ロッテ創業家で長男の重光宏之氏(61)と次男の昭夫氏(60)の後継争いが泥沼化している。日本のロッテホールディングス(HD)の株主総会での多数派工作や訴訟合戦も予想されるなか、父親の創業者、武雄氏(92)の言動が韓国メディアで報じられ、事態の混乱に拍車をかけている。
宏之氏は1月にロッテHD副会長を解任されたが、7月末に武雄氏らとともに訪日して昭夫氏の解任を通告。これに対し、現副会長の昭夫氏側は直後に開いた取締役会で解任の無効を確認し、武雄氏の代表権を外す人事を発表し、クーデターは「一日天下」に終わったが、その後も権力闘争が収束する気配はない。
韓国SBSテレビなどは、武雄氏がソウルのロッテホテル34階にある執務室で録画したという映像を2日に公開。そこで武雄氏は「次男の辛東彬(シン・ドンビン=昭夫氏の韓国名)を韓国ロッテ会長と(日本の)ロッテHD代表に任命したことはない。(昭夫氏には)どのような権限もない」「ロッテを育てた私を排除する動きは許せない」と述べたという。
宏之氏もインタビューで、ロッテの中国事業で巨額の赤字が出たことに武雄氏が激怒し、「(責任者の昭夫氏を)激しく非難して殴った」と発言。昭夫氏が創業者の逆鱗に触れたとの構図を強調し、自身の正当性をアピールした。宏之氏は昭夫氏と7月に話し合ったが、「弟が最後まで徹底的に戦うと宣言した」とも語った。