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異世界とチートな農園主 作者:浅野明

植物栄養剤を作ろう

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地下図書館と迷宮の入口2

短い!
「……図書館?」

リンが疑問に思ったのも無理はないだろう。

図書館という単語からは、かけ離れた光景が眼前に広がっていたのだから。

視界一面に広がる、色とりどりの花たち。耳に心地よい小鳥のさえずり。ヒラヒラ舞う蝶の群れ。ところどころに生えている大きな樹は、昼寝にちょうどよさそうな木陰を作っている。

天井はとみれば、見事な青空に眩しく輝く太陽が二つ。気温は暑くもなく寒くもない。

「いつのまに外に?」

「ここは地下だ。地下図書館。あの青空や太陽がどうやって造られているのかは分からないが」

地下には違いない、とフェイルクラウトがいう。このあり得ない光景と魔力酔いで再起不能になる者も多いらしい。

「空のあれは幻覚ですよ。母上」

「やっぱり?」

そんな気はした、とリンが納得がいったふうに頷く。

何となく感じていた違和感の正体は、イベントで幻覚を強制的にかけられた時と同じ感覚だったからだ。

「この花は?」

「あれは記憶草です。ヒトやモノの記憶を喰らって花を咲かせる魔物の一種ですよ」

花に手をかざすと、その花が喰らった記憶が見えるらしい。だが、花は無数にあり、目当ての花を見つけるのは砂漠に落とした小さな小石を探すよりも困難に、リンには思える。グリーが言うには、地下図書館の本とは、この花のことなのだそうだ。

「案内人がいるから大丈夫よ」

ようやく立ち直ったアリスが教えてくれる。

どうやらそこらを舞っている蝶こそが、この地下図書館の案内人らしい。

実に興味深い図書館である。今度時間があるときにゆっくり来たいものだ。

今日は迷宮へ素材採取に行くという目的があるので、残念だが、地下図書館は素通りである。

子供の落書きのような適当極まりない地図だが、道を外れるとなんと音声案内が入る。

「違うよう、違うよう、バカだなあ♪」

という非常にイラつく感じの、ヒトをバカにした音声案内ではあるが。

地図に従って歩いていると、今度はシオンを見つけるための小道具から音声が流れる。音での案内が流行っているのだろうか?

「居ました、居ました。見つけましたよう」

そのまま、音声でシオンの元まで案内してくれた。

ピンクの花を見つめながらニヤニヤしているローブの魔導師は、はっきり言って、即刻警察に捕まるレベルだ。怪しさ満点だ。

「近寄りたくないわねえ」アリスが言えば、マナカも同感とばかりに頷く。男性たちは苦笑している。唯一フェイルクラウトがドン引きしていた。

だが、引いている場合ではない!早く素材を持ち帰って、完璧な植物栄養剤を作らねばならないのだ!愛する野菜たちのために!

そう、力強く断言すると、なぜか全員に微妙な顔をされた。なぜだ?

ともかく、今だここではない何処かにトリップしているシオンを引きずって、迷宮入り口へ向かう。道すがらに襲ってくる巨大な蛾や芋虫、昆虫なんかはグリーとフェイルクラウトが次から次へと処分していく。

司書が図書館なのに死人がどうとか言っていたわけがわかったリンだった。




迷宮の入り口はかなり奥にあった。

道中、「栄養剤~♪栄養剤~♪栄養満点~♪すくすく育つよ~♪」とリン作詞作曲の即興の歌を、無表情に歌ってスキップするリンに、生暖かい視線が注がれていたが、本人はまったくキニシナイ。

というか、どんだけ広いんだ、この図書館。ついぐちぐち言いたくなってもムリはないだろう。歌でも歌わないとやってられない!実はカラオケ好きのリンなのであった。

そして、ようやく辿り着いたその場所にあったのは。

「……どこでも○ア?」

某漫画で、四次○ポケットから出てくる、道具に酷似している。

花畑の中に、ぽつんと扉が、扉のみがあるのだ。裏に回っても表と同じ。というか、そもそも裏表があるのだろうか。無さそうだ。厚みは五十センチくらいか。

ためらいもなく、ラティスが扉をあける。リンが心の準備をする暇もない。ものすごく、扉を開けたあとの裏側が気になるリンだったが、あっという間に、スレイとアリスに扉の向こうに押し込まれてしまう。扉の近くで、扉が開いているときは、花畑をうろついている魔物が寄ってきやすいのだとか。だから、迷宮への扉を開ければ、すぐに迷宮へ渡って、扉を閉めるのが常識なのだ。

というわけで、リアルどこでも○アを観察する暇もなく、あっという間に、迷宮【火炎宮】に辿り着いたリンだった。

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