おはようございます。
市馬でございます。
寄席の言葉や何かをご紹介しておりますが今日はまんだらでございます。
まんだらというのは我々が使うこの手拭いの事をいうんですがまあ語源は仏様の教えを書きましたねあのまんだら。
手拭いも四角いですからまあそんなところから来てるんじゃないかと思いますがいろんなものに落語の中では使います。
本を読む時あるいは手紙を書く時それからきせるでたばこを吸うなんて時はこれがもう必ず必要になってまいります。
今日は私の手拭いを持ってまいりました。
名前が染め抜いてありましてねちょっと図案化になってますがお分かりになれますかな?ここが柳という字柳。
亭市馬とこうなってます。
こういうのをみんな持っておりますのでねどうぞ皆さん今度から落語をお楽しみの時にはこれにもご注目頂きたいと思います。
それでは今日の出演者をご紹介致しましょう。
漫才の新山ひでや・やすこのご両人でございましてほのぼのと致しました夫婦漫才。
「もう最高最高!」というまさに息の合ったお二人の漫才。
お後は落語の古今亭文菊さんでございます。
若くてねいい男ですからね落語界では私が1番2番が文菊というぐらいでございましてごゆっくりお楽しみ頂きたいと思います。
ではどうぞ。
どうも。
(2人)おはようございます。
早い時間からすいません。
ありがとうございます。
ほら見てごらんなさい。
今日のお客様は…。
(2人)もう最高最高です!ありがとうございます。
一緒にやって頂きましてありがとうございます。
共働きでやっております。
はいそうなんです。
あ私の恋女房だ恋女房なっ。
よく言いますね。
朝から恋女房。
夫婦って嫌よね。
長い間一緒にいるともううそが上手になっちゃってね。
恋女房恋女房恋女房!えっ私恋女房?そう化粧の濃い女房。
じゃあやすこさんちょっと聞きますけども理想の夫婦とはどういう夫婦だか知ってるかな?いや知らないわよ縁がないもの。
(笑い)この間テレビでやっておりました。
理想の夫婦には3つの条件があるんだって。
3つの条件?まず思いやり。
そして同じ価値観。
最後が経済的ゆとりなんだってさ。
何だ〜ねえそれだったら私たち全部満たしてるじゃないのよ。
そうなんですよ。
もう思いやりなんちゅうのも…。
(2人)オッケー!同じ価値観…。
(2人)もちろんオッケー!経済的ゆとり。
(2人)もちろんノー!こういう嫁と一緒にいるんですから大変ですよ。
大変だ大変!あなた大変なの?そうだよ。
何であなたが大変なのよね?大変ですよ。
私の方が大変よ。
家に帰ればお湯を沸かしお風呂を沸かしここでお客様も沸かしね。
もう疲れるんです。
若すぎるから。
いや若くない若くない。
若くないよ。
いやでもちょっと聞いて下さい。
私思うんです。
この人と一緒になって本当によかったなって。
マジでそういうふうに思ってくれるか?思いますよ。
最高最高!あなたと一緒にならなければ一生味わえなかったですもの苦労という2文字を。
苦労という字は誰だって学校で教わるもんでしょう。
そんな事ないですよ。
私はあなたと一緒になってから苦労という字を覚えたんですから。
へえ〜俺と一緒になってから苦労という字を覚えたの?そうですよ。
僕は君と一緒になってから辛抱という字を覚えたよ。
そりゃあね最高最高じゃないの。
最高最高。
いやでもね我々もいつも転んだりいろいろつまずいてもな最高最高で生きていこうって誓ったんだろう?そうそう。
そうですよ皆さん最高最高ですよ。
いつも毎日前向きでね。
最高最高。
私北赤羽という所に住んでんですが乗ってる電車は埼京埼京なんですよ。
うまいうまい。
上野のお山は西郷西郷です。
うまいうまい今日はさえてるね。
うちの朝ごはんは解凍解凍なんで。
ちょっと…。
夫婦の中は冷凍冷凍なんです。
あ〜合ってる合ってる。
合ってるじゃないよ。
そうじゃないの我々は夫婦仲よくやっていくために家計の節約をしなきゃいけない節約を。
えっ節約?あ節約だったらあなたと一緒になってからず〜っと節約してるから。
どういう節約?どういう節約?だからほら「お帰りなさい」というのを「お帰り」にしたり「こんにちは」というのを「ちは!」にしたり。
言葉を節約してどうするのよ。
だから省エネでしょう。
省エネってのはそうじゃないでしょう。
出かける時に電源コンセント抜くとかトイレのタンクにペットボトルを沈めて流れる水の量を少なくするとか。
お風呂の残り湯なら使ってますよ。
偉いね〜。
洗濯だろ?いいえあなたのお茶とコーヒーに。
あなた毎朝言ってるじゃない。
「おいしいねお前コクがあるね」。
汚い!汚いよ。
これはもう最高最高!君の無駄が1つ分かったよ。
週1回カラオケ行ってるでしょう。
あれが無駄だからやめてちょうだいよ。
何言ってるのよ。
私の料理はカラオケで覚えてるんだから。
料理をカラオケで覚えてるの?そう。
じゃあそのカラオケの料理朝からちょっと作ってみなさいよ。
ここで?カラオケの料理だよ。
じゃあいきましょうね。
・「アジ」アジ?アジったらほら魚のアジですよ。
あ魚のアジですね。
・「アジ3枚の切り身におろし」・「僅かばかりの塩とこしょうを」・「まぶしたりして」・「あとは黄色い黄色い溶き卵を」・「そのあとパン粉たちはむらなく切り身に集う」・「ぐっと油で揚げておいしいものですね」いやいやいやいや!ありがとうございました。
やっぱり今日のお客様…。
(2人)もう最高最高!すげえすげえこれ俺の女房俺の女房。
最高だね。
じゃああれあれカレーはできないんじゃない?カレーだってできるのよ。
カレーも作れるの。
・「カレーにはいくつかの種類もある」・「ビーフカレーポークカレーチキンカレー」・「そのほかに野菜カレーシーフードカレー」・「どれがいい」えっどれがいい?・「どれにする」ど…ど…どれがいいかな?・「作るのはあんた」
(拍手)
(拍手)ありがとう存じます。
ようこそのお運びで。
相変わらずのところでおつきあいを願うという訳ですが。
まあのんきなところが出てくると話の方の幕開きだそうでございまして。
「おう!ちは!ご隠居いますか?ちは!」。
「はいはい。
おうどうした?八つぁんかい。
何だお前久しぶりだねおい。
まあまあこっち上がんな」。
「どうも。
え〜驚いたね今日は。
今日ねご隠居にちょいと教わりてえ事あるんですよ」。
「ほうそうかい。
どうした?」。
「実はねあっし仲人っての頼まれちゃったの」。
「仲人?へえ〜どこのうち頼まれた?」。
「どこって表通りの伊勢屋さんあそこに頼まれたの」。
「表通りの伊勢屋さん?おい何だい。
あら大変なご大家だよ。
へえ〜そりゃ大したもんだ。
それで私にいろいろ聞きに来たとこういう訳か?」。
「そうなの。
うちのかかあに言ったらさ『お前は仲人なんかできないよ』ってそう言ってんの。
うちはほらくっつき合いで一緒になってるからね。
『そこへいくってえと横町のご隠居ってのはいろんな事知ってるから聞いてこいよ』ってこう言うんですよ。
やっぱり着物や何かちゃんと着てかなくちゃいけないんですか?」。
「そりゃそうだよお前。
ああいう所にはね紋付き着てかなくちゃいけないよ。
お前んところには紋付きなんてのはあんのかい?」。
「ああ…うん…あるよ」。
「ああそうかい。
ふ〜ん。
お前んところの紋は何だい?三つところ紋かい?五つところ紋かい?」。
「う〜んうちはあれだよ一つだよ」。
「あそうか一つ紋かい。
珍しいね。
どんな紋だい?」。
「あれはだってさ背中に大きくね丸通としてある」。
(笑い)「お前それ印半纏っていうんじゃないの?」。
「えっ?」。
「それ紋付きじゃないよ」。
「あそうかい?それじゃ婚礼に着てっちゃ駄目?」。
「駄目だよそりゃ」。
「あそうか。
どうりでおかしいと思った。
この間ね間違えて弟の婚礼に着てっちゃったの。
そしたら何だか知らねえけどみんながこっちに下足を預けるからね俺おかしいなと思って…」。
「下足番と間違えられてんだよそりゃ。
しょうがないね。
じゃあじゃあいいよ私の紋付き出してやるから。
おいばあさん。
たんすのね上から3番目からちょっと紋付き出しとくれ」。
「ちょいとご隠居の前だけどさ上から3番目だなんてな事言わねえでさもっと一番下のいいやつ貸してもらいてえね」。
「お前うちの引き出しの事よくご存じだね」。
「ご存じだよ。
留守の時よくのぞいてるからねこうやって」。
「泥棒だよお前それじゃ。
まあお前はね仲人という事になるとお開きの段には腹を見せなくちゃいけないよ」。
「見せちゃう?俺腹。
ちょっと毛深いけどいいかい?俺の腹っていうのは」。
「そうじゃないよ。
お前は仲人なんだからご祝儀『高砂や』をやるんだね」。
「何だい?その『高砂や』っていうのは。
横町のおでん屋か何かですか?」。
「そうじゃない。
『高砂やこの浦舟に帆を上げて月もろともに出汐の波の淡路の島影や遠く鳴尾の沖過ぎてはやすみのえにいりにけり』。
これお前さんやんだよ」。
「へえ〜。
何だいそら?どんな具合にやるの?」。
「どんな具合ってねまあここに扇子があるが後で白扇を貸してあげるからいいかい?それをここんと持ってくんだ。
目線はね鴨居の見当だ。
いいかいっぺんきりっきゃやんないからねよく聴いてなさいよ」。
・「高砂や」・「この浦舟に」・「帆を上げて」「ハッハッハまあこんな程度だ」。
「ハハハハハハハハハハ…。
いい年をしてよくそういうまぬけな声が出るねそれ。
何か豚がぜんそく患ってんのかい?そりゃ」。
「お前さんがやんだよこれ。
できるかい?」。
「できるかいってこっちは歌は得意中の得意だもの。
どうって事はねえ。
これは何?置いときゃいいの?ああそうかい。
こうやってりゃいい。
ヘヘヘ…いいもんだからね」。
・「テトンテツツンツン」「何だよ?そりゃ」。
「何だよじゃない三味線よ三味線」。
「三味線なんぞ入らないんだよこれは。
やってごらん」。
「あそう。
三味線入らないの?何だよ陰気だねこりゃね。
あそうかい。
じゃあどうって事はねえ」。
・「高砂や」「お前都々逸じゃないのそれはお前。
そんな柔らかもんじゃないんだよ。
もっと重々しくやんなきゃ駄目」。
「あそう?重々しくやんの?難しいね重々しくね」。
・「高砂や」・「この浦舟に帆を上げて」・「清水港」「何だよお前そりゃ浪花節だね。
うまくいかないね」。
「いかねえ」。
「私今思い出したけどねお前うちの裏路地に売りに来る豆腐屋の売り声が得意だっていうじゃないか。
あれはねどことなくこの謡曲の調子に似たとこあんだよ。
やってごらん」。
「おう豆腐屋の売り声。
おはこだよこっちは。
あそうかあれでいいの?じゃあ豆腐屋だからねこれこんなとこ置いとけないよ。
いいかい?てんびん棒担がなくちゃいけねえからこういう形になっちゃうの。
いいね?うん」。
・「豆腐」「どう?」。
「いいじゃないのよ。
それだよお前。
その調子でいいんだよ。
それで『高砂や』とやってごらん」。
・「豆腐」「いやいやだからさ豆腐は分かったんだよそれはな。
その調子で『高砂や』とやるんだ」。
「ああそうか。
ほ〜い」。
・「高砂や」「この浦舟に帆を上げて」。
・「この浦舟に帆を上げがんもどき」「何だいがんもどきってのは。
まあまあそこまでいきゃいいだろう。
あといくらやったってお前ボロが出るだけなんだから。
そこまでいったらな『あとは親類の方ご器用な方私のあとを続けてお願いを致します。
仲人の役目はこれまででございます』と言やもうやりたくてうずうずしてる方いくらでもいる。
任せておけばそれでいい」。
「ああそうかい。
じゃあちょいと行ってくらあ」ってんでのんきなやつがあったもんで。
当日になるってえとおかみさんがしっかり者ですから三々九度まで済みましてそろそろお開きというところ。
「お仲人さん本日はまことにご苦労さまでございます。
そろそろお開きというところでございますがここら辺りでご祝儀を賜りたいと存じます」。
「よっ!来たねハハハハハハ…。
腹見せようか腹を。
毛深いよ腹が」。
「はあ…いやあのご祝儀を」。
「おう分かった。
何だよ大丈夫なんだよ。
俺はご隠居に教わってきてるから大丈夫ハハッ。
どうも!どうも皆さんこの度はとんだこって。
いやいや…とんだこってって事はねえけれどもねご祝儀ぶつかるから気を付けて下さいね。
え〜っとここんところだなうん。
ばかに鴨居が高えところにあんね首がひん曲がっちゃう…。
ねえハハハハハハ…。
えへんうんあ〜うん。
ちょっと飲み過ぎちゃったハハハ…。
えへんうんうん…」。
「気持ちが悪いんですか?大丈夫?」。
「大丈夫だよ今調子を見てんだから」。
・「豆腐」「何かのご冗談ですか?」。
「ご冗談じゃねえのよ。
これやんねえとあと出てこねえから」。
・「高砂やこの浦舟に帆を上げて」「どうです?」。
「これはこれはありがとう存じます」。
「ハハッいいだろうこれ。
こういくんだい」。
・「高砂やこの浦舟に帆を上げて」「どう?」。
「これはこれはありがとう存じます。
今そこは一度伺いましたんでねその先をお願い致します」。
「よっこの先だ。
やりてえところ。
ところがね仲人の役目はここまで。
あとはどうぞ親類の方ご器用な方私のあとを続けてお願いしますよ」。
「さようでございますか。
ええ。
お仲人さんそうおっしゃるんで。
ええうんハハッ。
ブルルルルルル…それは私は…。
そちらでやって…。
うん。
あ〜そう。
ハハハそう…。
いや〜お仲人さんに申し上げます。
親類一同皆不調法者ばかりでございましてなこの先お一人にてお願いしたいと思いますが」。
「ヘヘヘヘヘ…え?いやだってあれ?ご器用な方いるんでしょう?ねえご器用な方さ。
どうして目をそらすんだよ?俺からそうやって。
いややらねえ事はねえのよ。
うんやらねえ事はねえけどさ。
話が違うよこれ…」。
・「高砂やこの浦舟に帆を上げて」「いやそこは再三伺っておりますんでねその先を」。
・「高砂やこの浦舟に帆を下げて」「いや下げちゃ困りますよ」。
「じゃあ…」。
・「また上げて高砂やこの浦舟に」「どうぞお先を」。
・「助け船」
(拍手)先生のお名前といいましょうか存在がはっきり分かったのはあの「四季の歌」というね。
「春を愛する人は」。
これもね日本国中知らない人はまずいないと思うんですけれども。
あれは随分若い時の?そうね18ぐらいじゃないですかね。
何か学生さんの時にスキー部でスキーで骨折しちゃったんでしょ?そうですね。
それで入院してるそのベッドの上で足は折ったけどほかが丈夫なんで退屈でしょうがないから。
ちょっとその「ほかが丈夫」っていうのが。
それ落語ですか?朝から。
朝からそんな話はね。
ほかったってね…いけません先生そういう事。
看護婦さんが来るの楽しみにしてたらしいんですけど。
また大学生がよくこれを作れるなとも思うんですが長い事どなたが作った歌だか世間には分かんなかったんですよね。
まあでもこれ何となく考えてみると簡単ちゃ簡単ですよね。
そりゃ出来ちゃってこうやって見るから簡単って言えますけど簡単じゃないでしょう。
いきなりないところこれ生み出すのは。
この時代ねこういう歌いっぱい書いてたんですよ。
ノート20冊ぐらい。
で「お前の歌が作者不詳になってるから出ていった方がいいよ」って言ってレコード会社行って「僕が書きました」っていう事で。
歌の方がすごいですね。
何人かいたんだけどハイネ知らなかったんですね出てきた人が。
やっぱり何人か出てきた?出てきました。
あら〜度胸のいい人いますねまた。
そらで覚えてる詞が1編だけあったんで周りの人が「参りました」みたいな感じで。
そりゃそうですよね。
またよく出てくるねそういう人もね。
大作曲家の田正さんがあの先生がシベリアで抑留されてて向こうで作った歌がシベリアから何年か4〜5年して帰ってきたら「のど自慢」でバンバン歌われてたってそういう何か…。
まあでもそういう事っていっぱいあるんですね。
読み人知らずじゃないけどもねありますよね。
これもまた冥利に尽きるというかね。
実際に僕は運動部にいたしずっとバンカラだったしやんちゃだったしねこんなすみれの花のような恋人もいなかったしましてや「冬を愛する人は心広き人。
根雪をとかす大地のような僕の母親」。
すごく耐える母親みたいでしょ?僕の母親もっとこう…。
どっちかっていうととんだ女性だったんで。
これじゃあ希望的といいましょうか先生のね。
こうあってほしいとかこうありたいとか。
これ大学生の時ですもんね。
チラッとお話が出ましたが先生のお母さんの話をね。
おふくろですか。
ちょっと伺いたいんですが。
伺うところ先生のお母さんは美人だったって話なんですけど。
ええきれいでしたよ。
ものすごくきれいだった。
間違いない。
あのね小さい時ね一緒に歩いてて向こうから来たおじさん振り向かない人いなかったもの。
こうやって。
ほう〜。
じゃあ先生鼻高かったでしょう。
あらお写真を。
これはまだ独身の頃だと思うんですけど。
あら〜また…。
これ大連で。
桜の花をバックといいましょうか一緒に。
へえ〜。
ちょっとじゃあ皆さんに見て頂きましょうか。
よいしょ。
どうです?皆さん。
この…まあ〜原節子さんか李香蘭さんか。
ちょっとこの大連時代っていう事は先生大連から引き揚げていらしたんだけども。
これはねこの写真…カメラマンがなんとですね「七人の侍」の三船敏郎さんなんです。
えっ?これを撮った方が。
大連に住んでた時にですねおやじが今で言うマンションみたいなの買ってそこに部屋を貸してて三船さんの一家は駅前のそばに三船写真館って…。
三船敏郎さんのお父さんが僕が聞いた話ですけどね写真屋さんだった写真館だった訳。
それで三船さんはそこで写真を撮ったりしてまあモデルとしてうちのおふくろミツコっていうんですけど「ミッチーミッチー」つって…。
きれいだからモデルに。
そうそうそう。
へえ〜。
で三船さんは終戦後日本に帰ってきて役者になったんですけど。
僕はねそれでまあ結局最後は日本に来てから片親でね母と暮らしてましたから。
まあこの人が…この人って母親がいたからね僕はこういう仕事になれたんじゃないかなと思うんですけどね。
ある時母がねこんな事言うんですね。
「あんた子どもの時にね寂しくなかった?」って。
だから「寂しかったに決まってるでしょ」と。
だってごはんを作っておふくろは働きに行く夜の仕事行く。
昼間は昼間で働いてみんながさ「何とかちゃんごはんよ」つった時もう僕は独りぼっちでいなきゃいけないと。
「寂しかったに決まってるでしょ」って言うでしょ。
「ほらね。
あんたが寂しかったからそういう作詞っていうかね詩人になれたのよ」と。
「私があなたを寂しく育てたから今があるのよ」とこういうね…。
粋なもんですね。
ババアっていうかね頭来るでしょ?頭へ…。
まあね。
私ね先生の語録といいましょうか言葉の中でねもう大好きな言葉がある。
何?お母さんはねお酒を売っていくらの商売。
だから僕はお酒を飲んで…。
飲む商売ね。
うん飲む商売に。
ブランクの時ね「あんたどうせ売れないんだからうちの店何軒もやってるからあんたんとこの若社長ってしてもいいからって言うやついっぱいいるからお店継ぎなさい」って言われて「嫌だ」つったの。
で「何で?」って言うから「ずっとお母さんは酒売ってる人。
だから俺は酒飲む商売をしたい」って言って。
言いえて妙ですよこれは。
そうですかね。
お母さんもそりゃ何ておっしゃったか知りませんけどそれはうれしかったと思いますよ。
お母さんの歌って先生書いたんですか?ありますよやっぱり。
まあ母っていうふうに目がけるとすごい切なくなるから母の代理として桜をね。
だから母が死んで十七回忌も過ぎたし軽く20年近くたつんだよ。
死んでから毎年2曲ずつぐらいは絶対桜の歌を書くんですよ。
それは必ずバックには母に対するここですね。
大連の桜なんですけどもやっぱりそういう思いはありますよね。
そうですか。
まあ先生も長い作詞家生活で今のこの歌謡界といいましょうか歌の世界何か聞き手が思いをはせる余白がないような歌が多いような私は素人で申し訳ないんですが気がするんです。
多分その作るもの表現者が全て思いが薄くなったのかなって。
ひょっとしたら歌い手さんも我々作家もね要するに芝居においても落語家さんにしても思いが遠くないんだね。
浅いの。
思いがね遠いとね伝えようとするんですよ。
こだまのようにやまびこのように「お〜い!」って言わなくてもすぐ伝わるでしょ。
でもだから思いが遠いからものすごく伝えようとする力も湧くし聞き手側も思いが遠いからさ「何て言ってんの?」って一生懸命になるでしょ。
聞こうとしますね。
聞こうとするでしょ。
だって手紙だって昔はねやっぱり2日とか3日かかる訳でしょ。
やっぱり思いが遠いからなるべく一生懸命書こう思いを伝えようとするけど。
「あちょっと待ってて。
じゃあもう一回かけ直す」って済むじゃないですか。
思いが浅くなりますよね。
便利になり過ぎるとそういうふうになるんですよね。
まあ先生にもねますますこれから元気でひとついい歌を書いて頂いて。
いやいやもう今はね面白い事を自分で楽しい事をするのが自分の人生かなと思ってるから。
自分が楽しくないと相手も楽しくないっていうか。
今日はまあいろいろ楽しいお話を伺いましてありがとうございました。
ありがとうございました。
是非またよろしくお願い致します。
呼んで下さい。
2015/08/02(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
柳亭市馬の演芸図鑑「新山ひでや・やすこ、古今亭文菊、荒木とよひさ」[字]
落語家・柳亭市馬が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、新山ひでや・やすこの漫才、古今亭文菊の落語「高砂や」。対談のゲストは荒木とよひさ
詳細情報
番組内容
落語家・柳亭市馬が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、新山ひでや・やすこの漫才、古今亭文菊の落語「高砂や」。対談のゲストは荒木とよひさ
出演者
【出演】新山ひでや・やすこ,古今亭文菊,荒木とよひさ,【ナビゲーター】柳亭市馬
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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