ダーウィンが来た!「驚き!発見!ヤドカリの素顔」 2015.08.02


今日私は主人公のある生きものに出会うため磯にやってきました。
こんにちは。
(子どもたち)こんにちは。
何とってたの?おっヤドカリ!あっ入ってますね。
はい入ってます。
お〜いっぱいいますね!おっ!いた!出た出た出た。
そう今日の主人公は子どもたちにも大人気のヤドカリです。
ほう!ハハッ。
ヤドカリですか。
あっヒゲじい。
早速登場ですね。
はいはい。
私も子どものころはよく捕まえて遊んだもんです。
ですからヤドカリのことなら何でも知っとりますぞ。
本当?じゃヒゲじいこれは知っていますか?どれどれ?おっ2匹でケンカしてますぞ。
おおあららら。
貝殻から引っ張り出しちゃった。
これは相手の殻を無理やり奪って引っ越ししようとしているんです。
結構荒っぽいんですなぁ。
さらにこちら。
大きなヤドカリが小さなヤドカリを持ち歩いています。
うん?何やってるんですか?これはカップル。
大きいオスが小さいメスを持ち運ぶのがヤドカリ独特の恋の作法なんです。
へえ〜知らなかった。
ヒゲじいが知らないことまだまだありますよ。
日本全体でヤドカリはおよそ200種類もいるんです。
ふ〜んそんなにいたんだ。
ではヒゲじいここでクイズです。
ケガニタラバガニズワイガニ。
この中に1つヤドカリの仲間が交じっています。
どれでしょう?え〜っ!全部カニじゃないんですか?え〜とねえ〜とあの…。
残念!時間切れです。
正解は後ほど。
今日はあなたの知らないヤドカリの世界へご案内しますよ。
う〜んそりゃ楽しみだ。

(テーマ音楽)ヤドカリの観察に訪れたのは伊豆大島。
東京の都心からおよそ120キロ。
火山活動の影響で海岸には溶岩で出来たゴツゴツとした磯が広がっています。
潮が引いていくと…。
くぼみに海水が取り残されます。
「潮だまり」と呼ばれます。
潮だまりの中には小魚がたくさん。
きれいなウミウシもいます。
潮だまりは小さな生きものたちの格好の住みかなんです。
岩には巻き貝がたくさんくっついています。
こちらにも巻き貝…と思ったらもぞもぞと動きだしましたよ。
もしかしてこれは…やっぱりヤドカリです!うわ〜!たくさんいますね。
入っている巻き貝の色や大きさはさまざまですがすべてホンヤドカリという種類。
日本で最もよく見られ殻を含めた大きさは最大で3センチほどです。
ヤドカリはエビやカニに近い甲殻類。
一番前の脚がハサミになっています。
右のハサミが左より大きいですね。
この大きなハサミはさまざまな場面で役に立つ便利な道具なんですよ。
ハサミを使って岩に生えた海藻をつまんで食べています。
こちらでは死んだ魚を見つけたようです。
体より大きな魚をハサミで抱えて運びます。
ヤドカリは何でも食べる雑食性なんです。
潮が満ちてきました。
流れ込む海水とともに深い場所から大きな魚たちがやってきます。
潮だまりの生きものたちにとって危険な魚もたくさん。
魚を食べるホンヤドカリ。
そこへ現れたのは…。
どう猛な肉食魚として知られるウツボです。
ヤドカリのすぐ近くまで寄ってきて…。
魚を横取りしちゃいました。
危険を察知したヤドカリは全身を貝殻に引っ込めます。
この時大きな右のハサミで入り口をしっかり塞ぎます。
名付けて「貝殻ディフェンス」。
甲殻類が大好物のウツボですがこれでは襲うことはできません。
効果抜群の立てこもり作戦です。
ウツボが別のものに気を取られています。
殻から顔を出したヤドカリ。
この隙に逃げようとしているようです。
ところがウツボがまた接近!再び貝殻ディフェンス。
ヤドカリにとって貝殻は命を守るために欠かせない何よりも大切なものなんです。
ある日のこと。
空の貝殻をしきりに触るホンヤドカリを見つけました。
これは引っ越しの準備。
ヤドカリは体の成長に合わせ1年に数回今より大きい殻に引っ越すんです。
身を守る道具であり住まいでもある貝殻。
物件選びは慎重です。
脚で触りまずは大きさが十分か穴が開いていないかなど外回りのチェック。
続いてハサミや脚を差し込み中の広さが十分あるかどうかを確かめます。
殻が気に入ったらお掃除。
ハサミで石などをつまみ出します。
確かにこのままでは住み心地が悪いですもんね。
あれ?殻を回し始めました。
あ〜奥に石が入っていたんですね。
さあ準備ができたようです。
体を引き抜いて新しい殻へ移りました。
一瞬の出来事です。
移動する瞬間殻に隠れていたおなかが見えました。
変わった形をしていますね。
ちょっと失礼して殻を脱いだ姿を拝見。
おなかは巻き貝の形にフィットするよう曲がっています。
この部分はいつも殻に守られているため柔らかいんです。
最大の弱点であるおなかを極力外にさらさないよう素早く引っ越すんですね。
引っ越したあとも脚や触覚で何度も触り入り心地を確かめます。
新居が気に入ったようです。
元の殻から離れていきました。
ヤドカリは引っ越したあとに新しい貝殻の中で脱皮し殻に見合ったサイズまで成長します。
こうして引っ越しを繰り返すことで大きくなっていくことができるんです。
でも引っ越し先は空き家ばかりとは限りません。
こちら小ぶりな貝殻のヤドカリが大きな貝殻のヤドカリに近づいていきます。
殻に脚をかけ…ひっくり返してしまいました。
相手の大きな貝殻を奪おうとしているんです。
自分の殻を相手の殻に押しつけゴリゴリとこすり始めました。
今度は殻を打ちつけています。
中のヤドカリを脅して外に出てこさせようとしているんです。
(殻を打ちつける音)あっ出てきました!追い出されたヤドカリは追い出したほうの殻にしがみつきます。
すると…。
2匹がまるで殻を交換するように引っ越しました。
追い出されたほうは前より殻が小さくなってしまいましたがおなかを守るためにはしかたありません。
このヤドカリたちも貝殻をめぐって争っています。
相手を追い出し大きな殻を奪ったヤドカリ。
なぜか自分が元いた殻に相手が入ろうとするのを邪魔します。
ヤドカリは引っ越した貝殻が気に入らないと元の殻に戻ることがあります。
そのため元の殻もキープしておこうというんです。
じっくりと貝殻の吟味をするヤドカリ。
無防備な姿で待たされるほうはたまったもんじゃありません。
相手の隙を突いて…。
なんとか殻に潜り込むことができました。
よかった!こちらでは貝殻を奪おうとするヤドカリの後ろにもう一匹並びました。
さらにもう一匹が後ろに並びます。
1列に並んだヤドカリたち。
赤い殻のヤドカリが引っ越したら空いた殻に順々に移ろうと狙っているんです。
空き家の順番待ちまでするとはヤドカリの世界ってよっぽど住宅難なんですね。
ちょちょっと待った!あっヒゲじいどうしました?いや住宅難って本当ですか?磯には貝殻なんてい〜っぱいあるでしょうに。
そう思いますよね。
それで私も貝殻を拾い集めてみました。
すると…。
あれずいぶんボロボロですな。
はい。
穴が開いたり欠けたりしているものばかりでヤドカリの「宿」になりそうなものはほとんど見つからなかったんですよ。
住宅難というのは本当なんですな。
でもこの住宅難ヤドカリ自身が招いたことなんです。
どういうこと?ヤドカリの貝殻ディフェンスはまさに鉄壁。
外敵に襲われることはめったにありません。
ああそうでしたな。
しかも雑食性のため食べ物に困ることもまずありません。
空いた貝殻があればヤドカリはいくらでも増えることができます。
結果として状態のいい貝殻は常に満室状態になってしまうんです。
ほうそうなんですか。
ほらこんなにボロボロの殻で我慢しているヤドカリだっているんです。
うわ〜我が家よりおんぼろだ。
だからいい殻が欲しかったらほかのヤドカリから強引に奪うしかないというわけなんです。
う〜ん貝殻のおかげで数を増やした結果住宅難に陥るとはなんとも皮肉ですなぁ。
貝殻に振り回されるヤドカリたちのドタバタ劇。
これがホントの「カラ」騒ぎ!なんちゃってね。
第2章ではホンヤドカリの恋模様に密着。
オスがなぜかメスを持ち運びます。
恋のライバルとの激しい一騎打ち。
結末やいかに?ヤドカリはどのようにして貝殻を住みかにするようになったんでしょうか。
その昔岩の割れ目などを隠れがとしていたエビの中から貝殻を利用するものが現れました。
これがヤドカリのルーツです。
こちらは深海にすむ最も原始的なヤドカリ。
確かにエビそっくり!はじめはこのような入りやすい形の貝殻を使っていました。
その後貝の中で最も種類が多い巻き貝を利用するものが現れます。
巻き貝に入りやすいようおなかも曲がった形に変化。
こうしてヤドカリはさまざまな環境へ進出し大繁栄したんです。
ではここでさらに進化を遂げたユニークなヤドカリたちをご紹介しましょう。
こちらは巻き貝ではなく二枚貝を住みかにするカイガラカツギ。
平べったい二枚貝に入るため体の形も平たくなりました。
貝以外の物を利用するヤドカリもいます。
この中にいるんですけどわかりますか?ゆっくり動きだしたのは…。
カイメンホンヤドカリです。
このヤドカリスポンジのような体を持つ動物・カイメンを住みかにしているんです。
見事なカムフラージュですね!サンゴ礁の海にも個性的なヤドカリが暮らしています。
サンゴに開いた穴の中にいるのはカンザシヤドカリです。
大きさは1センチほど。
長い毛がびっしり生えた触角を振り回しプランクトンを捕らえて食べます。
移動せず穴の中で一生を過ごすんです。
う〜ん一口にヤドカリといってもいろいろいるんですなぁ。
でもちょっと待った!あらヒゲじい。
今日はよく登場しますね。
ヘヘヘ。
いや番組冒頭のクイズがね気になってしょうがないんですよ。
この3つのうちヤドカリの仲間はどれなんですか?はいはい。
では正解を発表します。
タラバガニです。
タラバガニの祖先は貝殻を使うヤドカリでした。
ところが進化の中で硬い甲羅が発達。
貝殻を必要としなくなったんです。
え〜私にはカニにしか見えませんけど?いえいえれっきとしたヤドカリなんです。
よく見て下さい。
カニの脚が5対なのに対しタラバガニの脚は4対。
あ〜ホントだ!実は5対目の脚が体の中に隠されているんです。
それがこちら。
うわずいぶん小さいですな。
貝殻の中にしまっていた脚なので細くて短いんです。
う〜んなるほど!ヤドカリが殻を捨てタラバカニそっくりになっちゃったというわけですな。
わかったかな?再び伊豆大島の海です。
春ホンヤドカリの奇妙な行動に遭遇しました。
左の大きなヤドカリ。
右の小さなヤドカリに近づき…。
いきなりタックル!相手を抱え込みました。
脚でガッチリ押さえています。
どうしたんでしょうか?こちらでも大きなヤドカリが小さな相手を抱え込みハサミを使って運びます。
実はこれヤドカリ独特の恋の作法です。
体が大きいほうがオス。
気に入ったメスを見つけると受け入れてもらうまで数日の間持ち運びます。
貝殻をつかまれたメスは抵抗しません。
よく見るとメスの殻の中に黒っぽい粒々が見えます。
卵です。
でもこれは今つかんでいるオスが受精させたものではありません。
すでに別のオスが受精させたものです。
ホンヤドカリは1回の繁殖期に数回産卵します。
メスはオスと結ばれると殻の中で産卵。
卵を守ります。
すると新たなオスがやってきてメスを抱えて運びます。
そして卵がかえるとすぐにオスは新しい卵を受精させるんです。
オスはメスを少しでも早くからキープしておくことで確実に子孫を残そうという作戦なんです。
ところがそこに別のオスが接近。
襲いかかりました。
メスを横取りしようとしているんです。
メスを挟んで激しいもみ合い!両者一歩も譲りません。
あっ挑戦者がパンチ!大きいハサミで連打します。
強烈なパンチを浴びたオス。
引き下がるしかありません。
挑戦者にメスを奪われてしまいました。
こちらでも一緒にいる2匹に別のオスが接近。
今度はメスを守るオスがパンチを連打。
挑戦者を退けました。
メスをめぐるオス同士の戦いではほとんどの場合体の大きなほうが有利なことがわかっています。
ヤドカリたちが貝殻をめぐって必死に争っていたのは少しでも大きく成長し自分の子孫を残すためだったんですね。
あっカニと鉢合わせ!でもオスはメスを離しません。
食事もメスを持ったまま。
オスは決してチャンスを逃さぬよう片ときもメスを離さないんです。
ところが観察を続ける中思いもよらない行動を目にしました。
メスを運んでいたこちらのオス。
近くにいる別のペアを気にしているようです。
あっメスを離して別のペアに接近。
一体どうしたんでしょうか?なんとメスを奪い取りました!実はこれメスを乗り換えたんです。
どうやら別のメスが気に入ってしまったようです。
え〜!ちょちょっと待った!あヒゲじいまたまた来ましたね。
だってオスはどうしちゃったんですか?あんなに大事にしていたのに急に別のメスに乗り換えるなんて。
確かに。
でもオスにはオスの事情があるんですよ。
どんな?こちらヤドカリ研究歴23年北海道大学の和田哲准教授です。
ほかのヤドカリの研究からオスがメスを乗り換える理由には大きく2つのポイントがあると考えています。
一つは「卵の成熟度」。
オスは体の中で新しい卵が成熟しオスを受け入れるタイミングがより近いメスを好むといいます。
なるほど。
もう一つは「体の大きさ」。
オスは体の大きいメスを好むといいます。
ほう!メスもやっぱり大きいほうが有利なんですな。
ホンヤドカリの繁殖については研究はまだ始まったばかり。
今まさに調べているところなんです。
ふ〜ん。
それにしてもメスは奪われたり捨てられたりオスに翻弄されっぱなしでかわいそうですよね。
ヒゲじいメスを甘く見ちゃいけません。
和田博士はオス同士の争いはメスの戦略ではないかと言います。
えっ戦略ですか?はい。
メスは新しい卵を準備している時オスを引き付けるにおいを出していると考えられています。
オスを呼んでたんだ。
しかもオスに運ばれている間もにおいを出し続けているようなんです。
多くのオスたちが集まってきて戦えば最終的にメスは一番強いオスの子孫を残すことができます。
つまり争ってくれたほうがメスには好都合なんですよ。
なるほど。
メスもしたたかですなぁ。
メスが仕組んだ戦いに勝てなければオスは「子孫」を残「しそん」じるというわけですな。
ある夜のこと。
オスに運ばれていたメスが奇妙な動きを始めました。
すると…。
あっ!赤ちゃんです!大きさはわずか2ミリほど。
親とは全く違う体をしています。
赤ちゃんは海中を漂いながら脱皮を繰り返します。
そして1か月後には海底にたどりつき宿を借りる暮らしを始めるんです。
無事にふ化を終えたメス。
オスはこの時をずっと待っていました。
2匹はようやく結ばれます。
赤ちゃんが旅立ってから数か月後。
潮だまりでヤドカリの子どもたちを見つけました。
大きさはわずか4ミリほど。
かわいいですね。
もうしっかり貝殻を住みかにしています。
そこに現れたのは大きな貝殻を持つ大人。
あっ転がされてしまいました。
でも貝殻のおかげで無事にやり過ごすことができました。
しばらくすると子どもが新しい貝殻を探し始めました。
別の子どもも近づいてきてあっ殻を取り合っています。
勝った子どもは早速新居に引っ越します。
こうして引っ越しを繰り返し一人前になっていくんです。
貝殻という安全なマイホームを手に入れ大繁栄したヤドカリ。
同時に貝殻をめぐって戦い続けなければならない宿命も背負いました。
そして独特な恋の作法。
命をつなぐひたむきさが隠されていました。
この夏皆さんもヤドカリを観察してみませんか?驚きの発見があるかもしれませんよ。
(銀姫)私はこれから戦わねばならぬ。
2015/08/02(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「驚き!発見!ヤドカリの素顔」[字]

子どもたちに大人気のヤドカリ。「宿」の貝殻を他のヤドカリから強引に奪ったり、オスが気に入ったメスをハサミでつかんで持ち歩く意外な行動を見せる。驚きの素顔を紹介!

詳細情報
番組内容
子どもたちに大人気のヤドカリ。その知られざる素顔を紹介する。まずは壮絶な貝殻争奪戦。天敵から身を守るため、固い貝殻を「宿」とするヤドカリ。成長するためには別の貝殻に引っ越さなければならない。しかし、いい貝殻は常に満室状態。そこでヤドカリ同士、相手を追い出し、貝殻を奪うための戦いに明け暮れる。さらに驚きなのが、独特な恋の作法。オスは気に入ったメスをハサミでつかんで持ち歩く。いったいなぜ?歌:平原綾香
出演者
【語り】和久田麻由子,龍田直樹,豊嶋真千子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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