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「スペースシップツー」の事故、安全対策の不足と操縦士のミスが原因=NTSBが結論
August 3 - 2015 - ヴァージン・ギャラクティック
Image Credit: NTSB
2014年10月31日(米国時間)に起きた「スペースシップツー」の空中分解事故について、事故の調査を行っていた米国の国家運輸安全委員会(NTSB)は7月28日、調査結果を発表した。
この事故は米太平洋夏時間2014年10月31日朝(日本時間2014年11月1日未明)に起きたもので、試験飛行中だったスペースシップツーの1号機「VSSエンタープライズ」が、ロケット・モーターに点火した直後に空中分解し、搭乗していた副操縦士のマイケル・アルスベリーさんが死亡、また機長のペーター・シーボルドさんはパラシュートで脱出したものの、重傷を負った。
事故を調査していたNTSBの発表によると、事故の原因は、同機を開発したスケールド・コンポジッツ社による、ヒューマン・エラーに対する考慮や対策が十分ではなかったこと、また副操縦士のアルスベリーさんが、訓練不足により、宇宙船の「フェザー・システム」を予定より早い段階で起動してしまったことの2点が挙げられている。
フェザー・システムは、宇宙からの帰還時に使用されるもので、主翼の後ろ半分を約60度ほど立てることで、降下のスピードを抑えつつ、機体を安定させることができる機構である。原理としては、バドミントンのシャトルと同じである。
このシステムにはロックがかけられており、本来ならロケット・モーターが燃焼している最中の、マッハ1.4で飛行している際に、そのロックが解除されることになっていた。しかし、アルスベリーさんはそれよりも早い、マッハ0.8で飛行中に解除してしまった。その結果、かかっていた負荷によってフェザーが自然に立ち上がってしまい、空中分解に至ったとされる。
NTSBの調査団は、スケールド・コンポジッツ社が、操縦士のヒューマン。エラーによってフェザーのロックが早期に解除されてしまう可能性や、このたった一つのヒューマン・エラーによってフェザーが不意に展開されてしまう可能性について、十分に考慮していなかったことを指摘した。
またそれと同時に、スケールド・コンポジッツ社が操縦士に対し、フェザーのロックを早期に解除することの危険性を理解させる努力を怠っていたことも指摘されている。調査では、亜音速から超音速に移り変わる段階でフェザーにかかる負荷について(つまりマッハ0.8前後でフェザーのロックを解除することの危険性について)、アルスベリーさんとの間で議論が交わされたのは、記録に残っているのはたった1回で、それも今回の事故の3年以上も前だったことがわかったという。
NTSBはまた、米連邦航空局(FAA)の責任についても言及した。FAAは今回の飛行を含む、スケールド・コンポジッツ社によるスペースシップツーの試験飛行の許可申請を評価する責任があった。FAAが初期の許可を与え、さらに許可を1度更新した後に、スケールド・コンポジッツ社による危険性の分析が、FAAの定める実験の許可のための、ソフトウェアとヒューマン・エラーの要件を満たしていないことを認識していたという。FAAはスケールド・コンポジッツ社が実験許可申請に含まれていた緩和策に基づき、ソフトウェアとヒューマン・エラーの要件を撤回したという。しかし、FAAはその後、同社によってその緩和策が確実に実行されていたかどうかを確認していなかったとされる。
NTSBはFAAと、宇宙飛行にかかわる企業団体である商業宇宙飛行連合(CSF, Commercial Spaceflight Federation)に対し、人的要因による事故を未然に防ぐための体制や手引きを強化し、FAAの技術スタッフと、民間宇宙船を運用する企業の両方がより協力することを求める勧告を出した。勧告の数は10個で、そのうち8個がFAAに、残り2個がCSFに対してのものだった。FAAは現時点で声明を出していないが、CFSはこの勧告を受け入れる声明を発表している。
NTSBの会長を務めるクリストファー・ハート氏は「民間による有人宇宙飛行は新しいフロンティアであり、そこには多くの未知のリスクと危険が潜んでいます。そのような環境において、既知の危険に対する安全マージンは厳格に確立し、また可能ならそのマージンを拡大させる必要もあります」と語った。
「民間による宇宙飛行という事業を根付かせるため、私たちは既知の危険を注意深く追求し、そして取り除いていく必要があります。それは新しい危険を認識し、そして取り除くための前準備となります」。
なおNTSBからの勧告は、スペースシップツーを開発したスケールド・コンポジッツ社や、同機を運用する予定のヴァージン・ギャラクティック社には出されていないが、両社とも今回の調査結果を受け、安全性を強化しつつ事業を続ける旨を発表している。
■Lack of Consideration for Human Factors Led to In-Flight Breakup of SpaceShipTwo
http://www.ntsb.gov/news/press-releases/Pages/PR20150728.aspx
Written by 鳥嶋 真也
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