(杉下右京)担当の先生は最悪の事態を想定した口ぶりでしたねぇ。
(三浦信輔)君は何者かに暴行を受けたものと思われる。
(甲斐享)俺今記憶が…。
(生方豊茂)調べたければ令状を持ってらっしゃい。
カイトくんはこの森のどこかで鈴の音を聞いたのでしょうかねぇ。
(長尾恭子)私怖いよあの人…杉下って人。
(杉下の声)いくら下手な鉄砲でも一応は狙いを定めて撃つものですよ。
(女性の声)「いいから救急車をお願いします!」
(伏木田真智子の声)「急にタヌキが道を横切ったので」
(米沢守)119番通報の声と芹沢さんがお持ちになった音声サンプルを声紋鑑定した結果…。
(米沢)見事に一致しました。
間違いなく同一人物ですな。
なんという女性ですか?
(芹沢慶二)伏木田真智子。
美人ですか?
(芹沢)はい?声だけ美人というのにさんざんがっかりさせられてますからな。
で米沢さん。
え?あっああ…。
これなんですけども調べました。
人毛です。
間違ってもタヌキの毛ではありません。
そうですか。
どうもありがとう。
まろく庵…?
(芹沢)うん名前の由来聞くと結構笑えるんだけどさ。
(伊丹憲一)いいよそんな事は。
(笛吹悦子)すいません…。
そのまろく庵っていうのは毛呂美里の外れの結構な森の奥にある。
庵主の伏木田辰也が森を丸ごと所有しててまあ親から相続したものらしいがずいぶん前にその森の奥を切り開いて住居を建てたそうだ。
(芹沢)伏木田辰也は半年前に亡くなってて今は一人娘の真智子が家を継いでるんだけどね。
まあとにかくそのまろく庵のある森にお前はキノコを採りに行ったようだな。
キノコ…?
(三浦)これを見てくれ。
(伊丹)生方豊茂71歳。
保険金詐欺目的で女房を殺し殺人罪で服役してた。
(三浦)それからこいつだ。
榊大志26歳。
過去にシャブで実刑くらってる。
(芹沢)で次がああ三隅慎二25歳。
窃盗のマエがある。
(伊丹)で最後が坂口冬二。
チンピラ上がりで恐喝暴行傷害前科3犯だ。
こいつ…ここに来ましたよ。
何?いつ?昨日です。
皆さんが帰ったあと。
何しに来たの?別に何も。
俺がこんな状態だって知ると帰っていきました。
とどめ刺しに来たか。
え…?だが記憶をなくしてたんで引き返した。
記憶喪失で命拾いしたな。
(ため息)
(芹沢の声)今まろく庵にいるのはこの男たちと女が2人。
1人は長尾恭子っていう若い茶髪の女の子。
でもう1人が娘の真智子。
(女店主)お葬式は内々でやったみたいよ。
亡くなられたって娘さんがご報告に見えた時にそうおっしゃってたわ。
娘さんというのは真智子さん?そう気立てのいい子よねぇ〜。
伏木田さんは亡くなる前病院には入られなかったのでしょうかねぇ。
入らなかったみたいよ一度も。
確かガンを患ってらしたんですよね?それなのに一度も?確かお医者さんに往診に来てもらってるって言ってた。
ああ…なるほど。
だけど気の毒だったわよ。
最後のほうなんか骨と皮だけみたいになっちゃって。
あっ伏木田さんが亡くなる前お会いになった?ううん見かけただけ。
(女店主の声)もともと細い人なのにより一層細くなっちゃって…。
それはいつ頃の事ですか?ちょうど去年の今頃かしらね。
つまり亡くなる半年ほど前の事ですね。
そうそうそう。
(パトカーのサイレン)
(伊丹)ご所望の令状お持ちしましたよ。
(三浦)これからこの屋敷の捜索を開始します。
皆さんにももう一度詳しくお話を伺いますのでよろしく。
昨日はうっかり忘れてたなんて事があるかもしれないからもう一度お見せしましょうか。
本件の被害者甲斐享。
いいか警察官痛めつけといて知らぬ存ぜぬで通ると思うなよ。
(三浦)始めるぞ!
(一同)はい。
あとで君の髪の毛をもらえるかな?いくら出す?俺趣味でもらうわけじゃないからね。
じゃ始めますか。
(捜査員たち)はい。
おいどうだ?あどうも。
まだなんとも…。
(伏木田真智子)あなたには少しつらい思いをさせるかもしれないけど。
平気だよ。
つらいのなんか慣れてる。
だってこの世の中に親に見捨てられる以上につらい事なんてあると思う?キョン…。
私なんかよりシゲさんのほうが心配。
もうおじいちゃんなんだし。
俺は大丈夫だ。
他の連中にあとの事はよろしく頼むと伝えてくれな。
どうも。
令状が下りたようですね。
警部殿…。
ええまあご覧のとおり。
そろそろ思い出しましたか?甲斐享の事を。
もう降参します。
すべてを正直に申し上げます。
最初からそうしろよ…。
で?彼を…甲斐享さんを半殺しの目に遭わせたのはこの私です。
申し訳ない事をいたしました。
そのような真似をするのにはそれなりの理由があるはずですね。
はいもちろんです。
どんな理由でしょう?襲われたんだよ私。
はい?襲われたんだよ!私。
イヤ…!おとなしくしろ!何をしてんだー!ああー!
(恭子)襲われてた私をシゲさんが助けてくれた。
これ見てください。
この子甲斐享さんに首を絞められたんです。
調べてもらって構いません。
この子の髪の毛が欲しいならどうぞ持ってってください。
森で甲斐享に襲われた。
それを…。
通りかかったあなたが救出した。
つまりそういう事ですね?助けるためとはいえやりすぎてしまった事は反省しています。
あまりの事に頭に血が上ってしまいました。
それに怖かった。
怖かった?相手は若い男です。
私は年寄りだ。
手加減なんかしたら逆にやられてしまうんじゃないかという恐怖がありました。
だから動かなくなるまで夢中で…。
(泣き声)すいません。
キョン…。
大丈夫だからキョン…。
どうした?事実かもしれません…。
首を絞めた実感があります。
記憶が戻ったのか?いやわかりません。
他は何も思い出せないんです。
でも確かに茶色い髪の女の子の首を絞めた気がする。
これって俺の記憶ですか…?茶色い髪の女の子ですか?今朝俺ここで言いました。
長尾恭子は若い茶髪の女の子だって。
なるほど。
いずれにしても本当の記憶かどうか確かめましょう。
(米沢)あなたが首を絞めたという女性はこの中にいますか?
(米沢)カイトくんの指に絡まっていた毛髪と長尾恭子さんから提出してもらった毛髪を照合したところぴたりと一致しました。
あっ杉下さん。
享が女の子を襲ったって…。
今僕に言える事は少なくとも彼はむやみに人を襲ったりしないという事でしょうかね。
(ため息)
(中園照生)部長!少々困った事態になりました。
実は甲斐享が先に女を襲っていたようです…。
(内村完爾)なんだと?相手は強姦目的で襲われたと言っています。
しかも本人も襲った事をおおむね認めておりそれを裏付ける証拠も挙がっているようです。
うむ…。
ふたを開けてみれば被害者が実は加害者でもあったわけで…。
あ…部長。
任せる。
は?あとは君の一存で進めなさい。
当然責任も君が取るんだ。
それは…。
僕は聞かなかった事にしよう。
そんな…。
うん。
君が報告を怠った事にしよう。
通るわけないですよそんな事が。
通るんだよ!え…?縦社会では十分通ります。
(月本幸子)どうぞ。
ああ…いらっしゃいませ。
(甲斐峯秋)あどうも。
どうぞ。
ああ。
ビールもらおうかな。
はい。
寝耳に水とはこういう事だね。
はい?せがれの事だよ。
もうお耳に入りましたか。
喜んで教えてくる輩がいる。
僕の足を引っ張りたいような連中だよ。
どうぞ。
ああ…。
君は口は堅いほうかね?えっ?あ…杉下くんが通ってる店の女将だ。
言わずもがなか。
なんでしたら私ちょっとお買い物に出ましょうか?あいやそんな…。
はあ…そうしてくれるかね。
はい。
偉い方はこれですから。
(甲斐)ん?いえいってきます。
あっもしお客様がいらしたらどうか対応しておいてくださいね。
な〜んて冗談です。
どうぞごゆっくり。
(笑い声)いい女だねぇ。
君のこれかね?とんでもない。
まあそれはいいか…。
実際のところせがれはどうなんだろう?君の見立てを聞きたい。
女性を襲ったのは事実だと思います。
しかし理由もなく襲ったりはしない。
どんな理由だ?それがわからないから僕も今困ってるんですよ。
誰か呼んできてください。
どうしたの?誰か呼んできて!うん…うん。
(携帯電話の振動音)もしもし。
俺が襲ったのは森じゃない。
車の中です。
車の中ですか?間違いありません。
なぜ襲ったかは?わかりません。
でも俺は車の中で彼女の首を絞めました。
そうですか。
しかしこれでひとつ謎が解けました。
ここです。
(角田六郎)忙しいか?これはこれは課長…。
助さん格さん引き連れてご登場ですか?今は現場検証の最中です。
見りゃわかるよ。
相変わらず警部殿の行動は不可解ですねぇ。
無理を言って来ていただきました。
何をする気です?まあそう焦らずに。
ここが暴行現場…つまり甲斐享が長尾恭子さんを襲い通りかかったあなたが甲斐享を痛めつけた現場ですか?そうです。
長尾恭子さん。
あなたは本当にここで甲斐享に襲われましたか?襲われました。
しかし甲斐享は車の中であなたを襲ったと言っています。
甲斐享がこの森の中で暴行を受けた事は間違いありません。
ですが暴行を受けるに至った理由その点についてはどうもあなた方の証言をうのみには出来ないんですよ。
あなたが首を絞められたのはここですか?本当は車の中だったのではありませんか?あなた嘘を言ってるでしょ?嘘なんかついてません。
真智子さんあなたが瀕死の甲斐享を車に乗せ運んだんですよね?そして途中で119番通報をした。
それがなんですか?恭子さんその車にあなたも同乗していたのではありませんか?真智子さんが単独で瀕死の甲斐享を運んだとは考えづらいんですよ。
確かに1人で運転も119番通報も出来ます。
しかし瀕死の甲斐享を1人で車に乗せてその甲斐享を途中で車から降ろして道端に転がすというのは1人では厳しい。
だからあなたもその車に同乗していたんですよ。
ええ。
あのワゴン車に…。
そしてその際あなたは助手席ではなく後ろに乗っていたのではありませんかねぇ。
甲斐享はひどい状態でしたからねぇ。
いつ息をしなくなるともわからない。
せめて救急車を呼ぶまでは道端に転がすまではなんとかもってほしい。
一種の責任逃れですが当事者にとっては切実な思いだったに違いありません。
その切実な思いが片方は後ろで様子を見るという役割分担になって表れたのだと思いますよ。
ところがそこで予期せぬ事態に見舞われました。
意識を取り戻した甲斐享があなたに襲いかかった。
なぜ襲いかかったのかといえば目の前にあなたがいたから。
理由はそれだけです。
おわかりですか?暴行を受けて気絶した人間が意識を取り戻した時にまだ暴行の途中であると錯覚する事は往々にしてある事。
つまり甲斐享が恭子さんを襲ったのはそのような錯覚のもと条件反射的に反撃に出たからなのですよ。
そして真智子さん。
その予期せぬ事態に驚いたあなたはハンドルを切り損ねた。
(真智子)ああっ…!
(急ブレーキの音)
(衝突音)幸いな事にその衝撃が再び甲斐享を静かにさせました。
それはあなたの想像でしょう。
ええ甲斐享の証言に基づく想像です。
ですから自信を持って申し上げました。
想像じゃね…。
時間の無駄です。
現場検証を進めてください。
どういう立場で指図してんだよ。
時間の無駄か無駄じゃないかはこちらで判断しますから。
だから言ってるじゃないですか!甲斐享さんを暴行したのはこの私ですよ!それでいいでしょう?ちっとも良くありませんよ。
動機が嘘じゃ困るの!暴行の事実は認めてらっしゃるのになぜ嘘をつくのか。
よほど隠したい事情がおありなんでしょうねぇ。
そろそろ俺の出番かな?お待たせしました。
まろく庵の庵主であり真智子さんあなたのお父様は半年前にガンで亡くなられた。
そうですよね?ええ…。
それは本当ですか?いや嘘だね。
俺はこの案件に関しては管轄違いだ。
ここにしゃしゃり出るのも場違い。
だが仲間の警察官がひどい目に遭わされたとなるとやはりじっとしてはいられない。
そうだろ?そんな時杉下から調べ物の依頼を受けた。
喜んで引き受けたよ。
依頼って?このあたり一帯の医者と葬儀屋をしらみつぶしに当たる事だ。
ガンを患ってらしたお父様は病院へは入らずお医者様の往診を受けていたそうですね?
(大木長十郎)いやそんな事実はありませんよ。
本当にそんな医者がいるんだったらここに連れてきてもらおうか。
お父様のご葬儀は内々でなさったとか?
(小松真琴)その事実もありませんよ。
葬儀を取り仕切った葬儀屋も坊主も存在しません。
俺は別角度から調べたぞ。
役所を当たったよ。
そもそも死亡届なんか出てないね。
という事はつまり…。
伏木田某は公式には死んでいないという事だ。
ならば生きている?いやそれはわからん。
年金詐欺目的で届けを出さないケースだってあるだろ。
そうですねぇ。
しかし年金詐欺うんぬんは置いておくとしてそうなんですよ。
伏木田辰也さんは死んではいなかった。
半年前に亡くなったというのは嘘です。
少なくともカイトくんがこの森を訪れたその日までは生きていた。
カイトくんが聞いたという鈴の音。
それが伏木田辰也さんが生きていた証しだったんです。
即身仏ですよ。
即身仏…?ミイラって事か?まろく庵庵主伏木田辰也さんは即身仏になるべく土の中でひたすら命の尽きるのを待っていたんです。
まだ死に切れていない事を外へ知らせるための鈴を鳴らしながら…。
(鈴の音)
(坂口冬二)だから言ったじゃねえかよ!あいつ殺しときゃよかったんだよ!
(生方)冬二!やめろ!どうやって即身仏にたどり着いたんですか?ひとつは甲斐享の証言。
鈴の音が聞こえる…。
それから部屋で発見した節のくり抜かれた竹筒。
あれは土中の棺から地表へ出して空気孔の役割を果たしたものですねぇ。
ああそうそう部屋の壁の新聞記事もヒントになりました。
おやじさんは苦しんでる人々を救いたがっていました。
度重なる災厄に見舞われるこの国を本当に憂いていた。
だから即身仏になる決心をしたんです。
自らの命と引き換えに人々を救う。
そういう事でしょうかね?人々の苦しみを一身に背負いながら祈り続けて仏になって生まれ変わる。
それが即身仏です。
その何がいけないんですか?何が悪いんですか?
(真智子)シゲさん…。
即身仏になるためには木食行というほぼ断食に近い修行をなさるそうですねぇ。
体から徹底的に脂肪をなくさないとうまくミイラになれない。
…ええ。
文字どおり骨と皮だけになってしまいますからそのカムフラージュとしてガンになったと偽りやがてこの森から姿を消す方便として半年前に亡くなったと近所に伝えた。
そういう事ですね?父は…父は何も悪い事してません!即身仏になるという行為はすなわち自殺。
自殺の善悪についてはあえて言及しませんがしかしそれを手助けしている皆さんは自殺幇助の罪に問われる可能性があります。
さらに言えばやがて即身仏となった伏木田辰也さんを掘り起こす事になりますねぇ。
それもいささか具合が悪い。
刑法には墳墓発掘を禁じる規定がありますからね。
多少は法律に触れる事があるかもしれません。
でも私たちは誰かに迷惑をかけていますか?無事に即身仏になって人々のために祈る。
それがおやじさんの願いです。
私たちはそれを手助けしているだけですよ。
自ら飢え暗い棺の中で一心不乱になって祈り死を待つ…。
どれほどの思いがその行為を支えているかわかりますか?生半な思いじゃ到底成し得ません!お願いです。
父の事はどうかそっとしておいてくださいませんか。
私は一生刑務所でもいい。
死刑だっていい。
だからおやじさんだけは…。
(三隅慎二)頼むよ…頼むよ!俺たちおやじさんに救われたんだ。
だから今恩返ししてるんだよ。
(榊大志)このとおりです!お願いします!俺たちが出来る恩返しはこれしかねえんだよ。
頼みます!皆さんのお気持ちはわからなくもありません。
伏木田辰也さんの思いにも一定の尊敬の念を抱きます。
しかしそれは僕の個人的な気持ちです。
警察官として法律に触れる行為は見過ごせません。
同じですねぇ!はい?甲斐享さんと同じだ。
もちろん皆さんの思いもわかります。
だったらさ…。
いやでもそれはあくまでも俺の個人的な思いで…。
だから話は別です。
見過ごしてもらえないという事ですか?自殺しようとしてる人をほっとくわけにはいきません。
自分の意思で死ぬんだよ。
自殺はみんな本人の意思です。
他人の意思で死ぬならそれはもう殺人です。
キノコを採りに森の中へ入ってきた甲斐享に即身仏の事実を知られてしまったわけですね?
(鈴の音)
(生方の声)地中で鈴の音がするのを奇妙に思ったようです。
(鈴の音)あっどうも。
あのあっちに立ち入り禁止の札があったのを気がつかなかったかね?ここらあたり危険なんだよ。
イノシシも出るし。
ああもう日も暮れてきたんだから帰ったほうがいいよ。
あの…鈴の音が聞こえるんですけど。
あと人の声も。
気のせいだよ。
(鈴の音)いや…ちょっとすいません。
ここの方ですか?ああそうだよ。
なんなんですか?あれ。
えぇ?なんかね…?まさか中に人が…?で仕方なく事情を説明してお願いしたんですが聞き入れてもらえず…。
暴行に及んだ。
入定を目前にしたおやじさんのかろうとを掘り返そうとしたからです。
(坂口)おい待ってくれよ!おい!
(生方)お願いします!待ってください!ねぇ…!
(榊)なあ頼むよ!
(殴る音)
(三隅)お前なんかに邪魔させねえぞ!貴様尊い祈りを踏みにじる気か!やめて!お願いやめて!やめて!やめて…!
(恭子)死んじゃうよこの人。
埋めよう。
だってこのまま帰すわけにいかねえだろ。
埋めよう。
それがいい。
キョン手伝って。
え…どうするの?決まってるでしょ病院よ。
バカヤロー!おい帰したらおやじさんの事バレちまうんだぞ。
キョンリヤカー持ってきて!お嬢!父のためにみんなを人殺しにはさせられない!人殺しにはさせられないよシゲさん。
申し訳ないけどお嬢…あとはよろしく頼んだよ。
シゲさん!つまり真智子さんの制止によってすんでのところで思いとどまったわけですね?ええ。
そしてあなたと恭子さんは瀕死の甲斐享を車まで運んだ。
そうです。
車で運ぶ途中甲斐享は一度意識を取り戻しましたねぇ。
そして恭子さんあなたの首を絞めた。
彼の名誉に関わる事ですからねこの点ははっきりさせておきたい。
ええおおむね杉下さんがさっきおっしゃったとおりです。
どうも。
つまり皆さんは即身仏になるために土の中の棺にこもっていた伏木田辰也さんを守るために甲斐享に暴行を働き追及が及ぶと事実をねじ曲げるような嘘をついた。
そういう事ですね?ええそういう事だったんですよ。
了解しました。
ところで空気孔となった竹筒がすでに回収されているという事は伏木田辰也さんは無事に入定なさったという事ですね。
平たく言えば命が尽き即身仏となった。
あの夜です鈴の音が鳴りやんだのは…。
(鈴の音)おやじさんがなんのために…!わかってるってば。
どうわかってるのさ!だからって人殺しは嫌!お前は黙ってろよ。
鳴りやんだ!あっ筒…。
さあ…。
(生方の声)我々はかろうとへ駆けつけしきたりどおりに穴を埋めました。
そして3年3か月経ったらそのかろうとを掘り起こすわけですね?そうです。
おやじさんを引き上げて即身仏としておまつりします。
実は森の中を方々歩いてみたのですがそのかろうとの場所が見つからないんですよ。
甲斐享さんの一件があったから見つからないように目印になるようなものはすべて撤去しました。
その場所を教えていただけませんかね?これだけ広い森です。
やみくもに掘り返すわけにもいきません。
どうですか?教えてたまるか。
まあ甲斐享の記憶が戻ればいずれわかる事ですがね。
不謹慎のそしりを免れないかもしれませんがあえて言います。
甲斐享さんの記憶の戻らない事を祈っています。
(鈴の音)
(伏木田辰也)申し訳ありませんでしたね…。
おめえふざけんなよ…。
何がニューヨーク行きの夜行バスだよ。
それお前が好きな『或る夜の出来事』って映画のストーリーだろ?俺らが出会ったの渋谷じゃん。
しかも合コン。
享…?酔ったお前を家まで送ってったのが運の尽き。
はあ?何が運の尽きよ。
そっちがビシバシ光線送ってきたからわざわざ送ってって言ってあげたんじゃん。
ああよく言うよ。
だって本当だもん。
っていうか…思い出したの?記憶…全部戻った?うーん…ああ。
おい…。
怒ったり泣いたり忙しいやつだな。
もう〜ひどいよ…。
病人…病人…。
悪かった…心配かけて。
あっ…あ…だから痛い…。
(米沢)現れたのはこの人ですか?ええこの人。
間違いありません。
えっ?あり得ませんな…。
フッ…夢でも見てたんじゃねえのか?うんにわかには信じられないな。
いや本当ですよ。
本当にこの人がここに来たんですから。
じゃあ幽霊だ…!すいません。
ですね。
えっ?カイトくんが夢で見たというのはおかしい。
なぜならカイトくんは一度も伏木田辰也さんには会っていませんし写真も見た事がないはずですからね夢というのは理屈に合いません。
しかしカイトくんはこの人物に会ったというここで目の前に現れたと。
不可思議な現象ですが僕は頭ごなしに否定する気にはなれませんねぇ。
え…幽霊っすか?ええ可能性は十分に。
いやほぼ間違いないと思いますよ。
そうですか…。
君は幽霊を見ましたか…。
ゆ…幽霊談義はさておきまあ記憶が戻って何よりだな。
あはい。
ご心配おかけしました。
もう完璧?はい。
そりゃ良かったねぇ。
それじゃ我々はひとまず引き揚げますか。
おおそうだな。
ありがとうございました。
あなたご覧になった事は?え?幽霊です。
ありますか?あいえ…。
一度も?そうですか。
はい…はい。
実は僕もいまだかつて幽霊を見た事がないんですよ。
なぜでしょうねぇ?そうですか…。
君見ましたか。
いやいやいや…やめてくださいよ。
(甲斐)うーんそうか…。
わざわざ連絡ありがとう。
いえ。
それでは。
ああ…せがれは仕事に復帰するのかな?もちろんそうなると思いますが。
そうか…。
もうよろしいですか?こう見えて僕は験を担いだりする。
はい?「物事にいろいろ暗示を感じたりする質なんだよ」「つまりね…」今回の一件は息子の潮時を暗示してるんじゃないかと思えるんだが君はどう思うね?さあ…僕にはわかりませんねぇ。
わからないか…。
ええ。
そうか…。
生方豊茂坂口冬二榊大志三隅慎二の4人については傷害の容疑で依然取り調べが続いていますが捜査一課は殺人未遂まで視野に入れているようですねぇ。
ええ。
君をこの森から出すわけにはいかないという事情があったわけですからつまり殺意があったという理屈も成り立ちます。
男性4人と同時に伏木田真智子と長尾恭子の2人は自殺幇助の容疑で取り調べを受けましたがこちらは微妙ですねぇ。
送検されても起訴猶予あるいは不起訴かもしれませんね。
おかしいな…この辺じゃなかったかな?あれ…?この辺ですか?いやああ…。
すいません。
あれ…?
(ため息)君の記憶も当てになりませんねぇ。
関係者が口をつぐんでいる以上頼りになるのは君だけなんですよ。
記憶は戻ってるんです。
わかってます。
だけどかろうとっていうんですか…即身仏が眠ってる場所だけがわかんないんです。
そこだけなんか記憶がすっぽりないんです。
(真智子)かろうと探しですか?ええ。
しかしどうも彼の記憶があいまいで…。
お体の加減は?ああ平気ですまあ…。
このとおり。
本当に申し訳ない事をしました。
おわびします。
3年3か月経ったらまた来てください。
そうすれば場所はわかります。
法律には触れるかもしれないけど私は絶対に掘り起こします。
父の祈りを成就させるために…。
3年3か月が過ぎるまで見つからないかもしれませんねぇ。
この森のどこかで眠ってらっしゃる伏木田辰也さんは…。
おはようございます。
おやおはようございます。
おはようございます。
ひとつだけよろしいですか?ええなんでしょう?今回はカイト坊ちゃんが被害者という事で警部殿とつるんで動きましたがこれに味をしめてこれからも我々と仲良く出来るなんて思わないでください。
そうですかそれは残念ですねぇ。
以上です。
はい。
おいカイト坊ちゃ…。
(咳払い)こらカイト!てめえ二度とキノコ狩りなんか行くんじゃねえぞ。
わかったか?はい。
本当に何がキノコ狩りだ…。
まったくな…。
愉快な人ですね伊丹さんって。
ええ。
ずっとああですか?ずっとああですよ。
おっ!2015/08/03(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒Eleven[再][解][字]
「猛き祈り」
詳細情報
◇番組内容
杉下右京(水谷豊)の相棒(?)として甲斐享(成宮寛貴)が特命係に飛ばされてきた!父親は警察庁次長(石坂浩二)、恋人は客室乗務員(真飛聖)。
右京と享の新特命係のコンビが新たな謎に挑む…。
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:33505(0x82E1)