挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界とチートな農園主 作者:浅野明

農園を作ろう

9/50

土地を手に入れた!

いつも短くて申し訳ないです。
異世界に来て、三週間近く経ちました。

異世界に来た途端草原で迷ってみたり、見知らぬ人に話しかけるという恐ろしいことをしてみたり、ギルドで依頼をこなすという漫画みたいなことをしてみたり、学生の時以上に勉強に勤しんでみたり。

なにげに一週間が八日あったり、迷宮は某ゲームのように最下級のものでも入るたびに様相が変わっていたり、意外な事実が発覚した。そういった性質の迷宮だからこそ、新種のモンスターや食材、薬草なんかも月に一回くらいの頻度で見つかるようだ。最もここ十年で一度きりしか見つかっていないというようなものもあるらしい。そもそも、何故迷宮が存在しているのかも解明出来ていない。

世界は謎に満ちている。勉強って大事だよね。

毎日まったりゲームをしていたのが、今では十年も前のことのようだ。

だがこの日、とうとう彼女は念願のモノを手に入れた。

「土地だ!」

広大な荒れ地を前に、リンは思わず叫んだ。

まだ草だらけの荒れ地ではあるが、これは輝かしい一歩である。

まずは家を建てよう。

家はすぐにできる。リンはアイテムボックスから必要な資材を次々と取りだす。彼女の周辺にあっという間に木材や石の山が出来た。とはいえ元々農園拡張の為だけに集めていただけなので、木材や石はそこまで大量にストックがあるわけではない。これで足りなければどこかで調達してくるしかないのだが。

一通り出し終え、スキル【木工】の【建築:家2】を起動させる。職業:建築士を持っていれば自由にアレンジが出来るのだが、生憎リンは持っていない。木工のスキルは農園を整備したり、家畜小屋を作ったりいろいろ用途があるため取得したのだが、建築関係に興味があるわけではないので、建築士は取得しなかったのだ。

この世界でも一流の建築士に頼めば一般の大工さんに頼むよりずっと早く好みの家を建ててくれるらしいが、当然そういった建築士はかなり高額だし、予約もいっぱいだ。リンはそこまで家にこだわりはないし、【建築:家2】で建つログハウス風の家も割りとおしゃれで気に入っているから、それで十分だ。

「うん、まあまあいい感じ」

有り余る魔力とスタミナにモノを言わせて一気に家を完成させる。このスキル、便利なのだが魔力とスタミナの消費がものすごい。魔力とスタミナが足りなければ、土台からパーツごとに少しずつ作っていくしかない。リンも一気に作ったため魔力もスタミナもそれぞれ半分は持っていかれた。

ともあれ、家は完成だ。

周辺に念のためのリン特製結界石をおき、魔物の侵入を防ぐ。


フェリクスには木工スキルも持っていて、今日からここで生活すると既に伝えている。もっともそれを言ったらフェリクスは「常識って、常識って・・・・」と遠くをみて呟いていたが。ともあれ、今日中には家具を設置して住めるようにしなくては。

家の中は2LDKで、そこそこ広い。一人で住むには十分だ。早速リビングルームに、アイテムボックスから取り出したソファを設置し寛ぐ。

「はあ~、座り心地最高。こうしてみるとただのネタアイテムが一番役にたつかも?」

下着に服、家具に生活用品掃除道具。生産職が生産できるものは多岐にわたり、しかしゲーム中では特別役にたたないネタアイテムの数々。現実となった今、それらを集めておいて良かったと心の底から思うリンだった。

ちなみに、子供服と下着はもともとの手持ちの分以外に、ルイセリゼから大量にもらったので(彼女は今王都で大人気の子供服のデザイナーらしい)当分困ることはないだろう。





一通り家具を設置し、リンは再びソファに座って本を開く。

【初めての野菜作り】というこの本は、食材ギルドに売っていたものだ。

まずは、この世界で一般的な野菜から作るつもりだ。それも出来ればゲームになかったモノが良いと思い、昨日のうちに食材ギルドでいくつか種を購入しておいた。

出来た食材は加工する分以外はフェリクスに買い取ってもらう予定だ。出来れば今後はなるべくゲームで稼いでいたお金は使わずに、ここで稼いだお金で生活していきたい。こんな子供が出所の確かじゃない大金持ってたら狙われ放題だからね。フェリクスにも口止めしておいたし、周りには土地の購入費は両親の遺産をほぼ全額つぎ込んで購入したことにしている。嘘も方便っていい言葉だ!

さて、問題は何を作るかだ。

買ってきた種の中で一番簡単に出来そうなもので、かつ美味しい野菜を選ばなくては。

「うーん、妖精さんがいてくれたらなあ」

ゲームで使っていたスキルはほぼ使えるのだが、スキル【召喚】だけはダメだった。使えないというより、召喚獣がいないのだ。おそらく、ゲームの世界の召喚獣はこの世界にはいないのだ。この世界で召喚獣を使役したければ、捕まえるところからしなくてはならないのだろう。畑仕事や家畜の世話を手伝ってくれていた妖精さんたちが使えないのはかなりの痛手である。

しかしいないものはどうしようもない。高スペックな肉体と有り余るスキルと魔法具を駆使して納得のいく野菜たちを作るのだ。

「まずは芋か」

種は葉ものや実を食べられるモノが十七種、根菜五種、芋類四種、穀類二種、果樹七種、あとはハーブっぽいモノが十九種ある。この他に売っていた種は迷宮採取の謎食材や食材自体は一般に出回っているが、栽培の難しいもの、栽培時期が今でないもの、あとはゲーム内でも存在していた食材だったので、今回はパスだ。いずれ慣れてきたら少しずつ作っていくつもりだ。

「むむう、ケサ芋とオル芋がいいかなあ」

本をパラパラめくって、害虫がつきにくく、病気に強くて一月ほどで出来るという初心者向けのモノを選ぶ。

ケサ芋は赤いじゃがいもみたいなモノで、芋だけでなく、葉っぱも食べられるらしい。葉っぱは柔らかく、生でも炒めても美味とのこと。育てやすく短期間で出来る上捨てるところの殆どない、さらに一年のうち半分は種を蒔けるという優秀な作物であるため、一般に広く出回っている主要作物ではあるが、育てる時には水分が多量に必要なので、今回のような干魃が続くと全くといっていいほど育たなくなってしまうのが、欠点だ。リンの場合はスキル【水の才能】と各種魔法具があるので何とかなるだろう。

オル芋は収穫まで三ヶ月かかる。これも見た目はじゃがいもっぽい。真っ白なじゃがいもだ。皮ごと生で食べられる。サラダによく使われるようだ。食べられるのは芋の部分だけで、収穫期にはトマトみたいな実がなるが、実には毒がある。とはいえ命に危険があるわけではなく、実を潰すと汁がでて、その汁に触ると漆みたいにかぶれるらしい。こちらも一般に広く出回っている食材だ。

育てる作物も決まったので、今日はゆっくり休むとしよう。

リンは頭の中で妄想しつつ、本を閉じたのだった。






+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ