小型機墜落1週間 生存者聞き取り 重量や加速、負の連鎖か
産経新聞 8月3日(月)7時55分配信
■「死亡の機長は左側の操縦席に」
東京都調布市の民家に小型飛行機が墜落し3人が死亡した事故で、小型機の生存者が警視庁調布署捜査本部に、死亡した機長らについて「機体の左側の席に座っていた」などと説明していることが2日、捜査関係者への取材で分かった。捜査本部などは当時の機内状況の把握につながる証言とみて、さらに聞き取りを進める。事故は2日で発生から1週間。重量やエンジンの出力不足など複数の要因が組み合わさって起きたとみられ、原因特定にはなお時間がかかる見通しだ。
小型機には操縦していた川村泰史(たいし)機長(36)=横浜市港北区=ら男性5人が搭乗。捜査関係者によると重傷を負った3人のうち一部が、死亡した川村機長について「1人で(前方左側の)操縦席に座っていた」と説明。ほかの4人は後方の搭乗席にいたが、同じく死亡した早川充さん(36)=東京都練馬区富士見台=も左側の席に座っていたという。
墜落現場からは、機体が最終的に墜落した無職の鈴木希望(のぞみ)さん(34)宅から3軒隣の民家にあったアンテナが見つかった。左翼部分の塗料が付着しており、小型機は最初にこの家のアンテナに接触、機体が左に傾いた状態で住宅街に進入したとみられる。
生存した3人の一部は、墜落後に左翼部分から出火したと説明。左側に座っていた川村機長と早川さんが犠牲になった可能性があると捜査本部はみている。
事故の一因になった可能性がある事実は、これまでにいくつか判明している。
小型機の整備・管理を行う日本エアロテック(調布市)などによると、小型機は事故4日前の7月22日、燃料を満タンにして約40分間飛行。その後、川村機長が国土交通省に提出した事故当日の飛行計画書には、調布飛行場−大島空港の片道の飛行時間(約1時間)の5倍にあたる5時間分の燃料を積載していると記載されていた。
小型機自体の重さは1245キロ。燃料の重量は約280キロあったとみられ、搭乗者5人の体重などを加えると、小型機のマニュアルで離陸可能な限界とされる最大重量(約1950キロ)を超えていた疑いもある。
また、小型機は調布飛行場の滑走路(全長約800メートル)の端まで走行し離陸。機体が最大重量に達し、気象条件が事故当日と同じ「無風」「気温34度」の場合、安全な飛行のために必要な滑走距離は約950メートルとされ、距離が足りていなかった可能性もある。
捜査本部は住民らが撮影したビデオなどから、小型機が高度が上がらないまま低空飛行していたことなどを確認。離陸直後にエンジンの出力不足など何らかのトラブルが起きた疑いもあるとみている。
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