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初めての依頼
2000文字しかない!
食材ギルドの登録は問題なく終った。なんと、字も明らかに日本語ではないが読み書きが出来た。どうやらこれもスキル【言語学】のおかげのようだ。スキルのあまりの便利さにぐっとくる。
ギルド受付のお姉さんはなぜだかときどき怖い顔でリンを凝視していたが、おおむね親切丁寧だったし、カードもギルドの説明が終わる頃にはできて助かった。
ギルドカードは受け取った時に一瞬淡くオレンジに光ったが、どうやらそれで個人認証したらしい。これでこのカードは赤の他人が持っても何一つ表示されないし、リン以外にはただの金属板に過ぎない。今後カードを落としても半日たてば自動的に手元に戻ってくるとのこと。驚きのハイテクさだ。
しかも、普段は名前とギルドマークとランクしか表示されていないがリンが強く念じるとスキルや称号、職業が頭の中に浮かんでくる。通常はこうして自分が持っているスキルや称号なんかを確認するらしい。とはいえリンにはシステムブックがあるので無用の機能だが。その上今後は専用の機械でしか見れないが、ギルドで受けた依頼の達成、未達成なども記録される。魔法ってやりたい放題だな、と目が点になったリンだった。
食材ギルドにて登録がすむと、リンはギルド内を見回す。
「おおおおお」
ゲーム内で見かけたお馴染みの食材や種がずらりと並んでいる。他にも農具や魔法具などもある。
思わずかぶり付きで見てしまうリンを誰が責められよう。
「あ、こんな所にフィフィ草がある!ってこれだけで銀貨一枚?高い!!あっ、これってオリオの卵!銅貨五枚・・・・う~ん、基準がわからないなあ」
「おーい、帰ってこいよー」
じっくり一つ一つ見てぶつぶつ呟く。ゲーム内では主に初期のフィールドに出てくる物がほとんどだったが、まれに珍しい食材があり、時間も忘れてみいっていると、フェリクスの声が聞こえてわれにかえった。フェリクスの存在もすっかり忘れていた。うっかりである。
「・・・・ごめん」
「良いよ、うん、良いけどね。僕がいることも忘れないでくれるとうれしいかな」
忘れていたことがばれていた?!
「う・・・悪かった」
取り敢えず謝るリンだが、その視線は変わらず食材コーナーから離れることはなかった。
フェリクスを待たせることしばし。
「お待たせです」
「うん、待ったよ。三時間は待ったよ」
「ええと、ごめん」
笑顔が怖いです。額に青筋が見えるのは彼女の錯覚ではあるまい。
「まあ良いよ。お昼頃だし、そこで昼食にしよう」
フェリクスが指したのは食材ギルドの奥の休憩スペース。どうやら食材ギルドには食堂が併設されているらしい。
当然、リンに異論があるはずもなく、素直に頷く。
食堂で注文を済ませ、このあとの予定を話す。
「まだ時間があるなら依頼を見てみたい」
まずある程度の常識を身に付けなければならない。それに食材や魔法具の価格などもリンにすれば極簡単に手に入る物が意外な高額で売られていたりわりかし珍しい物が安価だったりしたので、その辺の価値観を見ておいたほうがいい。それには依頼を受けるのがいちばんだ。
「そうだねえ、まあまだお昼だし、良いかもね。今日の予定はあとは土地見に行くだけだしね」
家が手に入るまでは屋敷に泊めてくれると昨日夕食会の時にフェリクス父が言ってくれていたので、宿屋を探す必要もない。フェリクスももしよさそうな依頼があったら受けてみると良いと言ってくれたのでリンは素直に頷く。
【フェルメ牛の肉二頭分】
【ホルト鳥の卵三個】
【ネスロ魚の卵】
【風切り鳥の羽四枚】
【チェチェ草の採取】
【緑虫の粘液の採取】
【おとり草の採取】
以上がHからFランクの依頼だ。
いちばん危険性が高いのはネスロ魚だろうか。これはゲームでは迷宮にのみ出てくる魚なのだ。とはいえ極初期の迷宮でそれも、一階層で釣れるためそれほど危険というわけでもなかったが。ただ釣れる湖が安全地帯にあるわけではなかったので、モンスターをさばきながら釣りをしなくてはならなかったためそこそこレベルが必要だった。
「出来そうなのは採取系の依頼かな?チェチェ草なら土地を見に行くついでに寄り道して採取出来そう。報酬も悪くないし、モンスターも街の近くだから滅多に出ないしどうかな」
「良いと思う」
報酬は十本で1000クロムと雀の涙ほどだが、そもそも報酬目当てでもないので問題ない。
リンは依頼表をはがし、教えられた依頼専用のカウンターまで持っていく。
「チェチェ草の採取ですね。これは百本まで依頼が出されていますので百本以内でしたら十本単位になりますが買い取り致します」
リンのギルドカードを受け取り、水晶体に依頼表と重ねてかざした受付のおじさんがにこやかに教えてくれる。
五分ほどで依頼表が消え失せ、カードだけになった。
「ではお気をつけて。依頼は三日以内に達成願います。もし達成不可となりますと違約金として銀貨一枚頂きますのでご注意ください」
「わかった」
二人は食材ギルドを出て街の南区に向かったのだった。
チェチェ草は簡単に見つかった。
浮かれて採取しまくったらモンスターにも出会った。どゆこと?

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