仙台市議選:安保法案、自民に逆風 共産が初のトップ当選

毎日新聞 2015年08月03日 21時55分(最終更新 08月03日 23時35分)

 仙台市議選(2日投開票)で自民系候補が退潮し、共産党が大きく得票を伸ばしたことが永田町に波紋を広げている。安保関連法案の国会審議が影響しているとみられ、公明党からは「逆風になっている」との声が上がった。

 自民系候補は前回、全5選挙区でトップ当選したが、今回はゼロだった。投票率は前回(40.03%)を下回る35.83%だった。「平和安全法制で逆風になっていると認めざるを得ない」。公明党の井上義久幹事長は3日に首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議でそう強調した。

 公明党は同市議選で前回より1議席増やしたが、低投票率もあり得票数は減らした。公明党幹部は「投票率が低迷しても共産党は得票数を増やしている。安保法制をきっかけに都市部の浮動票を共産党に奪われている」と分析した。別の同党幹部は「地方で苦労して選挙している中、政府が足を引っ張っている」といらだちを隠さなかった。

 一方、共産党は全5選挙区のうち3選挙区で同党候補がトップ当選を果たした。山下芳生書記局長は記者会見で「戦争法案に反対する候補が当選した。安倍政権は世論の批判の表れとして重く受け止めるべきだ」と強調した。

 同党候補のトップ当選は1989年の政令市移行後初めて。同党は全5区に前回選と同じ現職7人を擁立し全員が当選した。得票率は前回の10.9%から14.2%に伸ばした。

 民主党も前回選の7議席から2議席増やし、全員当選した。安住淳・衆院議員(宮城県連代表)は「安保法案に対する拒否感が民主と共産に流れたのでは」と指摘した。【横田愛、山内真弓】

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