花燃ゆ(31)「命がけの伝言」二度と会えぬなら告白を! 2015.08.02


(銀姫)私はこれから戦わねばならぬ。
この子の母として。
(美和)お力になりとう存じます。
できるか?お前に。
必ずや。
(椋梨)高杉晋作必ず捕らえよ!長州藩に大粛清の嵐が吹き荒れた。
(品川)やあ〜!
(晋作)わしらが斬り合わんにゃならん長州は間違うとる。
俺は久坂も稔麿も入江も寺島も誰の事も忘れたりはせん。
必ず戻る。
それまで生きちょけ。
幕府に恭順し許しを請うため三家老が切腹。
4人の参謀も打ち首となりそして椋梨によって捕らえられたこの2人にも斬首の危機が迫っていた。
(伊之助)兄上…。
伊之助…。
旦那様。
小田村の兄上が心配です。
やのに今の私は飛んでいく事もできません
干鯛1箱。
清末の殿様から。
昆布1箱。
岩国の殿様から。
まあ!もうこんなにお祝いの品が。
(潮)まだ何も公にはなっておらぬ。
これらはすべてただのお見舞いの品じゃ。
回想子ができました。
そうでした。
すみません。
(潮)美和。
美和殿!失礼致しました。

(テーマ音楽)・「愚かなる吾れのことをも」・「友とめづ人はわがとも友と」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「吾れをも」・「友とめづ人は」・「わがとも友と」・「めでよ人々」・「燃ゆ」こちらは安心院洪庵先生。
御前様の御匙を務めております。
安産のご祈祷はことのほか霊験あらたか。
これから姫付の医師としてお腹診を。
お心遣い痛み入ります。
ですが母上様のご診察もおありでしょうし私にばかりお手間をとらせては…。
なんの構いません。
お世継ぎのためです。
(鞠)美和殿が?いつの間にかすっかり銀姫様のおそば役に。
ご懐妊されてからは特に。
あの者が来てからどうも騒々しい。
この先何かよからぬ事を謀りそうな…。
不穏な芽は早めに摘んでおかなければ。
(美鶴)どうされました?なぜ分からんか…。
ご公儀への恭順の道こそ長州に残された唯一の道じゃというに。
何か問題でも?諸隊じゃ。
諸隊が何か?
(前原)一旦解散?どういう事じゃ?
(赤禰)幕府軍から我が藩に出た命は3つ。
殿とお世継ぎ様の謝罪。
山口城の閉鎖。
5人の公家衆の引き渡し。
藩は諸隊解散と…。
我々諸隊が解散すりゃあ藩政府は獄中におられる方々をこれ以上刑には処さんと。
じゃが解散という事はこの藩において改革の流れが消えてしまう。
(彦介)それじゃ久坂さんたちの志が…。
(靖)今まで命を落とした仲間たちに申し訳が立たん。
どう思う?山県。
(山県狂介)さあ…まだ何とも。
(中原)もはや今わしらが朝敵じゃ!内輪でもめとってええんですか!?
(前原)じゃからというて幕府の顔色ばかりうかがう日和見の年寄りどもにこの藩のかじ取りを任せられると思うか!?現状を見れ!見とらんのはお主らじゃ!そうじゃ!何言うとるんじゃ!
(利助)あの人しかおらん。
この八方塞がり突き破るんはあの暴れ牛しか…。
その高杉。
勤王の志士たちを支えその名を知られた野村望東尼の庵に身を寄せていた。
(野村望東尼)どうされました?長州が滅亡の危機です。
危機は脱したのでは?ご家老方のお首が届けられ15万もの征長軍の総攻めが避けられたとか。
幕府に討伐されるいわれなんぞない。
すべては朝廷のために大義を貫いた結果。
やのに武力に屈し無実の忠臣たちの首を切って差し出す。
異議を唱える者を次々獄へつなぐ。
今の藩政府は腐っちょる。
こんままじゃ長州の魂も滅亡する。
行かれるのですね?はい。
ではこれを。
皆見ています。
夷狄と砲火を交えた長州がこの先どう生まれ変わるのか。
戦います。
(伊勢)奇兵隊御楯隊遊撃隊らに加え膺懲隊も集結。
(中川)あくまでも解散せぬと。
致し方ない。
かくなる上は幕府への恭順を更に示すのみでございます。

(扉が開く音)・行け!歩け!急がんか。
出ろ!兄上…。
まさか…。
案ずるな。
この身はすでに大海原じゃ。
兄上!
(松原長次)黙れ!幾多の波を乗り越えてきた。
今日その先へ行く。
福川!何をやっちょる!
(福川)はっ…。
さあ行け!兄上!許せ…。
行け!松島の兄上が?
(寿)松島様ほか6名の政務員が一斉にお首を。
藩の命に従わん諸隊への見せしめじゃないかって…。
いまだにそねな事を…。
旦那様からはもうこねな文が…。
「『かからんことは武夫の常』。
そう言い残したんはそなたたちの兄吉田寅次郎じゃ」。
「今がその時。
これも武士としての定め」。
(篤太郎久米次郎)「初めあらざるなし」。
「寿。
篤太郎久米次郎を頼む。
これからは不自由を忍んでくれ。
そなたが我が家に嫁いだ時の事。
つまらん事でのいさかい。
日々のこまやかないたわり。
すべてが今思い出される。
決して恨むな。
嘆くな。
胸を張り生きよ。
武夫の妻として。
伊之助」。
(日出)美和殿。
お戻り下さい。
じき七つ時です。
はいただいま。
門が閉まります。
お願い。
なんとかお前の力で…このとおり!姉上…。
旦那様をお助け下さい!姉上…。
閉門!邪魔じゃ!あの人を私たちのもとへ!どうか!どうか!どうか!
(赤禰)ひとまずは矛を収めよう。
速やかに五卿を筑前へお届けする。
そうする事で藩内の調和を図る。
じゃが斬首された松島様らはそねな屈服を望むじゃろうか。
我々が最後の砦じゃないんですか?幕府という今や国の足かせをたたき壊し新しい時代を開く。
ならば聞くが次は小田村様が首をはねられるんじゃ。
見過ごせるっちゅうんか!?すでに五卿は筑前行きを承諾されとる。
それに従い征長軍は引き揚げとなる運びじゃ。
ここはひとまず藩政府と共に恭順の意を…。
(扉が開く音)ざれ言じゃ。
諸君らに問う。
戦うべき時はいつか。
今か。
先か。
もし先ならそこに大業の見込みはあるんか。
あるんか?諸君。
戦うか引くか選べ。
今更戦うなどと…愚行じゃ!愚行ではない!これが忠義じゃ!この高杉晋作毛利家譜代の武士である。
毛利家の誉れと共に生きる。
もし諸君がこの赤禰に惑わされ敵の軍門に下るというんならもはや何も望まん。
ただ一頭馬を貸してもらいたい。
俺は戦う。
萩に向こうて一里行けば一里の忠を尽くし二里行けば二里の義を示すんが今じゃ。
馬を貸せ。
寿が?
(福川)どうしても差し入れたいと。
これきりじゃ。
すまん…。

(寿)「必ずあなたは助かります。
信じてお待ち下さい」。
挙兵せんと?我ら諸隊いくら集まったとて兵糧武器弾薬限りがある。
どう算段しても勝ち目はない。
この期に及んで算段か?算段なくして軍事は成り立たん。
見えんか。
こん程度の明かりじゃあ…。
俺には見える。
何が…?また会おう。
(亀)お帰りなさいませ旦那様。
(百合之助)どねした?梅。
(滝)まさか…小田村様の?
(梅太郎)斬首が決定しました。
ご公儀から不満の声が出たそうです。
長州への処罰が甘い。
そのそしりをかわすため新たに小田村殿が…。
そねなバカな事が…。
(滝)同じ長州人同士でいつまで傷つけ合うんでしょう。
このままじゃいよいよ長州は滅びる。
まさか目の当たりにするとは…。
長生きなんぞするもんじゃないの…。
(森木)どうされたの?美和様。
姉上様から文が…。
お身内が打ち首になるとかで。
えっ…打ち首!?
(日出)ほら手を止めない!すみません。
すみません。
「みわ」…。
これは守り刀じゃ。
お前に。
自粛せよ?
(伊勢)今お家は時局困難極まりなくこたびのご出産に関するすべての祝いの儀をお控え願いたく存じます。
それは殿のご命令か?政務役一同協議の上の結論にございます。
椋梨をここへ。
はっ…。
椋梨様が明日お目見えするそうです。
椋梨様が…。
奥向きの今後について御前様と話をされると。
回想
(寿)なんとかお前の力で…。
あの人を私たちのもとへ!どうか!どうか!私も兄を亡くしました。
私は岩国与田村の小百姓の生まれです。
十で奉公に出され縁あって奥勤めがかないある日兄が会いに来ました。
汗やあかにまみれたみすぼらしいいでたちで恥ずかしゅうて…。
「二度と来んでほしい」。
冷たくしてしまいました。
それが最後。
私も後悔する別ればかり…。
諦めないで下さいまし。
明日おすす払いの宴の席に椋梨様も。
部屋子が騒いでおりました。
ねずみが出る言うて。
ねずみを退治して下さい。
兄上様のためにも。
回想
(椋梨)哀れじゃのう。
お前の夫も兄も。
お前に何ができる?おなごの分際で。
椋梨様。
うん。
何じゃ?話とは。
生まれ来る子のための祝儀奉納すべていわれあっての事。
ばかばかしいとお思いか?かように奥で執り行われる歳時。
姫の懐妊により行われるはずの着帯の儀安産祈願の祈祷…。
ただの女たちの退屈しのぎとでも?いえ。
決してそのような。
(都美姫)今お家がこのような苦境にあればこそ。
お世継ぎができる事がどれほど大切か。
民がどれだけ安堵するか。
(都美姫)毛利家は代々続く。
それを内外に示す祝儀を自粛などもっての外。
おっしゃる事ごもっとも。
いま一度考え直してはくれぬか?そなたは確か久坂殿の…。
久方ぶりですな。
ご無礼を。
いささか存じおりの間柄でして。
そなたもどうじゃ?美和。
客人の勧めぞ。
美和。
まあ…何です?まるでお毒味のような。
何の事でしょうかな?お願いがございます…。
小田村様をお助け下さい。
(都美姫)美和。
ご無礼は重々承知の上でございます。
ですがどうしても椋梨様に…。
なくてはならんお人です!美和!これからの長州藩を背負って立つお方です!無礼者!場を…場をわきまえよ!どうかお助け下さい!何なら代わりに私の命をお召しとりに…。
お願いします椋梨様。
どうか!お願い致します!誰か!誰かこの者を捕らえよ!どうか!椋梨様お願い致します!お願い致します!ここで処分が決まるまで慎んでおれ。
申し訳ございません。
どうしても…。
小田村殿の刑はじき行われるそうじゃ。
一人ここで泣きぬれるがよい。
(鞠)むちゃですよ美和殿。
兄上様のためとはいえ…。
お気持ちは分かりますが…。
私にはよう分かりません。
兄はいませんので。
姫様…。
先ほどは勝手致しましてまことに…。
申したはずじゃ。
「この子を頼む」と。
なのに私事で動くとは…恥を知れ。
おわびの申し上げようもございません。
早う行け。
今ならまだ間に合う。
小田村殿に会うてまいれ。
誰かに聞かれたら私の元の御典医影山先生に薬をもらいに行くと。
御前様にはどうぞご内密にと。
姫様…。
命に代えても惜しゅうない大事なお人なのであろう?私の…。
初恋の人にございます。
もはや刑は免れぬ。
せめて一目だけでも…。
早う!兄上。
兄上様…。
美和…。
(せきばらい)あまり時がございません。
よくここまで…。
姉上が知らせて下さったんです。
「すでに覚悟はできている」。
(寿)「必ず篤太郎と久米次郎を立派に育て上げます。
そしていつか伝えます。
あなた方の父は最後まで気高く強い武士であったと」。
果たしてそうであろうか。
武士としての俺は何が果たせたであろう…。
この国を思い掲げた理想がある。
かなえるために俺は何をしたか。
いっそこの命誰かにくれてやれれば。
この身を盾にして一人でも助けてやれれば。
少しは死にがいもあったものを…。
無念じゃ。
兄上が何をなしたかなさんかったか。
それは私には分かりかねます。
されど今までどう生きてこられたかそれなら分かります。
私にとって兄上は空のような方でした。
私が初めて会うた…。
気付けばふとおっていっつも見守って下さって。
たくさん大事なものを下さいました。
寅兄様に友情を。
久坂には温情を。
寿姉様には家族を。
皆兄上を通して美しいものを知りました。
小田村伊之助様。
あなたは至誠そのものです。
兄上のような方がいなければ…。
空のように広く温かく皆をいたわって下さる方が…そういう方がいなければ…。
この先この国はどうなってしまうんか…。
まだあの男がおるではないか。
えっ…?村塾一の暴れ牛高杉晋作が。
でも高杉さんお一人では…。
一人ではない。
皆の思いがある。
あの男の背には。
寅次郎亀太郎稔麿入江寺島久坂。
皆の託した思いが。
美和…見届けてくれ。
この国が変わり皆にまた笑顔が戻る日を見届けてやってくれ。
そして誰も恨むな。
愛せ。
共に生きる皆を…愛してやってくれ。
幸せになってくれ。

(松原)小田村伊之助。
出ませい。
出ろ。
行くぞ。
縄を。
何をしておる早う。
よろしいんでしょうか?確か今日は毛利家ご先代様のご命日。
はっ?ご先代斉広公のご命日ではなかったか。
そのような大切な日を罪人の血で汚してよいものか。
されどそのような事ひと言も。
念のためお伺いを立てた方が…。
後で我らが責めを負わされても困ります。
(椋梨)即刻処分を。
速やかに不埒者どもを刑に処し幕府に知らせるべきかと。
今や我が藩は徹底恭順の構えである事を。
(敬親)そう…。
たった今知らせが。
高杉晋作下関にて挙兵。
これより長州男児の肝っ玉お目にかけ申す。
(一同)おお!諸隊を率いて役所に攻め入ったと。
なんと!高杉…!高杉さんが…?ご城下今や大変な騒ぎにございます。
すべては一人の男に託された。
行け〜!
(椋梨)高杉たちを決して萩に入れてはならん!私の人質とする。
(都美姫)己の分をわきまえよ。
美和私に力を貸せ。
和子様は私が命に代えてもお守り致します。
高杉晋作はこの地に逃れ平尾山荘に身を寄せました。
ここは志士たちを支援した事で知られる野村望東尼が暮らした場所です
長州に戻った高杉は奇兵隊ら諸隊に挙兵を呼びかけます。
これに真っ向から反対したのが奇兵隊3代総督赤禰武人でした。
赤禰は内戦を回避するため奔走していたのです
しかし高杉の挙兵でその思惑はついえ赤禰は奇兵隊を去りました
その後幕府と内通した疑いで藩の役人に捕らえられ赤禰は非業の死を遂げます
道をたがえた高杉と赤禰でしたが2人は共に藩の将来を思い志を貫いたのです
2015/08/02(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
花燃ゆ(31)「命がけの伝言」二度と会えぬなら告白を![解][字][デ]

美和(井上真央)は懐妊した銀姫(田中麗奈)の世話に大忙し。一方、藩では椋梨藤太(内藤剛志)による粛清が続き、伊之助(大沢たかお)も処刑されるという知らせが…!

詳細情報
番組内容
美和(井上真央)は懐妊した銀姫(田中麗奈)の世話に大忙し。一方、藩では椋梨藤太(内藤剛志)による粛清が続き、ついには伊之助(大沢たかお)も処刑されることが決まってしまう。美和は彼を救いたいと思うが何もできない。そんな折、女中の日出(江口のりこ)が宴の席で椋梨に毒を盛るように美和をそそのかす…。誰にも告げたことのない伊之助への想いを胸に焦りを募らせる美和。そしてついに伊之助の処刑の日がやってくる…!
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,高良健吾,北大路欣也,原田泰造,優香,久保田磨希,森永悠希,劇団ひとり,佐藤隆太,大野拓朗,阿部亮平,冨田佳輔,内藤剛志,檀ふみ,長塚京三,若村麻由美,永岡佑ほか
原作・脚本
【脚本】金子ありさ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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