入ると滝田さんは荷物を物色し写真を見つけると自分のポケットに入れました」
(津軽)「滝田さんは『このことは口外しないでほしい。
君に迷惑をかけたくないから』と言って出ていかれました」以上が古越さんの証言です。
これは事実ですか?事実ではありません。
わたしは面識のない相手とケンカになって刺してしまったんです。
ホントです。
・
(西山)おい!・
(村上)おい!あっ。
(りり子)遅くなってすいません。
三ノ宮さんがネタを売り込んだ出版社は50社以上あったんですけど1社にだけこれが残っていました。
よく見つけたなこれ。
歩き回ってヒールが壊れちゃいました。
滝田さん。
これはねつ造です。
こんなインチキな写真を真に受けないで早くわたしを起訴してください。
(津軽)この写真はねつ造された。
あなたがそう言えばこの町の人たちはみんな信じるでしょう。
わたしもこの町で生まれ育った人間です。
あなたがこんなくだらないことを隠すために人を殺してしまったなんて…。
悲しいです。
でも嘘をつかれるのはもっと悲しい。
自分を信じてくれる人をだますんですか?よいしょ。
滝田さん。
ここの海は宝だっておっしゃってましたよね。
あれホントですね。
俺こないだ飛び込んだんですよ。
したらむちゃくちゃきれいでした海ん中。
いしがき鯛がホントにいるのかどうか確かめたくって。
どうしても釣りたいんですよね。
滝田さん。
俺あきらめないことには自信あるんですよ。
ご存じですか?この国の法律って被疑者の起訴不起訴を決める権限を検察っていう組織じゃなくて検察官個人に与えてるんです。
これって結構とんでもないことなんですよ。
神様でもない俺たちがその人を裁判にかけるかどうか決めていいんですから。
でもだからこそ俺たちは相手がどんな立場の人でも周囲からどんなに同情されていても惑わされることなく公正な目で被疑者と向き合わなきゃいけないんです。
真実を納得いくまで追求する。
それが俺たちの義務なんです。
三ノ宮さんがやったことはひどいことかもしれません。
でも怒りに任せて殺していいなんていう権利は誰にもないんです。
そんなふうに扱われる命はこの国にはないんです。
俺はとことん粘りますよ。
この町の人全員から嫌われてもこれが真実だって納得いくまで絶対にあきらめませんから。
なんて人たちだ。
久利生さん。
はい。
スイカを使うんです。
はっ?いしがき鯛を釣るには餌にスイカを使うんです。
スイカ?東京まで行って会社を50社回った。
会社に押しかけて。
あの宿にまで。
わたしは母子家庭に育ちました。
中学のとき母が交通事故で働けなくなり心中まで考えたそうです。
助けてくれたのは先代の鴨井社長でした。
母を鴨井産業の事務職に雇ってくださりお陰でわたしは大学まで行き卒業して迷うことなく鴨井産業に入りました。
先代はホントにすばらしい方でした。
この町を愛し決して偉ぶらず誰にでも心配りをされご自分は質素な生活で。
わたしが妻をガンで亡くしたとき…。
身内のように泣いてくださった。
わたしは自分が受けた恩を鴨井産業に返そうと決めました。
先代の後を継いだ正樹さんをサポートしていくのがわたしの役目だと。
1か月ほど前です。
三ノ宮から連絡を受けたのは。
あの男はこう言いました。
写真を1,000万で買ってもらいたい。
その写真は鴨井社長が東京で不倫相手と密会している写真だと。
社長のスキャンダルはわたしがいちばん恐れていることでした。
何度も何度も苦言を呈し出張のときは目を離すなと部下にも言い含めていたんですが。
あなたは先程くだらないこととおっしゃったがそれは違います。
鴨井産業の社長は町の人の模範となるべき立場なんです。
たかが不倫といえど田舎の人は笑って済ませてはくれない。
公になれば信用は地に落ちます。
わたしは金を払うと伝えました。
すると三ノ宮は金額を3,000万に上げてきたんです。
わたしは悟りました。
一度ゆすりに応じたらこの男はどこまでもゆすってくる。
応じなければ平気でこのことを公表する。
わたしは金と写真を直接交換したいと持ちかけてあの堤防で三ノ宮と会ったんです。
殺すつもりはありませんでした。
あのナイフは脅すために持ってったんです。
社長のスキャンダルを公表したら自分はあんたを刺すと。
わたしの決意を見せるつもりだった。
でもあいつは鼻で笑って帰ろうとしたんです。
わたしの脅しなど何とも思ってなかった。
わたしは…。
カッとなって…。
刺した。
殺意があったことを認めるんですね?認めます。
(りり子)でも今の社長をそこまでして守る必要があったんですか?会社のためを思うなら滝田さんが社長になったって…。
それは違います。
二代目が継いでいるから鴨井産業は信頼されてるんです。
鴨井の名前がなければ鴨井産業グループはバラバラになるんです。
今地方都市はどこも大変なんですよ。
若者はどんどん都会に出てって商店街は寂れていく。
この虹ヶ浦は奇跡なんです。
鴨井産業と町が一つになって頑張ってる。
住民の半分が鴨井の関係者でそうでない人もバスや病院や何らかの形で鴨井とかかわって共存をしている。
もし会社が傾けばこの町もあっという間にダメになるんです。
そうなったら国に頼るしかなくなって大企業やあの花岡のような政治家の食い物になる。
あの海だって埋め立てられることになるんです。
そんなことがあっては絶対にならない!滝田さん。
あなたが本当に守りたかったのは…。
この町です。
久利生さん。
わたしが申し上げることはこれがすべてです。
どうぞ起訴をしてください。
よく分かりました。
でも一つだけ教えてもらっていいですか?ふに落ちないんですよ。
滝田さんがカッとなったっていうのが。
どうしても納得できないんです。
タバコを捨てたんです。
タバコ?あの男は帰り際自分の吸っていたタバコを海に投げ捨てたんです。
あの海は墓なんですよ。
あの海がホントに好きだった妻は自分の骨は海にまいてくれと言い残しました。
ですから先代の守ったあの美しい海は…。
妻の墓でもあるんです。
(滝田)だから許せなかった。
どうしても許せなかった。
わたしは立派な人間なんかじゃない。
お手数をおかけしました。
納得しました。
あなたを殺人罪で起訴します。
はい。
滝田さん。
裁判でどんな結論が出るか分かりませんがどうか…。
大丈夫です。
お世話になりました。
さてと。
行きましょう。
わたしも行きます。
うん?
(りり子)捜すんでしょう?タバコの吸い殻。
事実を確認しないと起訴状は書けませんよ。
(りり子)よし。
あっ。
(村上)さっ行きましょう。
小森さん!はだしじゃまずいでしょう!?どこかでビーサン買うっちゃ。
岩場があるけんこうダイビングシューズのほうがええっちゃー。
フフフフ。
その靴いちばんまずいんじゃないの?あっ俺長靴。
これ借りまーす。
(村上)はいはいはいはい。
(小森)事件からもう大分たっちょるけえのう。
ないのかな?何だこれ?おお!?
(西山)あー腰痛え!?
(りり子)痛てて。
絶対ありますよ。
(村上)吸い殻見つかったって裁判で情状酌量にはならんでしょ。
(西山)いいんだよ。
腰が。
(村上)小森さんロープ!
(小森)おう。
部長も。
(りり子)絶対見つける。
津軽さん。
俺そっちの下見ますわ。
はい!
(小森)おい。
気を付けろよ。
(西山)あっ腰が。
(小森)あっ。
嘘!?ちきしょう!もう出てこいよ。
キャビンマイルド。
この野郎。
(津軽)くそ!
(りり子)あった!おい。
ほら。
ほら!ほれ!あった。
滝田さんの供述裏付け取れましたね。
よかった。
ふうー。
お前服泥だらけだぞ。
もういいんです別に。
ふーん。
そうっすか。
(一同)ハハハ…!今日鴨井社長が記者会見で謝罪されました。
町の人たちには心からわびると。
許してもらえるなら父親のような経営者になるよう努力すると。
そうですか。
(滝田)あのう。
久利生さんにお伝えください。
検察であなた方のような人たちに出会えてよかったと。
はい。
釣れませんね。
スイカの種類違うのかな。
我々は滝田さんほど人間ができちょらんのでしょう。
ああ。
あるかも。
(牛丸)大変なことになりましたね次席。
まさか花岡の逮捕断念とは。
しかし特捜もこのまま引き下がるわけにはいかんでしょ。
(鍋島)牛丸さん。
彼を呼び戻すことにしました。
(牛丸)はっ?
(鍋島)彼ですよ。
(牛丸)彼?
(鍋島)はい。
(牛丸)ま…まさか!?うーん。
津軽さん。
えっ?どうしたんですか?仕事中でしょ今。
(津軽)どうせ暇ですけえ。
あっ。
見送りに来てくれたんでしょ?
(津軽)ああ。
これせん別に。
あっ。
あごま?
(津軽)すいません。
名物といえばこれぐらいしかないです。
ありがとうございます。
おおー。
うん?もう少しあなたと仕事がしたかった。
僕もです。
フフッ。
フフッ。
いえ。
痛たた。
津軽さん痛い。
すいません。
・
(りり子)久利生さん。
おう。
・
(汽笛)
(村上)行きましょう。
行きましょう行きましょう。
おら。
(西山)久利生。
俺たちもとことんやってやるよ。
負けないっすからね。
とことんやりましょう。
・
(笛の音)あーあ。
せいせいした。
これでまた静かな職場に戻りますね。
泉谷君悔しいだろ?東京行き先越されて。
別にいいです。
わたしここで頑張りますから。
よっしゃ。
変わってねえ。
(芝山)月見うどんを注文したのにたぬきうどんを出されてカッとなって店員を殴った。
(遠藤)はい。
暴行恐喝。
(芝山)さらに店員の胸ぐらをつかんで店にろう城し。
(遠藤)逮捕監禁威力業務妨害。
(芝山)かけつけた警官にしょう油瓶を投げた。
(遠藤)器物損壊公務執行妨害。
犯罪のてんこ盛りじゃないっすか。
ずうたいでかいからって調子こいて悪いことしすぎ。
(芝山)何?
(遠藤)えっ?いや。
違いますよ。
芝山さんは単にでかいだけじゃないですか。
単にでかい?ちょっと待ってください。
どういう意味だ?つまりでかいぐらいしか特徴がない…。
ごめんなさい。
(江上)悪気はなかった?
(末次)警察では出来心って言ってます。
(江上)出来心?
(末次)魔が差したって。
(江上)魔が差した?
(末次)しつこいですよこの人。
末次さん。
あなたね万引き12回もやっといてそれは言葉の使い方違うんじゃないかな?うれしそうだな江上さん。
(江上)黙ってて。
それじゃあ1回目の万引きから思い出してもらおうかな?
(末次)はい1回目。
(マッサージ器具の音)嘘ついたらすぐ分かるからね。
だって僕はここのエース。
エースだからね。
(マッサージ器具の音)
(美鈴)肌小麦色。
(舞子)歯も真っ白。
(美鈴)後ろ髪も長くて。
洋服の趣味も個性的。
(美鈴)あーあ。
最近ホストクラブ行ってないな。
そんなとこ行ってんですか?中村検事。
楽しいわよ。
雨宮もどう?遠慮しときます。
この手の男性は苦手なんで。
あら。
かわいいじゃない。
こんなすてきな男の子が何やったのかしら?六人の女性から金品をだまし取りました。
調書ではぬれぎぬだったと供述しています。
じっくり話を聞こうじゃない。
こう留決定。
あなたは逃亡証拠隠滅のおそれがあるので今日から最長10日間こう留されて検事の取り調べを受けます。
でもこう留延長もありますので覚悟しておいてください。
(舞子)はあー。
全くもう。
のらりくらり。
(においをかぐ音)臭い。
何このにおい?これあごま。
お土産。
みんなの分あるから。
久利生さん!?ういっす。
(芝山)久利生!
(美鈴)久利生君!?
(江上)久利生?
(遠藤)久利生さん!?
(末次)久利生さん!
(井戸)あっ久利生さん。
ああ!?起きた。
新しい検事って。
お前か。
ホントに来た!?お帰りなさい。
ただいま。
臭っ。
これ。
(村上)俺たちは相手がどんな立場の人でも周囲からどんなに同情されていても惑わされることなく公正な目で被疑者と向き合わなきゃいけないんです。
真実を納得いくまで追及する。
それが俺たち検察の義務なんです。
検察の義務。
(女性)そう。
(村上)僕は検事をサポートする事務官ですが気持ちは検事と同じです。
検察の仕事に誇りを持ってます。
いや立派なお仕事だ。
(女性)ホント。
(遠藤)いやいやいやいや。
もう最悪の仕事だよ。
検察事務官なんてろくなもんじゃないよ。
えっ?
(遠藤)あいつらさいつも検事にへいこらして見てらんないぜ!「へいこら」?
(村上)お父さん僕たち事務官は検事を守り正義を守る番人なんです。
(遠藤)「番人」?ちゃうちゃう!あいつらしょせん検事の番犬。
今の分かった?中国のチャウチャウっていう犬と番犬を掛けて…って説明させんなもう!お母さん娘さんを僕に下さい。
よろしくお願いしますお父さん。
(遠藤)あっ今変なおじさんだと思ったでしょ?俺のこと。
(女性)思ってる思ってる。
(女性)合コン好きのちっちゃいおじさん。
(遠藤)チッチッチッ。
ちっさいおじさんだけどチッチッチッ。
検事をなめないでいただきたい。
(村上)検事?検察の仕事はいつも危険と隣り合わせ。
毎日犯罪者や暴力団と向き合ってんだ。
えっ!?
(女性たち)こわ〜い。
そうなの?
(村上)いやいやあの東京はどうかは知りませんが虹ヶ浦は至って平和な町ですよ。
俺とは遊びだけにしときな。
検察の人間に下手に近づくとやけ〜どしちゃうぞ。
ホントにこの人でいいの?
(女性)どうしよう。
何なんだあなた!
(遠藤)ああ!?ホントに検事なんですか?さっきから聞いてりゃいいかげんなことばっかり!「ケンジ」だよ俺。
検察事務官だけど遠藤賢司よろしこ。
(一同)事務官!?えっ僕と一緒?
(遠藤)聞いてたよ。
真面目くさって何か検事に翻弄されてる顔してんなお前。
いい人だっていますよ検事には。
(遠藤)検事なんかみんなむちゃくちゃだよ!
(村上)いたんだよ!9年前の虹ヶ浦支部には。
(遠藤)今いるんだよ城西支部に。
(2人)久利生公平…。
えっ。
(村上)久利生?久利生公平知ってんの?
(村上)だから9年前に。
いや今いるんだよ城西支部に。
(村上)城西支部?あいつもうむちゃくちゃ通り越して今すんごいの敵に回そうとしてっからな。
敵?
(女性たち)何何何?知りたい?知りたいの?じゃ1文字目。
たいしかーん!
(一同)大使館?
(遠藤)はい正解「大使館」・
(女性)大使館だって。
どうかしてるでしょ。
(女性)クリタだかクリバヤシとかいう検事がどっかの大使館で迷惑掛けてるらしいのよ。
(2人)クリタ?クリバヤシ?
(女性)思い出した!久利生!ジーパンはいて仕事して変な検事なんだって。
(2人)久利生!?
(女性)でもミユキの旦那は違うでしょ?
(女性)ちゃんとした検事さんなのよね?お父さんも旦那さんも検事さんなんてエリート一家じゃない。
親父も検事?
(女性)ちゃうちゃう。
うちのパパが検察で次席になるような人だから旦那は私と結婚したのよ。
そういう計算高い器の小さいところがあるの。
あ〜!
(女性)どうでもいいわ旦那は。
私はねカワイイわんちゃんがいればいいの。
ロッキーラッキーリッキーポッキーが。
まさか…!
(村上)誰?あー浮気したい。
(木村)「HEROISHERE」!
日本全国…
トークという戦場に命懸けで臨む者がいる
2015/08/01(土) 21:30〜23:40
関西テレビ1
土曜プレミアム・ドラマレジェンドHERO 特別編[字]
映画公開を記念し新撮映像加えた伝説ドラマ復活!海辺の街で起きた怪事件に久利生公平が挑む!木村拓哉 堤真一 綾瀬はるか 松たか子 阿部寛 中井貴一 ほか
詳細情報
番組内容
新たに撮影された待望のスペシャル映像も加えて、2006年に放送された『HERO』スペシャルドラマを放送する。
山口県虹ヶ浦。澄み切った青い空に美しい海、そして人々の笑顔とどこを見てものどかで平和な村、虹ヶ浦に今回久利生公平(木村拓哉)は赴任することになった。
事件もほとんど起きず、あるのは鶏泥棒事件くらい。久利生は赴任するなり、鶏泥棒事件にも丹念に時間をかけ泥棒が盗んだ鶏の数までもとことん調べる。
番組内容2
久利生と今回組むこととなった虹ヶ浦支部の津軽保(堤真一)はそんな久利生のやり方が理解できない。そんな中、虹ヶ浦で11年ぶりに殺人事件が起こる。久々の事件に検事仲間たちはおじけづく中、事件は意外な展開を見せる。容疑者としてあがったのは、地元企業鴨井産業の重役で、村民のみんなから尊敬される滝田明彦(中井貴一)だった。滝田は鴨井産業の先代社長から忠誠を尽くし、村のためを常に考えてきた人格者。2代目の
番組内容3
鴨井正樹(利重剛)にも仕え、常に行動を共にしていた。
誰もが滝田の無実を信じるが、久利生だけ何かに疑問を感じ、ついには鴨井産業の家宅捜査までも実行する。久利生と組む事務官、津軽はそんな久利生のやり方に納得がいかない。新米検事の泉谷りり子(綾瀬はるか)ら地検の他の人間からも理解されない久利生。
支部長の西山吾一(塩見三省)らも事態を大きくされることを嫌がる。そんな気持ちもよそに久利生の捜査は進み…。
出演者
久利生公平(検事): 木村拓哉
津軽保(事務官): 堤真一
泉谷りり子(検事): 綾瀬はるか
村上健太郎(山口地検虹ヶ浦支部 事務官): 鈴木浩介
大藪正博(花岡事務所 秘書): 石橋蓮司
小森拓郎(山口地検虹ヶ浦支部 検事): ベンガル
寺本篤史(虹ヶ浦管轄 警官): 鈴木拓(ドランクドラゴン)
雨宮舞子(事務官): 松たか子
巽江里子(弁護士): 飯島直子
出演者2
中村美鈴(検事): 大塚寧々
芝山貢(検事): 阿部寛
江上達夫(検事): 勝村政信
末次隆之(事務官): 小日向文世
遠藤賢司(事務官): 八嶋智人
牛丸豊(刑事部長): 角野卓造
鍋島利光(次席検事): 児玉清
古越ひろ子(宿の女将): 手塚理美
西山吾一(検事山口地検虹ヶ浦支部 支部長): 塩見三省
滝田明彦(鴨井産業 専務): 中井貴一
他新撮部分出演者
スタッフ
【脚本】
福田靖
【プロデューサー】
鈴木吉弘
牧野正
【演出】
澤田鎌作
【企画】
石原隆
和田行
【音楽】
服部隆之
【制作】
フジテレビドラマ制作センター
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:29819(0x747B)