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異世界とチートな農園主 作者:浅野明

農園を作ろう

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勉強いたしませ

説明、いっぱいに
次かその次くらいでようやく農業が出来るはず。
土地を見に行ってからはや二週間が過ぎた。

一体この二週間何をしていたのか?

土地を手に入れた?否。
家を建てた?否
農業?
いや、まったく。

では何をしていたのかというと、ただひたすらに勉強して、依頼をこなしてました。






土地を見に行ったあの日、食材ギルドに納品するにはあまりにも早すぎて目をつけられそうなので次の日の夕方ということにして、屋敷に帰り、フェリクスとフェリクスの姉のルイセリゼとくつろいでたわいもない話しをしていたら、ルイセリゼが突然叫び出したのだ。

「ダメですわ!貴女常識がないにもほどがありますわ!」

「は?えっと・・・・」

隣を見るとフェリクスも呆気にとられている。

「フェリクス、貴方も何をしていたのです?知識とは財産ですのよ。リンのように頭がよく自分の力で生きていきたいというのならば尚更に知識が必要なのです。とくに常識などというものはなくてはならないものですわ。だというのに貴方は何も計画していないのですか。聞けば早速土地を手に入れ、農業をするとか。ですが、その前にしなければならないことがあるのではなくて?思い付きすらしなかったのですか?まったく、わが弟だというのになんと気のきかない。情けないこと」

「は、いえ、申し訳ありません」

立て板に水の如く流れるように言葉を紡ぐルイセリゼに、フェリクスは何故か平謝りしている。

「よろしいですわ。リンには今日から家庭教師をつけましょう」

「家庭教師?」

良い思い付きだと一人頷くルイセリゼに、リンは首を傾げる。確かに常識がないという自覚はあるので(この世界に来て一週間にもならないので当然だ)リンもこのままでは何も始められないとは思っていた。

実際、ここはゲームににた世界であっても、ゲームとは違うということは食材ギルドに行ったときに実感した。ゲーム内で見かけた食材もあったが、ごく普通に流通していた食材や種などが置いてなかったり、逆に見たことも聞いたこともないような種や食材が置いてあったり。依頼もちらっと見たEランク以上の依頼表にはやはり聞いたことのない食材が多々あった。だからまずはこの世界にどんな食材があるのかを知る必要があるのだ。

「そうですわ。こうしてはいられません、早速クリフに連絡しなくては」

優雅に立ち上がったと思ったらさっさと部屋を出ていってしまう。

「・・・・フェリクス?」

「すまない、姉は思い立ったらすぐ行動の人なんだ。でも確かに勉強するのは良いと思うよ」

「うん、まあ、それは助かるけど。自分でも必要だと思ってたし。ところでクリフって誰?」

「クリフ・エスタージャは姉さんの婚約者だよ。Bランクの冒険者で、パーティー【はみ出し者】のリーダー。腕は確かだし、人柄も保障するよ。冒険者だからいろいろ詳しいし、案外適任かもな。僕が教えてあげられると良かったけど明日からは店にもでないといけないし」

「そう、わかった」

未だ人に慣れないリンはライセリュート家の面々と話しをするだけでも疲れてしまうため、あまり新しい人に積極的に会いたいとは思わないのだが、それでもこの世界で暮らしていくなら勉強するのは必要だと分かるため素直に頷くのだった。





翌日早速やって来た(Bクラスの冒険者って暇なのか??)クリフ・エスタージャは一言で言うなら熊だった。

もさもさの赤茶の髪に榛の瞳。しかし顔中赤茶のゴワゴワした髭が覆っているためまったく顔形は分からない。背は2メートルはあるだろう。ガッシリした筋肉質のからだは、リンの三倍はある。

はっきり言おう。婚約者のルイセリゼと並ぶと美女と野獣を地でいっている。ルイセリゼと同じ26才とのことだったが、髭のせいか30といわれても納得できてしまう。

「オレはクリフ・エスタージャ。今日からよろしくな、・・・・リンちゃん?」

野太い声を精一杯張り上げてそう自己紹介してくれたため、鼓膜が破れるかと思ったが、僅かに眉をしかめてやり過ごす。

「よろしくです。リンでいいです、先生」

ちゃんとかつけられると背中がムズムズする。あと、音量は落としてください、切実に。

「わかった。オレのこともクリフでいいぞ。先生ってガラじゃないからな。敬語も要らないから普通に話してくれ」

ほっとしたよ、と普通の声(それでも大きいが)にもどって肩を竦める熊、もといクリフ。

何から教えれば良いか分からないからまずは分からないことを質問をしてほしい、と言われて、リンは常々疑問に思っていたことを聞いて見ることにした。

この世界に来て3日も人里に出なかったその理由である。

そもそも王都の近くに村や町がないのは変だとリンは疑問に思っていたのだ。あれやこれやでききそびれていたが、ついに謎が解ける日が来たのだ(そこまで大げさなものでもないが)

クリフは少し考えて地図を机の上に開き(必要なものから要らないものまでルイセリゼがあっという間に用意していた)意外な丁寧さで説明してくれる。

「ふむ、まずは王都近辺から見ていこう。ここが王都、王都の北は馬で三時間ほどいくと迷宮都市マーヴェンドがある。この街はランク2の迷宮とランク6の迷宮、それにランク10の迷宮と3つも迷宮が近くにある上、ランクも初心者級のランク10、中級者級のランク6、上級者級のランク2ときれいに揃っている、数ある迷宮都市の中でも珍しい都市だ。都市の性質上治安はあまりよくないな」

王都西門を出ると、広大な穀倉地帯が広がっているらしい。小さな村がいくつもあり、この西の穀倉地帯と、迷宮都市、東の港街からの食材が王都百万人の人口を支えている。ただ迷宮食材は調理できる人が限られるため今回のように長く飢饉が続き、穀倉地帯からの供給が半減してしまうと迷宮都市からの供給を増やしても食料不足になってしまう。それでも他の領地から供給があれば良かったのだが、今回は国全体が未だかつてない干魃に見舞われ、皆自分を養うだけでいっぱいいっぱいなのだ。王都まで養う余裕は今はどの領地にもない。

「そうなんだ」

「君がいたのは東だろう。王都の東は海まで広大な草原が広がっていて、街道を外れるとよほど慣れた者以外は冒険者ですら迷うほどだし、今は大規模な盗賊団が住み着いているから、3日で盗賊に捕まることなく王都につけたのはむしろ幸運だよ」

「その草原には盗賊以外は住んでないの?」

「フェス草原は少し特殊でね。【神域】なんだ」

「【神域】?」

「ああ、一口に【神域】といってもいろいろあるんだが、フェス草原は風の神の【神域】。魔物は入れんし、人も特殊スキル【風の神の加護】がないと5日以上とどまることができない。だから村とかつくれないし、そもそも【神域】は下手に手をつけるとろくなことがないからな」

盗賊団は【風の神の加護】持ちがいるのだろう。スキルがない者も5日ごとに一定の距離を移動すればことたりる。それでも【神域】に居を構えるなど愚の骨頂だとクリフはいう。

ちなみに東はフェス草原の向こうは港街クレスロイエがある。街道を通れば馬で3日ほどの距離だ。まっすぐ草原を突っ切ることさえできれば2日半で行けるのだが。クレスロイエにも迷宮がある。ランク10の地下墳墓だ。

南側はホリスタの森。その向こうには公爵領がある。

森の手前の草原はウィスラート花という特殊な薬草が特別な条件付きで生えるので、その薬草を手に入れたい者は国に申請して2000坪ほどの土地を買うことになる。大抵土地の持ち主は薬草が手に入ると土地を格安で国に売却する。一般に売り出しても買うものはまずいないからだ。この薬草はまず流通しない上、その収穫方法も一般には知られていないため、この辺りの土地を買うというのは金持ちの酔狂と思われがちだ。

フェリクスの場合もかなり調べてようやくここに必要な花があることを知ったが、事情を知らない親類や友人たちには、そんな利用価値のない土地に大金を払うなんて、とばかにされたものだ。しかし収穫後、国に売却すると十分の一の価格になってしまうのが納得いかなくて、とりあえず一般に売りに出してみただけだ。案の定売れなかった。

「?貴重な薬草が採れるならずっと持っとけば良いのに」

「条件付きと言ったろ。一定の範囲内にひとつ収穫するとその範囲内は50年は生えない。むしろ管理する方が赤字だからな」

「そうなんだ。ところでフェリクスがまさにその土地を売ってくれるらしいけど、農地にしてしまっても良いの?」


「それはかまわないさ。買った土地は個人のものだからな。街とかにしてしまえば薬草が生えなくなるだろうが、農地なら問題ないだろう」

そういうものなのか。価格は国が定めたものより安くしてあるらしい。薬草が50年たたないと採れないから。




詰め込みすぎて疲れたので。
お昼休憩。
初めて見た迷宮食材は最高に美味でした。

「そういえば、街の外ってよく魔物でるの?」

「いや、街周辺と街道沿いはまずでないな。騎士団が定期的に討伐してるし。王都周辺もよっぽど森の奥まで行かないとでない。ゴブリン何かは増えやすいし、一匹見かけたら近くに巣ができた可能性が高いから調査したあと、冒険者ギルドに討伐依頼が出るな。ただここ十年やたら魔物の数が増えて討伐が間に合わないのが現状だ。魔物に襲われる商人や旅人の数が年々増えてきている。理由は各国とも調査中らしいがな。はっきりしたことはわかってない。今じゃ街の外に出るときは皆護衛をやとうか魔封石や結界石、魔法を封じ込めた魔法石を持ち歩くようにしてるが、流石に大きな街の近くや街道沿いはめったに魔物に遭遇することはないな」

「昨日南門でて採取してたらスケルトンに出会ったけど」

そう言うとひどく驚いた顔をされた。それほど王都近くにスケルトンが出るなどあり得ないらしい。フェリクスが昨日冒険者ギルドに報告したので、おそらく現在は原因の調査中だろう。

リンは夕方までいろいろクリフに教わり、食材ギルドに完了報告にいったのだった。

明日、明後日はクリフもこなさなければならない依頼がある(べつに暇な訳ではないらしい)とのことで、リンは食材ギルドで食材図鑑を見ることにしたのだった。



こうして二週間、勉強と勉強と依頼を繰り返す彼女なのだった。









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