(二百郷朋子)瑠璃子さん最初に本屋さんに寄ってそれからパティスリーね。
(橘瑠璃子)マシュマロを買って小さい子供たちのプレゼントにしましょう。
リボンもかけてね。
そうね。
赤と緑のリボンを買いましょう。
お嬢さん方写真を1枚いかがですか?
(2人)お願いします。
はい。
はいそれではいきますよ。
(シャッター音)撮ってもらおうよ。
写真屋さんお願いがあるの。
はい?
(2人)フフッ…。
お車を。
結構よ。
歩きたいの。
こんにちは。
(2人)こんにちは。
今年の落ち葉とってもきれいな色。
朋子さんスクラップブックに貼りたいのね?ええ。
思い出に一番きれいな一枚を。
探しながら行ってもいい?じゃあゆっくり行きましょう。
バスの時刻にはまだ間があるから。
見て!向こうにもいっぱい!あっ。
フフッきれい…。
瑠璃子さん?瑠璃子さん!?瑠璃子さん!瑠璃子さん!瑠璃子さん!瑠璃子さん!瑠璃子さん!瑠璃子さん!
(石川哲雄)朋子さん?
(朋子)ヒナギク…じゃなかった…。
ああ…茜が危ない…。
あ…あの子を…助けて…。
(石川)朋子さん?朋子さん?
(朋子の声)あの方の事秘密よ。
(瑠璃子の声)ええ秘密。
誰にも。
(朋子・瑠璃子の笑い声)
(犬の吠える声)
(電話)
(柴田久造)茜お嬢様。
(柴田)あっただ今ロンドンの朋子様が亡くなられたとお電話が。
(二百郷茜)大叔母様が?もしもし。
(大石真弓)すいません。
ごめんなさい。
ちょっと…ちょっとどいてください。
すいません。
ごめんなさい。
失礼します。
こちら宛てに宅配便です。
(甲斐享)はーい。
(2人)あっ!甲斐くん!大石じゃん。
久しぶり。
ここにいたんだ?うん。
重い。
ごめんちょっとどいて。
はいはい。
はあ…。
えっと米沢守様宛てです。
米沢守様はここじゃないけど?えっ!?だってここに「特命係方米沢守様」って。
(杉下右京)ええ。
日時も指定されていますねぇ。
はい。
(米沢守)失礼します。
おっ着いてますな着いてますなぁ。
米沢さんこれ…。
いやぁ拙宅には宅配ポストがないうえに荷物の受け取り可能時間にはほぼまあ帰宅出来ず鑑識では証拠物件と紛れてしまう可能性があるのでこちらに送らせて頂いた次第です。
純然たる私物じゃないですか。
さよう。
そんなものを職場宛てに送らないでください!まったく…。
おっかないですなぁ。
昔っからです。
でなんすか?これ。
昔の鉄道雑誌です。
年の瀬の古書市を訪ね歩いてようやく見つけたのです。
古書市って古本市ですよね?なんかカビ臭いなぁ。
古書市の持つ文化的な価値をご存じないようですね。
つい先般などは元子爵の永沢成親公によって記された備忘録が発見されて戦後の動乱期の風俗を示す貴重な資料として注目を集めたんですよ。
へえ〜。
(携帯電話の振動音)杉下です。
ロンドンの石川です。
ご無沙汰してます。
今大丈夫ですか?ええお久しぶりです。
大丈夫ですが何か?朋子さんが亡くなりました。
ええ朋子さんが亡くなられましたか…。
僕は彼女の弁護士として臨終に立ち会ったんですが亡くなる直前の朋子さんの言葉がちょっと気になって。
意味のないうわごとかもしれないんですが朋子さんあんまり真剣な様子だったので…。
臨終の間際の気になる言葉…ですか。
ヒナギクじゃなかった。
茜が危ない。
あの子を助けて。
これってなんか危険を知らせてるんですよね。
でその茜さんという人と会った事あるんですか?杉下さん。
いいえお会いするのは初めてです。
ふーん。
君ついてこなくていいんですよ。
公務ではありませんから。
まあ乗りかかった船っていうかすでに車に乗り込んでますし。
乗ってますねぇ無理やり。
でその亡くなった朋子さんっていう人杉下さんとどういう関係なんですか?とても信じてもらえないと思います。
え?初めて会った時に彼女がそう言いましてね。
なんでです?教えません。
プライベートな事ですから。
ええ〜っ教えてくれないんですか。
(ベル)あっあの家じゃないですか?何かあったようですねぇ。
…みたいですね。
どうも。
こんにちは。
ちょっとすみませーん。
(玉野)ちょっとあんたたち勝手に入っちゃいかん!警視庁特命係の杉下と申します。
同じく甲斐です。
警視庁…。
捜査にいらしたのでありますか!いいえ。
はい。
はいそうです。
どうも空き巣が入ったようで。
家の中もうめちゃくちゃに荒らされて。
番犬も殺されてしまって…。
(柴田)お嬢様あとは私がやりますから。
(茜)大丈夫よ。
この子は私が…。
おい見せ物じゃないんだ。
用のない者は帰ってくれ!こちらの2人は警視庁の方です。
すみません。
警察の者です。
その犬の名前は?タロですけど。
タロの写真撮らせてもらってもいいですか?あっ…。
(シャッター音)賊はどの部屋も残らず物色したようでして…。
おおこれはひどい。
ここ納戸なんですが荒らされてます。
なるほど。
何か盗られたものは?居間の引き出しに入れてあった8万円ほどの現金だけだそうです。
家の者が仕事や買い物に出払ったほんの2時間ほどの間の事で。
古い手紙や書き付けの類いが物色されたようですねぇ。
うわっ…。
杉下さん。
スタンガンでやられたようですね。
電圧を違法に高く改造したスタンガンのようですね。
米沢さんに送って照会してもらってください。
了解。
しかし番犬を殺すなんて手口に念が入りすぎてませんか?加えて短時間で全ての部屋を物色していますから複数犯の可能性が極めて高い。
単なる窃盗犯じゃなさそうですね。
お金を奪ったのは空き巣に見せかけるため。
つまり目的は別の何かだった。
けど犯人たちは何を探してたんでしょう?
(玉野)あっ茜さん。
こちら警視庁の杉下警部と甲斐巡査部長。
こちらこの家のあるじの二百郷茜さんです。
ちょっと調べさせて頂いてます。
どうかされましたか?いえ…。
警視庁の方が空き巣の事でこんなに遠くまで?そうですか。
大叔母様のご友人だったのですか。
ロンドンでは親しくさせて頂きました。
どうぞ。
ああ。
(宮島加代)どうぞ。
早蕨の薬草茶でございます。
これはどうも。
ああどうも。
茜さんはこの家のあるじという事ですがご両親は?母は私を産んで間もなく亡くなりました。
父も3年前に病気で…。
それはお寂しいですねぇ。
いえ久造さんと加代さんがいてくれますから。
2人とも私が生まれる前からこの家で働いてくれていて家族同然なんです。
実は今日伺ったのは朋子さんが臨終の間際に茜さんの身を案じておられたと聞いたからなんです。
大叔母様が私の事を?朋子さんは最期にこうおっしゃったそうです。
ヒナギクじゃなかった。
茜が危ない。
あの子を…助けて…。
…と。
今日の事も単なる空き巣の仕業とは思えない節があります。
茜さん何かお心当たりはありませんか?いえ何も心当たりはありません。
(柴田)杉下さん甲斐さん。
失礼を承知でお願い致します。
どうかしばらくここへ泊まっていって頂けませんか?久造さん…。
この屋敷は広いばっかりで雨戸も裏木戸も壊れていてまたいつ泥棒に入られるかわかりません。
犯人が捕まるまで…いやせめて今晩ひと晩でも泊まっていってください。
久造さんご迷惑よ。
すいません。
いやいや…。
俺一度こういうとこ泊まってみたかったんですよね。
いいですよね?我々は構いませんが。
(加代)それでしたらすぐに張り切ってお夕飯の支度を致します。
すぐ出来ますからそれまで裏の森でもお散歩してらしてください。
ああ…。
茜さんなんか隠してますね。
ええ僕もそう思います。
来てみたらこんな事になってるなんて…。
朋子さんの最期の言葉当たってるかもしれませんね。
というわけでその朋子さんと杉下さんがどういう知り合いだったのかそろそろ聞かせてくれてもいいんじゃないですか?君そんなに聞きたいですか?聞きたいですよ。
それに今夜はここに泊まるんです。
もう一蓮托生です。
(ため息)朋子さんと最初に会ったのは10年ほど前休暇でロンドンを訪れた時の事でした。
どうしました?ああ…すいません…。
大丈夫ですか?ありがとう。
もう大丈夫ですわ。
もしよろしければわけをお聞かせ願えませんか?どうして涙が溢れたのか自分でもわからないんです。
ただあなたを見た時突然ある方の事を思い出したんです。
その方はあなたにとてもよく似ていらしたんです。
ご友人の方ですか?いいえ。
多分女学生の頃に憧れていた人。
女学生の頃に?わたくしがその方の事を覚えているのはひとつだけ。
その方はわたくしを真っすぐ見てそれからほほ笑んでうなずいた。
その面影だけ…。
それがいつどこで起こった事なのか。
その方が一体誰だったのか。
恐ろしい出来事があって何も覚えてないんです。
恐ろしい出来事?それについては彼女は何も話してはくれませんでしたがただその後彼女の弁護士の石川くんが僕の大学の後輩だとわかった事もあってロンドンを訪れる度に3人で食事をしたりしていました。
そうだったんですか。
それにしてもその恐ろしい出来事ってなんだったんでしょうね?杉下さんに似てるって人も気になるし。
ええ。
(犬の鳴き声)
(菅井崇)やあ警察の人?えーと…どちら様ですか?ああ私は早蕨郷土資料館の館長をしております菅井崇と申します。
どうして僕たちの事を?いやぁ小さな集落では外から来た人の事は思いの外目立つもんでね。
あなたが朋子さんの友人でお二人が警視庁からいらした事はもう早蕨のほとんどの人が知っていますよ。
マジっすか…。
ところで菅井さん。
この空き地は?あああの向こうはホテルの跡地なんです。
へえ〜。
早蕨にもホテルがあったんですか?ハハッ。
随分以前に火事で焼けてしまいましてね。
庭園のあるそれはもう美しいホテルでね。
戦前は華族や財界人が訪れる上流階級の秘密の保養地だったんですよ。
上流階級の秘密の保養地ですか。
はい。
早蕨ホテルは最後まで戦前と変わらず旧華族の人々でにぎわっていたものでした。
そんなすごいホテル誰が造ったんですか?
(菅井)二百郷洋蔵さん夫妻です。
洋蔵さんは茜さんの曾祖父に当たります。
曾祖父って事は…。
朋子さんのご両親がこの早蕨ホテルを経営していたわけですねぇ。
(茜)私ホテルの事はよく知らないんです。
昔の事にはあんまり興味がなくて。
じゃあ朋子さんとはどういう関係だったんですか?毎年クリスマスカードのやり取りをしていました。
でも大叔母様はずっとイギリスにいらしたので実際にお会いしたのは一度だけなんです。
お嬢様が小学校6年生の時でございましたね。
貿易商をなさっていた朋子様の旦那様が亡くなられて朋子様は納骨のために帰国されたんです。
その時東京のホテルに滞在されて茜お嬢様とご一緒に過ごされたんですよ。
その時朋子さんとはどのような話をされたのでしょう?ごめんなさい。
よく覚えていません。
子供の頃の事ですから。
(戸の開く音)
(遠野弘明)茜さん。
大変だったね。
空き巣が入ったんだって?あっこちらは警察の方です。
ああご苦労さまです。
こちらはライターの遠野弘明さん。
全国の神隠しの事件を集めて本を出されるそうです。
それでこの村に。
おやこの村で神隠しがあったのですか?ええ神隠しです。
57年前のクリスマスイブの午後。
神隠しに遭ったのは朋子さんの友達だったんですか?ええ。
旧華族橘家の令嬢橘瑠璃子さん。
朋子さんの親友で2人は東京のミッション系の女学校の生徒だったんです。
アルバム持ってきますね。
すいません。
左が朋子大叔母様右が橘瑠璃子さんです。
(遠野)橘家は夏冬の休暇を早蕨ホテルで過ごすのが習慣でねその際瑠璃子さんは朋子さんと2人でいつも2階のツインルームに泊まっていたんです。
この写真は瑠璃子さんが失踪したその日に写されたものですねぇ。
当時の新聞によるとこの写真を撮った直後2人はポーターが車を勧めるのを断って歩いてホテルを出ているんです。
そして瑠璃子さんだけが消えた。
もちろん村中総出で捜索したんですよね?いいえそれがその晩はそれどころではなくなってしまって。
どういう事ですか?その夜ホテルが火事で焼失したんです。
(早鐘)つまり神隠しがあったまさにその夜ホテルが火事になった。
ええ。
嫌ーっ!行きましょう!
(遠野)朋子さんは怪我を負いながらも間一髪救助されたのですがホテルを経営していた朋子さんの両親洋蔵さん夫妻はその火事で亡くなっています。
朋子様は1日でお友達とご両親と慣れ親しんだホテルをなくされて随分おつらかったと思います。
何もかもずっと昔の事です。
すいません。
杉下さんも甲斐さんもお疲れでしょう。
今夜はゆっくりお休みになってください。
ありがとうございます。
朋子さんが言ってた女学生の頃の恐ろしい出来事って瑠璃子さんの失踪とホテルの火事だったんですね。
今ロンドンの石川くんに朋子さんが亡くなる前の事を尋ねてみたのですが亡くなる一週間ほど前一人の東洋人の男が彼女を訪ねてきたそうです。
その男は名前を告げずに取り次ぎのメードに「早蕨ホテルの事で」と書いたメモを渡したそうです。
今になって突然57年前に火事で消失したホテルの事を尋ねてきた男がいたって事ですか?ええ。
一体何者なんだ?そいつ。
それはわかりません。
ですが朋子さんはその人物と会った事で57年前の何かを思い出したのではないでしょうか。
それで茜さんの危険を予期した。
あの子を…助けて…。
けど57年前の事件がどうして今になって茜さんの身に危険を及ぼすのか…。
そして茜さんは何を隠しているのかプラスこの家を家捜しした連中は一体何者で何を探しているのか。
どうやら57年前の事件を調べ直すしかなさそうですね。
(ため息)どっから調べます?そんな昔の捜査資料どこにもないっすよ。
「早蕨ホテル顧客一覧」?常連客の名前と住所宿泊記録…。
「ええ。
役に立つんじゃないかと思いましてね」「こんなもんどこで見つけたんですか?」「納戸の行李の中にありました」
(荻原武志)娘は?座敷で使用人の女と客の寝具を用意しています。
警官2名は想定外ですがどうしますか?計画どおりだ。
わかりました。
(甲斐峯秋)面倒な事になったな。
手は打ってあるのか?
(三島武典)はい。
(ため息)
(小島周三郎)残りは年明けにするか。
あなたは…。
おはようございます。
(一同)おはようございます。
少々お伺いしたい事があるのですが。
(山崎重雄)警察の人が私らになんの用です?昨日二百郷さんのお宅に空き巣が入ったのですがその時も皆さん門の前で何やらヒソヒソとお話しをしておいででしたね。
別にヒソヒソ話なんかしちゃいませんよ。
お気に障ったのならば失礼。
よそから来た人は知らないでしょうがねここじゃ二百郷のうちは「泥棒の家」と呼ばれてるんですよ。
泥棒の家ですか?ええ。
ああ〜よく寝た。
やっぱ静かだとよく寝れますね。
いない。
(ため息)何何?「ちょっと出かけてきます」「茜さんから目を離さないでください」ちょっとってどこだよ?
(携帯電話)はい甲斐です。
米沢です。
お尋ねの殺された番犬に関してですが致命傷となった傷を調べたところ番犬を殺すのに使用されたのは特殊な棒状のスタンガンだと思われます。
特殊なスタンガン?ええ。
実はですね以前出店が絡んでいると噂された事件でよく似たものが使われていた事がありまして…。
えっなんですか?その出店って。
もしもし。
出店とは警察庁の公安が…。
「秘密裏に外部に保有していると噂されてる実働部隊の事です」本当ですか?無論その実態を知る者はありません。
出店マターは口にする事さえ御法度。
こうして話している事自体危険かもしれないのです。
それでは失礼します。
あっ。
出店…。
おはようございます。
いいお天気ですよ。
ああおはようございます。
茜さんは?もう9時過ぎてるんですよ。
とっくに朝食を召し上がって蜜蜂の巣箱を見に行きました。
えっ!?
(柴田)なんだこれ!?どうかしましたか?ああ甲斐さん。
見てくださいこれ。
お嬢様と私が来た時には蓋も全部開けられていたんです。
こちらの山林保全員の方々が通りかかってやっと今もとに戻してるとこです。
それにしてもすごいいたずらする奴がいるもんだよなぁ。
ほらなあ…。
茜さんは?新しいビニールを取ってくるとおっしゃって山小屋の方に。
どうしました!?大丈夫ですか?誰かに追いかけられて…。
えっ?ここにいて。
これからは1人で行動しない事。
さあ…。
ああ早かったですね。
どうしたんですか!?お嬢様が山で襲われかけたんだ。
ええっ!ちょっと…。
米沢さんから連絡がありました。
今回出店がかかわってる可能性があります。
出店…ですか。
ええ。
蜜蜂の巣箱も荒らされてました。
恐らく何者かが中をあらためたんだと思います。
なるほど。
で杉下さんは何してたんですか?それはのちほど。
茜さん無事でよかった。
ところで朋子さんにお会いした際に朋子さんから何かもらったりはしませんでしたか?スクラップブックを頂きました。
そのスクラップブック拝見出来ますか?こちらです。
はい。
ああどうも。
どうも。
遠野さんこちらに住んでるんですね。
早蕨には宿がないんでね。
色々取材する間この空き家を貸してもらったんです。
どうもありがとうございました。
どうぞ。
拝見します。
「RurikoTachibana」とありますね。
えっ?これ…神隠しに遭った瑠璃子さんのスクラップブックなんですか?ええ。
朋子大叔母様のスクラップブックはホテルの火事で焼けてしまったのですが瑠璃子さんのものはあの夜駐在さんが瑠璃子さんを捜す手掛かりにと持ち帰っていたために無事だったそうです。
そのあと瑠璃子さんのご両親から親友だった朋子大叔母様に形見として譲られたと聞きました。
朋子さんはどうしてそれを茜さんに?瑠璃子さんが好きだった早蕨に持ち帰ってほしいと。
どこかに神隠しにかかわる事が書かれていないかと思って茜さんに無理を言って貸してもらったんですが残念ながらこの手のものは僕にはちょっと畑違いでした。
英国式のスクラップブックですねぇ。
なんですか?それ。
スコットランドヤードの研修の際に見たのですがねかつて貴族の子女たちは日記や恋文を盗まれて脅迫されたりする事があるためにあからさまに気持ちを文字につづる事がはばかられました。
そこで彼女たちには日記よりもスクラップブックを作る事が奨励されたそうですよ。
じゃあこれが日記代わりだったんですね。
ええ。
印象深い出来事があった時には思い出の品を貼り自分自身やごく親しい人にだけわかるような詩を添えて記録したそうです。
スクラップブックには少女たちの憧れや悩みさまざまな秘密が閉じ込められているんです。
これお借りしてもよろしいですか?ええ。
本当に出店がそんなの捜してたと思います?思ってないっすよね?だってほらリボンとかヒラヒラのレースとかですよ?あっウエディングドレスの切り抜きもある〜。
出店がこんなの手に入れてどうするんですか?君あっちへ行っててくれませんか?やかましくて集中出来ませんねぇ。
じゃあいいです。
俺は俺で捜査しますから。
道案内頼んじゃってすいません。
いいえ。
何見てんですかね?多分私が集落の方に来たのが珍しいんだと思います。
こっちにはあまり来ないんですか?私山や丘で蜜蜂の世話をしてる方が好きなんです。
へぇ〜。
ここが郷土史資料館です。
ああ…。
それじゃあ私はここで。
ちょっと待った。
忘れたんですか?1人で行動しない約束。
この資料館はもと村役場だったんです。
へぇ〜。
あっ…この年譜はなんですか?
(菅井)村の名士早蕨ホテルを建てた二百郷洋蔵さんの年譜です。
ああ朋子さんのお父さんですね。
(菅井)洋蔵さんは帝大で経営学を学ぶ傍ら歴史研究会・東雲に所属していたんですよ。
立派な方だったんですね。
色んな事を言う人が村の中にはいますが私は立派な方だったと思いますよ。
色んな事?おおっ!カラクリ人形ですか。
(菅井)ええ。
そのカラクリも洋蔵さんのです。
茶目っ気のあるもうモダンな方でね。
あれ?これはなんですか?早蕨ホテルの宿泊者名簿です。
火事の際フロント係が持ち出して助かったんです。
失火の原因はなんだったんですか?いやそれがわからずじまいでしてね。
火の回りが早かったわりには犠牲者は3名と少なくて済んだんです。
洋蔵さん夫妻の他に亡くなった方がいたんですか?宿泊客の男性が1人。
その男性の身元は不明なんです。
身元不明?ええ。
だって宿泊者名簿があったんだからそれと生存者を突き合わせれば誰が死亡したかわかったはずですよね?いやそれがね全てでたらめだったんですよ。
でたらめ?ほらこの下から2番目の中林さん。
「中林秀雄」…。
ちょっと出していいですか?ああどうぞ。
すいません。
その男性は中林秀雄という名前で火事の3日前からホテルに宿泊していたんです。
神隠しと火事2つの事件があった日に偽名でホテルに宿泊していた男がいた。
その男なんか事件に関係してるんじゃ…。
戦中戦後の混乱で色々ありましたからああ…結局わからずじまいでした。
そうですよね。
なんとか事件当時のホテルの事がわかれば…。
わかるかもしれませんよ。
びっくりした〜。
いつからいたんですか?ちょっと前に。
この方…。
元子爵の永沢成親さん。
米沢さんの話してた方ですねぇ。
つい先般などは元子爵の永沢成親公によって記された備忘録が発見されて戦後の動乱期の風俗を示す貴重な資料として注目を集めたんですよ。
この年も1週間ほど滞在して事件の日の朝にチェックアウトしてますねぇ。
って事はその永沢元子爵の備忘録を見れば…。
当時のホテルの様子がわかるかもしれませんねぇ。
永沢元子爵の備忘録なら山岸昭和文化記念館に収められていますよ。
昭和史専門の私設記念館ですね?はい。
ああカイトくん君は茜さんについていてあげてください。
ああそうでした。
(茜)すいません!私も連れていって頂けませんか?おや急に早蕨ホテルの事が知りたくなりましたか?ええ…。
じゃあ一緒に行きましょう。
俺も行きたいんで茜さんが来てくれると助かります。
なぜ知りたくなったのか教えて頂けますか?お話し出来る時が来たら…。
そうですか。
行きましょう。
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
被害者はこの山岸昭和文化記念館の職員小島周三郎さん52歳です。
昼過ぎに近所の人が通用口のドアが壊されている事に気づきで不審に思って通報。
で遺体が発見されたと。
昼過ぎまで誰も気づかなかったのか?ええ。
記念館は昨日が仕事納めで今日から年末年始の休館だったそうです。
はぁ…これだから年末は嫌なんだよ。
正面から金属のようなもので一撃。
階段から転げ落ちて脳挫傷で死亡。
死亡推定時刻は昨夜の11時前後といったとこでしょうか。
(伊丹)防犯カメラは?それが玄関だけで。
ここに保管されてるのはもともと昭和の文献ばかりでさほど高価なものはないらしいっすね。
あっあの…被害者の同僚の佐竹さんですか?
(佐竹克己)ええ。
(伊丹)盗まれたものはわかりましたか?
(佐竹)はい。
木戸文鳥の自筆原稿が2部後藤陸軍大臣が妻に宛てた書簡4通それと永沢元子爵の備忘録です。
うーん…。
(吉川武夫)どうも遅くなりました館長の吉川です。
ご苦労さまです。
警視庁捜査1課です。
あっこれお電話でご依頼のあったうちの閲覧記録簿です。
(芹沢)はいすいません。
この閲覧記録簿っていうのはいつもご自宅に持って帰られるんですか?いえ年末年始の休みの間にパソコンに入力しようと思いまして。
しかしどうして閲覧記録を?ええ特定の展示物が目的なら犯人が以前にこの記念館を訪れている可能性もあるんです。
なるほど。
あれ?なんだこれ!?「警察庁」…。
す…すみませんがこの筆跡は…?
(吉川)亡くなった小島さんの字だと思います。
すいません。
警察庁の人間は手帳を見せただけで名前を記入しなかったんですよ。
それを小島さんがあとから書き込んだ。
あの…これお借りします。
(吉川)どうぞ。
(三浦)警部殿!どうしてここに?職員の小島さんが殺害されたうえに文献もいくつか盗まれたそうですね。
チッ米沢の野郎…。
(三浦)では我々は急ぎますんでこれで。
(三浦・芹沢・伊丹)どうも。
1課の皆さん随分焦ってますね。
昨夜の事ですか?ひょっとして永沢元子爵の備忘録も盗まれた文献の中に含まれていたのではありませんか?ええ盗まれてしまいました。
そうですか…。
あっでもデータならありますよ。
えっ?データ?
(佐竹)オリジナルの文献や書簡は経年劣化を避けられませんので全て内容はスキャンしてデータ化してあるんです。
では帰る時に声をかけてください。
ありがとうございます。
どうも。
(佐竹)お願いします。
事件があったのは1955年12月24日。
「十二月二十四日」ここ。
早蕨ホテルを出発する際のこの記述。
「フロントで列車の時間を確かめた際見覚えのある人物がスモーキングルームに向かうのが目に入った。
私はフロントにあれは法務省の国枝くんじゃないかと尋ねた」「ところがフロントは宿帳を見ていいえあの方はナカバヤシヒデオと仰る弁護士さんですと言う。
他人の空似にしてもよく似た人間がいるものだと思いながら玄関へ向かうと瑠璃子嬢と朋子嬢が見送りのために待ってくれていた」中林秀雄って身元不明の男が使ってた偽名じゃないですか。
ええ中林秀雄は偽名ですねぇ。
つまりこの人物は永沢元子爵の見たとおり法務省の国枝に違いありません。
1955年12月に偽名で宿泊していた法務省の国枝といえば1人しか考えられません。
あの国枝文書を記した国枝史貴です。
国枝文書?カイトくん君警察庁の成り立ちを知っていますか?ええ。
確か1954年吉田茂内閣のもと新警察法が成立。
同法のもと警察庁が誕生し現在に至る公安警察の全国ネットワークが組織された。
ええ。
しかし戦前の特高警察の暗い記憶がまだ鮮やかだった当時同法成立に対しては各方面から猛反対の声が上がり野党法曹界市民団体も反対に回りました。
結局吉田内閣は日本議会史上初めて国会に警官隊を導入し強行採決に踏み切りました。
この新警察法成立に至るまでにはさまざまな根回しや不法な工作があったといわれています。
その隠密裏の工作に当時連絡役としてかかわったのが法務省の官僚だった国枝史貴です。
歴史に精通した文人でもあった国枝は不法な非合法工作に疑問を感じ一切を克明に記録した文書通称国枝文書を記したといわれています。
しかし彼はふいに姿を消し国枝文書も単なる噂として歴史のかなたに消えてしまったのです。
その国枝が姿を消したちょうどその時期に偽名を使って早蕨ホテルに宿泊していた。
そういう事ですか?しかも早蕨ホテルは彼にとって単なるホテルではなく学友の経営するホテルでした。
学友?二百郷洋蔵さんの年譜には「1930年帝大の歴史研究会・東雲に入会」とありましたねぇ。
国枝もまた帝大で東雲に所属していました。
国枝は失踪当時45歳。
逆算すると同じ時期に東雲にいた事になる。
東雲に所属していた洋蔵さんならば国枝の危険な立場も文書の歴史的重要性も理解してくれたはずです。
身の危険を感じた国枝は文書を持ってこっそり学友のもとを訪れた。
そう考えれば偽名を使ってた理由もわかりますね。
もしそうだとしてもその国枝さんが火事で亡くなったのならその文書も火事で燃えてしまったんじゃ…。
なんらかの理由でそうではないと考えた人たちが昨日二百郷家を家捜ししたんじゃありませんかねぇ。
それじゃあその人たちも国枝文書がどこにあるのかまだわかっていない…?ええ最近発見されたこの永沢元子爵の備忘録が国枝文書の実在を裏づけそしてそれが今になってこんな事になってるんですよ。
その人たちは一体誰なんです?国枝文書には警察庁誕生にかかわるさまざまな謀略や不法な工作が山ほど書かれてるんですよ?そんなものが明るみに出たら不都合な人間がいますよね。
ええ捜し出して隠滅したい人間が大勢いるでしょうねぇ。
今度の事で動いてるのはどうやら出店と考えて間違いありませんね。
小島さんの死も今回の件とは無関係ではなさそうですねぇ。
でも茜さんが狙われた事と国枝文書の件どう関係してるんですかね?それはまだ僕にはわかりませんねぇ。
まあ一度に何もかもはわかりませんよね。
大丈夫心配しないで。
警視庁で一番暇で頼りになる2人がいるんだから。
さてとこいつをコピーしていきましょう。
お願いします。
そろそろ時間ですよ。
おやもうそんな時間ですか?ええ。
(茜)ごちそうさまでした。
とってもおいしかったです。
でしょう?でもいつの間にレストランを予約したんですか?茜さんほとんど早蕨から出ないって言ってたんでこっちに来た時ぐらいって思って。
君がこんなに素敵なお店を知っていたとは驚きですねぇ。
(せき払い)それって褒めてるんですよね?もちろんです。
さあでは参りましょうか。
はい。
カイトくん我々は先に車の方へ行ってますからあとはよろしくお願いしますね。
えっ?茜さんスクラップブック忘れないように。
はい。
ごちそうさまでした。
どうもありがとう。
ええー…?高っ!店を出ました。
娘を押さえろ。
「はい」誰なの!?ありがとうございました。
はい。
茜さん行きましょう。
(車のクラクション)こっち!乗って。
悪い。
うわっ!ああーっ!
(真弓)うっ!ううっ…!おい行くぞ!
(真弓)うっ痛い…。
痛い…はぁはぁ…。
大石くん大丈夫ですか?はい。
痛い…大丈夫です。
(荒い息遣い)すいません私柔道3段ですけど取られちゃいました。
構いませんよ。
ああプロ仕様の発信機ですねぇ。
ふぅ。
甲斐くんが言ってた出店マターってほんとなんですね。
警察庁の誰がなんの目的で記念館を訪れ特定の文書を閲覧したのかなぜ調べる事も出来ないんですか!
(中園照生)それは不可能だ。
どういう事です?警察庁に照会したところそのような記念館を訪問した人物はいないという事だった。
つまり何者かが警察庁を騙ったいたずらだというのが警察庁の回答だ。
それを信じろって言うんですか?向こうがそう言うのだからして。
それじゃあ警察庁の言いなりじゃないですか!
(内村完爾)事件は年の瀬に多い切羽詰まった強盗殺人だ。
その線で捜査を進めろ。
しかし…。
行こう。
失礼します。
まったく上司に対してなんていう言葉遣いだ。
警察庁の言いなりってのは確かに気に食わんな。
そうですよね言いなりというのは確かにちょっと…。
だがこの件には出店が動いているという噂がある。
えっで…出店!?「触らぬ神に祟りなし」だ。
そうですねおっしゃるとおりです!
(男)「今彼らがどこにいるかそれもわからないのか」彼らは必ず早蕨に戻ります。
「いいか早々に決着をつけろ」はい。
(広田靖)どうします万一国枝文書が公にでもなれば。
(西川隆一)犯罪を取り締まる最高府が犯罪の上に成立した組織だと告発されるんだ。
警察庁の威信は根底から覆される。
威信の問題だけではありません。
過去の謀略や不法な諜報工作活動が明らかになればメディアも世間も現在の警察庁に対して警戒の目を向けるようになります。
(西川)なんだ君は!通信傍受法が成立してようやく人権派に煩わされる事なく公安活動が出来るようになったのだ。
国枝文書が公になればまたしても公安活動は大きく後退する事になる。
誰よりも早く見つけて確実に処分する。
フッ…それしかあるまい。
(月本幸子)大変でしたねぇ。
いつから尾行されているって気づいていたんですか?記念館に向かう時に何やら気配を感じていました。
それでお二人に協力をお願いしました。
ちょっとお手洗いを。
(幸子)あはい。
こちらは笛吹悦子さん。
一応俺の彼女です。
(笛吹悦子)何よ一応って。
いやいやいや…。
よろしく。
二百郷茜です。
先ほどはありがとうございました。
いいえ。
で奥にいるのが警察官の大石真弓さん。
警察学校の同期。
すみませんでしたスクラップブック取られてしまって。
いいえ。
私のために危ない目に遭わせてしまって…。
とんでもない!お役に立てて…。
もし何かありましたらいつでも私の携帯に…。
携帯…あれっ?あっ!携帯車の中に忘れてきてしまいました。
相変わらずそそっかしいな。
取ってきます。
すいません。
でこちらが…。
月本幸子です。
よろしく。
(スタンガン)大石さんはどちらへ?ああ車の中に携帯電話を忘れたとかで今取りに。
キーは僕が持ってますが。
ったく…。
俺行ってきます。
大石!大石!!すみません顔は確認出来ませんでした。
お医者様が念のためにひと晩病院にって。
ごめんなさい私のせいです。
いえあなたじゃなくてよかった。
あなたならさらわれてました。
(ため息)一体誰がこんな事…。
襲った人間は茜さんのコートを着た大石くんを茜さんだと思った人物。
つまり替え玉でだまされたばかりの出店ではない。
じゃあ奴ら以外にも茜さんを狙ってる人物がいるって事ですか?
(ノック)失礼します。
はい。
検温と血圧です。
お願いします。
ああ大石さんは私がみてます。
どうもありがとう。
茜さん今夜はうちに泊めてあげて。
サンキュー。
茜さん早蕨ホテルの事を知りたくなった理由を話して頂けますか?今そんな話しなくても…。
今だからです。
全てがわからなければ茜さんを守る事もこの事件を解決する事も出来ませんよ。
茜さん二百郷家は泥棒の家と呼ばれているそうですね。
ええ?今朝早蕨のお年寄りたちに聞いたのですが…。
早蕨ホテルが火事で焼けた翌年の事ですがねホテルの常連客が訪ねてきたんですよ。
それもすごい剣幕でね。
お前たちは泥棒だ!恥を知れ!そうだ泥棒だ!泥棒!泥棒!なんにもなきゃ立派な紳士たちがあんな事を言うわけないもんな。
それであのホテルじゃ宿泊客の金品を盗んでいたんだろうって話になったんですよ。
違います。
そんな噂でたらめです。
ええ。
早蕨ホテルで起こっていたのはそんな小さな犯罪ではなかった。
どういう事ですか?宿泊名簿でもわかるように早蕨ホテルは1955年に焼失するまで戦前と同じく旧華族の常連客でにぎわっていました。
しかしその事自体当時の事情を考えるとあり得ない事なんですよ。
あり得ない事?知ってのとおり戦後GHQの占領政策によって華族は廃止財閥も解体されました。
その際資産階級の財産は財産税によってほとんどが没収されたのです。
財産税の税率は過酷な累進制で華族たちは最大90パーセント近くの財産を税金として納める必要がありました。
屋敷や土地美術品や骨董品はすぐに換金する事は出来ず多くのケースで財産が物納されこれが戦後の旧華族没落の引き金を引いたのです。
ところが早蕨ホテルの常連の宿泊客たちは1955年にホテルが焼失するまで誰ひとり欠ける事なく没落を免れ少なくとも毎年ホテルに滞在する程度の余裕のある暮らしを続けていました。
これはおかしいと思いませんか?杉下さん…杉下さんまさか…。
ええ。
そこで僕は今朝東京在住の旧華族の親睦会である翠青会を訪ねてみました。
早蕨ホテルの常連客だった旧華族の家がホテル焼失以後どうなったのかを知るために。
(堀田)大変お待たせ致しました。
こちらがお尋ねの当時の旧華族の便覧です。
どうぞ。
拝見します。
そのノート旧華族が定宿にしていたホテルのものですね。
早蕨ホテルをご存じでしたか。
ええ。
7〜8年になりますかそれと同じノートを持ってあなたと同じ事を調べに来た女の子がおりましてね。
確かホテルを経営なさっていた方のご親族とかで。
茜さんあなたですね?あの頃私は初めて村のお年寄りたちが二百郷の家を陰で泥棒の家と呼んでいるのを知って父にわけを尋ねたんです。
(茜の声)ちゃんと話して。
どうして泥棒の家なんて言われるの?
(茜の父)火事でホテルが焼けたあと常連客だった旧華族がこの家を訪ねてきたそうだ。
火事で死んだお前のひいおじいさんたちに預けた財産を返してくれと言って。
預けていた財産ってどういう事?彼らが言うには二百郷洋蔵夫妻は旧華族の宝石や美術品などの財産を国に没収される前に預かって秘密の隠し場所に保管していたというんだ。
それじゃあひいおじい様は旧華族の人たちの財産隠しに協力していたっていうの?本当のところはわからない。
洋蔵夫妻が死んだ時まだ学生だったお前のおじいさんは隠し場所の事など何も聞かされていなかったんだ。
一族が財産隠しに協力していたなんてそんな話は嘘だと証明したかった。
それで顧客一覧にある旧華族の方々のその後を調べにいったんです。
ところが彼らはホテル焼失後一人残らず没落していました。
預けていた財産が戻らなくなったせいじゃないか。
旧華族の人たちが言った事は本当だったんじゃないかって…。
あなたの疑惑は逆に深まった。
ええ…。
だけど秘密の隠し場所がわからない限り真実を確かめる事は出来ない。
いくら考えても…疑いは疑いのままです。
それが苦しくてあなたはずっと忘れようとしてきたんですね。
ホテルの事も昔の事もみんな…。
ええ。
でも永沢元子爵の備忘録の事を聞いて何かわかるかもしれないと思って。
わかるならどうしても知りたい。
それで一緒に連れて行ってくださいとお願いしたんです。
ひょっとして杉下さん…。
出店は初めから二百郷家の秘密の隠し場所の存在を知ってたんじゃないですか?国枝史貴が早蕨ホテルに来たのはその秘密の隠し場所に危険な文書を隠してもらうためであり文書は今もそこにある。
ええそう考えて秘密の場所を手掛かりをつかむために二百郷家を家捜しした。
その可能性は大いにあり得ますねぇ。
でしょ?ホテルの焼け跡からは宝石一つ見つかってないんだから秘密の隠し場所が建物の中になかった事は確かです。
カイト君。
僕は思うのですが朋子さんの予期した茜さんの危険…。
それは二百郷家の秘密の隠し場所にかかわる事だったんじゃありませんかねぇ。
なるほど。
茜さん。
あなたは子供の頃に一度だけ朋子さんに会っていますねぇ。
はい。
その時に朋子さんはあなたに57年前の何かを話してくれたのではありませんか?ええ。
57年前の事を話してくださったのは大叔母様と過ごした13年前の最後の日でした。
これが瑠璃子さんのスクラップブックですか?瑠璃子さんが17歳の時の。
17歳…。
(朋子)とても薄い氷の上を歩いているような年頃。
生も死もとても近いところにあって…。
でも…何かのほんのささいな偶然で足元の氷が割れてしまう…。
そんな事もあるのかもしれないと思うわ。
大叔母様瑠璃子さんってどんな方だったの?
(子供たち)お姉ちゃんお菓子ちょうだい。
(瑠璃子)どうぞ。
(子供たち)ありがとう〜。
(朋子の声)心が強くて優しくて聡明で。
華族の制度が廃止になった時も少しも気にしていらっしゃらなかった。
爵位がなくなってしまって瑠璃子さんは不安になったりなさらないの?少しも。
だって一方にお金がなくて満足に学校にも行けない小さな子供がいてもう一方でろくに働かないのにお金をたくさん持ってる人がいるなんてそんなのおかしいでしょ?
(二百郷洋蔵)お待ちしておりました。
(橘)うん。
すっかり寒くなったね。
(朋子の声)でもあの冬ホテルにいらした瑠璃子さんはいつもと少し違っていたの。
お着替え終わったら探検しましょう。
はい。
(朋子の声)急に「探検しましょう」っておっしゃってホテルのあちこちを調べて回ったり…。
あそこ行きましょう。
はい。
(2人の笑い声)
(永沢成親)お嬢さんたち何をしてるんだい?宝探しよ。
宝探し?宝物というのは探さずにそっとしておくものだと思うがね。
おじ様はそうなさればいいわ。
行きましょう。
(2人の笑い声)
(朋子の声)きっとはしゃぎすぎたのね。
わたくし風邪をひいてしまって。
瑠璃子さんがいなくなる前の日はずっとベッドに入っていたの。
瑠璃子さんはどこかへいらして夕方になって戻られたのだけれど…。
(朋子の声)なんだか真っ青なお顔をしてらして…。
お熱下がったみたいね。
冷たい手…。
外へ行っていらしたの?いいえ。
屋根裏部屋を探検していたの。
ネズミがいてびっくりしちゃった。
(朋子の声)その夜だったわ。
瑠璃子さんがご両親のお部屋から戻っていらっしゃらないので見に行ったの。
そしたら…。
(橘)お前は何もわかっていないのだ!
(瑠璃子)いいえ。
お父様たちは間違っているわ!
(朋子の声)お部屋に戻って待っていたらしばらくして瑠璃子さんが戻ってらして…。
(泣き声)
(朋子の声)瑠璃子さんの涙を見たのはあの時が初めて…。
何があったのかは話してくださらなかったわ。
でもその翌朝にはお気持ちが晴れたんだと思うの。
なんだか透き通ったみたいに落ち着いていらした。
透き通ったみたいに…。
よかった元気になったんだ。
ええ。
わたくしたち朝食のあと子爵がお帰りになるのをお見送りに行ったの。
それが永沢元子爵の備忘録のこの部分に繋がるわけですね?子爵が国枝を見た直後…。
「他人の空似にしてもよく似た人間がいるものだと思いながら玄関へ向かうと瑠璃子嬢と朋子嬢が見送りのために待ってくれていた」「私は瑠璃子嬢に宝物は見つかったかいと尋ねた」
(永沢)宝物は見つかったかい?ええ。
見つかりました。
「それが瑠璃子嬢を見る最後になるとは思いもよらなかった」2人が言ってるその宝物ってなんなんだろう。
大叔母様も同じ事を瑠璃子さんに尋ねたそうです。
瑠璃子さん宝物ってなんの事?私の宝物はここで朋子さんと過ごした時間。
幸福でかげりのない子供の時間よ。
子供の時間…?ええ。
その日の午後瑠璃子さんは失踪したそうです。
うーん…この話のどこに秘密の隠し場所の鍵があるんだろう。
明朝一番で早蕨に戻りましょう。
調べたい事があります。
(シャワーの音)
(加代)お嬢様!
(柴田)ああ…ご無事でようございました!心配かけてごめんなさい。
お電話を頂戴したんですけどお顔を見るまでは心配で心配で…。
久造さんなんか結局寝ずじまいで。
ハハハ…あとで昼寝しますよ。
(加代・柴田)フフフ…。
(加代)さあ。
あ…杉下さんが頼んでくださった大工さん方もいらっしゃってます。
本当に助かります。
あ…。
大工さん?ええ大工さん。
あっ!大木さんに小松さん…!
(大木長十郎)おはようございます。
(小松真琴)どうも。
出店以外にも茜さんを狙っている者がいるようなのでさりげなく目を光らせておいてもらおうと思いましてね。
及ばずながら力になりますよ。
頼りにしてます。
(2人)はい!お嬢様熱いお茶でございますよ。
ありがとう。
蓋を開けてみなければ中身はわからない。
洋蔵さんご夫婦が秘密の隠し場所を誰にも話していなかったのは何か話せない理由があったからではないか。
その事をあなたはずっと心配していたのではありませんか?もしかしたらひいおじい様たちは預かった財産を…。
横領したのではないか。
秘密の隠し場所を見つければ全てわかりますね。
預かった財産がそこにきちんと保管されていれば少なくとも泥棒ではない。
でももし何もなければ…。
怖いですか?真実を知るのが。
杉下さん…。
秘密の隠し場所を見つけてください。
やってみましょう。
(甲斐)私だ。
国枝文書はお前が処分しろ。
あんた誰に何言ってるかわかってんの?お前の事などどうでも構わないがあたら杉下右京の才能を捨てるのはどうかと思ってな。
それで脅してるつもりですか?相変わらず品のないもの言いだね。
(ため息)怒るな落ち着け…考えろ。
(芹沢)なんか出店マターって噂ですし…。
どんなやばいネタかもわかんないし…。
手出さない方がいいんじゃないですかねぇ。
何言ってんだよ。
人ひとり死んでるんだぞ。
そりゃそうですけど…。
警察庁の人間がこの備忘録を閲覧したのは確かだ。
って事はこの中に事件に繋がる何かがあるはずなんだ。
へえ〜1955年7月か日本住宅公団が発足したの。
いよいよ高度経済成長が始まる…。
(携帯電話)興味持って読むなよ。
あっ悪い悪い。
おおどうした?カイト。
お坊ちゃま?え!?何…?国枝文書…?
(内村)無論警視庁としましては国枝文書のごとき人騒がせなものが表に出る事は望んでいません。
しかしこのような情報は何よりもまず警視庁の方にご一報頂きませんと…。
なあ参事官。
はあ…。
警察組織全体に対する国民の信頼を損ないかねない問題ですから。
ひとつ聞きたいんだがね…。
君たちはいつから警察組織全体を心配する立場になったのかね!?参事官お答えしろ。
(中園)えっ!?あっいやっあの…ああいつからというのは…ちょっと…しかしまああの…我々と致しましては山岸昭和文化記念館での事は…なんと申しましてもその…殺人事件ですからその…。
(西川)無論存分に捜査してくれたまえ。
用はそれだけかね。
は。
それでは…。
(甲斐)ちなみに国枝文書の情報はどこから?警視庁にも独自の情報網がございますから。
そうですか。
もう行って結構です。
では。
これなんなんですか?橘瑠璃子さん失踪事件の捜査資料です。
え…どこにあったんですか?警察官にとって迷宮入りとなった事件は生涯忘れる事の出来ないものです。
まして事件などほとんど起こる事のないこの小さな集落で17歳の少女が消えたままとなればなおさらでしょう。
事件当時の駐在のところか。
駐在の河野嘉一さんは廃棄されるはずだった古い捜査資料を引き取り折につけ見返していたそうです。
これはご家族の方からお借りしてきました。
先ほど目を通したのですがね…。
当時の証言の中に興味深いものがありました。
ああこれ。
事件の前日23日の午後郵便配達夫が村道をホテルの方へ駆け戻る瑠璃子さんとすれ違っているのです。
郵便配達夫の証言では瑠璃子さんはひどく取り乱した様子でものも言わずにホテルの方に駆け戻って行った…となっています。
瑠璃子さんの様子がおかしかった事から河野巡査は郵便配達夫に付近で誰か怪しい人物を見かけなかったかと尋ねていますが郵便配達夫は瑠璃子さんとすれ違ったあとは二百郷洋蔵さんを見ただけで怪しい人物は見かけなかったと答えています。
ちょっと待ってください。
事件のあった前日の午後瑠璃子さんはホテルの屋根裏部屋を探検してたはずじゃ…。
ええ。
冷たい手…。
外へ行っていらしたの?いいえ。
屋根裏部屋を探検していたの。
つまり瑠璃子さんは朋子さんに嘘をついた事になりますねぇ。
ええ。
どうして瑠璃子さんはそんな嘘を…?おかしいですねぇ。
しかし瑠璃子さんはいきなり探検と称してホテルの中をあちこち調べ回っている。
それには何か目的があったはずです。
もしかして瑠璃子さんは秘密の隠し場所を探してたんじゃ…。
ええ。
そう考えれば瑠璃子さんの行動は全て辻褄が合います。
事件の前日朋子さんが風邪をひいてベッドに入っていたので瑠璃子さんは一人でした。
そこで瑠璃子さんは隠し場所を知っているはずのある人物のあとをつけたのではないでしょうか。
ある人物?そう。
郵便配達夫が目撃したもう一人の人物。
二百郷洋蔵…そうか。
瑠璃子さんは二百郷洋三さんのあとをつけて秘密の隠し場所のありかを知った。
疑惑が現実となった…。
瑠璃子さんは自分の両親を含む旧華族と親友の両親が行っていた不正を目の当たりにした…。
そうであってほしくないと念じていた事が事実だとわかって瑠璃子さんにはひどい衝撃だったと思います。
それでとっさに屋根裏部屋を探検してたなんて嘘を…。
そう考えればその夜朋子さんの聞いた言葉…。
(瑠璃子)いいえ。
お父様たちは間違っているわ!あの瑠璃子さんの激しい言葉も合点がいきます。
瑠璃子さんは父親と父親同様財産を隠匿していた旧華族たちを糾弾した。
そしてそのあと…。
(泣き声)朋子さんは初めて瑠璃子さんの涙を見ている。
恐らく瑠璃子さんの父親は一面の真実を伝えたのではないでしょうか。
一面の真実?父親の行為が不正だと言うのならば彼女のこれまでの暮らしは全て不正の賜物です。
橘家が財産を失っていれば瑠璃子さんは施す側ではなく施される側に回っていたのですから。
瑠璃子さんにとっては生きてきた17年を全て否定されたような気持ちだったでしょうね…。
翌24日永沢元子爵と瑠璃子さんはこんな会話をしています。
(永沢)宝物は見つかったかい?ええ。
見つかりました。
お父上にはお話ししたの?ええ。
話しました。
そう。
お父上の言う事をよく聞くようにね。
そうしますわ。
そうか…!永沢元子爵は瑠璃子さんが秘密の隠し場所を見つけた事を知ってそれを父親に話したかどうかを確認した。
で…父親に従うよう釘を刺した。
そしてそうすると答えた瑠璃子さんに恭順を見て永沢元子爵はホテルを発っています。
杉下さんの言うとおりなら瑠璃子さんは秘密の隠し場所を突き止めた日に…。
そう12月23日スクラップブックに秘密の隠し場所を記したはずですねぇ。
コピー取っといてよかったですね。
杉下さんさすが。
どうもありがとう。
失礼。
はい。
問題の12月23日はスクラップブックの最後のページ。
これです。
瑠璃子さんはこんな記録を残しています。
動物と人間がお茶を飲んでるこれって…。
『不思議の国のアリス』の挿絵ですね。
ええ。
テニエルの描いた『不思議の国のアリス』の挿絵。
いわゆるおかしなお茶会の場面ですねぇ。
まあ確かにおかしな感じはしますけど…。
この筆跡は瑠璃子さんですね。
「朋子さんの花」…?朋子さんの誕生花を調べたのですがヒナギクでした。
ヒナギク…?朋子さんが亡くなる直前の言葉…。
ええ。
ヒナギク…じゃなかった…。
「ヒナギクじゃなかった」という言葉はこの「朋子さんの花」の事を言ってるんじゃないんですか?僕は思うのですが朋子さんは命の尽きる前にこのページの謎が解けたのではないでしょうか。
その鍵がこの「朋子さんの花」という言葉だった…。
だとしたら…ヒナギクじゃない「朋子さんの花」ってなんだ?
(茜)「瑠璃子さんから見て朋子大叔母様の花って事ですよね」もしかしたら…!ホテルの客室に置いていたレターセットです。
ここ…。
この花が早蕨ホテルのシンボルマークだったんです。
月下美人ですねぇ。
ええ。
洋蔵ひいおじい様が「闇に咲く花」と呼んでとても気に入っていてレターセットやナプキンからバスローブまでホテルの備品全てにこの花のマークを入れていたそうです。
闇に咲く花…。
(小松)どなたですか?えっいやあの…。
(茜)その方はライターの遠野さんです。
ああお知り合いですか。
(遠野)ハハ…。
(茜)ええ。
遠野さん足どうされたんですか?いやあの…お恥ずかしい。
坂道でちょっとくじいてしまって。
ハハ…。
(茜)そうですか。
(大木)おーい!ちょっと来てくれ!!どうしました?これ見てくださいよ。
盗聴器…。
(茜)盗聴器!?
(大木)コンセントのビスがゆるんでたんで蓋開けてみたらこいつが…。
(加代)どうしてそんなものがうちに?多分奴らが家捜しした時に仕掛けたんだ。
おい全部の部屋調べるぞ。
おう。
さっきの会話全部聞かれてたんだ…。
杉下さんは?永沢元子爵の備忘録を閲覧した人ですね。
お手数ですが全員の名前を読み上げて頂けますか?帝都大学教授の広重和弘さんですね。
それから…。
ええ…。
ええ。
どうもありがとう。
ああ杉下です。
(角田六郎)ええ?今すぐ調べるの?ちょっ…大木と小松貸してやったじゃない。
すみませんねぇ。
課長しかお願い出来る方がいないんですよ。
えっ…そう言われると弱いんだけどねぇ。
これで全部だな。
納戸にまで仕掛けてやがった。
やり口が徹底してるぜ。
(茜)お茶を淹れました。
どうぞ。
(2人)どうも。
いただきます。
(大木)あっ課長ですか?ええ…。
加代さんの薬草茶美味しいんですよ。
はい。
はい。
(せき払い)わかりました。
それじゃ。
(せき払い)
(せき払い)
(荒い息遣い)ううっ…。
おいどうした?ううっ!うっ…!おい!おい大丈夫か!小松!おい!
(茜・遠野)どうしたんですか?ううっ…!
(2人のうめき声)おい!同じ茶を飲んだんだ!久造さん加代さん!しっかりして!
(遠野)加代さんが間違って毒のある薬草入れちゃったんじゃ…。
加代さんが間違うはずないわ!
(大木)いやそれより医者を!早蕨には診療所がないんです!ふもとの病院まで行かないと…!ふもとから救急車を呼ぶより車で病院に運んだ方が早い。
僕が運転出来ればいいんだけどもうこの足じゃ…。
(茜)みんなを病院に運んでください!いや!俺は茜さんから離れるわけには…!
(茜)私は大丈夫です!遠野さんもいます!
(大木)じゃあすぐに戻りますから!
(茜)気をつけて!わあっ杉下さん!カイト君。
彼ら…。
あいつら…!あそこは早蕨ホテルの庭園があった辺りですねぇ。
杉下さん。
家に盗聴器が仕掛けられてました。
さっきの会話も全部聞かれてますね。
なるほど。
では彼らも僕と同じ事を考えていたようですねぇ。
え?このお茶会は「三月ウサギの庭」で行われています。
それで早蕨ホテルの庭園を考えました。
さらに「朋子さんの花」が月下美人ならば庭園で月下美人が育てられていた辺りに秘密の隠し場所があるのではないかと。
じゃあ奴らに先越されちまうじゃないですか。
しかし今ひとつしっくりきません。
月下美人が咲くのは夏です。
ですが瑠璃子さんが秘密の隠し場所を見つけたのは12月23日。
冬には違う花が植えられていたはずですがねぇ。
全く面倒な絵解きだなあ。
大体こいつらどんだけお茶飲むんですかねぇ。
テーブルの上ティーカップだらけじゃないですか。
少しは洗えばいいのに。
少しは洗えばいいですか…。
カイト君。
もしかすると…!
(携帯電話の振動音)え?失礼。
(携帯電話の振動音)おや角田課長からメールです。
なんですか?これ。
一体どういう事ですか?
(伊丹のため息)なんでこんな格好しなきゃならねえんだ。
小さい集落だからよそ者は目立つってカイトが助言してくれたんですよ。
意外と似合ってるぞ。
まあ何しろ…出店が小さい集落で活動してるならベースになる車両がこの辺りにあるはずだ。
まずはそいつを探すぞ。
(芹沢)はい。
茜さん!!誰もいないですね…!
(遠野)みんなふもとの病院へ行ってるんですよ。
あんた…!僕に彼女のきれいな顔を切り裂くような真似はさせないでください。
そこに手錠が2つあります。
甲斐さん杉下さんを後ろ手に。
終わったら君自身にも手錠をかけてください。
君は前にね。
言うとおりにしてください。
はい。
見せて。
では杉下さんその挿絵の絵解きをしてください。
この挿絵のテーブルがティーカップでいっぱいなのは永久にお茶の時間なのでカップを洗う暇がない。
『不思議の国のアリス』の中ではおかしなお茶会の時間は永遠に6時で止まっているんです。
(遠野)ああなるほど…。
そういえば二百郷洋蔵はカラクリ好きでしたね。
で?ここからどうなるんです?柱時計のどこかに月下美人のマークはありませんか?探してください!あっありました。
9時のところに。
ボタンのように押せる仕組みになっていませんか?いや…押せません。
ただのマークです。
時計の裏はどうなっていますか?いや柱にくっついてます!急いでもらえると嬉しいんですが!杉下さん…。
月下美人…闇に咲く花…時計…。
数字…!数字です!!数字?ヤミニサクハナ。
8323987。
カイト君これから僕の言うとおりに針を動かしてください。
はい!ああ…どっち回りにですか?これは振り子時計ですから左右交互に動かすはずです。
月下美人のマークが9時つまり左にありますから最初は左から。
いいですか?はい。
左へ8。
左へ…8。
3。
3…。
2。
2…。
3。
3…。
9。
9…。
8。
8…。
最後が7。
きた〜!
(遠野)この懐中電灯を持って。
君が最初に次に杉下さんが下りてください。
早く下りろよ!おら急げ!そこに電気のスイッチがあります。
(遠野)お…奥へ行って!ひいおじい様たちは横領なんかしてなかった…!やっと一族の財産を取り戻した。
そう思ってらっしゃるんでしょうね。
近づくな!遠野さん…いや永沢公彦さん。
あなたは備忘録を書いた永沢元子爵の孫永沢公彦さんですね?
(永沢公彦)どうしてわかったんです?昨晩僕たちが考えていたある組織の他にも秘密の隠し場所を探している人物がいるとわかりました。
それで旧華族の財産隠しの件を知り得た人物は誰かと考えた時おのずと彼らの子孫に思い至ったわけですよ。
で山岸昭和文化記念館の閲覧記録を調べてみると永沢元子爵の子孫の名前があった。
身分証を提示しないと閲覧させてもらえなくてね。
永沢公彦…。
免許証の写真であんたの面が割れたってわけだ。
全ての始まりは永沢元子爵の備忘録が見つかった事ですよねぇ。
僕はね子供の頃から数え切れないぐらい何度も聞かされて育ったんですよ。
二百郷洋蔵夫妻が私たち旧華族の財産を預かり秘密の隠し場所に保管していたって話をね。
だからあの備忘録の中の橘瑠璃子に関する記述を見てすぐにわかりました。
彼女は秘密の隠し場所を突き止めたんだとね。
あなたは瑠璃子さんの親友だった二百郷朋子さんの居場所を調べ出しロンドンの彼女を訪ねた。
そして彼女から瑠璃子さんが隠し場所を記したはずのスクラップブックを茜さんが持っている事を聞き出した。
あんたは神隠しを調べているライターと称して茜さんに近づきまんまとスクラップブックを借り出した。
ところが残念な事にあんたにはスクラップブックの謎が解けなかった。
で焦っているところに起きたのがあの空き巣事件だ。
僕以外にも秘密の隠し場所を探している人間がいるんだと思いましたね。
不安になって様子を見に来ると俺たちがいて57年前の事件を調べ始めた。
この村の郷土資料館から祖父の備忘録の事が知れるのは時間の問題でしたから。
山岸昭和文化記念館の閲覧記録には自分の名前が残されている。
あなたは秘密の隠し場所を突き止める前に正体がばれてはまずいと思った。
そこで…。
(窓ガラスが割れる音)閲覧記録を奪う目的で記念館に侵入した。
それをたまたま残業していた小島さんに見られてしまった。
あなた…。
ところが閲覧記録は館長の吉川さんが持ち帰っていて見つからなかった。
大石さんを襲ったのもあなたなんですか?あの朝君が山で誰かに襲われかけたと聞いてねこの家を家捜しした人間が君を狙ったんだと思った。
それで僕は君が隠し場所を知っていて隠している可能性を思いついたんですよ。
(スタンガン)
(公彦の声)そこで彼らより先に君を拉致して聞き出そうと考えたんです。
誰かを殺してまで一族の財産を取り戻したかったんですか?祖父は財産の行方がわからなくなった事で暮らしが立たなくなった。
火事の翌年に首をくくった。
僕の父が15歳の時です。
父は15でそれまでとは全く違う世間に放り出されたんですよ。
自分の人生は二百郷洋蔵夫妻に狂わされたと恨みながら死んでいきました。
この財産があれば父にも僕にも全く違った人生があったんですよ。
もともとは国に納めるはずのもんだろう。
当時の国は略奪者と同じだった!我々から奪い取った工芸品や美術品の多くが二束三文で外国人の手に渡りこの国から…この国から失われていった!あんた…!この財産を持って逃げられると思ってんのか?ハハハハ…。
この地下の納戸の事を知っているのはここにいる4人だけですからね。
(笑い声)何がおかしい?さすが元子爵のお孫さんだけあって信じやすい方なんですねぇ。
僕は何も信じちゃいませんよ。
いいえ!あなたはここにある全ての箱の中に本当に中身が入っていると信じている。
財産を預かった洋蔵さん夫妻が勝手に売り払った可能性など全く考えてもいない。
杉下さん…。
そもそも旧華族たちは不法に財産を隠匿したんですよ。
たとえ洋蔵さん夫妻にそんな事をされても恨み言を言うのが関の山で実質的には何も出来ない立場だった。
嘘だと思うのなら箱の中を調べてみればいいじゃありませんか。
茜さん手錠の鍵を。
はい。
一族のものを取り返そうとしてどこが悪い!一族が何代もかけて築き上げ守ってきたものを…。
だからといってなんの罪もない人を殺していいという事はありませんよ!いいですか永沢さん。
財産税は永沢家にだけかけられたものではありませんよ。
たくさんの人がたくさんのものを失いました。
そして誰もがそれぞれの立場で理不尽に耐えた。
それが敗戦だったんです。
ここのものはきちんと国にお返しします。
ええそれがいいですねぇ。
あっ…。
あった!国枝文書。
(荻原)その文書は我々同様存在しないものだ。
(公彦)お前たちは誰なんだ?どうしてここがわかった?いつの間に盗聴器なんか…。
昨夜は随分と遅いお帰りだったじゃないか。
なんでもかんでも隠蔽出来ると思うなよ。
撃ってみろよ。
カイトくん!国枝がどうしてこんなものを残したと思う?国枝もあんたらも組織の人間だ。
そりゃ命じられた事は守る義務があるだろう。
だがな国枝には何が正しくて何が間違ってるのかわかってた!だからこの文書を残したんだ。
危険を承知で…。
(銃声)
(3人)警察だ!
(伊丹)銃を捨てろ!動くな!
(芹沢)早く捨てないと撃つぞ!
(芹沢)捨てろ!おい!
(伊丹)早くしろオラ!
(伊丹)この野郎早くしろ!じゃあ先輩さっきのあれ空砲だったんですか?当たり前だ。
真っ暗闇の中で実弾を撃って当たっちまったらどうするんだよ。
おい国枝文書だ。
あっ…。
(三浦)こりゃカビだなあ。
地下室の壁に水が染み出してたからな。
まあ60年以上も放置されてたんじゃ仕方ねえだろ。
残念ですねぇ。
おい!そう落ち込むなよカイト。
なあ?人生は長いぞ。
しかしよくあの場所がわかりましたね。
(三浦)いやあ…奴らがベースにしていた車両を発見しましてね。
(芹沢)警察だ!
(伊丹)何してるんだオラ!何してやがるって聞いてるんだよ!
(芹沢)おとなしくしろオラ!「あんた…!この財産を持って逃げられると思ってんのか?」
(公彦)「この地下の納戸の事を知っているのはここにいる4人だけですからね」でこの場所を突き止めて駆けつけたというわけです。
なるほどそういう事でしたか。
じゃあ我々は行きますよ。
どうも。
どうも。
どうも。
どうも。
加代さんと久造さん小松も大丈夫です。
もう具合もよくなって病室でテレビ見てますよ。
それはよかった。
杉下さんどうもありがとうございました。
お二人とももうお体の方はよろしいですか?はい。
では瑠璃子さんの神隠しとホテルの火事の事です。
瑠璃子さんが神隠しにあったのはやはり秘密の隠し場所を突き止めてしまった事が原因でした。
犯人は瑠璃子さんが秘密の隠し場所を突き止めた事を知っていた人物。
同時にあの日の午後2人が徒歩でバス停に続く森へ向かった事を知り得た人物です。
その人物は瑠璃子さんがホテルの中をあちこち調べてるのを知って秘密の隠し場所を探してるんだとわかった。
その人物も同じようにホテルの中を探し回ったからです。
だから永沢元子爵と瑠璃子さんの会話を聞いて彼女が秘密の隠し場所を知ったと直感した。
その人物は永沢元子爵の備忘録に登場しています。
「私はこの稀有な少女の行く末を案じていたがその憂いを帯びた瞳に言葉どおりの恭順があるのを見て瑠璃子嬢はいずれよい母親になるだろうと思った」「ポーターが扉を開けると2人は礼儀正しく見送りの挨拶をした」このポーターがその日の午後瑠璃子さんと朋子さんがホテルを出る際にも登場します。
お車は…?
(瑠璃子)結構よ。
歩きたいの。
彼がそのポーターです。
久造さんあなたご存じですよね?神隠しの秘密。
杉下さん何をおっしゃるんです?そうですよ。
久造さんは戦災孤児で独りぼっちだったのを洋蔵様ご夫妻が助けられて…。
久造さんは長い間本当にこの二百郷の家を大事に思って仕えていらしたんです。
その久造さんが秘密を知ったら話さないわけがないじゃありませんか。
二百郷の家のためですね?郷土資料館に残っていた早蕨村時代の納税記録を見ると戦後早蕨ホテルの経営は急激に悪化していました。
火事で消失するまで戦前と変わらず多くの常連客でにぎわっていたにもかかわらず。
なぜそうなってしまったのか久造さんはご存じだったのではありませんか?久造さん。
宿泊代金を払って頂けなくなったからです。
えっ?旧華族の常連のお客様は手元不如意だからと宿泊代金を払ってくださらなくなったのです。
皆さん洋蔵様に財産隠しを頼んだ方々でした。
人にものを頼んでおきながら「いずれ」と言うだけで当然のように宿泊代金を払わない。
私はそんな彼らに腹が立ちました。
旦那様もうお預かりした品を売るしかありません。
そんな事は出来ん!ですが旦那様…。
(久造の声)明治生まれの洋蔵様は決して常連のお客様方を旧華族の方々を裏切ろうとはなさらなかった。
しかしそのせいでホテルは倒産寸前だったのです。
そんな時あなたは瑠璃子さんが秘密の隠し場所を突き止めた事を知ったのですね?私は瑠璃子さんから隠し場所を聞き出し預かった品を自分の手で売ってホテルを救おうと思ったのです。
財産の隠し場所はどこだ!?言え!言わなければ突き落とすぞ!
(久造の声)少し脅かせばすぐに隠し場所を言うだろうと思っていました。
(久造の声)ところがあの人は私の顔を見て石を捨てたんです。
(久造の声)どうせ何も出来やしないだろう…。
そう高をくくっているのだと思いました。
その姿が旦那様に対する旧華族の方々の傲慢な態度に重なって見えました。
怒りと憎しみで息が詰まり私は初めて殺意を抱きました。
(久造の声)あの一瞬私の中には確かに殺意がありました。
私が彼女を殺した事に変わりはありません。
久造さん瑠璃子さんはあなたのおっしゃるようにどうせ何も出来やしないだろうと高をくくっていたのでしょうか?いやそうではなかったのかもしれませんよ。
どういう事です?ここからは全て僕の憶測だと思って聞いてください。
事件の前日瑠璃子さんは自分の人生は父の不正の賜物だったのだと思い知らされた。
不正がなければ自分は施す側ではなく施される側に回っていたのだと知った時彼女は初めて心を折られた。
その事実にではなく施される側に立つ自分に耐えられないとわかった時に。
翌朝の瑠璃子さんが朋子さんの言葉どおり透き通ったように落ち着いていたのは自分は父親の側の人間として生きるしかないのだと悟ったからではないでしょうか。
(永沢)お父上のいう事をよく聞くようにね。
そうしますわ。
杉下さん…。
ええ。
僕は瑠璃子さんが最期の朝朋子さんに言った言葉は本当だったのではないかと思います。
私の宝物はここで朋子さんと過ごした時間。
幸福でかげりのない子供の時間よ。
瑠璃子さんは自分が変わっていく事がわかっていた。
しかし自分が変わっていく事がその時の瑠璃子さんにとっては死ぬ事よりも怖かったのではないでしょうか。
それで…それであの人は石を捨てて…。
(嗚咽)
(嗚咽)久造さん瑠璃子さんはどこに?南の斜面に埋めました。
殺しておいてバカな事をと思われるでしょうがレンゲ畑なら少しは…。
杉下さんいつから私の事を?最初に気になったのは一昨々日の夜ホテルの火事の話をされた時あなたはこうおっしゃった。
朋子様は1日でお友達とご両親と慣れ親しんだホテルをなくされて…。
瑠璃子さんは神隠しにあったその日にすでに亡くなっていた…。
そうご存じだったように聞こえたものですからね。
その時から…。
ホテルの火事ですが火の手が上がったのは最上階付近でしたね?はい。
そのために亡くなられた3人以外は宿泊客も大したお怪我をなさった方はいなかったと聞いております。
ところが2階のツインルームにいた朋子さんも火事で怪我をしている。
2階にいたのならばすぐに逃げられたはずです。
僕は思うのですが出火当時朋子さんは部屋にいなかったのではありませんか?そうです。
私がやっと見つけた時朋子様は屋根裏部屋にいらっしゃいました。
でもどうして朋子さんは屋根裏部屋なんかに?大叔母様は瑠璃子さんを探しに行ったんじゃ…。
ええ。
その夜朋子さんは瑠璃子さんの前日の言葉を思い出したに違いありません。
屋根裏部屋を探検していたの。
久造さんホテルの図面では屋根裏部屋に電気はきてませんでしたね。
ええ。
朋子様はロウソクを持って屋根裏部屋に…。
多分瑠璃子さんを探しているうちに…。
それじゃあ…。
出火の原因は朋子さん…。
私が行った時にはすでに火の手が広がっていてもうダメかもしれないと思いました。
朋子お嬢様!
(久造)誰かいるんですか?お嬢様!
(久造)中林様…!
(国枝史貴)この子を頼む!
(国枝)行きなさい。
嫌!大丈夫。
私はすぐに追いつくから。
(久造)お嬢様!国枝史貴は朋子さんを助けて…。
杉下さん朋子さんが覚えていたのは…。
(朋子の声)その方はわたくしを真っすぐ見てそれからほほ笑んでうなずいた。
すみませんでした。
すみませんでした…。
でその銃を所持していたという男は?完黙しております。
結論としてはその男を含む一団は旧華族の隠し財産を狙った賊…そういう事だね?そんなところかと。
一応銃刀法違反電波法違反住居不法侵入窃盗あたりで。
うん。
よろしく頼む。
珍しく警察庁に恩を売る事が出来ましたね。
今年はいい年になりそうだなあ。
はっ。
何が旧華族の隠し財産を狙った賊だ。
あのワゴンの装備がただの泥棒のもんか?だったらすごいっすね。
バカ!奴らは出店だって言ってんだよ!わかってますよ。
まあそう怒るな。
捜査1課として殺しのホシは挙げたんだからな。
まあそれはそうだが…。
はい数の子あげますから。
いらん!杉下さん甲斐さん。
久造さんが証言した場所から瑠璃子さん見つかったそうですね。
ええ。
橘元子爵のおうちはもう代が絶えてお墓がわからなくなってたのでこちらに。
大叔母様とよくいらしたこの場所なら瑠璃子さんも寂しくないと思って。
久造さんは所轄で事情聴取を受け時効という事で帰されたあとレンゲ畑で自ら命を絶ったようですねぇ。
ええ。
久造さんは二百郷のお墓に…。
茜さんここでやっていくのつらくないですか?久造さんが57年前に犯した罪も幼い頃から私を慈しんでくれた事もどちらも事実です。
色んな事を言う人はいますけど私は大丈夫です。
久造さんが残してくれた養蜂を守っていければと思ってます。
それはいいですねぇ。
本当の事がわかって初めて前を見て進める気がします。
止まっていたあなたの時計も動き出しましたね。
ええ。
お二人が動かしてくださった。
時間の止まったお茶会はおしまいです。
それでは。
あっひとつよろしいですか?はい。
初めてお会いした時茜さんは僕の顔を見て何やら戸惑ったような表情をなさいました。
どうかされましたか?いえ…。
あれはなぜだったのでしょう?どうしてだか杉下さんに以前にお会いした事があるような気がして…。
えっ朋子さんだけじゃなく茜さんも?あり得ないですよね。
大叔母様が杉下さんに似た方に会ったのは私が生まれるずっと前の事なのに。
杉下さん甲斐さん本当にありがとうございました。
お元気で。
はい。
(ピアノ)お嬢さん方写真を1枚いかがですか?
(2人)お願いします。
はい。
はいそれではいきますよ。
(シャッター音)撮ってもらおうよ。
写真屋さんお願いがあるの。
はい?あの方の写真が欲しいの。
誰にも内緒で。
かしこまりました朋子お嬢さん。
お任せください。
(カメラのシャッター音)あの方の事秘密よ。
ええ秘密。
誰にも。
2015/08/02(日) 13:55〜16:30
ABCテレビ1
相棒 season11 元日スペシャル[再][解][字]
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◇出演者
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川原和久、大谷亮介、山中崇史
山西惇、六角精児、小野了、片桐竜次
【ゲスト】
波瑠、滝藤賢一、藤田弓子、中原丈雄、酒井和歌子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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