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異世界とチートな農園主 作者:浅野明

養蜂を始めよう

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蜂ですよね?

毎週更新を予告したとたんに風邪引いて更新遅れました。
39度も熱がでた。何年ぶりだろう(-_-)
「ではナヴィア蜂についての講義を始める」

そう言って、真剣な顔でリンを見たのは熊・・・・もといクリフ・エスタージャ。二年半前にリンに常識を教えてくれたルイセリゼの婚約者である。あれから二年半と少し。彼はB級からA級に昇格していた。しかし今だ結婚出来ていないようだ。結婚出来ないのは今は主にルイセリゼ側の事情だと言うから、甲斐性がないわけではない。たぶん。とにかく養蜂のことをフェリクスに相談したら、クリフが来てくれたのである。彼は今日一日かけてリンにナヴィア蜂の生態や蜜を集めるための花について教えてくれる。ついでにナヴィア蜂と花の実物も見せてくれるらしい。が、それはそれとして。リンはどうしても聞きたいことがある。

「先生、質問が」

「・・・・まだ挨拶しかしてないような気がするが、何だろうか」

「A級冒険者って暇なの?」

「暇ではない。今回は一日だけの指名依頼だったのと、次の仕事が依頼人の都合で明後日からだからだ」

なぜかがっくり肩を落としながらも、律儀に答えくれる。

「指名依頼?」

「ギルドに頼みたい冒険者を名指しで依頼することだ。普通に依頼するよりも割高になるが信頼している相手に頼めるのが利点だな。今回はライセリュート家からの正式な指名依頼だ。指名依頼だからといって断れない訳ではないが、普通は依頼が重なったとか、無茶な依頼以外は大抵受ける。普通の依頼よりも実入りも良いし、指名がきたということは信頼されているということだからな。俺たちみたいな仕事は信頼が大事なんだ」

「そっか」

フェリクスはわざわざ依頼してくれたらしい。しかしいくら信頼出来るからと言ってわざわざA級冒険者にする依頼だろうか。

「そうだな、少なくともB級以上のパーティーかA級冒険者にすべき依頼には違いない」

「・・・・・そうなの?」

「今回はナヴィア蜂の知識だけでなく、実物も見せて欲しいと聞いている。ナヴィア蜂討伐依頼はパーティーでならB級以上、一人で受けるならA級以上推奨の魔物だ。索敵にも優れているため、見るだけとはいえ危険度は高いからな」

「・・・・蜂だよね?魔物とはいえ一般人が養蜂してるような蜂だよね?」

何か納得がいかない、とうめくリンに真面目な顔で頷くクリフ。

「養蜂をしているのはほとんどがモンスターテイマーか召喚士だ」

女王蜂を手なずけて群れ全体を支配するのが定番のやり方。女王蜂さえ手なずけてしまえば、群れは従順になる。普段もハチミツを採るときも一切攻撃されることはない。それ以外では女王蜂を力ずくで屈服させるという方法もある。その場合も群れごと手に入る。が、それこそ一人で挑むのは不可能に近い。S級冒険者ほどの力があれば別だが。なぜかと言えば、ナヴィア蜂は少ない巣でも百匹、多いものでは三百匹以上で群れを形成し、女王蜂は常に五十~六十匹以上の蜂に守られているからだ。つまりナヴィア蜂の女王蜂を力ずくで屈服させようと思うなら、最低でもナヴィア蜂を五十~六十匹無力化し、かつ普通のナヴィア蜂の三倍は強い女王蜂をも無力化しなければならないのだ。

そんなナヴィア蜂であるが、基本、人間のいない未開の地や森の奥地などに生息しているため、襲われることはおろか遭遇自体がまれだ。冒険者でさえ、実際に野生のナヴィア蜂を見たことのあるものは少ない。

「はあ、成る程。でナヴィア蜂一匹はどれだけ強いの?」

「そうだな、分かり易く言うと弱めのC級冒険者と同じくらいだな」

「・・・・魔物っていっても蜂だよね?養蜂してるんだよね?」

再度確認すると重々しく頷かれた。さすが異世界。さすが魔物。たかが蜂と侮るなかれ。さすがはファンタジーの世界だとムリヤリ自分を納得させるリンだった。



蜂について一通り学んだら、次は蜜を集めるための花についてである。

「ナヴィア蜂の主食はナヴィリアという花から採れる蜜だ。ナヴィア蜂はナヴィリア花以外の蜜は受け付けない」

「へえ、一種類だけなんだ・・・・ん?というかあのハチミツを採るにはムリしてナヴィア蜂を養蜂しなくても他の蜂にそのナヴィリア花の蜜を集めてもらえば良いんじゃ?」

「それができればとっくに誰かが実行しているだろう。残念だが、ナヴィリア花の蜜はナヴィア蜂にしか集められない」

「どんな花??」

どうやら花もまたファンタジー仕様らしいとリンは目をしばしばさせる。

「ナヴィリア花は魔化植物だ。魔化植物は知っているな?」

「知ってる。植物が魔物になるってことだよね」

リンの畑でもムダに魔化植物が製造されていた時期がアリマシタ。すべてオルトに退治させたが、あの声は軽くトラウマになる。

「そうだ。魔化植物の危険度もピンからキリまである。ランク付けもされていて、もっとも危険度の低いモノは十級、そこから数字が上がるごとに危険は増していき、もっとも危険なモノは特級に分類される。そしてナヴィリア花の危険度は特級だ。特に強いモノからは売れば一財産になるほどの大きさの魔核が採れる」

「・・・・どんな風に危険なの?」

すでに突っ込む気力もない。そう、すべては異世界だから、ファンタジーだからで解決できる気がする。うん、バッチリだ!

「そうだな、一番危険なのは魅了と混乱と睡眠と猛毒の状態異常を受けることだな。動けなくなったところに触手を差し込んで生気をすいとる。あとには干からびた死体だけが残される。効果範囲も広く、半径五百メートルに近づけばもうアウトだ。近接戦闘職ではまず勝てん。状態異常さえ防げればそこまで脅威ではないが、そこらに売ってる安い状態異常軽減アイテムでは話にならん。アイテムでナヴィリア花の状態異常攻撃を防ごうと思えば、伝説級のアイテムが必要になる。ポーションで状態異常を治そうとすれば、それも上級のモノか下手すれば万能薬が必要になる。だが最低価格でも一つで金貨一枚はするような高級品だからな。回復しても効果範囲内ならまたすぐに状態異常にされるから結局は意味がない」

いやいやいや、あり得ないでしょう!どれだけ強力なスキル持っているんだ、花よ!

「花だよね?ねえ、花だよね?」

「たかが花と侮ると秒殺されるぞ。ナヴィア蜂はそれらの状態異常を完全無効化出来るんだ」

「ソウデスカ」

もう言う言葉が見つからない。ともあれ、危険極まりない花だと言うことがは分かったリンだった。

「ん?でもそんな危険な花を養蜂家はどうやって近づくの?」

「人が近づく必要はないさ。花の群生地の近くで危険がない場所にさえいれば、蜂が勝手に蜜を集めて来るからな」

「ああ、成る程」

花の群生地もナヴィア蜂の巣の近く、未開の地や森の奥地らしい。花の群生地の近く(とはいえ、攻撃されない程には遠く)に養蜂家が集まってできた街があったりもするようだ。

リンの家の近くにはナヴィリア花の群生地もなければナヴィア蜂もいないので、なにかしら考えなくてはならないだろう。





さて、次は道具の説明だ。

「道具?」

「ああ、養蜂するにも巣箱とか遠心分離機とか色々必要だろう」

「そっか!そうだね」

にこにこと笑うリン。さすがに道具はそこらの職人が作れるだろう。でなければ養蜂家も困るにちがいない。だが、この規格外の蜂にあう巣箱の想像が追い付かない。

「道具はドワーフに頼むのが良いだろう」

うん、なんか早速ファンタジー仕様のよう。

「鍛冶屋の半分近くはドワーフの店主がやっているからな。どこでも依頼人すれば作ってはくれるだろうが、これに関しては知り合いがいるからソイツに依頼すればいい。腕は王国で一、二をあらそう程いいぞ。欠点は多少恥ずかしがりなとこかな」

紹介してくれるならありがたい。はっきりいって、鍛冶屋のよしあしなど分かるはずもないのだから。リンだって元引きこもりなのだ。人に会いたくないとか恥ずかしいとかたいした問題ではない。むしろ仕事をしているというだけで自分よりはましだ、そう思うリンであった。

「店にはまず客はいないから、頼めばすぐに作ってもらえるだろう」


「はい、質問です」

「なんだ?」

「王国で一、二をあらそう程の腕なのにお客さん居ないってどういうこと?」

本当に腕が良いのか、とリンが疑問に思うのもむりはない。普通それだけの腕があれば客は途切れることはないのでは?もしかしてものすごく高額な報酬を要求されるのだろうか。

リンがそう言うと、クリフは苦笑して顔を振った。

「いや、料金は良心的だ。むしろ王都の鍛冶屋としちゃ安い方だろう。客がいないのはさっきも言ったが、恥ずかしがりやだからだ」

「・・・・は?」

恥ずかしがりやだから客がいないとはこれいかに。リンが頭の中を疑問符で一杯にしているとクリフがもう少し詳しく教えてくれる。

「客が店に来るとまず隠れる。呼ばれても恥ずかしいから出てこれない。それだけで一見の客は諦めて帰ってしまう。というわけで、基本客は数少ない常連客だけ。だが、腕が良すぎて一本武器を作ればまず直しも買い替えも要らない。よほど酷使しても手入れに二ヶ月に一度行くくらいだ」

客を紹介しようにも、気の短い人物だと客が焦れてしまう。とはいえ冒険者で気の長い輩などそうはいない。というわけで、そうそう紹介も出来ない。

「はあ、それで店には客がいないと。でもそれでよく営業続けられるね」

「ああ、そろそろ潰れそうだ。ここ一月ほどは金がなくて材料の仕入も出来ないらしいからな」

腕は良いので潰れるのはもったいない。だが、どうにも出来ない。店主の性格を何とかしないとお金だけ出資してもすぐに同じ状況に逆戻りするのは目に見えている。というわけで、常連客で話し合ってなんとか客を紹介しようということになったのだが。

「うまくいかないの?」

「紹介できる奴がいるならとうにしている」

「あ、そうだよね!」

慣れさえすれば武器以外でも選り好みすることなく快く作ってくれるので、リンに紹介したいということらしい。リンとしても腕が良いなら言うことはない。というわけでそのドワーフを紹介してもらうことになったのだが、そもそも巣箱って鍛冶屋が作るもんなんですかね???







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