2012年4月24日、livedoorに 「上杉隆氏の講演内容に町山智浩氏が呆然」 と題する記事が掲載された。そこでは上杉氏がドイツで行ったとされる講演からの発言が引用されていたが、上杉氏は事実無根としてlivedoorに抗議し、その結果、記事そのものが削除されることとなった。上杉氏は以後も、記事での発言は 「話してもいないこと」 だとしている。はたしてlivedoorニュースに引用された上杉氏の発言は無かったのか、ドイツの元記事にあたって確認した。 |
18日、元ジャーナリストの上杉隆氏がドイツ・ヘッペンハイムで行った講演内容が波紋を広げている。 上杉氏は講演で 「(3号機の爆発の写真は)事故から1年経った今でも、これはマスメディアにはまだ許可されていないのです。いまだに日本政府もマスコミも、あそこでは爆発などなかった、と主張しているのです。」 〔※1〕 「福島県では、放射能という言葉はほとんど耳にしないのです。」 〔※2〕 「これまで、少なくとも12万人の人間が被曝し、6人がなくなり、10人が怪我をし、そして60人が行方不明となっています。これは、日本のマスメディアでは報道されない、政府が発表した数字です。」 〔※3〕 などと発言しており、とくに福島第1原発に関する報道には、日本のマスコミと政府による隠蔽工作があったとしている。 しかし、これらの発言は、日本で生活する我々から見ても大いに疑問が残る内容であり、ネット掲示板では「もしこれが事実だとすると、日本人はこの1年間、上杉氏と別の次元に生きていた可能性があり、パラレルワールドの存在を示唆することになる」と揶揄されている始末だ。 すると、22日にはツイッター上で、コラムニスト・町山智浩氏が反応をみせる。 「線量計をみせると外国人はびっくりします『ここに人が住んでるのか!』」 〔※4〕 という上杉氏の発言に、町山氏は「既に本人が事実でないと謝罪したことを講演ではまだ言い続けてるの?」と驚きを露わに――。 また、上杉氏がTBSラジオ番組「小島慶子キラキラ」降板理由を、「TBSの番組で、福島第一原発の3号機から放射能が出ていると話したら降板になった」と語っていることに触れると、(3月14日の『ニコ生×BLOGOS番外編「3.14頂上決戦 上杉隆VS町山智浩 徹底討論」』において)「『降板の話は原発事故前に聞いていた』とはっきり認めたのに…」と呆れた様子でコメントしていた。 もはや迷走しているとしか思えない上杉隆氏。今後もその発言に注視したい。 |
畠山
どうしてあれ〔※夕刊フジのWSJ記者発言〕が消えたかっていうことを知りたかったんですよ 上杉 それだったらライブドアのこの前のニュースだって消えてるし、二回消えてるでしょ。またこの前のドイツのやつだって消えてるんですよ。あれは僕が抗議したんです。ドイツで講演したものを、町山さんが言って江川さんが・・・ 畠山 そんなに火種あるんですか 上杉 ほらここにも書いてある、〔ニコ生のコメントで〕「ドイツキターッ!」って。これも、 まったく事実無根の記事だったから 、ライブドア・ニュースに、ツイッターはいいけどニュースになったら違うから、すぐ電話して、そしたら編集長が「すいません」と。で「どうしますか」って言ったら、「まあ別に謝罪する必要もないけど、それ違うと思うんだったら僕だったら削除して訂正しますよ」と言ったら、もうその瞬間削除。どうしてかっていうと、 最初の前提のコメントから、そんなこと言ってないコメントを使って、それをもとに論を立てて、しかもその後に結論を出してるのが町山さんのコメントなんですけど。 上杉 僕に当たってないのと、町山さんのコメントも違うから、と。〔自分が〕言ってないことを町山さんが言っていることをそのまま使うんです。だからあまりにもお粗末だからライブドア・ニュースもちゃんとやった方がいいですよ、と。べつに他人のこと言えないけど、やるんだったらこっちの方に当ててくださいと、少なくとも。だったら、て言ったら、ライブドア・ニュースってのは当てることをしない、取材はしないニュースなんですよ。それを認めてましたけど。だったら、じゃあそのやり方は別に否定するわけじゃないけど、わたしもちゃんと反論をしたいんで、って言ったら、結論は、削除って言ってその一時間後に削除しました。だから今は見られません。でもこの前言ったのは、削除すると、間違えてないと魚拓も残り、またその悪い部分だけ残るんで、訂正か削除したことを一文載せてくださいよと言ったら、それは法的にできるかどうかを考えますとか言って。だからわけわかんない。まあ、一個一個言ってくと、そんなことは別に訊かれれば言うけど、自分で言うことじゃないでしょ。 |
話してもいないことをニュースにする劣悪さ RT @uesugi_news: @uesugitakashi
ライブドア・ニュースドイツ講演記事、削除の真相は【上杉氏「全く事実無根の記事だったから」】※詳細は→ bit.ly/QpQ5zF
— 上杉隆 / Takashi Uesugiさん (@uesugitakashi) 2013年1月28日
「(3号機の爆発の写真は)事故から1年経った今でも、これはマスメディアにはまだ許可されていないのです。いまだに日本政府もマスコミも、あそこでは爆発などなかった、と主張しているのです。」 |
ひとつだけ例を挙げましょう。 写真は福島の原子炉3号機の爆発を示していますが 、欧州ではとてもよく知られたものだと思います。日本ではそうではないのです。 災害から一年経ってもメディアでは認められていないのです。日本政府とメディアは相変わらず爆発は無かったと言っています 。写真が公になれば矛盾が明らかになってしまうでしょう。 |
「福島県では、放射能という言葉はほとんど耳にしないのです。」 |
放射能という言葉を福島県で耳にすることは事実上ありません。信じられないでしょうが本当です。 |
「これまで、少なくとも12万人の人間が被曝し、6人がなくなり、10人が怪我をし、そして60人が行方不明となっています。これは、日本のマスメディアでは報道されない、政府が発表した数字です。」 |
これまで、少なくとも12万人が被曝し、6人が亡くなり、10人が怪我をし、そして60人が行方不明となっています。これは政府のだした数字ですが日本のマスメディアでは報道されません。 |
「線量計をみせると外国人はびっくりします『ここに人が住んでるのか!』」 |
上杉 0.9〔μSv〕、あの発表してる0.9になるともうずっと警報です。 外国人がここへ持ってきてみんなびっくりするんです。「ここに人が住んでるのか!」 |
※ドイツ国際放送のインタヴュー記事に関して、2012年5月にドイツ国際放送のJohannes Hoffmann氏およびBerthold Stevens氏宛に、日本で3号機爆発の報道があったこと、記事に掲載されている写真は2011年3月18日の日本の新聞各紙に掲載されたものであることをメールで指摘したところ、Jan-Philipp Scholz氏から以下の回答が送られてきた。 thank you very much for your e-mail and your comments concerning our interview with Takashi Uesugi. We would like to stress that the opinion of an interviewee does not necessarily need to respresent the views of the author and the editorial department.However, an independent media organisation should offer space for different perspectives and ideas. All in all, I think our coverage of the Fakushima disaster and Japanese politics and society in gerneral has been balanced and appropriate. 〔上杉隆氏への私たちのインタヴューにかんするメールとコメントたいへんありがとうございます。インタヴューされた人の意見が必ずしも筆者や編集部の見解を表すものではないということを強く主張しておきたいと思います。しかしながら、独立系メディア組織は異なる視点と着想に発表の場を提供しなければなりません。全体としてみれば、福島の災害と日本の政治社会一般にかんする私たちの報道はバランスがとれていて適切なものだっだと考えています。〕 Scholz氏からは、記事について上杉氏から削除要請があったという話はなく、実際、記事は現在でもドイツ国際放送のウェブサイトに掲載されている。また、上杉氏は自らのHPで、ドイツでの講演は「事実に基づいたものだとドイツメディアからも事実確認がなされた」と述べているが、上記のように、ドイツ国際放送の回答はそのようなものではなかった。 上杉氏のインタヴュー記事にかんするドイツ国際放送の見解については、同局にメールで確認することができる。(※問い合わせ先) |