韓国でブラック企業がはびこる背景として、輸出低迷で悪化する一方という同国経済の厳しい現実がありそうだ。
加えて、冒頭のケースのように、インターンの学生が被害に遭うことについて、韓国事情に詳しいジャーナリストの室谷克実氏は「韓国の厳しい就職難がある」と指摘し、続ける。
「韓国での大卒者の就職は日本以上に厳しい。韓国は『経歴』が重視される社会であり、就職活動の際、ホテルや官公庁などでインターン経験があると有利になる。そうした学生の弱みにつけこみ、事業所側が『経歴になる仕事をさせてやるから我慢して働け』と、低賃金労働を強いている」
聯合ニュースによると、韓国統計庁が集計した6月の失業率は前年同月比0・4ポイント減の3・9%だ。日本の完全失業率3・3%(5月、総務省集計)と大差がないようにも見えるが、韓国の場合、失業率の統計には表れない青年層(15〜29歳)の失業率が10・2%にのぼるのだ。
韓国では最近、「情熱ペイ」という造語が流行している。「仕事への情熱があるならペイ(=賃金)なんか気にするな」という意味で、インターンの学生らを低賃金でこき使う企業を批判した言葉という。
韓国の国民は、理不尽かつ絶望的といえる、この現状を放置するのか。