こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
映画でもアニメでも何でも良いんですけど、「観た人がその作品をどう褒めようが貶そうが自由」というのは当たり前のことだと常々思ってます。でも最低限、事実に基づいて述べるのがマナーというか、当然のことだとも思うんですよね。で、何かと話題の実写版「進撃の巨人」。以下のレビューはちょっとどうかと思うんですよね。せっかく文体は面白いのに。
・カリモクのソファーを抱いて溺死しろ
実写版はミカサとエレンの関係性が変わってるんだけど、ミカサ→エレンじゃなくてエレン→ミカサ。
で、壁が壊されてミカサの手を引いて逃げると思いきや、人の流れに逆らって「家が!」とか言ってるの。
イェーガーってかクソが!そしてミカサはエレン好きじゃないからめっちゃ迷惑そう
このあと色々あってエレンのせいでミカサの消息不明になるんだけど、後々明かされた設定によると、エレンの両親はエレンが幼い頃に死んでる。お前何のために家が!とか言ってたの?
お気に入りのインテリアでもあったの?お前んちカリモクのソファーとか置いてるの?
そんなエレンだから感情移入もできない!!そんなエレンだからピンチの時もミカサは助けない!そうだよね!お前はカリモクのソファーを抱いて溺死しろ
これ正しく言うと、「うちが心配だ」と駆けていくのは、エレンじゃなくてアルミンなんですね。そしてその直後、アルミンの親父さんはエレンやミカサの目の前で巨人に襲われる。「エレンのせいでミカサの消息不明になるんだけど」も結構曲解が過ぎる話で、逃げ惑う人ごみの中で不可抗力で分断されてしまって、今にも巨人に襲われるミカサをなす術なく見守るしかないエレンというのが、彼のその後の戦う動機に繋がっていく。状況的にはエレンに罪はないのに、彼は自分を責め続けている、という流れ。
だから、「お前何のために家が!とか言ってたの?お気に入りのインテリアでもあったの?お前んちカリモクのソファーとか置いてるの?そんなエレンだから感情移入もできない!!そんなエレンだからピンチの時もミカサは助けない!そうだよね!お前はカリモクのソファーを抱いて溺死しろ」が全文「何言ってんだこいつ…」となる訳。
私自身はこの「進撃の巨人」は結構楽しめた方だけど、このレビューの「うわ…無駄にロマンチックに雪みたいなの降らせてるよ…」とか「なぜか今まで仲間が喰われまくっても我関せずな皆が団結してジャンを助けるよ!もう放っておけそんなやつ!」とか、まあぶっちゃけそうだよなあと思う部分も多く、せっかく文体が面白おかしく出来ているのに、デマを基にテキトー書いてるせいでげんなり。インパクトの大きいタイトル「カリモクのソファーを抱いて溺死しろ」にかかる部分がデマなのは駄目だよ…。惜しい。(レビューを書いた本人はTwitterで描写が足りないから間違えたんだとか色々言い訳並べてたけど、すでに何人もの人がこの点を指摘している訳で、自分が間違えたのなら訂正するなりごめんなさいをすれば良いだけの話。自分の勘違いを作品のせいにこじつけるのはデマを基に批判するよりもっと格好悪い)
他にも、ドラマ版「デスノート」に関する記事のヤフコメで見つけたこの感想。
・「デスノート」“乱高下”第5話8・2%…自己ワースト更新
boo****(2015/08/03 13:48)
「キャラクター像を変えた」って言うけど、ストーリーそのものは同一なので、内容がすごく矛盾をきたしている。
月の天才的な発想や野心の強さ、自信過剰な感じなど、エリート学生だからこそ説得力があるのに、これらが平凡な学生の発想だとすると非常に違和感を感じる。
Lも奇行を抑えたというけど、ただお菓子を食べないだけで、その他の挙動は全てマツケンの演技をそのままパクってる。しかしこのお菓子好きはポテトチップのトリックを見破ったときに重要な意味を持ち、安易に設定変更するのは物語を読めていない証拠。
結局監督が悪いと思う。
「このお菓子好きはポテトチップのトリックを見破ったときに重要な意味を持ち」?? えっ???
原作でも映画でも今回のドラマでも、Lが月のポテチのトリックを明確に見破ったことは一度もないんですよ、boo****さん。原作ではヨツバの火口を確保した後に切り離したノートの有効性に気付いたLが改めてポテチを疑うシーンがあって、映画やドラマでは疑わしかったけど確証が無かったのでポテチの袋を実際に月に見せることで牽制かけただけなんです。そもそもLのお菓子好きという設定はキャラクターのアイコン的なものでストーリーには何も関係ないんですけどね。
要は何が言いたいかというと、別に批判も文句も良いんだけど、せめて事実を基に書こうね、ということ。せっかく的確な指摘もあったり、文体が魅力的だったりしても、デマや勘違いを基に書いているだけで全部が台無しになる。勿体ない。世の中には実際に観てもいないのにネットの評価だけで観た気になって批判している意味不明な人たちもいるけど、これらのレビューを書いた人たちは(内容的に)ちゃんと作品と向き合った上で書いている。なのにこんな内容じゃ、デマ発生装置にしかならないんだよ。折角の指摘もパーだよ。
・映画「進撃の巨人」観てきたよ!話はアレだけど、特撮が最高
・文句を言うのは見た人だけの特権
たぶん、これから進撃の巨人について、「突っ込みどころ満載!」とか「原作崩壊!」みたいなレビューがわんさかあがってくると思うんですよ。でも、それで「ふーんクソ映画なんだ(鼻ホジホジ」とわかった気になるのは、人として本当にダサいし、やめた方がいいと思う。
あのな、オレは1800円払って見たから文句言ってんだ。貶してんだ。1800円も払わずに、ネットのレビューだけ見て、見た気になってこの映画を貶す奴は俺がぶっ殺す。あと、こういう特撮映画をDVDで見て「なんか迫力いまいちだったね」とか言う奴も俺がぶっ殺す。
「殺す」という表現はさておき、ほんとこの通りなんですよ。今回燃えに燃えてる進撃に限らない話だけど、昨今はネットで気軽に情報収集できるからか、「人として本当にダサい」人が増えた気がする。そしてそのダサい人の中には、カリモクのソファーを抱いて溺死するようなデマレビューを基に、観た気になって映画を貶す人もいるのだろう。(このタイミングでTwitterで「カリモク」と検索するとそのダサい人が沢山見つかりますね)
まあ、そもそもヤフーの映画レビューとかヤフコメ自体がアレって話はあるし、重箱の隅突きだとか、これで実際に観に行かないと言う奴なんかおらんだろ(逆に興味を持った奴すらいるだろ)、とか思う人もいるんだろうけど、そういう話ではなくてね。そんなこと言ってるんじゃなくて。
せめてもうちょっとまともにやりましょうよ。ね。
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【過去記事】
・実写映画「進撃の巨人」が秀作だった理由を3つの視点から累計1万字かけて徹底解説する
・あなたが映画の宣伝に怒るのは、あなたが映画を観に行くから
・週刊デスノーザー【第1話 新世界の神を目指さない男】ドラマ版「デスノート」全話レビュー&解説連載